「共同参画」2014年1月号

「共同参画」2014年1月号

行政施策トピックス

平成24年版働く女性の実情「仕事と介護の両立〜離職せず働き続けるために」
厚生労働省雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課

「働く女性の実情」は各種統計調査を用いて、働く女性の状況等を分析した報告書で、昭和28年(1953年)から毎年公表しています。

毎年テーマを変えて特集する1部第2章では、「仕事と介護の両立〜離職せず働き続けるために」と題し、今後ますます高齢化が進み、働きながら介護を担う男女労働者の増加が見込まれる中、家族を介護する労働者の仕事と介護の両立についての現状と課題について分析しましたので、その概要を紹介します。

1 介護者の状況

高齢化社会の進行、生涯未婚率の上昇、女性の社会進出に伴う共働き世帯の増加などから、同居・別居を問わず、男女労働者が働きながら家族の介護を担うケースの増加が見込まれます。介護者数をみると、平成3年以降20年間で約2倍に増加(平成3年3,565千人→平成23年6,829千人)しており、特に、男性の方が伸びが大きく、介護者総数に占める男性の占める割合は上昇しています(31.5%→39.2%)。


男女別介護者数及び介護者に占める女性の割合の推移


2 仕事と介護の両立についての現状

家族を介護している雇用者の雇用者総数に占める割合は、年齢階級別にみると「55〜59歳」(女性13.1%、男性7.5%)が最も高く、介護をしている雇用者の構成割合では、40歳代〜50歳代の割合が全体の6割を超えています。また、介護等をしている40歳代〜50歳代のうち、4分の1が「課長クラス」以上になっています。さらに、現在、介護等が必要な親がいない就労者で、今後5年間のうちに親の介護等が必要になる可能性が「少なくとも1人はかなりある・少しある」とした割合は40.3%にのぼっています。

介護者の仕事と介護を両立するための働き方をみると、「残業をまったくしていない/短くしている」が多くなっています。また、介護を行う中で困った点や直面した課題をみると、「いつまで/どのくらい介護が必要となるかの見通しが立たない」(38.4%)、「休暇を取得しなければならない」(25.9%)、「働き方を変えることで収入が減少する」(22.3%)の順で多くなっています。さらに、仕事と介護の両立のために必要な勤務先による支援としては、「出社・退社時刻を自分の都合で変えられる仕組み」(30.5%)、「残業をなくす/減らす仕組み」(29.4%)の割合が高くなっています。また、勤務先で上司や同僚に介護等を担っていることを知られることに対して抵抗感がない人は58.6%、ある人は35.5%となっています。

家族の介護や看護を理由として離職した人のうち、男女ともに50歳代から60歳代前半が半数以上を占めています。また、介護期間中に仕事を辞めた経験がある人の勤務継続意向について聞いたところ、約7割が勤務継続の意向を持っており、多くは望まない離職であったことが分かります。

3 企業における仕事と介護の両立支援の取組

介護に関する社外の制度やサービス等に関して情報提供している企業は約3割となっており、介護を抱える従業員がいるかどうかの実態や、両立支援のニーズについて特に把握していない企業の割合は半数弱(46.4%)にのぼっています。

また、両立支援制度の利用者がいる企業では、経営トップ自ら積極的に関与したり、専門の推進担当部署を置いている割合が高くなっています。

仕事と介護の両立促進のために必要な勤務先による支援(すべて)


4 まとめ

労働者が働きながら家族の介護を担うケースの増加が見込まれる中、介護による不本意な離職を防ぐための対策が必要です。このため、介護休業等の制度の規定の整備を行うとともに、日頃から周知を図ることが重要となっています。入社時や研修等での周知に加え、パンフレットを作成・配布したり、社内のイントラネットへ掲載する等労働者が必要な時にいつでも情報にアクセスできるようにしておくことが望ましいと考えられます。

また、介護休業や短時間勤務といった長期的に利用する制度だけでなく、単発的に利用できる時間単位の休暇や時差出勤制度等柔軟な制度も有効と考えられます。さらに、いつまで続くか分からない介護では、収入が減らない働き方の必要性も高いと考えられます。

加えて、急遽労働者が両立支援制度を利用することになっても、他の労働者がカバーできるよう日頃から体制を考え、業務分担の見直しや情報共有を行う等、労働者が「制度を利用したい」と考えた時に利用できる職場環境の整備を行うことが必要です。

さらに、両立支援制度や職場環境の整備を行う際に、ニーズを把握した上で検討を行えば、より効果的な対策を講じることができます。

介護を機に仕事を辞め、再就職していない者のうち仕事を探している者(女性20.6%、男性34.8%)も少なくありません。介護による離職者が再就職しやすい環境づくりも求められるところです。

介護を理由とする不本意な離職を防ぐことは、労働者にとってだけでなく、企業にとっても、社会全体にとっても重要な意味を持っています。今から、社会全体で、介護をしながらでも長く働き続けることができる職場環境の整備に取り組んでいく必要があります。

○詳細はこちら(厚生労働省ホームページ)をご覧ください。
【掲載URL】
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/12.html