「共同参画」2013年 2月号
行政施策トピックス4
基本問題・影響調査専門調査会 「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画等の課題に係る議論の取りまとめ
内閣府男女共同参画局調査課
1.はじめに
平成24年6月に取りまとめた「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画において検討することとされたポジティブ・アクションに係る課題等について、主に法制的な観点から調査検討を行うため、本年9月に男女共同参画会議基本問題・影響調査専門調査会の下に女性の活躍促進ワーキング・グループを設置し、検討を行い、12月12日に開催した基本問題・影響調査専門調査会において、議論の取りまとめを行いました。
2.総論
- ポジティブ・アクションを実施することは実質的な意味での「機会の平等」を目指した合理的な区別であり、むしろ憲法第14条に定める平等原則に沿うものである。
- ポジティブ・アクションが合理的であるためには、(1)男女間で事実上の格差が存在すること、(2)採られる手法が目的に照らして均衡のとれたものであることが必要である。
3.各論
(1)行政分野
- 採用の場面では、第3次男女共同参画基本計画の目標に近づいていることから、法令でクオータ制の実施を義務付けることは難しいものの、登用の場面では、管理職に占める女性の割合が低く、ポジティブ・アクションをより強化する必要がある。
- 採用・登用におけるゴール・アンド・タイムテーブル方式を強化する方策として、一定の割合の女性を確保した府省に対し、定員や予算をインセンティブとして付与することは、個人への不利益はなく、原則として許容される。
(2)雇用等の分野
- 法令で企業の管理職や取締役にクオータ制を義務付けることについては、憲法上の平等原則や経済的自由権との関係で慎重な検討を要する。
- ポジティブ・アクションをさらに進めるため、企業における男女の採用・登用状況などを開示する「見える化」を促進することなどが考えられる。
(3)女性の活躍を支援するための事業等(補助金)分野
- 奨励的補助金(※1)において、男女間で事実上の格差が存在する場合に、当該補助金の執行に際してポジティブ・アクションを講じて男女間の格差の縮小・解消に努めたとしても、憲法の平等原則に反することはない。
- 奨励的補助金にポジティブ・アクションを導入する際は、一定の基準(※2)に照らして判断する。
(4)公共調達分野
- 地方公共団体における競争参加資格に男女共同参画等の項目を設定するなどの取組がさらに促進されるよう、地方公共団体に取組を要請すべきである。また、独立行政法人においても公共調達における取組を進める必要がある。
- 地方公共団体では地域住民の利益を最大にするために必要な政策として優先調達等の措置を導入している例もあることから、国においても企業における男女共同参画等への積極的な取組を促す観点から、引き続き新たな立法措置を含めた検討が必要である。
- 今後の課題は、社会的なコンセンサスが得られるような「男女共同参画等に積極的に取り組んでいる企業」の基準づくり。あわせて、大企業から適用するか、基準は業種毎に異なるものにするかなどの様々な整理が必要である。
※1 国が補助することを義務付けられている補助金である「義務的補助金」以外の補助金。
なお、「義務的補助金」、「奨励的補助金」ともに法令上の定義ではなく、講学上、便宜上の一つの整理にすぎない。
※2(1)政策目的が合理的であるか、(2)目的を達成するために有効かどうか、(3)ポジティブ・アクションの対象とならない申請者との公平がどの程度害されるか
(参考)
※議論の取りまとめの詳細はHPをご覧下さい。
http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/kihon/kihon_eikyou/jyosei_koudou.html