「共同参画」2013年 1月号

「共同参画」2013年 1月号

取組事例ファイル/団体編

財団法人日本YWCA

YWCAって?

YWCAは、Young Women's Christian Associationの略で、キリスト教を基盤に、世界中の女性が言語や文化の壁を越えて力を合わせ、女性の社会参画を進め、人権や健康や環境が守られる平和な世界を実現する国際NGOです。1855年英国で始まり、今では日本を含む125カ国で、約2,500万人の女性たちが活動しています。

歴史を遡ると日本YWCAは、明治維新という大きな時代の変化の中で、キリスト者女性たちが世界YWCAから派遣された幹事や宣教師の力を借りて1905年に創立しました。初期の活動は、若い女性の自立をめざし、学生を対象に進められました。その時代、のちに津田塾大学の創設者となった津田梅子は東京YWCAの初代会長であり、恵泉女学園の創設者となった河井道は、日本YWCAの初代総幹事でした。

現在、日本YWCAは全国の25の地域と35の中学・高等学校で、3,000人の会員がボランティアとして活動しています。その年齢層は幅広く、年齢を超えた世代間の有機的な連携のもと、若い女性のリーダーシップ養成に力を入れています。そのためには私たちの組織自体も、若い世代に開かれたものであるために、決議機関の少なくとも25%を35歳以下の女性たちが占めるように選出方法に工夫をしています。


2011年世界YWCA総会&国際女性サミットに出席した日本YWCAメンバーたち

女性がリーダーシップを発揮するために

YWCAは女性団体として、Womenの課題に向き合っています。男女共同参画が進んだとはいえ、性別に関係なく、私たち一人ひとりに刷り込まれたものを払拭し、女性たちがリーダーシップを発揮する社会を実現するためには、私たちの社会をジェンダーの視点で問い直すことが求められています。女性たちが経済力や社会的発言力をもつことももちろん大切なことですが、YWCAが目指す女性のリーダーシップとは、女性や子どもたちが自分を取り巻く状況を理解し、自ら選択・決断し、立ちあがって歩むことを何よりも大切にしています。日本YWCAは、女性たちが自立した個として、意志決定の場に自信を持って参画することを進めています。


「女性がつくり出す安全な世界」をテーマにした2011年の国際女性サミット(於:チューリッヒ)

国連の諮問機関としてのYWCAの役割

日本YWCAが加盟する世界YWCAは、国連の経済社会理事会の諮問機関であるNGOです。4年に1回開催する世界YWCA総会の際、国際女性サミット(IWS)を開き、世界約100カ国1000人を超える女性たちが集って、女性への暴力、HIVとエイズ、性と生殖の権利、健康等に関わる課題について解決に向けた実践を共有しています。世界YWCAは、ここから導き出された課題を国際機関に提出し、国連ミレニアム開発目標の期限である2015年以降のアジェンダに入れるように国連に働きかける役割を担っています。また、毎年開催される国連の女性の地位委員会(CSW)に於いてもその役割を担っており、日本YWCAは毎回メンバーを派遣し、世界YWCAのメンバーの一員として、アドボカシー活動に参与しています。政府レベルの国際会議で決定したことが、生活者である女性の視点では運用されていないという現実があります。だからこそ、決定事項を日々の生活レベルで活かすために、各国政府に対して粘り強く働きかけていくことも会議後のYWCAの重要な役割の一つです。


世界YWCA総会で日本YWCAが行ったワークショップにて、ワークショップ各国の女性たちが膝を付き合わせて話し合う

エンパワーするNGO

異なる経験をもつ人たちが出会い、違いを発見することはとてもエキサイティングな体験です。また共感を得たとき、エンパワーされて大きな喜びにつながります。エンパワーとは、内面から沸き起こる力のこと。さまざまな課題に自ら立ち上がって解決しようとする女性たちの力を、YWCAは活動の中で育てたいと願っています。

 団体名:財団法人日本YWCA  理事長:鈴木伶子  設立年:1905年  URL:http://www.ywca.or.jp