「共同参画」2012年 12月号
行政施策トピックス3
ラガルドIMF専務理事
「女性は日本の潜在力。働く女性を増やせば、日本経済がよくなる」
内閣府男女共同参画局総務課
2012年10月9~14日に、東京で、IMF(国際通貨基金)・世界銀行年次総会(以下、「年次総会」といいます)が開催されました。
IMFのトップは、クリスティーヌ・ラガルド専務理事です。これまで、IMF専務理事が女性の活躍促進に言及することはあまりなかったことです。他方、2011年7月に就任したラガルド氏は、ご自身の職務や個人的な経験に基づいて、経済にとってのその重要性を積極的に発言しています。
IMF・世銀総会
女性の労働力率を上げることがカギ
今回の10月の年次総会に合わせて開催されたプログラム・オブ・セミナー「変化する世界におけるアジアの役割」では、アジアが今後10年以上にわたって成長を持続させるための課題と、変化する世界におけるアジアの新しい役割について議論されました。ラガルド氏をはじめ、日本銀行の白川方明総裁等がパネリストとして登壇しました。
この議論の中で、白川総裁が、これからの日本経済の発展には高齢者と女性の労働力率を上げることが重要である、と指摘しました。それに続き、ラガルド氏は、(1)女性の労働力率を上げることは、世界のためだけではなく、日本のためになること、(2)保育所の不足と家に留まるようにという社会的プレッシャーによって出産後多くの女性が仕事を辞めていること、(3)女性も仕事が続けられるようにするためのよりよい保育施設、支援、受け入れる文化があれば、それこそが日本経済を最良にするものだ、と述べました。
女性だけではなく、社会全体が良くなる
さらに、ラガルド氏は、NHKクローズアップ現代の「女性が日本を救う」(10月17日放送)に出演しました。そこでも、今後の日本社会の発展に向けた処方箋として、次の3点を挙げました。
○ 働く女性を増やすことで、日本の抱えている問題である多額の政府債務や深刻な労働力不足に十分対処できる。結果的に、社会全体が恩恵を受けることになる。
○ 女性のリーダーを増やすことは、大事である。牽引役となってほかの女性も引き上げるから。
○ 労働時間を短くすると、生産性の面からも、私生活の面からも、良いことがとても多い。ただし、企業が不利になるような仕組みにしないことが重要である。
来日した際のラガルド氏からは、このように「働く女性を増やせば、日本経済が良くなる。そのことをぜひ伝えたい」とのあふれる思いが感じられました。
2012年7月に閣議決定された「日本再生戦略」でも、女性の活躍促進は日本再生に不可欠とされています。ラガルド氏のメッセージは、これからの日本社会への力強い示唆となるでしょう。
クリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事
〔参考〕
IMF
http://www.imf.org/external/am/2012/seminars/asia/index.htm
NHKクローズアップ現代
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3261_all.html