「共同参画」2012年 11月号

「共同参画」2012年 11月号

取組事例ファイル/団体編

独立行政法人産業技術総合研究所

個人の能力を最大限発揮できる環境実現を目指して─ダイバーシティ推進─

<社会の中で、社会のために>

産業技術総合研究所(産総研)は、つくばを中心に全国にあった旧通商産業省の16の研究機関などを統合・再編し2001年に設立されました。その歴史は、前身の工業技術院から130年前まで遡ることが出来ます。正職員約3,000名(研究職員2,300名、事務職員700名)に加えて、各種制度により国内外から多様な人材を集め、産業科学技術の研究を行う我が国最大級の公的研究機関です。

新たな発見や革新(イノベーション)には、組織の多様性の活用(ダイバーシティ)が大きな役割を果たすという理念のもと、性別、年齢、国籍等にかかわりなく能力が発揮できる環境の実現を積極的に推進しています。

<ダイバーシティ推進の取組>

2006年2月10日に「産業技術総合研究所男女共同参画宣言」を表明し、「多様な視点をもつ人々が共に働くことで研究そのものが真に豊かになり、より社会に有益なものになる」との信念のもと、種々の取組を行っています。また、産総研の男女共同参画の基本方針を示す「第3期中期目標期間(2010~2014年度)における男女共同参画の推進策」では、アクションプランを掲げ、女性や外国人を含む優秀かつ多様な人材の確保と育成、そして仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を維持しつつ、産総研で働く人々の能力を最大限に発揮できる環境を実現するため、多岐にわたる支援を行っています。

<ワーク・ライフ・バランス支援>

産総研では、多様な属性、ライフスタイル、個々人の生き方に合わせた職場環境整備のため、育児・介護に関する各種休暇・休業制度や相談窓口を整え、仕事と生活の両立支援に取り組んでいます。柔軟な勤務形態として、フレックスタイム制や裁量労働制を導入するとともに、育児支援として、3つの事業所では、一時的に子供を預けることができる保育施設を所内に設置しており、設置していない事業所においては、民間託児所やベビーシッターを利用できるよう、支援体制を整えています。一方、介護に関する理解を深めるため全国研究拠点をテレビ会議で結んだ「介護に関する勉強会」の開催や、「いい仕事、いい休み。」の標語のもとリフレッシュのための年次有給休暇取得キャンペーンを実施しています。こうした取組により、産総研発足以来、結婚・出産、特に育児を理由に退職した女性研究職員は報告されていません。

<研究教育機関との連携>

産総研では、所内で様々なダイバーシティ推進策を進める中で得られた効果を分析し、その結果を学会発表するなどの成果発信を行っています。男女共同参画推進に関する国内の研究教育機関間の連携を目的に、ダイバーシティ・サポート・オフィス(DSO)というコンソーシアムを組織して2007年9月から活動を行っています。現在、全国19の大学や研究機関が参画し、男女共同参画を中心にダイバーシティ推進について情報共有や意見交換を行い、種々の支援策の普及拡大を進めています。

(総務本部ダイバーシティ推進室)


産業技術総合研究所
男女共同参画宣言


産総研男女共同参画の推進策アクションプラン


年次有給休暇取得キャンペーン


ダイバーシティ・サポートオフィス(DSO)参加機関の研究拠点マップ

団体名:独立行政法人産業技術総合研究所
理事長:野間口 有   設立:2001年4月
研究分野:環境・エネルギー、ライフサイエンス、情報通信・エレクトロニクス、ナノテクノロジー・材料・製造、計測・計量標準、地質
URL:http://www.aist.go.jp/index_j.html