「共同参画」2012年 9月号

「共同参画」2012年 9月号

取組事例ファイル/企業編

株式会社クロスカンパニー

「4時間正社員」をはじめとするダイバーシティ推進について

弊社は、婦人服を中心に取り扱うアパレルメーカーです。約2,300名の従業員全員が正社員で、内95%が女性で構成されています。

現在、日本の中間管理職の女性の割合は10.6%と言われています。それに対して、アメリカやフランスは40%前後です。日本は欧米に比べて圧倒的に女性が活躍できていない国になっています。このような状況下で、女性社員が大半を占めるクロスカンパニーが一つのモデルをつくっていこうと、2007年より本格的に女性支援制度の充実に取り組んでまいりました。法定基準よりも期間の長い産休・育休や、アパレル業界では珍しい「日曜日特別休暇制度」など、14に及ぶ制度が実際に活用されています。そして、2011年8月には、「4時間正社員」という制度を立ち上げました。国内に前例が無い制度のため、導入には多くのハードルがありましたが、導入後4カ月で1,000名以上の応募がありました。扶養控除や税金の問題よりも、短時間でも正社員として企業に腰を据え、家庭と両立しながら責任を持って仕事をしたいという女性が多数いることが分かりました。

また、もう一つの取り組みとして、「女性人事委員会」を発足しました。多くの企業が「人事考課委員会」も男性がマジョリティで、女性が評価されにくいという実情があると思います。弊社でも、2006年頃までは女性管理職の比率が高かったものの、2008年にかけて割合が低下していきました。男性社員の意見に引っ張られ、管理職は男性の方が良いという発言が広がっていったのもこの時期です。気がつけば人事考課委員会が世の中の会社と同様、男性中心になっていました。そこで立ち上げたのが、「女性人事委員会」です。委員会のメンバーが人事考課委員会に、能力ある女性社員の昇進を“女性目線で”提案する仕組みです。これにより、以前の女性管理職の割合を取り戻しました。

弊社がコミットメントしている女性管理職の割合は40%、ボードメンバーは20%です。また、国連機関「UN Women」が提唱する「女性のエンパワーメント原則(WEPs)」にも署名しています。特に女性登用に関しては、トップがコミットメントしない限り組織を変えることは難しいと考えています。

また、「女性が男性化してはならない」というのも、女性の活躍に向けて重要な概念だと考えています。女性には女性ならではの感性を組織に生かしていただきたいですし、クロスカンパニーではその感性が生かされる環境を整備していきたいと思っています。

女性が活躍できる職場環境を整備することが女性の雇用創出につながり、日本の財政が潤うと思います。また、女性の意見を聞くことは、多様な意見を聞くということです。男性だけで物事を決めていては、その先には利益がないと考えています。もちろん、男性の意見も、外国人の意見も聞きます。多様な人材がお互いに意見を交わしながら、企業としての最終的な意思決定をしていくべきだと感じています。


クロスカンパニーは、社員の95%が女性です。


四半期毎に、成績優秀店舗の店舗責任者を表彰しています。


社員のキャリアに合わせた研修も充実しています。


2012年度は371名の新卒社員が入社しました。

株式会社クロスカンパニー

設立年月日:1995年2月  代表者:代表取締役社長 石川康晴

資本金:1億円  売上高:700億円(2012年度見込み) 従業員数:2,258人(2012年5月未時点)

事業内容:アパレル衣料品・雑貨の企画、製造、小売販売及び飲食店舗の運営

取扱いブランド:earth music&ecology、E hyphen world galleryなど、計8ブランドを展開。