「共同参画」2012年 9月号

「共同参画」2012年 9月号

行政施策トピックス

男女共同参画会議について
内閣府男女共同参画局

男女共同参画会議について

平成24年8月1日(水)、総理大臣官邸にて第41回男女共同参画会議が開催されました。

会議冒頭、議長である藤村内閣官房長官から、「関係閣僚は、2つの専門調査会報告を踏まえ、性犯罪対策や雇用・セーフティネットの再構築等を始め、第3次男女共同参画基本計画の更なる推進に向けて、相互に十分に連携を取りつつ、関係施策を着実に進めていただくようにお願いする。」旨の挨拶がありました。

まず、女性に対する暴力に関する専門調査会からの報告として、「「女性に対する暴力」を根絶するための課題と対策~性犯罪への対策の推進~」について、辻村議員から説明がありました。続いて、監視専門調査会で取りまとめた意見として、「「雇用・セーフティネットの再構築」及び「より多様な生き方を可能にする社会システムの実現」」について、鹿嶋議員から説明がありました。

次に、中川男女共同参画担当大臣から、「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画~働く「なでしこ」大作戦~(平成24年6月22日女性の活躍による経済活性化を推進する関係閣僚会議決定)について説明がありました。

これらの説明を受けて各議員から活発に意見が述べられた後、専門調査会の報告や当日の議論等を踏まえ、後藤内閣府副大臣から「男女共同参画会議専門調査会報告を踏まえた今後の取組事項及び当面の検討の進め方について」の説明があり、決定しました。

最後に、野田内閣総理大臣から、「女性の活躍促進は、日本再生のために不可欠。女性の活躍を求める社会全体の機運は熟しており、これを社会の変革につなげるために、私も政府全体の取組の先頭に立ちたい。」旨の挨拶がありました。

女性に対する暴力に関する専門調査会報告書「「女性に対する暴力」を根絶するための課題と対策~性犯罪への対策の推進~」について

男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会では、平成23年9月から性犯罪対策について検討してまいりました。本年7月に、報告書「「女性に対する暴力」を根絶するための課題と対策~性犯罪への対策の推進~」を取りまとめましたので、ポイントをご紹介します。

1 背景

性犯罪に関しては、長期にわたる精神的被害を伴うものであること、被害の潜在化の傾向、また、面識ある者からの加害行為が多いなどの特徴があり、こうした特徴を有する性犯罪への対策として、潜在化を防ぐための厳正な対処と被害者への配慮・支援を図ることを基本として議論を進めました。

●長期にわたる精神的被害~若年層の被害が多く、その後の健全な育成への影響が懸念

(強姦42.4%、強制わいせつ53.5%、被害者に占める未成年者の割合、警察庁の統計を基に算出)

●被害の潜在化

異性から無理やり性交された経験を持つ女性7.7%

そのうち

相談した割合:28.4%

相談先:友人・知人18.7%、警察3.7%

(内閣府 平成23年度「男女間における暴力に関する調査」より)

●面識ある者からの加害行為

76.9%(「異性から無理やり性交された経験を持つ女性」のうち、加害者と面識があった者の割合、前掲内閣府調査より)

(強姦41.3%、強制わいせつ22.8%、警察庁の統計を基に算出)

2 報告書の内容

(1) 性犯罪への厳正な対処等

ア 関係諸規定の厳正な運用と適正かつ強力な捜査の推進

(ア) 強姦罪の見直し

○非親告罪化

委員の中では、被害者の負担を考慮する被害者保護や、性犯罪の厳正な対処を図る観点から、現行の親告罪を非親告罪化することが有意義であるとの見解が多い。

○暴行又は脅迫を用いない姦淫によっても強姦罪が成立する年齢

委員の中では、特に低年齢の被害者保護の徹底、性犯罪の厳正な対処の観点から、強姦罪において、暴行又は脅迫を用いなくとも姦淫によって強姦罪が成立する年齢(現行は13歳未満)を一定程度引き上げる方向に意義があるという見解が多い。

○強姦罪の構成要件

強姦罪の構成要件である「暴行又は脅迫を用いて」、「女子」、「姦淫」について各見解の提示

(イ) 証拠の採取と保全

性犯罪被害者が長期間告訴を決断できず、又は告訴が困難な場合があり、被害直後に証拠の採取を適切に行い、長期間適正に保全する対策が必要である。

・資機材の整備、証拠採取・保全が可能な人材及び機関の養成

・警察への通報を希望しない場合における試料の保管の在り方の検討

 イ 指導的立場にある者等による性犯罪の防止等

指導的立場にある者等による性犯罪は、その優位な立場等を利用するもので、被害者にとっては被害を訴え出ることが困難な状況に置かれ、被害がより潜在化・継続化・深刻化する傾向が懸念される。

・事案の顕在化を促すことを第一に考えていくことが必要

・教育委員会等による適切な調査、関係者の意識改革、相談の啓発

(2) 被害者への支援・配慮等

 ア ワンストップ支援センターの設置促進等

性犯罪被害者は、被害直後にどこで支援を受けられるのかがわからず、又は複数の支援機関等を訪れるなどの状況にあるため、継ぎ目のない支援を提供するための人と場所の確保が課題である。

・急性期対応として、ワンストップ支援センターの取組を手引を基に普及促進

・関係機関のネットワークを活用した取組の推進、専門家の育成等

 イ 被害者の心情に配慮した事情聴取等の推進

性犯罪被害者は、刑事手続の煩雑さ、事情説明の繰り返し又はプライバシー事項に関する説明による負担を抱えるとともに、捜査・公判の段階で二次的被害を受ける懸念がある。

 (ア) 捜査・裁判手続等における性犯罪被害者の負担の軽減

・事情聴取の重複軽減、弁護士による支援の充実

 (イ) 二次的被害防止のための取組

・捜査・司法関係者の研修の充実

 ウ 診断・治療等に関する支援、専門家の養成等

専門的知識と技能に裏付けられた診療・治療等に関する支援が提供されなければ、性犯罪被害者の十分な回復は困難であるため、制度運用の充実や対応の改善が必要である。

 (ア) 医療機関における支援体制の整備等

・専門性の高い医療関係者の育成、性犯罪被害者への対応が可能な医療機関情報の提供の充実

 (イ) 医療費の公費負担制度の統一的運用の徹底

・要件の統一や充実を図るための検討

(3) 加害者に関する対策の推進等

性犯罪の発生防止には、性犯罪に対応した効果的・総合的な再犯防止対策が必要である。

・再犯防止措置の徹底、検証及び見直し

(4) 啓発活動の推進

性犯罪は許されるものではなく、その発生防止は国民一人一人の責務であるとの意識啓発が不可欠である。支援の取組を推進するためにメディアが果たす役割は大きい。

・メディアにおける研修、啓発

※報告書の詳細はHPをご覧ください。

http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/boryoku/houkoku/index_hbo07.html

監視専門調査会「第3次男女共同参画基本計画の実施状況についての意見」について

男女共同参画会議監視専門調査会は、平成23年2月、第3次男女共同参画基本計画に盛り込まれた施策の進捗状況の監視等を目的として設置されました。同調査会では、同年7月以降、同基本計画において今後取り組むべき喫緊の課題とされている「雇用・セーフティネットの再構築」及び「より多様な生き方を可能にする社会システムの実現」に関する施策を監視してきました。本年7月、これらの施策の実施状況に関する意見を取りまとめましたので、その概要をご紹介いたします。

1.「雇用・セーフティネットの再構築」に関する意見

○女性の参画促進、ディーセント・ワークの実現等

・非正規労働者の均等・均衡待遇の確保の促進、正社員への転換の推進等に関する法整備を含めた検討

・女性の起業のため、女性の起業経験者、弁護士・税理士等の専門家とのネットワークの構築を促進

○若者を始めとする雇用対策等の強化

・若者の厳しい就職環境を踏まえた集中的かつ効果的な雇用対策

・女性が就業継続できる環境の整備

・大学生等に対する働き続けることの重要性の周知

・大学等における教育費負担の軽減、授業料減免、奨学金等の充実

・キャリア教育の一層の充実、若者のための相談機会の充実

○仕事と生活の調和の推進

・男性の育児休業取得促進の取組強化

・次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の実行状況等の検証

・仕事と生活の調和についての一層の広報啓発

2.「より多様な生き方を可能にする社会システムの実現」に関する意見

○税制・社会保障制度の見直しの検討

・配偶者控除の縮小・廃止を含めた見直しの検討

・第3号被保険者制度の見直し及び非正規労働者の社会保険適用の拡大についての更なる検討

・関係方面の議論を深めるための幅広い情報提供

○家族に関する法制の整備等

・選択的夫婦別氏制度の導入等のための民法等の改正についての第3次基本計画に沿った検討

○男女共同参画に関わる調査研究、情報の収集・整備・提供

・男女共同参画をめぐる基本的な意識の把握と、固定的性別役割分担意識解消等のためのより効果的な啓発活動の展開

・統計における男女別データの整備

・政策のPDCAサイクルに男女共同参画の視点を取り入れるための取組(意義、効果、具体的手法等の整理・共有、政策効果の把握に際しての男女別分析・評価等)など

※意見の詳細はHPをご覧ください。

http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/kansi_senmon/index.html