「共同参画」2012年 9月号
特集2
アフガニスタンの女性支援
内閣府男女共同参画局総務課
アフガニスタンにおいては、国際社会の支援を受けて、長らく続いた戦乱状態からの復興に向けた取組が進められています。
我が国は、2002年1月、「アフガニスタン復興支援国際会議」が東京で開催された際、日本が復興支援において重点的に貢献すべき分野の一つとして「女性の地位向上」をあげました。内閣府では、内閣官房長官の懇談会として「アフガニスタンの女性支援に関する懇談会」1 を開催し、同年5月には、女性のニーズに配慮した支援の在り方についての報告書を取りまとめました。今年は、取りまとめから10年という一つの区切りを迎えました。
このため、7月9日、日本学術会議(東京)において、アフガニスタン女性支援の成果や課題についてフォローアップする同懇談会及び男女共同参画推進連携会議主催の「聞く会」を開催しました。
○アフガニスタンの女性支援に関する懇談会
内閣府及び国際協力機構(JICA)による、これまでの日本のアフガニスタン女性支援について報告が行われたのち、7月8日に開催された「アフガニスタンに関する東京会合」2 に合わせて来日されたリア・ジャワドさん(正義のための連帯財団上級ディレクター)及びマラライ・シンワリさん(アフガニスタン統合能力開発機構ディレクター)からご発表がありました。
ジャワドさん、シンワリさんは、アフガニスタンにおいてNGOの活動や経験を踏まえて、アフガニスタン女性の生活は2001年以降、特に女性の高等教育への進学、政治参加、女性の擁護活動等への運動参加において改善が見られていること、一方、司法、教育、健康などの多くの分野において、特に地方では、引き続き課題が残されていることなどを発表されました。
その後、意見交換が行われました。
○アフガニスタンの女性支援について聞く会
後藤斎内閣府副大臣が挨拶し、我が国がアフガニスタン復興支援の当初から、女性の参画や女性のニーズに配慮したプロジェクトに注力してきたことに触れ、「紛争・災害後の社会の再建に当たっては、女性の参画を進め、女性の力を活かすとともにそのニーズに配慮することが、包摂的で真に強く豊かな社会づくりに不可欠」と述べました。
パネルディスカッションでは、総合司会を萩原なつ子さん(立教大学大学院教授)、モデレーターを田中由美子さん(JICA国際協力専門員)が務め、アフガニスタンに滞在し女性支援に当たった小川佳子さん(前国連ハビタットアフガニスタン事務所アドバイザー)及び笠井久美子さん(元JICAアフガニスタン女性の経済的エンパワーメント支援プロジェクト・リーダー)から活動の状況と今後の課題について発表がありました。また、ジャワドさん、シンワリさんからは、雇用・教育・政治・健康等におけるアフガニスタン女性の現状と課題、国際社会に求められる支援のあり方等について発表されました。
その後、会場からの質疑応答を交え、意見交換が行われました。
アフガニスタンにおいては、日本を始めとする支援や、当地の女性の懸命の努力により、女性の参画や生活についても成果が見られています。しかし、引き続き課題も残されています。
「アフガニスタンに関する東京会合」で合意された「相互責任に関する東京フレームワーク」でも強調されたように、アフガニスタンと国際社会は相互に協力して、アフガニスタンの女性支援について取り組んでいくことが必要です。
http://www.gender.go.jp/kaigi/kento/afgan/index.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/afghanistan/tokyo_conference_2012/index.html