「共同参画」2012年 6月号

「共同参画」2012年 6月号

行政施策トピックス4

自治体における男女共同参画条例
内閣府男女共同参画局総務課

条例制定数の伸び

いわゆる「男女共同参画条例」の制定状況は、毎年、内閣府男女共同参画局が調査し、その結果を『地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況』報告書として公表している。

男女共同参画条例は、平成12年に5つの自治体で制定されてから今日までに、46都道府県、19すべての政令市、369市区(政令市を除く)、108町村の合計542自治体で制定された(平成23年4月1日現在)。市町村合併により失効した条例を含めるとのべ660条例である。策定率は、市区で48.0%、町村で11.5%である。制定数は毎年2~3%ずつ堅調に増えており、平成22年度は新たに40市町村において条例が制定された。こうした伸長の動きは注目できよう。

条例で重視される地域課題

男女共同参画条例はこの10年余にさまざまな変遷がありながらも、男女共同参画社会基本法、食料・農業・農村基本法(平成11年法律106号)、配偶者暴力防止法(平成13年法律31号)、次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)等、男女共同参画に関連の深い分野の法律の内容を条例に融合し、ときにはそれよりも充実させながら、地域で男女平等を実現し、男女共同参画社会の形成を促進していこうとする工夫が見られる。それは条例の名称にも表れ、男女共同参画、男女平等、まちづくり等とバラエティに富む。

また各地の条例では、地域課題に対応するために、男女共同参画によるまちづくり、女性の政策方針決定過程への参画促進、男女の人権の保障、男女共同参画の視点からの施策及び人権侵害に対する苦情申し出、推進体制の拡充(自治体行政へのジェンダーの主流化)等が重視されている。

そこで、条例の具体的な内容について平成22年度に制定された40条例から最近の特徴を整理すると、第一に、自治会、商工会、市民団体の責務を定めたり、農林水産業や商工業等における男女共同参画推進の取組が組み合わされて、3分の2の条例に盛り込まれている。

第二に、男女共同参画審議会だけではなく、附属機関全般に対象を広げて、委員数の男女均衡をめざすよう努めるというポジティブ・アクション規定があるのは20条例である。これも増加傾向にある。

第三に、性と生殖に関する健康や権利を尊重するものは35条例である。

第四に、固定的な性別役割分担意識、差別的取扱いや暴力行為等を助長しないように努める等の規定があるのは26条例である。

なお、新潟県長岡市条例は、過去の災害対応の経験から、災害復興・防災に男女共同参画社会の形成が促進されるよう必要な措置を取るとした。

ますますの活用を

このように、自治体では地域や草の根の女性・男性及び自治体職員等の日頃の活動や取組の成果が条例として結実して男女共同参画の推進をめざしていることがわかる。こうしたことからも、条例が、男女共同参画の視点からの地域課題の解決のために必要とされ、具体的に生かされるツールになることがより一層期待される。

〔参考〕公益財団法人地方自治総合研究所「男女共同参画条例の一覧」

http://www1.ubc.ne.jp/~jichisoken/archive/gender/index.html