「共同参画」2012年 6月号

「共同参画」2012年 6月号

特集

第27回 男女雇用機会均等月間 厚生労働省雇用均等・児童家庭局

ポジティブ・アクションのシンボルマーク「きらら」

厚生労働省では、6月を「男女雇用機会均等月間」と定め、職場における男女均等について労使を始め社会一般の認識と理解を深める機会としています。本年は、「眠らせていませんか?あなたの職場の女性の力 ~ポジティブ・アクションで男女が活躍~」をテーマに、職場における実質的な均等を実現するための取組であるポジティブ・アクションの一層の推進を目指します。

男女雇用機会均等法(以下「均等法」という)が施行されて以降、法制度上は男女の機会及び待遇の確保は大きく進展し、企業の雇用管理は改善されつつありますが、依然として男性と比べて女性の勤続年数は短く、管理職比率も低い水準にとどまっており、実質的な機会均等が確保された状態には至っていません。また、平成9年、平成18年の改正を経て、法整備が進展する一方で、男女間の事実上の格差について認識しにくくなっている状況もみられます。

実質的な男女均等取扱いを実現するためには、性別によらない雇用管理を行うことはもとより、ポジティブ・アクションの一層の推進を図り、働き続けることを希望する者が就業意欲を失うことなくその能力を伸長・発揮できる環境整備を進めることが重要です。

<男女雇用機会均等月間について>

厚生労働省では、6月を「男女雇用機会均等月間」と定め、職場における男女均等について労使を始め社会一般の認識と理解を深める機会としていますが、本年においては次の目標を掲げ、月間を実施します。

【目標】

1. 均等法の一層の周知徹底及び履行確保

2. ポジティブ・アクションの趣旨及び内容の正しい理解と取組の促進

<ポジティブ・アクションとは>

固定的な男女の役割分担意識や過去の経緯から男女労働者の間に事実上生じている格差を解消することを目指して個々の企業が進める自主的かつ積極的な取組のことであり、実質的な男女均等取扱いを実現するために必要となるものです。

均等法第14条では、企業がそれぞれの状況に応じて具体的に取り組むことができるように国が援助できる旨の規定が設けられています。

均等法第14条の対象となるポジティブ・アクションの具体的取組としては、「女性のみ」または「女性優遇」の措置と男女双方を対象として行う措置の両方がありますが、このうち「女性のみ」または「女性優遇」の措置については、事業主が講ずることができるのは、法第8条により法違反にならないこととされた措置に限定されます。

例:「会社全体で女性が少ないため、女性のみの支店を作ることは均等法に違反するか?」

雇用管理区分ごとに見て、特定の職務又は役割に占める女性の割合が4割を下回る場合に、ポジティブ・アクションとして、特定の支店における当該職務又は役職の従事者を女性のみとすることは、均等法違反とはなりません。

これに照らせば、特定の支店を女性のみとすることは、雇用管理区分ごとに見て、その支店内の職務又は役職すべてについて女性のみとすることが適法な場合のみ許容されることとなります。自社で取組をご検討される場合は、都道府県労働局雇用均等室までご相談下さい。

<ポジティブ・アクションの促進>

3次男女共同参画基本計画(平成22年12月17日閣議決定)では、平成26年までにポジティブ・アクション取組企業数の割合を40%超とする目標が設定されています。厚生労働省では、職場におけるポジティブ・アクションの取組を促進するため、次の資料等を作成するなど、各種施策を行っています。

1. ポジティブ・アクションメッセージ集

ポジティブ・アクションに取り組むきっかけがつかめない企業や、一歩が踏み出せないでいる企業を後押しするメッセージを集めた「企業向けメッセージ集」と将来のキャリアビジョンが描けず不安を抱える女性や昇進に向けたチャレンジを躊躇している女性の背中を押すメッセージを集めた「女性社員向けヒント集」を作成しました。

http://www.mhlw.go.jp/topics/koyoukintou/2012/03/30-01.html

2. ポジティブ・アクション実践的導入マニュアル~中堅・中小企業の経営者のための女性社員の戦力化~

中堅・中小企業の経営者の方々を対象とした女性社員の戦力化に向けて、男女社員間の格差を解消し女性社員の活躍を推進するための具体的かつ実践的な導入手引書を作成しました。

ポジティブ・アクションの取組の効果的な進め方や、ポジティブ・アクションを進める中で生じる課題やその解決方法、効果的な取組方法について実践的な内容で30例掲載しています。

http://www.mhlw.go.jp/topics/koyoukintou/2012/02/15-01.html

3. ポジティブ・アクションを推進するための業種別「見える化」支援ツール

職場における男女労働者間の職域や役職などに関し、事実上生じている格差の実態把握・気づきを得て、男女間格差の実態把握をし、ポジティブ・アクションの取組が必要との認識を促すため、「業種別『見える化』支援ツール」及び「ポジティブ・アクションを推進するための業種別『見える化』支援ツール活用マニュアル」を、百貨店業、スーパーマーケット業、情報サービス業の3業種について各業界の使用者団体と労働組合の協力を得て、業種ごとの雇用管理の実態の特徴を踏まえて作成しました。平成24年度は、新たな3業種について、ツール等を作成することとしています。

http://www.mhlw.go.jp/topics/koyoukintou/2012/03/13-01.html

4. ポジティブ・アクション情報ポータルサイト

ポジティブ・アクションについて個別企業の取組みを閲覧・検索できるサイトや、企業が自社の女性活躍推進の状況を自己診断できるシステム、女性の活躍推進に取り組んでいる、あるいはこれから取組みを進めていこうとする企業がメッセージを掲載できる「女性の活躍推進宣言コーナー」等の各種コンテンツを盛り込んだ情報ポータルサイトの運営を行っています。

http://www.positiveaction.jp/

ポジティブ・アクション情報ポータルサイト
ポジティブ・アクション情報ポータルサイト

<平成23年度男女雇用機会均等法の施行状況>

(1)都道府県労働局雇用均等室への相談

相談件数は2万3千件超と昨年度と比較しほぼ横ばいで、労働者からの相談は引き続き全体の過半数となっています。

相談内容は、セクシュアルハラスメントに関する事案が最多(5割)となっています。次いで婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに関する事案、母性健康管理に関する事案となっています。

(2)紛争解決の援助

(1) 都道府県労働局長による紛争解決の援助

紛争解決援助の申立件数は610件と昨年度(579件)より増加しています。

申立者のほとんどは女性労働者ですが、男性労働者、事業主からの申立もあります。

内容は、セクシュアルハラスメントと、婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに関する事案が9割以上となっています。

(2) 機会均等調停会議による調停

調停申請受理件数は78件で増加傾向にあります。内容は、セクシュアルハラスメントに関する事案が最多(約7割)、次いで婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに関する事案となっています。

(3) 都道府県労働局雇用均等室における是正指導

各条項等に抵触し、是正指導を行った件数は約1万件で、内容は、セクシュアルハラスメントに関する是正指導が最多(6割)となっています。

○ポジティブ・アクションのシンボルマーク「きらら」

ポジティブ・アクションの頭文字Pとaをデザインしたもので、「きらら」には女性がいきいき活躍し、夢と希望で瞳がきらきら輝く、という意味が込められています

シンボルマークは「ポジティブ・アクション宣言サイト」からダウンロードでき、ポジティブ・アクションに取り組んでいる企業や普及宣伝に賛同する労使団体等が自由に利用することができます。

【シンボルマーク活用例】

○社内の理解促進のため、社内報に掲載。

○企業取組のアピールするため、募集要項や企業のHP等に掲載。

○企業のPRのため、商品や名刺等に掲載。

ポジティブ・アクションのシンボルマーク「きらら」