「共同参画」2012年 4・5月号

「共同参画」2012年 4・5月号

行政施策トピックス2

「第4回ジェンダー統計グローバル・フォーラム」について
内閣府男女共同参画局調査課

ジェンダー統計グローバル・フォーラム

2012年3月27日~29日、「第4回ジェンダー統計グローバル・フォーラム」が国連統計部、UN Women、ヨルダン政府等の共催によりヨルダンで開催されました。

このフォーラムは、第42回国連統計委員会(2011年)において世界ジェンダー統計プログラム強化の一環として2年に1度開催するとされた取組に当たるものです。(「共同参画」2011年5月号参照)

今回の会議では、経済活動・教育への参画や身体的な自律性の確保等を通じた女性のエンパワメント、それらの分野で事実に基づく政策立案(evidence-based

policy making)をいかに進めていくかが議論され、併せて現在進行中のプロジェクト(指標群の設定、マニュアルの作成、国連地域委員会の活動等)の状況も報告されました。国連機関の他、OECD(経済開発協力機構)やILO(国際労働機関)等の国際機関の統計担当者や各国の政府関係者を合わせ80名ほどが出席し、我が国からは内閣府男女共同参画局の高村静男女共同参画分析官が出席しました。

日本からの報告

我が国は会議初日の第1セッションで「Economic Empowerment of Women in Japan」と題するプレゼンテーションを行いました。内容は、本年2月公表の男女共同参画会議基本問題・影響調査専門調査会報告「第1部女性が活躍できる経済社会の構築に向けて」を踏まえたものです。(「共同参画」2012年3月号参照)

本年1月の施政方針演説で野田総理が「『女性』は日本の潜在力の最たるもの」と述べたことに触れ、日本においても女性の活躍促進が重要な政策課題として注目されていることを紹介しつつ、現状では女性の量的・質的参画が十分ではない分野について、各種の統計データを用いて以下のような実態を示しました。

例えば、女性の就業希望者数(労働力調査)、男性に対して相対的に低い女性の賃金(労働力調査、賃金構造基本調査)、女性の労働参加率の低さとの相関も指摘される、先進国中低位の労働生産性(OECDデータ)、世帯内の消費の意思決定過程の女性のプレゼンスの高さ(内閣府調査)と、これに対し相対的に低い企業等の意思決定過程(管理職)の女性比率(OECDデータ)などです。

また、女性の能力発揮を阻む障壁として、ワーク・ライフ・バランスの状況(社会生活基本調査)、子育て支援施設の不足(OECDデータ)、先進諸国及び男性に比べて低い日本女性の高等教育在学率(UNESCOデータ)、そして、若い頃からの就業状況等を反映し、高齢期に急速に高まる女性の貧困率(国民生活基礎調査特別集計)等も併せて示しました。

日本報告への反応

同セッションの討論者・UN Womenの統計担当政策スペシャリストは、以下の点から日本の取組を評価しました。(1)複数の統計データを組み合わせ、政策課題を明示、(2)男女別に加え、年齢別、所得階級別、学歴別など複数の要素を組み合わせた分析、(3)「時間利用」「世帯内の意思決定」「女性の起業」など、国際的には今後の取組が必要な各分野のデータを既に保有し、政策課題の分析に利用、(4)国際機関の問題意識を取り込み、そのデータベースを活用、(5)分析結果を基に政策提言を行うプロセスを踏んでいる。併せて、明らかになった課題への適切な対処が求められるとコメントがありました。

我が国の取組を各国と共有することは、国際的なジェンダー統計を推進する上で有効であり、引き続き積極的な情報発信を行っていきます。

日本からのプレゼンテーションの様子
日本からのプレゼンテーションの様子

日本を含むディスカッションの様子
日本を含むディスカッションの様子