「共同参画」2011年 12月号
行政施策トピックス
女性に関するASEAN+3委員会(ACW+3)について
内閣府男女共同参画局調査課
ASEANとACW、ACW+3
ASEAN女性委員会(ACW, ASEAN Committee on Women)は、ASEAN(東南アジア諸国連合、現在の加盟国はインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア)に設けられている事務レベル会議の一つです。
ACWは、2009年から、日本、中国、韓国の3か国を招いてACW+3会議を開催しています。3回目となる2011年会合は、10月、インドネシアのボゴールにて、「ジェンダー平等に関する立法を通じたミレニアム開発目標(MDGs)達成加速に向けたジェンダー格差是正」をテーマに開催されました。日本からは内閣府男女共同参画局調査課長の中垣陽子が参加しました。
会議にて
会議においては、参加各国から上記テーマに基づいて報告がなされました。
日本からの報告では、(1)女性の力の発揮こそが日本の大きな潜在力であること、(2)昨年末策定の第3次男女共同参画基本計画においては、新設分野の一つである第15分野「国際規範の尊重と国際社会の「平等・開発・平和」への貢献」においてMDGsの達成に努めることを成果目標に盛り込んだこと、(3)2010年のMDGs国連首脳会合において、保健と教育の分野における新たな支援を発表したこと、(4)男女共同参画会議において、関連施策の実施状況の監視や影響調査を行い、必要に応じて意見具申するプロセスが行われており、その意見を反映して、基本計画も策定されていること(「高齢者の自立した生活に対する支援に関する監視・影響調査」を例にとって紹介)、などを紹介しました。
会場からは、世界に先駆けて高齢化が進展している日本の経験に様々な質問が寄せられるとともに、家庭内介護時間の男女差に関する分析が可能なのは、社会生活基本調査が実施されている日本ならではだといった指摘もなされました。
また、別途、ASEAN域内における日本の貢献事例について、カンボジアにおけるプロジェクトを紹介しました。
ACW行動計画
同会議では、先だって開催されたACWにおいて、2010年までの前計画に続く2011~2015年のACW行動計画が決定されたことも紹介されました。
同計画では、ASEANにおけるジェンダー平等の推進状況について、(1)国による差はあるものの概して成果の出ている分野(人口男女比等)と、(2)更なる挑戦を必要とする分野(ケアワーク・無償労働等)が混在している、と総括した上で、人間開発、社会福祉と保護、社会的公正と権利、環境の持続可能性確保、ASEANアイデンティティの構築、発展格差の縮小を優先分野とする今後の具体的な活動内容が取りまとめられています。
おわりに
ACW+3終了後、フリードリヒエーベルト財団との共催によるASEANにおけるジェンダー予算推進に関するコンファレンスが行われました。そこでは、域内各国における多様なジェンダー予算推進の状況について紹介されるとともに、ジェンダー予算は、政策決定プロセスに行政サービスの需要側の多様な視点を組み込むために非常に有効な手段であることなどが強調されました。
男女共同参画の分野について、このような機会を通じ、国際社会との相互理解を深めることは、我が国の男女共同参画を推進する上でも重要だと考えております。
各国代表が揃って記念撮影
ジェンダー統計に関するコンファレンスの風景