「共同参画」2011年 11月号

「共同参画」2011年 11月号

取組事例ファイル/企業編

ザ・ボディショップ

ストップ・バイオレンス・イン・ザ・ホーム(Stop Violence In The Home)DV根絶キャンペーン

ザ・ボディショップは、創業時より環境、動物の保護とともに、人権を守ることをビジネスの基盤としてきました。この価値観(バリューズ)に則り、例えば、1995年の「女性の権利は人権」キャンペーン、2000年の「セルフエスティーム(自分の価値や個性を認めること)」キャンペーンをはじめ、特に、女性が個性的に自分らしく生きるためのサポートをしてきました。そして、2006年からは3ヶ年プロジェクトで、DV根絶グローバルキャンペーンを開始。ザ・ボディショップはDVを、もはや個人的な問題ではなく、誰の身にも起こりうる「社会の問題」と考え、世界規模のネットワークを駆使してDV根絶を目指したキャンペーンを取り組み始めました。ザ・ボディショップのお客さまもスタッフも多くは女性です。女性のニーズに応えていくことはザ・ボディショップにとって自然なことでした。2006年8月に、「家庭内暴力が子どもに与える影響」ついてユニセフとの共同レポート発表。DV問題の見えない部分として、家庭内での母親への虐待を子どもが目撃をし、生涯深い影響を受けるというケースがあります。レポートは、世界で少なくとも2億7500万人もの子どもが、家庭でDVに晒されていることに警鐘を鳴らし、暴力が、子どもに生涯に渡って与え続ける深刻な影響に焦点をあてています。

当時、ザ・ボディショップの創業者アニータ・ロディック(1942~2007)は次のようにコメントしています。「このレポートはDVの最大の被害者が子どもたちであることを示しています。その子どもたちを守ることは、DV根絶を目指しているすべての人々にとって究極の関心事です。」

日本でも、DVは個人的な問題ではなく、世界的な社会問題であることを、国内にむけてアピールする店頭キャンペーンを実施しました。ザ・ボディショップのグローバルな力を利用して、DVの根絶を目指し、女性と子どもの「人権」と「セルフエスティーム」を守るために「スピークアウト(Speak Out)していきましょう!」と呼びかけるもの。寄付金付き製品リップケアスティックやピンバッジの販売と店頭でのファンドレージング募金の合計金額をFTCアドボカシーセンターの「親も子も共に安全で健康に生きるためのプログラム」に役立てていただきました。

現在も毎夏実施されるFTC主催親子合宿やその他行政、女性団体、学校主催のイベント等に参加させていただきながら、地元コミュニティとの関係確立を継続しています。

ザ・ボディショップDVの根絶キャンペーンポスター。デイジー(花言葉:希望、不屈の精神)をシンボルに、DVは誰にでも起こりうる社会問題であるとスピークアウトし(声をあげ)、お互いを尊重し合える社会を目指します。
ザ・ボディショップDVの根絶キャンペーンポスター。デイジー(花言葉:希望、不屈の精神)をシンボルに、DVは誰にでも起こりうる社会問題であるとスピークアウトし(声をあげ)、お互いを尊重し合える社会を目指します。

ユニセフ&ザ・ボディショップ共同レポート発表会場にて左より(敬称略)ニューヨーク市長室付DVを根絶するための「閉ざされた扉の向こう側で」委員会ヨランダ・ジメンズ理事、ザ・ボディショップ創業者・故アニータ・ロディック、ユニセフ事務次長リマ・サラ、全米反ドメスティック・バイオレンス協議会リタ・スミス(2006年)
ユニセフ&ザ・ボディショップ共同レポート発表会場にて左より(敬称略)ニューヨーク市長室付DVを根絶するための「閉ざされた扉の向こう側で」委員会ヨランダ・ジメンズ理事、ザ・ボディショップ創業者・故アニータ・ロディック、ユニセフ事務次長リマ・サラ、全米反ドメスティック・バイオレンス協議会リタ・スミス(2006年)

団体プロフィール:ザ・ボディショップ。1976年英国生まれ。世界各地に古くから伝わるハーブや木の実などの天然原料ベースのスキンケア、メイクアップ、ヘアケア等製品を販売する化粧品専門店です。よい香りのたち込める店内では、コミュニティ・フェアトレード原料などの美容成分を使用した製品が気軽に試せるほか、店頭キャンペーン等を通じ、動物と環境の保護、人権の尊重を訴える活動を実施。人にも地球にもやさしい心地よいライフスタイルを提案しています。