「共同参画」2011年 8月号

「共同参画」2011年 8月号

巻頭言

様々な分野において女性が力を発揮し、男女共同参画社会を実現していくことは、日本の将来の発展にとって必要不可欠であることはいうまでもないが、わずか十数年前までは、法律で女性の深夜業が禁止されており、鉄道現場のような交代制勤務の職場に女性が進出することは難しかった。産業界をあげての要望を受け、平成11年に労働省(当時)が法改正を実施。待望の深夜業解禁により女性の職域は大きく拡大した。現在、当社でも多くの女性が、鉄道第一線の現場で活躍している。

かつて、鉄道は男性社会というイメージが強く、事故発生時などに女性が男性同様の対応ができるのかと危惧する声が少なからずあった。しかしながら、今回の東日本大震災において、駅や車掌・運転士など多くの女性社員が、お客さまの避難・誘導など安全確保に率先して努め、男女問わず活躍できることを実証してくれた。

今後の課題の一つに、女性が働き続けることのできる環境をどう整えていくかという問題がある。当社も、沿線の駅型保育園などを整備し、子育て世代が安心して仕事の出来る環境づくりに取り組んでいるが、一企業でできることはやはり限界がある。大切なことは、社会全体がそれぞれの役割を果たしながら、男女共同参画の風土をいかに作り上げていくかである。そのためになすべきことは非常に多いが、実現可能なものから着実かつスピーディに具体化していくことが、今こそ求められているのではないか。

NPO法人イコールネット仙台 代表理事 宗片 惠美子
東日本旅客鉄道株式会社
取締役会長
大塚 陸毅

主な予定

9月30日 男女共同参画フォーラム(静岡市)
10月22日 東日本大震災復興に向けてのシンポジウム in 岩手(盛岡)