「共同参画」2011年 7月号

「共同参画」2011年 7月号

巻頭言

第3次男女共同参画基本計画では、喫緊の課題として「実効性のある積極的改善措置(ポジティブ・アクション)を推進する」と明記しました。初めて、国会議員選挙の女性候補者比率を高めるため、「各政党に対して、インセンティブの付与、・・・候補者の一定割合を女性に割り当てるクオータ制の導入などを検討するよう要請する」と踏み込んだことも注目されます。

これは、女子差別撤廃委員会2009年8月の最終見解で政治・雇用・学術分野等における暫定的特別措置の実施が勧告され、フォローアップ項目に指定されて2年以内の回答が求められたことにも対応しています。国際人権規約B規約委員会2008年10月の最終見解でも「法定割当制等の特別措置」等をとることが勧告され、3年以内の報告が求められています。

ここではクオータ制(割当制)の導入にも言及されていますので、実現可能で憲法違反にならない措置を具体的に検討する必要があります。ポジティブ・アクションやクオータ制が格差是正のための即効薬である半面、スティグマ(劣性の烙印)や逆差別などの副作用もあることを十分に知った上で、有効・適切な措置を実施するためにも、漢方薬的処方も含め、社会的なコンセンサスを得ながら進めなければなりません。

東北大学大学院法学研究科教授、男女共同参画会議議員 辻村 みよ子
東北大学大学院
法学研究科教授
男女共同参画会議議員
辻村 みよ子

主な予定

9月30日 男女共同参画フォーラム(静岡市)