「共同参画」2011年 3月号

「共同参画」2011年 3月号

行政施策トピックス

フランスにおける男女共同参画について
内閣府男女共同参画局推進課

内閣府では、諸外国における女性の参画に関する調査を行っています。

今回はその中からフランスの取組と最近の女性の参画の状況を紹介します。

政治分野への女性の参画
~パリテ法~

フランスでは、男女平等に関する1999年7月8日の憲法的法律により、憲法が改正され、憲法に両性の政治参画平等を促進することが明示されました。この改正を受けて2000年に「選挙によって選出される議員職及び公職への男女の平等なアクセスを促進することに関する2000年6月6日法律」一般にパリテ法とよばれる法律が成立しました。パリテ(parité)とは、同等、同一という意味で、ここでは男女同数、男女平等を意味しています。

フランスの国会は上院に当たる元老院と下院に当たる国民議会により構成されますが、このパリテ法により、元老院議員選挙で4人以上の元老院議員を選出する県では、拘束名簿式・比例代表制を採用し、候補者名簿の登載順を男女交互とすることとされました。これに違反する名簿は不受理となります。また、小選挙区制が採用される国民議会選挙では政党や政治団体に所属する候補者の男女比を同率(男女同数)とすることとされ、候補者数の男女差が2%を超えた場合には、制裁として国から政党や政治団体に配分される助成金が減額されることとなりました。2007年からは公的助成金の減額率が最大50%から75%に引き上げられ、制裁措置が強化されています。このほか、地方の議会選挙でも様々なパリテが適用されています(図表1)。

図表1 パリテ適用対象選挙

パリテ法施行後の女性議員の割合は、国民議会では、1993年選挙の6.1%から2002年選挙では12.3%、直近の2007年選挙では18.5%となっています(図表2)。元老院では、1992年選挙の5.0%から2001年選挙で10.6%、2004年選挙で16.9%、2008年選挙で21.9%となっています(図表3)。

図表2 国民議会議員の女性割合
図表2 国民議会議員の女性割合

図表3 元老院議員の女性割合
図表3 元老院議員の女性割合

雇用分野への女性の参画
~企業に対する優遇措置~

フランスでは男女平等を推進している企業に対して、政府から補助金の交付などが行われています。補助金の用途は企業により様々ですが、女性が働きやすい環境を整備するためなどに使われているようです。

また、2004年には政府のイニシアティブにより、企業に対し平等認定を与えるというシステムが開始されました。これは、フランス規格協会が、男女平等の観点から優れた企業に対して認定を与えるという制度です。認定に当たっては、企業による職業上の平等のための活動、人事制度、育児休業制度の3つの要素が審査されます。2005年3月にプジョー・シトローエンに平等認定が授与されてから、2007年6月時点で29の企業に認定が与えられています。

その他、女性のための家庭と仕事の両立支援策として、家事にかかったコストを所得から控除して申告するシステムがあります。また、仕事と家庭の両立の観点から、企業は従業員による育児休暇取得等の状況について政府に報告書を提出する義務が課せられています。