「共同参画」2011年 2月号

「共同参画」2011年 2月号

取組事例ファイル/団体編

さわやか福祉財団

名刺両面大作戦

辻立ち継続中

「地域社会は働く皆様方の御参加を待っております。名刺の裏に、なさっている地域の活動、応援するボランティア団体・NPO団体の名を印刷し、名刺交換の際そういう活動を多くの方に広めてほしい。名刺の裏を使ってボランティアに参加しませんか」

毎朝駅前でマイクで訴えます。ボランティアの仲間たちがチラシを配ります。

私たちが、名刺両面大作戦の辻立ちを始めたのは、昨年6月1日。東京山手線の新橋駅を皮切りに、南方向へ各駅2週間、月曜から金曜までの朝7時45分から1時間、通勤客に呼びかけています。山手線全駅を回り終えるのは、本年8月の予定です。

駅前で呼びかける堀田力
駅前で呼びかける堀田力

作戦の狙い

作戦の狙いは、サラリーマン、特に男性サラリーマンの地域活動、ボランティア活動への参加です。そのためには、会社人間を脱して、家庭生活に共同参画することが前提になります。

しかし、サラリーマンに地域活動を、と呼びかけても、抽象的すぎてピンと来ません。そこで、名刺の裏に活動や団体名を書く運動を進めることにより、最終的には、何も書けない人は気が引けるくらいの文化を創りたいと願っています。

チラシを見るサラリーマン
チラシを見るサラリーマン

サラリーマンの参加状況

この20年間、地域活動やボランティア活動はかなり芽が出てきました。しかし、サラリーマンの姿は、ちらほら見える程度です。特に男性サラリーマンは、家庭生活や子育てにすらあまり姿を見せません。しかしこの歪んだ形で、安心できる、楽しい社会が築けるはずはありません。

ボランティアの皆さん
ボランティアの皆さん

輝く参加者たち

この作戦を始めて最初に賛同して下さったのは、昨年7月まで内閣府参事官として共生社会政策を担当しておられた本多則惠さん(現厚生労働省参事官)です。「病児保育・病後時保育のNPO法人フローレンス サポート隊員」ほか2つの活動が裏に印刷された名刺を頂き、「こういう活動をしてる方なんだ。だからお仕事の視野も広いんだ」と、一挙に親愛と尊敬の念を深めました。

男性の現職公務員の方々も、自然同好会、○○の町家を支える会、子ども教室など、さまざまな活動をしておられます。「え?このきびしい顔のおっさんが幼な子と遊ぶ会?」と驚かされることもあり、お人柄の理解を深める効果は絶大です。

大企業で反応が早かったのは、富士ゼロックス北海道さんで、全社あげてのご参加。名刺の裏半分に、会社のCSR活動である拡大教科書の普及活動などを印刷し、残る半分に社員個人の活動を刷ることにされました。

5児の母二見洋子さんは開始以来連日チラシ配り参加ですし、京都市の社長植木力さんは上京ごとに参加してくれます。

黙々と下を向いたまま通過して行く都会のサラリーマンも、そのうち自分と家族の幸せに目覚めると信じて、続けます。

(公益財団法人さわやか福祉財団理事長堀田力)

団体名/公益財団法人 さわやか福祉財団(理事長 堀田力)

活動内容:1991年にさわやか福祉推進センター発足。「新しいふれあい社会」づくりの実現を目指して全国各地でボランティア団体の設立、運営に向けた研修会・インストラクター研修会等々、様々な事業を多角的にすすめています。1995年に財団法人化し、さわやか福祉財団誕生。2010年公益財団法人に移行し、公益財団法人さわやか福祉財団として活動しています。(「新しいふれあい社会」とは、個性とプライバシーを尊重した助け合いの社会です。)

●ふれあい推進事業 ●社会参加推進事業 ●情報・調査事業(国への政策提言等々)