「共同参画」2011年 2月号

「共同参画」2011年 2月号

行政施策トピックス

女性に関するASEAN+3委員会(ACW+3)について

ASEANとACW

ASEAN(東南アジア諸国連合)は、1967年にインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイによって設立され、その後、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアを加え10カ国がメンバーとなっています。

域内における経済成長、社会・文化的発展の促進などを目的に首脳会議に加え、閣僚会議、高級実務者会議、事務レベル会議など様々なレベルの意見交換が行われており、事務レベル会議の1つとしてASEAN女性委員会(ACW、ASEAN Committee on Women)が設けられています。

ACW+3

ACWは2009年より、日本、中国、韓国の3か国を招いてASEAN+3会議を開催しており、2回目となる2010年の会合は昨年11月、カンボジアのシェムリアップで開催されました。2010年は、ジェンダー主流化やジェンダー予算化について国際間の合意がなされた第四回世界女性会議(北京会議、1995年)から15年、ジェンダー平等推進と女性の地位向上を含む8つの目標(ゴール)からなる国連ミレニアム開発目標(MDGs、2000年)制定から10年の節目の年であり、「ジェンダー主流化とジェンダー予算化、その成果、格差、挑戦」が意見交換のテーマとされました。

ASEAN各国からの報告

会議ではまず、上記のテーマについて参加各国から報告がなされました。

ASEAN諸国からは、女性の置かれた状況に対する認識や女性のニーズ等に対する配慮が、政治分野や司法分野、また社会経済計画の中に取り入れられるよう努力がなされてきたことによって、特にMDGsに盛り込まれた教育や健康分野において女性の状況が改善してきた事例などが報告されました。課題としては、男女共同参画を定める法的枠組みの欠如や、根強く残る性別役割分担意識、また男女の置かれた状況を把握するためのデータや分析力の不足などが挙げられました。

ジェンダー予算化に関連しては、海外からのODA基金の相当部分を男女共同参画支援のために確保・活用し、施策の事前・事後の監査を行う取組(フィリピン)や、男女共同参画の推進のために必要な施策を検討する調査を行った上で、女性の職業能力の開発や育児休業制度導入支援など重点施策への予算を確保する取組(マレーシア)などが報告されました。

日本からの報告

日本からは、男女共同参画社会の形成の促進のため男女共同参画社会基本法があり、これに基づいて男女共同参画会議をはじめとする推進体制が整備されていること、あらゆる分野での女性の参画を促進するため、5年ごとに基本計画を見直し推進・監視していること、政府の諸施策に対して影響調査を実施していることと等を報告しました。

また、域内に対する日本の貢献として、2009年11月に東京で開催した「女性と貧困撲滅に関するASEAN+3人間の安全保障シンポジウム」の成果についても報告を行いました。ASEAN側からは日本の貢献に対する評価と謝意が示されました。

各国と男女共同参画分野においても相互理解を深め、日本の貢献を発信することは、幅広い国際協力・連携を進める上でも重要であると考えています。

ACW+3全参加者(2010年) 日本の正面が議長(開催国の男女共同参画大臣)席
ACW+3全参加者(2010年) 日本の正面が議長(開催国の男女共同参画大臣)席