「共同参画」2011年 1月号

「共同参画」2011年 1月号

行政施策トピックス 2

ジェンダー統計と、第3回ジェンダー統計グローバルフォーラムの報告

男女共同参画の推進と統計

男女共同参画社会の形成を促進する政策過程(企画・立案、実行、効果・影響の評価)において統計は重要な役割を担います。女性と男性の社会や家庭における状況、立場や役割、責任の違い等によって生じるニーズの違い、また施策の効果や影響、などについてデータを用いで客観的に明らかにすることは、男女共同参画社会の形成を促進し、さまざまな社会問題を解決するうえで不可欠です。

国際的な合意

このような統計の必要性について国際的な合意もあります。例えば1995年の第4回世界女性会議(北京会議)の行動綱領には、「戦略目標及び行動」として「立案及び評価のための男女別のデータ及び情報を作成・普及すること」が盛り込まれ、そのために包括的な行動をとることが求められています。社会における女性と男性に関する問題を反映する統計の保障、それらの統計出版物の定期的な発行、統計生産者と利用者の協力によるジェンダー統計の生産・改善などがその内容です。我が国では、男女共同参画基本計画(第1次、第2次、第3次)に上記のような統計の充実を図ることが盛り込まれ、取組を進めるとともに、政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響の調査(影響調査)を進めてきました。


会議の様子

国連によるジェンダー統計グローバルフォーラムの開催

国連では統計部(UNSD)が中心となってジェンダー統計進展のための取組を展開しています。2007年から実施されているグローバル・ジェンダー統計プログラムの一環として開催されているものに、ジェンダー統計グローバル・フォーラムがあります。国連人口基金(UNFPA)、世界銀行などの協力のもと、各国が質の高いジェンダー統計を収集、提供、利用する能力を強化することを目的にしています。

第3回ジェンダー統計グローバル・フォーラムと日本の報告

第3回ジェンダー統計グローバルフォーラムは、2010年10月11日~13日、マニラ(フィリピン)で開催されました。健康・介護等の関連諸統計への男女共同参画の視点の導入をテーマとし、国連を中心とした約10の国際機関、および34か国約100名(参加者リストベース)の各国の統計関係者が参集しました。

日本からは、平成20年6月に、男女共同参画会議 監視・影響調査専門調査会が公表した報告書「高齢者の自立した生活に対する支援施策に関する監視・影響調査報告書」をベースとし、国勢調査、国民生活基礎調査、社会生活基本調査、賃金構造基本統計調査、介護給付費実態調査などのデータ分析によって、主に介護を巡る状況について報告を行いました。例えば介護の担い手の多くが女性であること(家庭内介護者、介護労働者とも)、介護労働者の給与額が低い傾向にあることなどを示すとともに、介護の受け手としても女性のほうが男性より多数であること、要介護に至る原因も男女で違いがみられること等を示しました。アジア地域で今後進展するであろう高齢社会の課題について、日本の男女の現状やそれを踏まえた施策提言の内容などについて、各国からの参加者に報告できたことは、我が国のこれまでのジェンダー統計、および監視・影響調査の取組の実績を示す良い機会となったとものと考えています。