「共同参画」2010年 10月号

「共同参画」2010年 10月号

特集

地域における男女共同参画の推進について(3)
内閣府男女共同参画局推進課

地域における男女共同参画促進を支援するためのアドバイザー派遣事業

内閣府では、平成21年度より、各地の課題解決に向けた地域の主体的な取組を支援するため、地方公共団体、地域団体、女性関連団体等の求めに応じ、課題解決のための活動の充実等に際し適切な指導・助言ができるアドバイザーを派遣しています。

対象事業は、地域おこし、まちづくり、就業・再就業、ワーク・ライフ・バランス、介護、子育て、防災、環境等をテーマとする意見交換会、勉強会等です。

次に、東京都板橋区と神奈川県逗子市の実施事例を紹介します。

板橋区の取組
―女性の視点からの防災対策講座―

東京都板橋区では、平成21年度に改正した地域防災計画に、初めて「女性の視点」を文言として盛り込んだところです。今後、女性の視点からの防災対策を具体的な取組として推進していくため、平成22年1月23日、本講座を開催し、区民の皆さんと一緒に考えました。

当日は、アドバイザーに、阪神・淡路大震災を体験し、震災以降、主に「女性に対する暴力」の根絶に取り組む正井礼子氏を迎え、災害時における被災地の状況についての説明とともに、防災対策へどのように女性の視点を盛り込んでいくことが必要か、具体的なアドバイスをいただきました。

板橋区職員による区の防災体制等の説明を行った上で、正井氏より、実体験に基づく迫力ある説明を受けられたことで、参加者の感想も、「報道などからは見えてこない生の声をきくことができた」、「問題点が明らかになった」、「防災行政に女性の声を届けたい」、「会議に女性の参画を望む」など、防災対策への具体的な要望が挙がったほか、災害時だけではなく日頃からの「男女平等の大切さ」、「男女平等推進のために自発的に行動することが必要」など、男女共同参画への関心が高まる内容となりました。

板橋区では、本講座でのアドバイスや区民の皆さんの意見を、今後の防災対策や避難所運営マニュアル作成に生かしていくこととしています。

(板橋区役所政策経営部男女社会参画課)

逗子市の取組
―ネットワークづくりのためのワークショップ―

逗子市では、様々な立場の人が協力できるネットワークを形成し、男女協働参画の推進活動を進めようと、住民参加の地域づくりコンサルティングなどの活動を行っている「ゆとり研究所」所長の野口智子氏をアドバイザーに迎え、ワークショップを開催しました。

野口氏は、『ファストライフからスローライフへ』など、「新しいものさし」を持つことを提案。さらに、例えば、「一人暮らしのお年寄り」の問題は、「新しいものさし」で考えてみると、「お年寄りと子どもたち」といった新たなつながりがうまれるということを具体的に説明されました。「『スローライフ』を単なるライフスタイルのレベルにとどめず、まちづくりへの目標と手法に活かし、地域の活性化の新しい道を見出したい」という野口氏の思いは、女性等これまで地域の政策方針決定過程に参画していなかった様々な者の持つ『新しいものさし』が地域の活性化の新たな展開につながることを示唆しています。

続いて、野口氏の指導のもと、地域活動でどのように実践できるか、「つながりの仕掛け」を身につけようとワークショップを実施。「落ち葉で焚き火」というアイディアから、「子どもがお年寄りから火の扱い方を教わる」という新たなつながりがうまれると、参加者も手応えを感じていました。

ワークショップには、逗子市内のNPO法人も参加。参加者同士が顔見知りになるなど、今後の団体活動における連携も期待される機会となりました。

(逗子市市民協働部生活安全課)

神奈川県逗子市「みんなでつくる共同参画ネットワーク」でワークショップの前の説明風景
神奈川県逗子市
「みんなでつくる共同参画ネットワーク」でワークショップの前の説明風景