「共同参画」2010年 9月号

「共同参画」2010年 9月号

行政施策トピックス 2

湖南広域消防局

協調した現場活動をめざして

互いの意識改革

当消防局の前身である湖南消防組合が昭和45年2月1日に設立されて以来、30年間にわたり、男性オンリーで火災や救急の現場活動を行なってまいりましたが、男女雇用機会均等法の施行等による社会情勢を受け、大都市の消防本部から遅れて、平成12年4月1日に消防局初の女性消防士が誕生しました。

採用後半年間の消防学校教育では男女共に災害現場での活動を想定した訓練を積み重ね、無事に卒業しましたが、消防署に配属後は、住民への防火防災指導業務に就き、当時は女性消防士が現場で活躍すると言った考えはなく、男性消防士からも現場活動の特異性から、女性には困難であるという意識の隔たりがありました。

そこで、目的を同じに、共に歩む道は同じであることへの認識を両者が持つ必要がありました。

女性の勤務環境整備

初の女性消防士採用当時の消防庁舎は、女性専用のトイレや更衣室がなく、来庁者用トイレの一部に簡易間仕切りを設けて対応したり、宿直室に施錠を設け女性用更衣室に改修したりと十分な職場環境ではありませんでした。

このことから、平成13年以降の庁舎建設では、消防署に女性専用エリアを設け、更衣、トイレ、入浴、仮眠などの機能施設が充実し、勤務環境が飛躍的に整い、今では過半数以上の消防署で、女性消防士が夜間勤務に就いています。

男女共同参画意識の芽生え

当消防局には市民の皆様に音楽を通して防火防災の啓発活動を行なう消防音楽隊があり、女性消防士の入隊により、男女隊員の奏でる協調ハーモニーにその啓発効果も高まりました。

また、救急現場における女性患者への対応でも、デリカシーとプライバシーの観点から女性救急救命士の処置が必要であり、男女共同チームによる救急隊運用は、不可欠となってきたことから女性救急救命士の採用も徐々に増加してまいりました。

更には、意見発表会や消防研究会などの分野でも活躍が期待され、平成18年の全国消防職員意見発表会では女性消防士が優秀賞を受賞し、日頃の彼女たちの活動が男性職員の意識変化につながりました。

そして、今年度の男女共同参画週間に開催された滋賀県消防救助技術指導会には女性だけの救助チームを結成して出場し、男性に劣ることのない訓練成果を発揮しました。全国の女性に勇気と希望を与える活躍は、消防の災害現場における特殊業務に共助で取り組むことへの理解の一歩となり、地方の消防本部から生まれた共同参画の序章として、これからも共に歩むきっかけであればと望んでいます。

当消防局では、今後もあらゆる分野で男女が共に尊重し、地域社会の消防ニーズに応えられる共同取り組みを模索してまいります。

  • 危険物施設立入検査
    危険物施設立入検査
  • 救急現場での救命活動
    救急現場での救命活動
  • 救助訓練大会女性救助チーム
    救助訓練大会女性救助チーム

組織概要/湖南広域消防局

●設立:昭和45年2月1日

●消防局:滋賀県栗東市小柿三丁目1番1号

●職員数:304人(内女性10人)

●組織:1消防局 5消防署 3出張所

●管轄:草津市・守山市・栗東市・野洲市