「共同参画」2010年 9月号
行政施策トピックス 1
ドイツにおける男女共同参画について
内閣府男女共同参画局推進課
内閣府では、諸外国における女性の参画に関する調査を行っています。
今回はその中からドイツの取組と最近の女性の参画の状況を紹介します。
政治分野への女性の参画 ~政党によるクオータ制~
ドイツの政治分野の特徴としては、政党が独自に候補者名簿や役職について女性を優遇するクオータ制を導入していることです。連邦レベルで政治分野における女性進出を促進するための選挙制度は導入されていませんが、緑の党がクオータ制を導入した1986年以降、女性議員の割合が増加しています(2010年7月時点、連邦議会女性議員32.8%)。
キリスト教民主/社会同盟と自由民主党の連立政権における閣僚は、連邦首相であるメルケル氏をはじめ、16閣僚のうち6名が女性です(2009年10月28日~)。
行政分野への女性の参画 ~個々の場合を考慮したポジティブ・アクション~
ドイツの連邦公務員のうち公法上に任用の根拠がある官吏に占める女性割合は28.1%です。
ドイツでは連邦平等法によって、女性割合が少ない領域では、職業訓練生の受入や採用や昇進の際に、適性、業績、能力が同じであることを条件に、競争相手の男性の個人的事情が当該女性よりも重大でない場合には女性を優先することができると規定されています。連邦官吏法では職業生活における実際の平等を実現するための女性官吏の地位向上のための措置は成績主義の原則に反しないとされています。
また連邦平等法に基づいて、男女平等実現のための4カ年計画が定められ、100人以上の職員がいる官署には女性職員が選ぶ女性の平等問題担当者を配置することが義務付けられています。
公務部門における女性の参画率は継続的に上昇しており、今後は各省の人事政策において研修や子どものケア、女性の休職後の復帰についての取組が課題となっています。
○キリスト教民主同盟 |
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1988年 党員の女性割合に応じ役職や公職の候補者に女性を指名するガイドライン採択 1994年 党役職と議席の1/3を女性とするクオータ制導入 1996年 党役職選挙で女性割合が1/3に達しなければ選挙をやり直すことを党規約に規定 |
○社会民主党 |
1988年 党役員、女性議員について40%のクオータ制を段階的に進めることを決定 |
○自由民主党 |
自発的な義務として女性の平等を推進 |
○左翼党 |
議員数及び党職員数において女性50%のクオータ制を採用。選挙の候補者名簿は男女交互・奇数順位を女性とする |
○同盟90/緑の党 |
1986年 選挙の候補者名簿は男女交互名簿・奇数順位を女性とすることを規定。党職員も女性が少ない領域では、少なくとも男女同数になるまでは女性を優遇して採用 |
雇用分野への女性の参画 ~女性の活躍推進企業への支援~
ドイツの労働力率は2008年で男性66.1%、女性59.1%です。パートタイム労働者の比率は2009年で男性9.7%に対し、女性は45.3%となっており、時間当りの総収入の男女差は2006年で22%あります。
連邦レベルでは法律によるポジティブ・アクションは導入していませんが、ベルリン州では州政府が締結する契約や補助金支給の際に、女性の地位向上に努力している企業を優遇するなど、一部の州ではポジティブ・アクションを促進する法規定を置いています。
また、企業の自主的な機会均等政策を促進するために、機会均等政策について優れた企業には「トータル・イー・クォリティ」の資格が与えられるなどの取組も進められています。