「共同参画」2010年 8月号

「共同参画」2010年 8月号

行政施策トピックス 2

韓国・オランダにおける男女共同参画について
内閣府男女共同参画局推進課

内閣府では、諸外国における女性の参画に関する調査を行っています。

今回はその中から韓国及びオランダの取組と最近の女性の参画の状況を紹介します。

韓国・政治分野への女性の参画 ~法律によるクオータ制~

韓国の国会議員選挙では地域区と呼ばれる小選挙区と、比例代表を併用する選挙制度を採っています。

このうち、全議席に対する議席数割合は2割弱と少ないものの、政党が得た得票数により当選者が決定される比例代表の部分については、2000年の女性候補者比率30%割当に始まり、現在では女性候補者比率50%まで引き上げられ、違反した場合には名簿を撤回させられるよう法律により決められています。

また、小選挙区部分については、女性公認候補者を30%以上とすることが努力義務化され、30%以上とした政党には補助金が支払われることとなっています。

この結果、2000年の選挙では5.9%であった女性国会議員の割合が、2008年の選挙では13.7%にまで増加しており、我が国の国会議員に占める女性割合13.3%(衆議院・参議院の合計。2010年7月現在)を上回っています。

また、地方議会においても比例代表部分について女性候補者を50%とする割当制が導入されており、1998年にはわずか2.3%であった女性議員割合が2006年には14.5%にまで増加しており、こちらも我が国の昨年末現在の都道府県議会議員8.1%、市区町村議会議員11.1%の女性割合の数値を上回っています。

韓国・雇用分野への女性の参画 ~女性の就業支援~

韓国における女性の年齢階級別経済活動参加率(労働力率)をみると、30代の女性において50%台と低い割合が続いており、M字型のカーブを描いています。そのような中、25歳から54歳の家事・育児などによって経済活動を行っていない女性のうち、就職の意思がある女性は、6割以上となる約260万人に上ると推計されています。

また、女性の仕事に対する意識の変化を1991年と2006年とで比較してみると、「家庭だけに専念」、「結婚前まで仕事をする」が急減し、「家庭と関係なく仕事を続ける」ことを希望する女性の割合が、1991年の16.7%から2006年には45.2%にまで増加しています(図)。

このような中、2008年に妊娠・出産・育児や介護などを理由に離職した女性や、経済活動をしたことはないが就職を希望する女性(「経歴断絶女性」)の経済活動促進を目的とした「経歴断絶女性等の経済活動促進法」が施行されました。同法に基づく基本計画では、2014年までに女性の経済活動参加率60%達成を目指し、再就職支援の取組や、仕事と家庭の両立実現のための企業による取組の支援、経歴断絶解消のための社会的基盤の構築等が位置づけられています。

図 韓国の女性の仕事に対する意識の変化
図 韓国の女性の仕事に対する意識の変化

オランダ・政治分野への女性の参画 ~政党の自主的取組~

オランダの国会議員に占める女性割合は、上院34.7%、下院40.7%(2010年6月時点)となっており、国際的に見ても高い割合となっています。

女性議員比率の増加に向けたオランダの取組の特徴は、国家レベルの選挙制度や法制度によるのではなく、各政党が自主的な取組を行っているという点にあります。

各政党における取組の例としては、(1)一定割合の女性枠を設けるクオータ制、(2)比例代表名簿に男女の候補者氏名を交互に掲載するジッパー制、(3)各政党が議員候補者を勧誘するスカウト制等があります。

オランダの選挙制度は、政党の得票率に応じて議席を配分する比例代表制度に重点を置くことから、政党ごとの取組が女性議員比率の上昇に貢献しているものと考えられます。

オランダ・行政分野への女性の参画 ~民間に比べて低い管理職の女性割合~

オランダの国家公務員に占める女性割合は約30%となっています(2005年時点)。

しかし、国家公務員の管理職に占める女性割合は約18%であり、雇用分野における管理職に占める女性割合44.4%に比べて低い数値となっています。

これは、オランダでは、1957年まで既婚女性が政府等の公共機関で働くことを禁止する法律が存在していたことが影響しているものと考えられています。

現在、行政分野では、意識改革をはじめ女性の積極的な登用に向けた取組がなされています。

オランダ・雇用分野への女性の参画 ~パートタイム労働の保護~

オランダの雇用分野の特徴として、女性就業者に占めるパートタイム労働の割合の高さがあります(2007年現在60%)。

その理由のひとつとして、パートタイム労働に対する手厚い法的保護が挙げられます。

オランダでは、一定の条件を満たす労働者に労働時間の短縮・延長を求める権利を与えるとともに、労働時間を短縮・延長した場合でも時間当たりの賃金は労働時間を変更する以前と同じ水準に維持することが法律で定められています。また、パートタイム労働者とフルタイム労働者を就業時間に比例して平等に扱うことを定めた法律もあります。

様々な法律でパートタイム労働の保護を進めた結果、オランダでは、賃金の高い仕事や管理職の中にもパートタイム労働を行う労働者が見られるようになりました。

しかし、法整備は進んでいるものの、昇進等の面で企業におけるパートタイム労働者に対する差別が完全にはなくなったとは言えず、女性のパートタイム労働者の退職率は依然として高い状況にあります。

オランダ社会に依然として残る「家事・育児は女性の役割」という風潮をなくし、雇用分野における女性の参画を促進するため、パートタイム労働者がより長時間働くことを薦める「パートタイム・プラス」、フルタイム労働者が労働時間を減らすことを勧める「フルタイム・マイナス」、男性のための育児休暇制度の「パパ・デイ」等の施策・制度が近年実施されています。