「共同参画」2010年 7月号

「共同参画」2010年 7月号

行政施策トピックス 2

若年層における交際相手からの暴力の予防啓発教材セットの活用について
内閣府男女共同参画局推進課

本誌2月号「行政トピックス」(以下、2月号)でも紹介しました予防啓発教材、指導者用DVD、指導者用手引(予防啓発教材セット)が完成しました。法務省及び文部科学省とも協力し作成しました。7月中に関係機関等に発送予定です。

より積極的なご活用をお願いするべく、今号では、これらの特長について、具体的にご紹介をします。

予防啓発教材
「人と人とのよりよい関係をつくるために 交際相手とのすてきな関係をつくっていくには」

予防啓発教材(以下、教材)は、表紙裏表紙を含め12ページでカラーのものです(図1参照)。若年層に受け入れられやすくするために工夫しています。2月号でも触れたように、交際経験のない人にも「自分の問題」「身近な問題」と捉えてもらうため、このようなタイトルとしました。導入部分では「人と人とのよりよい関係」について「他の人とよりよい関係を作っていくことは、将来にわたって自分の人生を豊かなものにすることにつながります。」と説明しています。全体を通して、暴力のない関係を築くために大切なこととして、「暴力を認めない」「自分のことを大切にする」「相手のことも大切にする」の3点を強調しています(図2参照)。これらのことは、交際相手との関係だけでなく、自分を取り巻くすべての人との関係においても重要なことです。したがって、教材は、人権の尊重、異性を尊重する態度、男女相互の理解と協力の大切さを学び理解していく上でも活用していただきたいと考えています。

  • 図1 教材の表紙
    図1 教材の表紙
  • 図2 教材の8ページ
    図2 教材の8ページ

指導者用DVD

指導者用DVDは、DVD-VIDEOとDVD-ROMから成ります。

DVD-VIDEOは、教材を用いた効果的な指導の方法について、わかりやすく解説した映像資料です。指導者用手引(以下、手引)で説明しているワークショップ形式での授業風景映像が収められています。授業の進め方や指導者と受講生とのやりとり等を参考にしてください。

また、内容だけでなく形式についても工夫をしています。メニュー画面から、「指導者用」「受講生用」「DVとは?」「アニメ」「受講生インタビュー」を選び、目的に合わせた再生ができます(図3参照)。

「指導者用」は、授業風景の合間に、専門家によるポイントの解説や授業を進める上でのアドバイスがインタビュー形式で収録されています。また、すべての映像コンテンツを視聴できるメニューでもあります。授業風景だけを見たい場合には、「受講生用」を選びますが、指導者自身が授業をするのが難しい場合には、このメニューを選択してそのまま受講生に視聴させることもできます。

「DVとは?」は、交際相手から暴力をふるわれることがどのようなことなのか、専門家が解説している映像です。指導者が理解を深めるためにご活用いただくほか、この部分を受講生に見せることもできます。

「アニメ」は、教材のマンガで紹介している深刻な暴力につながりかねない3つのケースについて、音声を乗せることで、短時間で効果的に理解できるようにしたものです。

「受講生インタビュー」は、本映像を撮影するために協力いただいた現役の大学生・大学院生の、受講後の感想の一部をご紹介したものです。

いずれも、指導者が参考にしていただくことを目的に作成しておりますが、受講生に見せることもできるメニューについては、指導者の判断でご活用ください。

映像部分は、音を聞き取りづらい方のために、字幕を入れています。

DVD-ROMについては、教材の印刷原稿となる電子データ(PDF形式)と授業風景映像で用いていたプレゼンテーション用の電子データ(パワーポイント)を格納しています。教材の印刷原稿は、カラー印刷用とモノクロ印刷用の2種類があります。各所で、必要に応じてご活用ください。

図3 DVDのメニュー画面
図3 DVDメニュー画面

指導者用手引

手引では、教材、指導者用DVDを用いた予防啓発の実践例を紹介しています。全体で80ページほどですが、必ず目を通していただきたい部分は冒頭の15ページ分です。ここには、予防啓発プログラムの目的、交際相手からの暴力についての説明、実施の際の留意点などが書かれています。この授業を受けることで、受講生の中には、自分や自分の身近な友人が交際相手からの暴力を受けていることに気づく者もいると考えられます。指導者にそのことを打ち明けてくる場合もあるかもしれません。指導者ではなく、友人に打ち明ける場合も考えられます。いずれの場合も、まずは、十分にその生徒・学生の話に耳を傾ける必要があります。しかし、打ち明けられた指導者や友人がひとりで解決することは難しい場合がほとんどですから、適切な相談機関等へ相談することを勧めるなどして、ひとりで抱えこまないこと、組織として対応していくことが重要なこと、指導者は、身近な相談窓口を事前に調べておき、情報提供をすることが求められることなども解説しています。

16ページ以降については、講義形式とワークショップ形式を組み合わせた場合の展開案や教材のページごとの内容に対応した進め方を解説しています。また、ワークショップ形式で実施する際に、すぐに使える教材に対応したワークシートが収められています。これらも指導者の判断で適宜ご活用ください。

予防啓発教材セットの配布と指導者研修

予防啓発教材セットは、前述しましたように、7月中に発送し、若年層に対して、啓発・教育機会の多い立場にある方々にまずはお知らせし、指導者となる方々が、高等学校や大学等で生徒・学生を対象とした予防啓発を行うため配布用教材を必要とされる場合には、御希望部数を集約した上で増刷し発送する予定です。

(発送は終了しました。教材のダウンロードはこちら、DVDの貸し出しはこちら

さらに、今年度は、教材を用いた効果的な指導の方法について、生徒・学生に対して啓発・教育機会を持つ教育機関等の教職員や男女共同参画センターなど関係機関等の職員を対象とした指導者研修を全国数カ所で10月以降に実施します。

交際相手からの暴力に関して、若年層への予防啓発を行うことの重要性が十分に認識され、これら教材セットが各地で積極的に活用され、一人でも多くの若年層に暴力のない人間関係について考える機会が提供されることを願っています。

教材については、7月中に男女共同参画局のサイトからダウンロードできるようになりますので、ぜひご活用ください。

男女共同参画局のサイト

http://www.gender.go.jp/