「共同参画」2010年 3月号

「共同参画」2010年 3月号

大臣メッセージ

内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
福島 みずほ

国際女性の日、おめでとうございます。

3月8日は、「国際女性の日」であり、国連をはじめ、世界各国でこの日を祝う行事が行われています。本年は、1975年に国連が「国際女性の日」と定めてから35年、そして、1910年に提唱されてから100年という節目の年を迎えます。

この100年の間、我が国で、そして世界で、社会のあらゆる分野で、女性の地位は大きく向上しました。国連婦人の地位委員会の設置(1946年)、そして、1975年を国際婦人年とし、メキシコで第1回世界女性会議が開催されたことを契機として、世界各国で取組が急速に進みました。1979年には、「世界女性の憲法」とも言われる女性差別撤廃条約が採択され、1995年の北京行動綱領策定など、男女平等を進める国際的な規範が確立されてきました。

こうした国際的な動きに合わせ、我が国においても、男女平等と女性の地位向上に向けた取組が進められてきました。

1945年に女性の参政権が認められ、1947年に施行された日本国憲法において、法の下の平等(第14条)や家庭生活における個人の尊厳と両性の本質的平等(第24条)が定められたことにより、戦後の男女平等の取組の礎が築かれました。また、これに合わせ、家制度の廃止、妻を行為無能力者とする規定の削除など、民法が大規模に改正されました。

その後、男女雇用機会均等法の成立(1985年)、女性差別撤廃条約の批准(1985年)、男女共同参画社会基本法の成立(1999年)など、女性の経済的・社会的な地位の向上にとって欠くことのできない法律が整備されるとともに、国、地方、地域などにおいて男女共同参画への取組が進められています。女性の進出も様々な分野に広がり進み、女性議長、女性知事、女性最高裁判事、女性宇宙飛行士の誕生など、女性の活躍が注目されてきました。

一方で、我が国においては、固定的性別役割分担意識の解消、意思決定過程における女性の登用、女性の労働条件、女性の貧困、女性に対する暴力など、まだまだ取り組むべき課題が多く残されており、男女共同参画社会の実現は道半ばです。

現在、第3次男女共同参画基本計画を本年中に策定するべく、検討を行っておりますが、なぜ今まで男女共同参画が進まなかったのかについて検証し、実効性のある計画を策定します。

「国際女性の日」100周年に当たり、今後も、より一層女性の人権が尊重され、性差別のない社会を目指して、全力で取り組んでいくことをお誓い申し上げます。

皆さん、一緒に頑張りましょう。

巻頭言 共同参画に寄せて

農山漁村では、極めて具体的な手法に基づいて、男女共同参画に関する取り組みを推進している。家族経営協定の普及はもとより、女性が自分名義の口座を確保しつつ農産物直売や加工の事業を展開している。さらに、農協理事への女性の登用をめぐっては、その前提として女性の総代や正組合員数を増やすことが重要となっている。

これらは一見すると、農山漁村における固有の取り組みではないかと認識される可能性がある。しかし、男女共同参画社会の実現を目指す課題を、自営業者一般の視点や地域社会の現場の視点から検証する時に、農山漁村分野が発信してきた様々な手法が、重要な示唆を与える場面もあり、そこには相互に類似の問題が多分に存在する。

例えば、市区町村議会議員の女性の割合は全国で1割程度と低く、女性割合の向上を図るためには、その立候補者の絞り込みについて、事実上の影響力を持ってきた集落や地区の自治会組織からの改革が必要である。この点は、女性の農業委員や農協理事等を増やす活動を進める場合と、ほぼ同質の課題を乗り越えなければならない。

そこで、男女共同参画社会の形成に向けて、農林漁業者と町の商工業者といった異業種間の連携、地域のコミュニティの場となっている多様な組織間の連携など、幅広い人々の力強い相互の連携強化を呼びかけたい。

東京農業大学 准教授 五條 満義
東京農業大学准教授
五條 満義