「共同参画」2010年 2月号

「共同参画」2010年 2月号

取組事例ファイル/企業編

伊藤忠商事株式会社  人材多様化に向けて~「数の拡大・制度整備」から「定着・活躍支援」へ~

当社では、社内外の環境変化に対応し、新規事業の開拓・海外展開を加速するため、性別・国籍・年齢を問わず多様な人材の確保・育成を積極的に推進しています。2003年12月に策定した「人材多様化推進計画」(2008年度末まで)では、女性や外国人等の多様な人材の「数の拡大」や育児・介護支援等に関する「制度整備」を実施しました。その結果、例えば女性総合職の数については、表(1)(2)のとおり着実に増加しています。

さらに、次の段階として、2009年4月には「人材多様化推進計画2013(日本)」(2013年度末まで)を策定し、多様な人材の「定着・活躍支援」に主眼を置いた施策を積極的に推進しています。

1月に社員用託児所「I-Kids」を開設

地方自治体等における「待機児童問題」が深刻化する中、育児休業からの計画的な復職が難しくなっていること等による女性社員のキャリア継続への阻害要因を少しでも緩和し、社員の働き続ける意欲を支援することを目的に、2010年1月、東京本社近隣に「社員用託児所 I-Kids(アイキッズ)」を開設しました。

女性社員のキャリア形成のサポート

女性社員の定着・活躍支援に向けて、女性社員が自身の当社における将来像を描くことを支援するため、以下の取組を行っています。

(1) 2004年度に開始したメンタープログラムを拡大し、2010年9月に『外苑前フォーラム』を開始しました。育児と仕事の両立や海外駐在など、先輩女性社員の体験を車座形式で若手社員が共有できる場を提供し、ロールモデルを提示しています。

(2) 若手社員対象の集合研修の際に、人事部員による個別のキャリア面談を実施するなど、社員一人ひとりのキャリア形成を支援する取組を拡充しています。

メリハリのある働き方の実現に向けた取組

多様な人材が長期に亘り活躍するためのメリハリのある働き方を実現するため、2009年度より、「夏季休暇不取得申請制度」を導入しました。これは、6月~10月に休暇を5日以上取得できない場合に、その理由と共に人事部に申請する制度です。本制度により、85%以上の社員が5日以上の休暇を取得し、休暇取得日数は、全社平均で1.2日増加しました。

また、2009年度に、全国内勤務者を対象とし、適正な時間管理に関するe-learningを実施しました。これにより、長時間勤務防止や健康管理強化等を促進しています。

人事部内に「人材多様化推進室」を設置

上記のとおり、ますます人材多様化が会社として重要となってきたことを受け、人事部全体の役割分担を見直し、これまで分散していた多様な人材の定着・活躍支援に関する業務を一つの部署に纏め、より効果的な施策の立案・実行を目指していくことを目的に2009年10月に「人材多様化推進室」を設置しました。

  • 表1
  • 表2
  • 【I-Kids 施設概要】

伊藤忠商事株式会社は、1858年の創業以来、150年以上にも亘り事業を拡大し、現在は世界75ケ国に150以上の拠点を持ち、連結従業員数58,186人(09年9月末)の大手総合商社として、繊維、機械、情報通信・航空電子、金属・エネルギー、生活資材・化学品、食料、金融・不動産・保険・物流の各分野において国内、輸出入及び三国間取引を行うほか、国内外における事業投資など、幅広いビジネスを展開しています。