「共同参画」2010年 2月号

「共同参画」2010年 2月号

連載 その2

仕事と生活の調和推進だより(16)
内閣府仕事と生活の調和推進室

韓国・シンガポール・日本の少子化社会対策比較

内閣府では、少子化施策の参考とするために、「結婚」、「出産」、「育児」、「社会的支援」、「生活」等に関する意識及び実態に関する事項について、韓国、シンガポール、日本の3カ国の比較調査を実施しました。(※)

両立支援の観点から見たアジア3カ国におけるワーク・ライフ・バランスの意識は、どのようなものなのでしょうか。

●3カ国の両立支援制度

・産前後休業

出産休暇期間は、日本、韓国、シンガポールでそれぞれ14週、90日、16週となっており、また、韓国、シンガポールは有給ですが、日本では、健康保険からの出産手当金の支給となっています。

・育児休業

3カ国とも制度があり、シンガポールは年間6日間(対象期間は7年間)と、日本(子が1歳に達するまでの間)、韓国(子どもが3歳未満までに最大1年間)に比べて短い期間となっています。

●子育て参加に対する意識の比較

3カ国の育児における夫・妻の役割について聞いたところ(図)、日本では、「主に妻が行う」(「もっぱら妻が行う」+「主に妻が行うが、夫も手伝う」)が63.8%と高く、「妻も夫も同じように行う(35.4%)」を大きく上回っています。

比較すると、韓国では、日本同様「主に妻が行う」が70.1%と高く、特に「もっぱら妻が行う」は9.7%と3カカ国中で最も高くなっています。これに対し、シンガポールでは、「妻も夫も同じように行う」が77.9%と最も高く、「主に妻が行う」が21.6%で3カ国中特に低くなっています。一方、「主に夫が行うが、妻も手伝う」と「もっぱら夫が行う」の回答は3カ国ともほとんど見られません。

3カ国では、子育てに参加する意識については大きな違いがあるようです。

●女性の継続就業の考え方は

育児と仕事との関係で、考えられる女性の理想の生き方についても聞きました。

その結果、日本、韓国では「出産するが、子どもの成長に応じて働き方を変えていく」がトップで、「出産を機にいったん退職するが、子どもの手が離れたら働く」と続くのに対し、シンガポールでは「出産するが、子どもの成長に関係なく働き続ける」が最も高く、継続就業の意識が高い結果となりました。

* * * * *

政府として、少子化に歯止めをかけるスタンスを明確にして大胆な施策を打ち出している韓国とシンガポール。日本と社会文化環境が似ていることからも、我が国でも参考になる施策が多いものと考えられます。

男女共同参画、少子化対策、ワーク・ライフ・バランス、密接に関わるこの3つを三位一体として、取組推進の動きを加速してまいります。

1)調査対象国

日本、韓国、シンガポールの3カ国

2)調査対象者

20歳から49歳までの男女

3)調査時期

平成21年(2009年)2月~3月

4)調査方法

各国とも1,000サンプル回収を原則とし、調査員による個別面接調査

https://www8.cao.go.jp/shoushi/cyousa/cyousa20/hikaku/mokuji-pdf.html

(図)アンケート調査「子どもの育児における夫・妻の役割について」