「共同参画」2009年 3月号
連載/その3 DVに対する取組事例8
北海道における配偶者暴力被害者自立支援サポーター養成支援事業について 内閣府男女共同参画局推進課
北海道では、各地で民間シェルターがDV被害者の相談・保護や自立支援の活動を行っており、一時保護委託の受託者にもなっています。近年、配偶者からの暴力の複合化や被害の深刻化が見られ、また、自立支援策が多様化していることから、シェルターでの保護の期間が長期化する傾向にあります。これに伴い、被害者の同行支援や同伴する子どもの世話などを行うスタッフが必要となっていますが、人手不足の状況が続いており、その確保が大きな課題となっています。
このため、民間団体と行政が話し合う中で、一時保護した被害者の自立促進を図るためのサポーターを養成しようということになり、平成19年度から、民間シェルターと地元市町村や関係機関・団体が連携して、サポーターを養成するためのシステムづくりをしています。
サポーター養成のシステム
サポーターの養成は、人材の掘り起こしから始まります。地域の中でDV被害者の自立支援に関心のある人たちを掘り起こします。
掘り起こした住民を対象に、自立支援活動に必要な基礎的知識を習得してもらうための講習会を開催します。講習会は3日間の日程で行われ、配偶者暴力防止法の概要や被害者・加害者の心理、安全の確保、保護命令、離婚・親権の問題、自立支援策、福祉援護策、住宅や就労の確保、実践例やサポーターの役割などからカリキュラムが組まれます。講師は、行政関係者やシェルタースタッフのほか、弁護士や研究者など法律の専門家、精神科医や心理士などの医療関係者、研究者などにもお願いしています。
講習を受講した人たちは、意向を確認した上で民間シェルターにサポーターとして登録され、DV被害者の同行支援をするなど、その自立をサポートします。
関係者の連携と役割
こうしたサポーターの養成は、民間シェルターのある8か所の地域ごとに、行政や民間などの関係機関が連携して、その地域の実情に応じた形で行っています。
人材の掘り起こしに当たっては、民間シェルターだけでは、声をかけられる住民も限られ、また、アプローチの方法がわからないということがあります。このため、道(支庁)や地元市町村、関係機関といった行政のネットワークも活用して、民生委員や児童委員、人権擁護委員、福祉・医療関係者、大学等の学生など、地域の中で関心のありそうな幅広い住民にさまざまな形で呼びかけをしています。
講習会の企画立案・実施に当たっては、経験やノウハウを持っている道(支庁)が中心となり、具体的な研修内容の作成や講師の選定・依頼、会場の手配、講習当日の運営などの事務を行っています。
サポーターとなった人たちについては、民間シェルターが、実際の現場におけるケーススタディとともにメンタル面でのケアやボランティア保険等の加入などを行い、シェルターの一員としての定着化を図っています。
この事業を通じ、19年度は42名のサポーターが登録され、各地の民間シェルターで活動しています。今後は、人材の掘り起こしや講習会の企画立案・実施などのノウハウを行政から受け継いだ民間シェルターが中心となって、関係機関等との連携の下に必要な人材を養成するためのシステムを構築していきます。
サポーター養成の講習会の様子