「共同参画」2008年 12月号

「共同参画」2008年 12月号

取組事例ファイル/自治体編

北九州市  【「女性活躍推進アクションプラン」策定】

~女性職員を育て、いきいきと活躍できる職場づくりを実現する~

北九州市では、市の女性職員のためのポジティブアクションとして、本年8月に「女性活躍推進アクションプラン」を策定しました。

アクションプランでは、1.政策決定の場における活躍の推進、2.男女間の育成格差の是正、3.女性が能力を発揮しやすい職場風土づくりの3点を重点とし、女性の登用に関するものを含めて11の数値目標を掲げ、その達成手段として24の具体的なアクションに取組むこととしました。

背景には、本市では、全職員の約32%が女性にもかかわらず、課長級以上の女性の割合は6.2%、係長級以上では12.1%で、いずれも17政令指定都市の中で最低レベルであり、また、過去10年間の変化は微増にとどまっている現状があります。そのため、アクションプラン策定に際しては、計画の実効性を高めるための戦略が必要でした。

第1はトップのリーダーシップの発揮です。組織のトップである市長が「現状を変える」と議会やマスコミに公言することによって、従来とは一線を画した本気の取組であることを内外に印象付けることができました。

第2に、推進体制づくりです。市長をはじめ、所管の副市長、局長及び総務課長等総勢21名から成る「女性活躍推進!本部」を立ち上げ、全庁的な推進体制を整備したほか、事務局として、組織・人事管理の権限を持つ人事部内に女性活躍の担当課及び専従ラインを新設しました。さらに、現場の視点や当事者の声を反映させるため、男女職員から成るワーキンググループを設置し、職員アンケート等による現状分析等を行った上で具体的施策を検討しました。

第3に、事実をデータで示すことです。現状認識や課題集約の過程で議論となる項目について、統計資料や職員アンケートの結果等で客観的に現状把握し、データで見せることで納得を得る努力をしました。

第4に、現状の公正さについて繰返し問いかけることです。人材育成や登用に関する仕組みが制度上だけでなく実質的に男女で機会均等か、職員配置や業務担当に暗黙のルールがないか、昇任試験は子育て中の女性に著しく不利な状況を強いていないかなど、繰返し問いかけ、現状と課題に対する共通認識を形成しました。

第5に、外部から見えるところで作業を進めることです。議論の過程や資料をできるだけ公開することにより、職員だけでなくマスコミ等を通して一般の関心も高まり、前向きな議論を推進する効果があります。

最後に、検証可能で風化しない仕組みづくりです。一つは、女性職員の活躍推進を課長級以上の勤務評定等への視点に追加し、この取組を上司の仕事としました。もう一つは、毎年、進捗状況の測定・評価を実施し、必要に応じて見直すことをアクションプランの施策として明記しました。

本市の現状からは、一足飛びに華々しい結果を出すことは困難です。しかし、このアクションプランに掲げた施策に着実に取組むことによって、確実に現状を変え、性別にかかわらず全ての職員がいきいきと活躍できる組織の実現を目指していきます。(人事部人材育成・女性活躍推進課)

  • 女性活躍推進アクションプラン、アンケート報告書
    女性活躍推進アクションプラン、アンケート報告書
  • 女性活躍推進本部会議の様子
    女性活躍推進本部会議の様子

北九州市の概要/北九州市は、本州と関門海峡を挟んで九州の入り口に位置する人口約98万の政令指定都市です。1901年創業の八幡製鉄所など重工業の街として発展した歴史を持つ反面、公害に悩まされてきましたが、近年は、公害克服や環境改善の取組・技術を活かした「世界の環境首都」を目指しており、今年7月には国から環境モデル都市の認定を受けています。