「共同参画」2008年 10月号

「共同参画」2008年 10月号

連載/その3  DVに対する取組事例4

フィリップモリスジャパンのDV被害者への支援 内閣府男女共同参画局推進課

フィリップモリスインターナショナルは160か国以上で事業を行う国際的なたばこ会社です。企業としての社会貢献活動として、地域社会における重要な問題の解決を目指し、さまざまな活動を展開しています。日本における子会社であるフィリップモリスジャパン(株)(以下「PMJ」)は、家庭という誰もが安心して過ごすことができるはずの場所で暴力の脅威にさらされるDVや児童虐待について、啓発活動や被害者への自立支援に取り組んでいます。

NPO法人など組織・団体への支援

PMJでは、DV問題に取り組むNPO法人などの団体・組織への支援と協働によりDV被害者への支援を行っています。

民間シェルターの全国的なネットワーク団体が毎年開催する「全国シェルターシンポジウム」の開催を、平成15年から継続的に支援しています。

また、全国各地の民間DV電話相談機関が共同で被害者の相談を行う、通話無料のDV電話相談である「全国共通DVホットライン」事業について、平成16年のホットライン開設当初より助成を行っています。

さらに、支援者の人材育成の一環として、被害者支援団体の実施による、被害者支援の先進地であるアメリカでの研修事業を支援しています。

DV被害者の自立支援

こうした団体・組織への支援に加え、被害者に、より直接的な支援を提供することができないかと考え、どういうことが可能か支援団体のスタッフと協議する中で、多くの被害者が、シェルターを退所して自立する際のアパートの賃借費用や子どもの養育費用などが重い負担となっていることがわかりました。そこで、被害者の自立支援のための基金(DV被害当事者サポートPMJ基金)を設立することになり、PMJは、基金設立の原資を拠出しました。

この基金は、前述の民間シェルターの全国的なネットワーク団体が運営し、当面の生活費用や転宅費など、被害者の生活再建に必要な資金を無利子で融資するものです。本年1月の融資開始からこれまで、18件の融資実績がありました。融資とし、少しずつでも返済していくことが、被害者自身の自立を促すことになればと考えています。

基金では、他の企業や団体、個人の方々からの寄付を受け付けており、PMJも、寄付を通じて支援の輪が広がっていくことを願っています。

DV問題への理解の深まり

DV問題への取り組みは、1990年代初頭に米国で、当時の会長がDV問題の活動家であった女性の死亡記事を読み、大きな衝撃を受けたことに始まっています。その後、グローバルにDV被害者支援に取り組んできた背景があり、男性社員が多いPMJ社内でもDV被害者支援への理解があります。2年前に社員を対象に「どのような社会貢献活動をすべきか」をアンケート調査したところ、「女性と子どもへの支援」が上位にあげられました。

今後は、DVの予防やいわゆる「デートDV」への対策に力を入れていくほか、若い人たちがこれら問題に取り組むよう支援者の育成をサポートしたいと考えています。

  • DV根絶国際フォーラムでは、社員もボランティアとして参加

    DV根絶国際フォーラムでは、社員もボランティアとして参加

    全国共通DVホットライン
    0120-956-080
    (月~土 10:00~15:00)

  • DV当事者サポートPMJ基金
    DV当事者サポートPMJ基金
    振込専用口座 ゆうちょ銀行
    [00190-1-594171]
    (特非)全国女性シェルターネット