「共同参画」2008年 8月号

「共同参画」2008年 8月号

連載/その3  DVに対する取組事例2

ザ・ボディショップのDV根絶キャンペーン 内閣府男女共同参画局推進課

ザ・ボディショップは、英国に本社を置き、日本を含む世界58か国で店舗を展開している化粧品専門店です。

「恋人や夫からの暴力は、女性にとって、自分自身を尊重する感覚を、最も否定される状態である。」との考え方に立って、世界的にドメスティック・バイオレンスの根絶に取り組んでいます。我が国のザ・ボディショップでは、平成18年から、毎年、DV根絶キャンペーンが展開されています。

[顔の見える社会貢献を目指して]

 ザ・ボディショップの社会貢献活動は、社会の中で目を向けられていない問題にスポットを当て、顧客に正しい知識を提供し、関心を持ってもらうことと、顧客による募金及び寄付商品の購入を通じて寄付金を集め、市民団体に寄付する、という、二つのアプローチを柱としています。

DV根絶キャンペーンにおいても、期間中に来店した顧客に対して、スタッフが直接、DV根絶を訴えるリーフレットを渡し、この問題への認識を深めてもらうとともに、寄付商品を販売して得られた寄付金によって、民間の被害者支援団体へのサポートが行われています。

キャンペーンの実施に際しては、顧客にどのように呼びかけるのか、各店舗のスタッフに対する集合研修が実施されています。女性と親しくコミュニケーションをとりやすいという、化粧品専門店としての特色を生かした、顔の見える支援を目指しています。

[キャンペーンの歩み]

 毎年のDV根絶キャンペーンのテーマやキーワードが変わっても、当初から変わらないのは、被害者支援に取り組む民間団体への支援です。DV被害者とその子どもが、安全な環境の中で楽しい思い出をつくる場として、民間シェルターが実施する親子合宿を、寄付金により支援しています。同時に、社員もボランティアとして合宿に参加してきました。

昨年は、DV問題について声をあげ、暴力のない社会を目指そうと、唇のマークをシンボルにしたキャンペーンが展開されました。また、DV根絶国際女性フォーラムの運営を、キャンペーンを通じて集まった寄付金の寄付と、社員によるボランティアの両面で支援しました。

今年のDV根絶キャンペーンは、8月に実施され、相談相手としての友人に着目し、「だまってないで、話してみよう」がテーマとなっています。

我が国では、企業による社会貢献のテーマとしてDV問題に取り組む例そのものがあまりない中で、あえてそれを取り上げ、なおかつ、店頭で直接顧客に伝えていこうとする方針については、当初、関係者の間で様々な意見があったとのことです。その後、キャンペーンの回数を重ね、幹部も含めて、ボランティアなど様々な形でキャンペーンの現場に参加する社員が増える中で、同社における社会貢献活動の新たなテーマとして根付いてきました。

[地域に根ざした活動の広がり]

全国の店舗において統一的に行われるキャンペーンに加え、地域の女性センターと協力してDV啓発イベントを開催する店舗も出てきています。また、被害者に相談先を周知するためのカードを店頭に置くといった形で、地元地方公共団体の広報啓発活動に協力する店舗もあり、それぞれの地域に根ざした特色ある活動の輪が広がっています。

ザ・ボディショップが展開するDV根絶キャンペーンのシンボル。暴力という秘密のない家でおだやかに希望を持ってすごせることをイメージした、青空に浮かぶデイジー。
ザ・ボディショップが展開するDV根絶キャンペーンのシンボル。暴力という秘密のない家でおだやかに希望を持ってすごせることをイメージした、青空に浮かぶデイジー。