「共同参画」2008年 7月号

「共同参画」2008年 7月号

巻頭言

男女共同参画会議の民間議員になってから一年半が過ぎた。この分野に対しては当然、以前から関心は持っていたが、一つの領域として系統的に学んだわけではなかったので、全体像をある程度きちんと把握するまでには、いささかの時間を要した。さまざまな会議や書類、ヒアリングなどを通して、ようやく色々なことが見えてきたところである。

そんな私がいま感じているのは、男女共同参画というものに対して、意識が高く高度な部分まで学んでいる人と、頑なに耳を塞いでいる人と、ほとんど関心を寄せずにいる人との三分化現象である。推進、反対、無関心という三分化は、どのような問題にも存在することだと思うが、この男女共同参画の問題に関して言えば、反対でもないが取り立てて興味も抱かない、という人たちが、他の問題に比べてかなり多いように思う。

これはある意味で広報のあり方の問題だと思う。いや、広報は十分にしていると感じているかもしれない。しかし広報の以前に実は、広聴が必要なのである。男女共同参画の何がわからないか、何が疑問か、何が不快か、丁寧な広聴をしてゆくと、思いがけない誤解や説明の行き届かなさ、認知度別の解説の必要性などが見えてくる。これは私がエネルギー関係の広報に携わって実感したことである。男女共同参画も、一歩前進する時期にさしかかっている。そしてそのためには、もう一度、あらためて丁寧な広聴をこころみる必要があるのではないだろうか。

作家 神津カンナ
作家
神津カンナ

主な予定

8月2日 男女共同参画宣言都市奨励事業(静岡県島田市)