「共同参画」2008年 6月号

「共同参画」2008年 6月号

取組事例ファイル/その2 地域編

静岡市女性会館 アイセル21

カレッジの修了生が女性会館を運営

静岡市女性会館は平成4年に開館し、生涯学習センターとの複合施設「アイセル21」として市民に親しまれています。平成19年度から民営化されましたが、指定管理者として会館を運営することになったのは、女性会館の人材育成講座「アイセル女性カレッジ」の修了生たちでした。既存の団体ではなく、女性会館を利用する側であった修了生が自主的に活動グループをつくり、「特定非営利活動法人 男女共同参画フォーラムしずおか」としてサービスを提供する側になったことが、静岡市女性会館の特徴です。彼女たちが女性会館の民営化に懐疑的だったときには、「当事者が担う」、「力は責任を担ってはじめてついてくる」という言葉に共感し、勇気づけられたということです。さまざまな課題を抱えていた当事者がサービスの提供者となったことで、地域のニーズをより的確に捉え、一人ひとりに寄り添ったきめ細かな事業を展開することが可能になりました。

そのことは、「男女共同参画フォーラムしずおか」による運営がスタートした昨年度以来、定員割れになった講座が一つもなく、受講者へのアンケート調査でも高い評価を得ていることに表れています。静岡市女性会館の講座には、女性のキャリア支援、多様な生き方、暮らし・健康、子育て等に関する主催講座のほか、市民団体・グループから企画を募集する協働講座があります。また、パイロット事業として、市民団体等から講座の企画やチラシづくりの相談を受けたり、採用されれば実際に講座を担当することになる「講師オーディション」などを実施しており、市民団体等との顔の見える関係づくりや地元講師の発掘に役立っています。

長期的な視野に立った人材育成としては、上記の「アイセル女性カレッジ」があり、その修了生は、議員や審議会等の委員となったり、子育て支援グループや障害児支援施設を設立するなど地域でさまざまな活動を実践しつつ、ネットワークをつくっています。

また、地域の企業・団体、NPO、大学、産学交流センター等との連携・協働をはじめ、盛岡、東京都大田区、名古屋、広島のNPOと協働したフォーラムの開催など広域的な協働も進めており、その連携・協働を通じてNPOとしても力をつけ、それを女性会館の運営に反映させています。

今後の女性会館の展望は、質の高い事業や実験的な新しい事業を展開することによって、女性会館を学習型・通過型から、事業型・協働型・発信型の拠点にすること。目標は、「何か困ったことがあった時、女性たちにまっ先に思い出してもらえる存在になること」です。

静岡市女性会館
静岡市葵区東深草町3番18号
ホームページ http://www.aicel21.jp/

左から、講座はいつも「満員御礼」、講座「メンズクッキング」、アイセル女性カレッジのグループワークと卒業式
左から、講座はいつも「満員御礼」、講座「メンズクッキング」、アイセル女性カレッジのグループワークと卒業式