「共同参画」2008年 6月号

「共同参画」2008年 6月号

行政施策トピックス/国の施策紹介 TOPICS Part2

名古屋市における配偶者暴力相談支援センター設置と機関連携 内閣府男女共同参画局推進課

名古屋市では、平成11年に「女性に対する暴力」調査を実施しました。これは、女性の被害状況に加え、男性の加害状況の把握を試みた全国初の調査です。この調査を契機として、「男女平等参画推進なごや条例」におけるDV禁止の明記など、配偶者からの暴力に関する施策が市の重要施策として位置づけられ、平成18年には、市内各区の社会福祉事務所に女性福祉相談員(婦人相談員)が配置されました。この相談員の配置後、DVの相談件数は年間600件以上と配置前に比べて倍増しており、相談窓口の明確化が相談件数の増加につながったと考えられます。

そして、平成19年7月に配偶者暴力相談支援センター(以下「支援センター」)が業務を開始しました(支援センターの場所は非公開となっています)。

支援センターの業務

名古屋市では、配偶者からの暴力に関する相談は、基本的に女性福祉相談員が配置されている区役所で対応することとしており、支援センターは、第一次の相談窓口である区役所と連携して、被害者支援の総合調整機能を担うとともに、新たに次の事業を始めました。

区役所でDV相談を行っていない土・日及び祝日は、民間団体への委託により、DV相談のホットラインを開設して電話相談を行っています。また、緊急時における安全の確保として、保護が必要な被害者をただちに県の一時保護につなげることができない場合に、原則1泊の宿泊場所を提供する緊急宿泊事業を実施し、被害者の安全確保の観点から、区役所からの依頼に応じ、迅速に対応しています。さらに、被害者の自立支援のため、中期滞在支援事業を実施しています。これは、一時保護の後、滞在できる場所を確保し(滞在期間は、原則2か月間、最長6か月間)、利用できるようにして、生活の安定と自立支援の足がかりに役立てようとするもので、滞在中は生活資金の一部を支給します。

また、DV相談において法律的な対応が求められる場合などには、愛知県弁護士会と委託契約を結び、女性福祉相談員が随時担当の弁護士に電話等で照会できる体制を整えています。

関係部署の連携強化

DV相談においては、相談先の心ない対応で被害者が傷ついたり、被害等について繰り返し説明を求められ被害者の負担が大きくなる場合のあることが指摘されています。このため、関係部署の連携において、各部署がDVとどのように関わるかを認識して対応できるよう、「庁内連携会議」と「庁外連絡会議」を設けています。これらの庁内外の関係機関の連携を図り、こうした二次的被害の防止と被害者の安全確保のため、「DV相談共通シート」を導入しています。これは、被害者に関する基本的な情報や相談内容、支援に当たっての留意点などを様式化したもので、シートについて被害者に説明し、了解を得た場合に作成し、相談を受けた部署から、連携が必要な関係機関・部署への連絡に使用するなど、連携先での相談・支援の円滑化を図ることとしています。

さらに、名古屋市は「つながれっとNAGOYA(名古屋市男女平等参画推進センター)」において、相談や施設の特色を生かした被害者支援を行っています。