「共同参画」2008年 4・5月号

「共同参画」2008年 4・5月号

行政施策トピックス/国の施策紹介 TOPICS Part1

「女性の参画加速プログラム」の策定について 内閣府男女共同参画局推進課

トピックスでは、行政の施策の最近の動向について紹介していきます。

政策・方針決定過程への女性の参画の拡大については、政府において、「2020年までに、あらゆる分野で指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度」との目標を男女共同参画基本計画(第2次)に明記し取組を進めてきました。しかし、その進捗は十分ではなく、本年3月4日に開催された男女共同参画会議においても、同基本計画のフォローアップについて、女性の参画に関する戦略的な取組を行うべきことが指摘されました。

それを受け、4月8日、総理を本部長とする男女共同参画推進本部において、「女性の参画加速プログラム」が策定されました。このプログラムは平成22年度末までの3年間を対象としています。詳細については次号で取り上げる予定ですが、プログラムの概要は以下のとおりです。

施策の基本的方向

様々な分野の女性割合を直接高めることのみに重点を置くのではなく、その背景にある課題を総合的に解決していくことが重要であるため、以下の3つの取組を一体的に進めることが不可欠です。

  1. 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現
    育児、介護等と両立し、継続して働き続けることのできる環境を整備するため、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現が必要です。
  2. 女性の能力開発・能力発揮に対する支援の充実
    女性の参画を妨げる様々な要因を解消し、女性がその能力を十分に発揮できる環境を整備するため、積極的改善措置の推進や再就職支援等様々な支援が必要です。
  3. 意識の改革
    各界トップ層や組織の管理職、あるいは女性自身が、女性の参画についての社会的な意義を認識して、精力的な取組を進めることが必要です。

具体的な取組内容

平成22年までの具体的な取組として第一に、あらゆる分野について女性の参画を加速するための基盤整備の充実、第二に、活躍が期待されながら女性の参画が進んでいない分野の重点的な取組を進めます。

  1. 女性の参画促進のための基盤整備
     あらゆる分野における各界トップ層等への戦略的な働きかけとして、男女共同参画担当大臣等が中心となり、各分野のトップ層等との懇談などにより、女性の参画促進の必要性や取組の方策等についての意識の共有を図るとともに、それぞれの分野について女性の参画を妨げる課題の抽出を行います。
    また、地域や様々な分野におけるネットワークの形成支援や、まちづくり、環境、防災・防犯等、身近な地域の課題を解決するような実践的活動を通じた女性のエンパワーメントを推進するとともに、表彰制度の充実等による女性の活躍を支援する取組への効果的な評価や、好事例の提供などに努めます。
    その他にも、女性の参画に関する基礎的なデータや実態が必ずしも明らかになっていないことから、現状把握や取組に対するきめ細やかなフォローアップを行うこととしています。
  2. 活躍が期待されながら女性の参画が進んでいない分野についての重点的取組
     社会の中で活躍が期待されていながら、女性の参画が進んでいない分野であり、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進が特に困難な分野に重点的に取り組み、得られた成果を他分野へ波及させます。
    1. 医師
      女性医師割合は17.2%(平成18年)、医師国家試験合格者に占める女性割合は33.4%(平成19年)となっていますが、慢性的な長時間労働、不規則な勤務形態により、仕事と生活を両立しにくい環境にあり、継続的な就業が困難な状況にあります。このような状況のままでは、医師不足の深刻化にもつながります。
      具体的取組としては、正規雇用短時間勤務医制度の普及等による勤務体制の見直し、病院内保育所や事業所内託児施設の充実による継続的な就業の支援、女性医師バンクの体制強化等による離職後の復帰支援などを行います。
      また同時に、女性医師の勤務形態、退職等の状況についての全国的な調査・分析や、看護師、助産師等を含めた医療専門職全体に対する総合的な支援も推進します。
    2. 研究者
      先進国の中で最も女性比率が低くなっており(12.4%、平成19年度)、出産・育児、介護等との両立が難しく、キャリア形成の支障となったり、研究現場を離れざるを得ないことが多く、いったん研究現場を離れると、復帰しにくい状況にあります。
      具体的取組としては、「女性研究者支援モデル育成」プログラムの推進等によるモデルとなる先進的な取組の普及・定着、国立大学法人、独立行政法人における内部組織の設置や中期目標・計画への取組の位置づけ等の推進体制の強化、研究費等の制度の拡充・弾力化等を行います。
    3. 公務員
      政策に国民の目線で多様な視点や新しい発想を導入する観点からも、公務部門における女性の活躍は、極めて重要ですが、管理職に占める女性の割合は、国家公務員では1.7%(平成17年度)と低くなっています。
      具体的取組としては、育児短時間勤務やテレワーク等の活用を通じた柔軟な勤務体制の推進、平成22年度末に政府全体の管理職女性比率5%程度を目標とした女性の登用の促進のための各省の行動計画の充実・見直しとその着実な実施などを図ります。
      また、地方公共団体に対しては、女性職員の登用促進に向けた取組を推進するよう要請するとともに、好事例の相互情報提供を行います。

女性の参画加速プログラム

平成20年4月8日 男女共同参画推進本部決定