仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会(第18回)議事録

  • 日時: 平成21年6月8日(月) 15:00~17:00
  • 場所: 永田町合同庁舎第1共用会議室

(出席委員)

佐藤
会長
大沢
委員
岡本
委員
小室
委員
杉山
委員
高橋
委員
武石
委員
永木
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 多様な人々の能力発揮を実現する仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進について(案)
  3. その他
  4. 閉会
佐藤会長
それでは、遅れていらっしゃる方もいますが、時間がまいりましたので、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」の第18回会合を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席をいただき、ありがとうございます。本日は日本経団連の川本委員が御欠席です。そのかわりにオブザーバーとして日本経団連から輪島労働法制本部主幹に御出席いただいております。よろしくお願いします。
輪島主幹
よろしくお願いいたします。
佐藤会長
それでは、本日の議事を進めさせていただきます。本専門調査会では調査テーマとして、「多様な人々の能力発揮を実現する仕事と生活の調和の推進のあり方」について、昨年の7月から検討を進めてきました。本日はその議論の取りまとめとして、「多様な人々の能力発揮を実現する仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進について」の報告書(案)について、御審議いただいて、報告書(案)の取りまとめができればと思っています。
 そして、本日はそれに加えて、報告書(案)の作成について参考としました「男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査」の結果がまとまりましたので、その概要について御報告したいと思います。
 ちょっと、順序は逆になりますけれども、最初は「男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査」の結果の概要について御説明いただいて、その後、報告書(案)について、1章、2章、各章ごとを議論していきたいと思います。
 それでは、調査の概要について御報告をお願いいたします。
日原調査官
それでは、お手元の資料2に基づきまして、話をさせていただきます。前回に引き続きまして、私どもの方で実施をいたしましたインターネット調査の結果をもとに、今回は、女性の仕事や働き方に対する希望と初職、それから現職の状況ということで、女性に絞ってまとめてみましたので、御説明をさせていただきます。
 まず、今回、まとめた分で使いました質問について簡単に御紹介をさせていただきたいと思いますので、資料2の最後に付いております、関係する質問部分ですね。21ページからになりますけれども、若干、お話をさせていただきたいと思います。
 21ページの上からでございますけれども、まず、この調査では「学校を出られたときに将来の仕事や働き方についてどのように考えていましたか」ということで、その当時の御希望を伺っております。
 今回の分析では、その4つ伺っておりますうちの「管理職として組織の経営や管理に携わりたい」、略して「管理職志向」と言っておりますけれども、この部分と、それから「特定の分野における業績や技能など、専門性を高めたい」という、「専門職志向」と簡単に呼んでおりますが、この2つを使っております。
 その後、ここは「A社」と書いてありますけれども、これは初めて仕事についてからの5年間で一番長い期間、勤務された勤め先ということで、最初に働くということについて考える上で、一番影響を受けたのではないかという考え方で、単純に最初についた職を初職とするのではなくて、このA社を「初職」と呼んで調査をいたしております。
 そして、そのA社の状況につきまして、3つの分野において全部で15ほどの項目について伺っております。一つ目は「仕事以外の時間のとりやすさ」について。これが「家庭と仕事の両立を支援する制度が利用できた」から始まりまして、「フレックスタイムなど、自分の都合に合わせて働くことができた」まで、5項目。それと「当てはまるものはない」「わからない」という形になっております。
 次のページにまいりまして、二番目の分野が「仕事の内容について」でございます。これは「仕事で期待されたり、頼られていると感じることがあった」とか、あるいは「アイデアや企画を提案する機会があった」というような、いわゆる仕事の面での、簡単にいいますと能力発揮に関するものを、やはり、5点、挙げてございます。
 それから、最後、3つ目が「処遇の公正さや女性の活用について」ということで、「人事評価が公正であったか」とか「処遇に男女差がなかったかどうか」とか、そういったような女性の活用とか処遇の公正さについて伺っております。
 その後、この初職、A社から離職されているかどうか、そして現在のお勤め先の状況を伺っております。
 その後、幾つか、問を挟んでいるわけですけれども、現在の職業についても同じように伺っておりまして、現在の勤め先について、今、御説明したのと全く同じ3つの分野に分かれての質問をしております。それが問いの4-5でございまして、これが現在の勤め先の状況でございます。
 23ページにまいりまして、問いの4-7になりますけれども、今されているお仕事が先立って伺った初職、A社でのお仕事と比べてより難しいとか、責任のある内容だと思われますか、ということを、次に伺っております。
 そして、最後に仕事に関係するものとして、今後の御希望について伺っておりまして、それが問いの5-1からになります。まず、今後、どういう就業形態で働きたいか、伺いまして、ここで「仕事はしたくない」という以外を選択された方については、24ページにまいりまして、これは学校を出られたときと同様ですが、「今後、仕事や働き方について、どのようになりたいと思いますか」ということで、管理職志向、専門職志向を初めとして、全く同じ4つの項目について、それぞれ、その程度を選択していただく形になっております。
 そして、関連する最後の部分としまして、問いの5-3で「その希望を実現させるために、どういうことをされていますか」と、これも複数回答ですけれども、そのように伺っております。
 こういった問いを中心にいたしまして、女性の初職・現職の状況と今後の働き方の希望、あるいは、そのためにされていることというのを、今回、まとめてまいりました。
 3ページからのところで御説明をしたいと思いますけれども、まず、ここでは最初の部分としまして、現在の勤め先の状況と、先ほど、お話しした管理職志向、専門職志向との関係をクロス集計してございます。
 そして、それぞれの管理職志向、専門職志向について強いグループと弱いグループ、それぞれ、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」のいずれかを選んだ方と、「そう思わない」または「どちらかといえばそう思わない」と答えられた方、2つのグループをつくりまして、クロス集計をいたしました。
 そして、正社員、正規職員と、それから有期契約社員、嘱託社員、パート、アルバイト、派遣社員という2つに分けまして、それぞれ、まとめてございます。
 4ページ、5ページは正社員、正規職員の方についての分析でございます。左側が管理職志向別、右側が専門職志向別になっています。
 それで、この正社員、正規職員の方について見ますと、管理職志向の強いグループ、これは専門職志向でも同様ですが、その真ん中の部分の「仕事の内容について」というところを御覧いただきたいのですが、赤い色が付いております方、「そう思う」と答えられた方、管理職志向なり専門職志向が強いグループの方はそうでないグループに比べて、今のお勤め先で仕事の内容の面で期待されていると感じたり、あるいは能力を発揮する機会をより多く経験されているということが言えるのではないかと思います。
 それから、その下の3番目の分野でございますけれども、「処遇の公正さや女性の活用について」を見ましても、「処遇に男女差がない」、あるいは「仕事と家庭を両立しながら、仕事もキャリアアップできる環境である」と考えられている割合。こういったものが「そう思う」と答えられた方の方が高くなっているということが御覧いただけるかと思います。
 6ページ、7ページは同じような分析を、今度は正社員ではない方について行ったものでございます。こちらについても、非常に大ざっぱに申し上げますと、今、お話ししたのと同様の傾向が見られるかと思います。
 また、この正規職員以外の方のグループでは、管理職志向、専門職志向ともに強いグループでは、「育児や介護などと仕事の両立に配慮や理解がある」と答えられた割合も高くなるという傾向がございました。
 ここまでの部分では、現在の職場の状況と現在の管理職志向、専門職志向との関係を見てまいりましたけれども、もともと、管理職志向や専門職志向が強い方がその志向にあった職場を選ばれているという以外の要素、例えばその仕事から影響を受けているとか、そういった部分をもう少し詳しく見たいと思いまして、今度はその管理職志向、専門職志向の変化と現職の状況をクロスしたものが8ページからの部分になっております。
 ちょっと、細かくて恐縮ですが、8ページにそのクロス集計の対象としました4つのグループを挙げております。一つは管理職志向が学校を出たときよりも強まったグループ。これがAでございます。Bが管理職志向が学校を出たときよりも弱まったグループ。Cは強いまま変化がない、Dは弱いまま変化がないということで、管理職志向、専門職志向とも同じようにグループを4つ、つくりまして、その4つのグループと今の仕事の状況を見たものでございます。
 それが9ページからになっておりまして、9ページから11ページまでが管理職志向とのクロス集計結果、12ページからが専門職志向の結果でございます。
 これは就業形態では区分をいたしませんで、現在、働いている女性全体で見たものでございますけれども、これはまず10ページを見ていただきたいと思います。10ページのこの青い色が付いておりますのが、「学校を出たときよりも管理職志向が強まった」、あるいは「強いままである」というグループです。
 それと、白い棒とを見ていただければわかりやすいかと思いますけれども、やはり、もともと管理職志向が強かったという方だけではなくて、管理職志向が学校を出たときよりも強まったという方も、現在の勤め先では仕事の内容の面で期待されていると感じたり、能力を発揮する機会をより多く体験していると言えるのではないかと考えております。
 それから、次の11ページを見ていただきたいのですが、これは処遇の公正さや女性の活用について同様に行ったものです。この中でも、例えば「仕事と家庭を両立しながら、仕事もキャリアアップできる環境である」といったような設問。これにつきましては、管理職志向が強いまま変化のないグループだけではなくて、「管理職志向が学卒時よりも強まった」というグループの方、これでも高くなっていることが見ていただけるかと思います。そのほかでは、「人事評価が公正である」といった設問についても、同様の結果が出ております。
 それから、時間の関係もありますので、説明をはしょらせていただきますけれども、12ページから始まります専門職志向の方を見ていただきましても、やはり、その仕事の内容の部分、仕事で能力発揮ができる環境にあるかどうかといったようなこと、それから、処遇の公正さや女性の活用で、仕事と家庭を両立しながら仕事もキャリアアップできる環境であるといった項目。これにつきましては、もともと志向の強い方だけではなくて、学校を出たときよりもそういう志向が強まったという方でも、その他のグループに比べて高くなる傾向がございます。
 ですので、もともと、そういう管理職志向とか専門職志向といった組織の中で基幹的な働き方を希望されていた方が、そういう御希望に合った勤め先を選択されているということに加えて、逆に、周囲から期待されたり、能力を発揮する機会が多い環境、あるいは仕事と家庭の両立とキャリアアップの両方を追求できる環境で、そういう基幹的な働き方をしたいという希望が高まっているということも考え得るのではないかと思っております。
 それと、一点、付け加えさせていただきたいのですが、11ページを御覧いただけますでしょうか。この青い2つの棒、管理職志向が強まったグループの方と、強いまま変化がないグループの方、この2つはいずれも並行に完全に同じ傾向を示しているというわけではございませんで、「管理職志向が学校を卒業してから強まった」というグループの方が「強いまま変化がない」という薄いブルーのグループの方よりも高くなっている項目がございます。
 それがそこにあります「女性の先輩や管理職が多くいる」という項目と「仕事と家庭を両立しながら仕事もキャリアアップできる環境である」というこの二点で、これらにつきましては、「管理職志向が学校を出たときよりも強まった」とされたグループの方が、「強いまま」というグループよりも高くなっております。これはもともと、そういう御希望が強くない方であっても、例えばその女性のロールモデルに接する機会が多い環境であるとか、あるいは仕事と家庭の二者択一を迫られることがなく、キャリアアップできる道が開かれている。そういう環境で働く経験を通じて、管理職として働くことに積極的になっていらっしゃると。それは、これだけからは完全には言えませんけれども、そういう可能性も考えられるのではないかと思っております。
 それから、15ページにまいりまして、これは「初職と比べて現職の方がより難しい、責任がある仕事だと思われますか」という問いに対する回答を求めたものでございます。これも管理職志向、専門職志向、どちらもやはり「学校を出たときよりもそういう志向が強まった」、あるいは「強いままである」というグループで高くなっておりまして、もともと、これもそういう希望があるからそういう職場を選んでいらっしゃるという方に加えて、より難しい仕事、あるいは責任のある仕事をされていく中で、そういう希望が強まっていったという可能性も考えられるのではないかと思っております。
 ここまでは「どういう働き方をされたいですか」という御希望について、主に集計をしてきたわけですけれども、16ページからはそのために実際にしていらっしゃることと「現職の勤め先の状況とをクロスしたものでございます。
 これも現職の勤め先の状況のそれぞれの分野ごとにページでまとめておりまして、16ページは現在の勤め先の状況の仕事以外の時間のとりやすさ、これを0点から4点以上まで幾つ当てはまるとされたかによってポイント化をいたしまして、それに「わからない」を選択された方を加えて、この6つのグループごとに「今後の仕事や働き方について希望を実現させるためにしていること」とのクロスをしたものでございます。
 17ページは同様に、これを「仕事の内容」、これもポイント化をいたしまして、「仕事の内容」でポイント化した6グループと「今後の仕事や働き方について希望を実現させるためにしていること」とのクロスをいたしました。
 18ページは同様に「処遇の公正さや女性の活用」という部分で当てはまるとされた項目数でポイント化をいたしまして、同様の集計を行ったものでございます。
 それで、16ページに戻りまして、「仕事以外の時間のとりやすさ」で見ますと、「仕事以外の時間のとりやすさ」に関する点数が高いグループで「知人、友人、家族などに相談する」に当てはまるとされた方が多いという傾向になっております。
 同様の傾向が見られますものが、「現在の勤め先の中で上司や同僚などと相談したり、希望を出したりする」。それから、「現在の勤め先で能力や技術を磨く」ということ。それから、「必要な資格や技術を身につけるために自分で学習する」、これも「仕事以外の時間のとりやすさ」で4点以上とされた、濃いブルーの棒の部分ですけれども、こちらでは約半数の方が選択をしているという状況でございます。
 17ページにまいりまして、今度は「仕事の内容」でございますけれども、これにつきましても、「仕事の内容」で当てはまるとされたものが多い方、点数の高い方、で選択された割合が高い選択肢として、「知人、友人、家族などに相談する」「現在の勤め先の中で上司や同僚などと相談したり、希望を出したりする」「現在の勤め先で能力や技術を磨く」と、「必要な資格や技術を身につけるために自分で学習する」、そういった項目で点数が高いグループの方が高くなるという傾向が見られるかと思います。
 「処遇の公正さや女性の活用の度合い」で見ました18ページにつきましても、繰り返しになりますけれども、同様の傾向が見られておりまして、やはり、現在の勤め先で能力発揮の機会が多い、あるいは、働き続ける上で、これからの目標や意欲を持ちやすい環境にある、ということで、現在の勤め先や仕事を通じて能力を伸ばして、希望を実現させていこうとする行動につながっている、あるいは、自分で必要な資格や技術を身につけるために学習するという行動につながっているという可能性が考えられるのではないかと思っております。
 最後になりましたけれども、19ページからは、最初のいわゆるA社、初職の勤め先の状況と、それから、そのお仕事を続けていらっしゃるかどうかということを、25歳以上の女性について、これは初職が正社員、正規職員である方に絞って集計をしたものでございます。
 19ページにございますように、これはその初職が正社員、正規職員である25歳以上の女性について、初職をずっと続けていらっしゃる方、それから、それ以外の離職されたり、転職された方、それと更に初職を継続されているグループの中で、配偶者とお子さんがいらっしゃる、家庭と仕事の両立が課題になる方のグループ、この3つをつくりまして、初職の勤め先の状況がどうであったかということを見たものでございます。
 20ページを見ていただきたいと思いますが、やはり、配偶者がいて、お子さんもいて、初職を続けていらっしゃるという方で見ますと、「初職の勤め先の状況」の中で「育児休業など、家庭と仕事の両立を支援する制度が利用できた」、一番上ですけれども、その部分。それから、「育児や介護などと仕事の両立に配慮や理解があった」という2番目の項目。こういったものが初職の継続者全体と比べても大変高くなっておりまして、やはり、職場での仕事と家庭の両立支援というのが、仕事を続けていく上で大変重要だということがここでも確認できたのではないかと思っております。
 それから、配偶者がいて、お子さんがいて、続けられている方はもう一つの特徴としまして、「処遇の公正さや女性の活用について」という中で、「処遇に男女差がなかった」、あるいは「女性の先輩や管理職が多くいた」「仕事と家庭を両立しながら仕事のキャリアアップができる環境だった」とする割合が、初職を継続された方全体と比べても高くなっております。
 このことから、やはり、その組織の中で働き続けた場合の自分の将来像がイメージできる環境、中長期的な目標の持てる環境であるということが、結婚や出産、育児を経て、女性が就業を継続していく上での重要な要素であるということがうかがわれるのではないかと思っております。以上でございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。非常に興味深いあれだと思いますけれども、女性が仕事に対して意欲や長期的ビジョンを持って働き続けるというのは、初めからそういう意識を持っているという人も、勿論、あるわけですけれども、やはり働きながら、会社、多分、管理職だと思いますけれども、一つは、上司がそれを期待してくれたり、そういう機会を提供すると、やはり、そういう気持ちになってくるということがあるということですね。
 あと、もう一つは、やはり結婚し、お子さんを持って働き続けるというのは、両立環境プラス、頑張れば女性も先が開けているという、そういう均等の処遇の機会があるということも重要だということが、データからある程度、明らかになったのではないかと思います。
 御質問なり、ちょっと複雑な集計でもある面もありますので、「ちょっと、データが読みにくい」とか、あるいは解釈について御質問があれば、どなたからでも出していただければと思います。いかがでしょうか。
 それと、この調査は今回の専門調査会で使えるものは、多分、後で出てくるときに使わせていただくということですが、ただ、全体としては局のいろんな事業なり政策に活用するという趣旨ですので、そういう意味ではいろんな項目を聞いているということで、今日は「一部」というのはそういう趣旨です。
 いかがでしょうか。武石委員は調査票をつくるとき、何かいろいろ御意見を伺ったということのようですが、何か感想でも。
武石委員
仕事のさせ方とか処遇が女性のこの意識に関連があるというところは、きれいに出たなと思いますけれども、ただ、例えば4ページと5ページを比較すると、4ページが管理職志向で5ページが専門職志向ですよね。
 これは管理職になりたいと思う人について、「そう思う」計が308人、そういうふうに見ればいいわけですよね。それで専門職は1,024人がなりたいと思っている。やはり、管理職になりたい女性が非常に少なくて、「そもそも、少ないのだな」というのを改めて、「随分、数字が違うな」ということを感じました。
佐藤会長
これは管理職志向を尺度で聞いて、専門職を聞いていますから、当然、両方ともあるという方もいるというふうになっているので、ですから、管理職志向の質問に答えている人で「管理職になりたい」という人は、専門職志向で「なりたい」と基本は同じくいるということですので、そうですね。
日原調査官
はい。
佐藤会長
ですから、これは背反的ではなくて、管理職になりたくて、その専門分野の能力を高めたくないというわけではないので、ですから、一応、これは詳細分析で組み合わせてみるとかかなと思いますが、管理職は嫌だけれども、「私は本当の専門職」というか、能力の面だけではなくて、キャリアも専門職でいくという人と、専門職で能力を高めながら、キャリアとして管理職を目指すという人もいると思うので、一応、今回はそこまではやっていないということです。
 ただ、管理職志向を選ぶ人は武石委員が言われるように、専門職の人は少ないということですので、片方だけ付けた人、専門職志向の人に多く付けているということだと思います。どうぞ、高橋委員。
高橋委員
もともとのデータで、未婚の人と既婚の人の割合は年齢層別にどういう分布をしているのかというのが、ちょっと知りたいのですが。
佐藤会長
全体でいいわけですね。
高橋委員
はい。全体です。
佐藤会長
20歳から44歳の男女。
日原調査官
はい。20歳から44歳の男女でございまして、女性は4,942人、集計対象がいらっしゃる中で、62.8%が配偶者がいるということです。それで33.3%が結婚したことはないと。それから、離別、死別したという方が3.9%でございます。ただ、恐縮ですが、これまでご説明した資料では仕事をされている方を中心とした集計になっていますが、今の数字は全体の数字でございます。
佐藤会長
基本的に割り当ててやって、年齢と性別を割り当てて、かつ、またカテゴリーを直すように抽出し直しているので、多分、未既婚も大体、そのナショナルサンプルに近いぐらいになっているのかなと思います。
 ほかには。よろしいですか。では、もしまた何かあればということで、一応、これは御参考ということで見ていただければと思います。
 それでは、本日の本題で、報告書(案)について御報告をいただいて、御意見を伺うわけですが、まず、最初に全体の構成と第1章を御説明いただいて、その後、今度は2章というふうに。はい、よろしくお願いいたします。
酒巻調査課長
それでは、報告書(案)を御覧いただきたいと思います。最初に全体の構成につきまして、御説明したいと思います。1ページ目に目次がございますので、御覧いただければと思います。
 全体、2章で構成しておりまして、第1章が「企業・組織における仕事と生活の調和の推進と多様な人材の能力発揮」というテーマにしておりまして、こちらは既存の調査と、今回と前回御説明いたしました意識調査、それから企業インタビューの結果をもとに考え方や課題をまとめたものということでございます。
 それから、第2章が「雇用者以外の就業者の仕事と生活の調和を実現するための課題」ということで、こちらも前々回、御説明いたしましたデータ分析、それから2月23日の有識者インタビュー、ほかの事務局の情報収集をもとに、現状と課題というところを取りまとめたものでございます。
 資料といたしまして、三点、添付することを考えておりまして、最初の2つはライフプランに対する意識調査でありまして、資料1は前回、御説明したもの、資料2が先ほど御説明したものでございます。それから、企業インタビューの記録を資料3として付けたいと考えております。
 次に「はじめに」の方にまいりますけれども、こちらで検討の経緯と、今回の検討テーマの趣旨等、それから全体の要約的なところをまとめてございます。検討の必要性について、テーマを真ん中に2つ書きまして、その下辺りに検討の必要性について少し書かせていただいておりまして、組織の活性化とリスク管理の観点でありますとか、それから、ワーク・ライフ・バランスにつきましてはこの専門調査会でおまとめいただきました「基本的方向」、それから「ワーク・ライフ・バランス憲章」の中で「明日への投資」として位置づけるということになっておりますが、そうしたものを実現していくためにも「多様な人材の能力発揮」が必要なのではないか。
 それから、少子高齢化の進展ということを考えますと、現段階で取り組むことが必要なのではないかということを述べております。
 それから、以下、内容の簡単な要約を書いてございまして、基本的にはすべての人を対象として、働き方全体の見直しということを進めていく必要があると。本検討では企業インタビューの情報をもとに具体的にどういう取組みが必要かというところを包括的に整理をいたしました。
 それから、意識調査から就業継続をするかどうか、そういう判断とか、管理職志向の変化にそのワーク・ライフ・バランスだけではなくて、能力発揮の機会がどうなっているかというところも影響すると。そうした面でも働き方全体の見直しが必要なのではないかということを述べております。
 それから、「雇用者以外の就業者」というところにつきましては、今まで十分な検討はなされてこなかったのかと思うのですが、その仕事と家庭の両立という点では雇用者と同様の問題があるという点でありますとか、それから、ワーク・ライフ・バランスの推進ということが新しいビジネスチャンスでありますとか、農山漁村の活性化につながるという、少し新しい視点も示しているところでございます。
 次に第1章の方の御説明に移りたいと思います。4ページ目以降でございます。1で、働き方全体の見直しというところの考え方を説明しております。①から④と書いてございますけれども、これは当初、12月の調査会でこの調査テーマの趣旨ということで御説明したときのものを、再度、説明したものでございまして、図表を後ろに付けてございますけれども、図表1-1に参考の図を付けております。
 多様な人材活用、それから仕事と生活の調和の実現、それが両方、実現されている第1象限に属する人たちを増やしていかなければならないというところを述べております。
 次に男女共同参画の関係でジェンダー・エンパワーメント指数を例に挙げて、必要性について説明をしております。ジェンダー・エンパワーメント指数の順位が御承知のとおりですが、日本は先進国の中でも低い水準にございまして、かつ、そのランクがだんだん下がってきているという状況にございます。
 その一つの要因といたしまして、管理職比率の低さというところが原因になっているのではないかということでありまして、ワーク・ライフ・バランスがすべての人のものになっていない、多様な人材の能力発揮につながっていないという状況がこうした指数にも表れているのではないかというところを、補足的に述べたものでございます。数字につきましては、図表1-2というところで少し御紹介をさせていただいております。
 それから、次には「働き方全体の見直しの必要性」ということで、概略のところを述べておりまして、一つは男性や管理職もワーク・ライフ・バランスが確保できるということ、それから、能力発揮の機会があるということ、それから適正な人事評価といったところを挙げまして、次のパラグラフで少し例示をして説明をしてございます。
 例えば、管理職になれば長時間労働が前提となるということであれば、管理職になることに消極的になるのではないか。長期の休業がその長期的なキャリア形成に不利になるという評価であれば、なかなか将来の展望が持てず、出産・育児に際して女性は退職してしまう。そうした背景になるのではないか。こうしたことを是正していく必要があるということを、例として述べております。
 それから、5ページ目でございますけれども、こちらは既存の研究を参考にいたしまして、ワーク・ライフ・バランスの推進はそれそのものだけではなくて、人材の育成でありますとか、企業風土改革ということを併せて進めることで企業パフォーマンスの向上につながる。おおむね、そのような結論が既存の研究からは得られていると思いますので、それを幾つか、御紹介したものでございます。
 図表1-3から図表1-8というところでお示ししておりますけれども、これは12月25日の調査会でおおむね御説明したものでございます。新しく追加したものといたしましては、図表1-6がございますが、これは経済産業省の調査から引用したものでありまして、2003年の報告書でありまして、少し古いわけでありますが、「女性の活躍と企業業績」という関係に着目いたしますと、単純に女性を増やそうとするということではなくて、その多様な働き方を取り入れるなど、企業風土を変えていくことが基本であるという結論でありまして、それを御紹介したものでございます。
 それから、新しい研究といたしまして、内閣府の経済社会総合研究所から、最近、公表されたものがございまして、図表1-8というところでお示しをしております。これは「生産性向上に与える影響」という視点で分析をしたものでありまして、両立支援策と労働時間短縮「効果的時短」という言い方をしておりますが、それを組み合わせますと生産性を向上させる効果が高まるということであります。
 そのほか、両立支援策と公平な評価制度、業務分担の柔軟な見直しの組合せ、あるいはその時短施策とフレックスタイム、仕事の量、進め方の見直しというところを組み合わせますと、生産性向上の効果が大きく見られるという結果になっておりまして、新しいデータということで御紹介をさせていただいております。
 5ページ目の後段以降で「職場環境と女性の就業継続・仕事への意欲」という小見出しを掲げておりますが、こちらで今回、実施いたしましたインターネット調査のエッセンスを御紹介しております。
 女性の就業継続でありますとか、管理職志向の変化というところに着目をいたしまして、ワーク・ライフ・バランスの推進だけではなく、仕事のやりがいであるとか、能力発揮の機会、女性が活躍できる職場づくりといったところが影響しているというところを述べてございます。
 6ページ目の第2パラグラフの辺りですが、仕事を辞めなかった理由といたしまして、職場環境としては「仕事と家庭を両立して働き続けられる制度、雰囲気があった」というところが最も多いわけでありますけれども、次いで「同じような状況で仕事を続けている人がいた」でありますとか、「頼られていると感じた」「働き続けるよう励まされることがあった」でありますとか、仕事のやりがいに関わるところの条件が影響しているというところがうかがわれるのではないかというところであります。
 それから、初職の継続につきましては、先ほど、御紹介いたしましたとおりでありますが、「自分自身の将来像がイメージできる環境」でありますとか、「中長期的な目標が持てる環境」といったところが重要なのではないか。
 それから、管理職、専門職志向につきましては、周囲からの期待でありますとか、能力発揮の機会といったところが影響しているのではないか。それから、「仕事以外の時間のとりやすさ」を加えまして、「仕事の内容」とか「処遇の公正さ」といった条件が良好であるほど、現在の職場で能力を高めるような努力をするという人が増えている。そうしたところも調査結果から伺われたのではないかと思いまして、こうしたところを勘案いたしましても、「能力発揮の機会」でありますとか、「処遇の公正さ」といったその働き方全体の見直しということが重要であるというところが、調査からもある程度は確認できたのではないかということで御紹介をしております。
 それから、7ページ以降でございますが、こちらは2といたしまして、「企業における実際の取組みとその効果」をまとめたものでございます。基本的には企業インタビューをもとに、実際の取組方法とどういう効果が見られているかというところをまとめたものでございまして、前回、御説明した資料を少し編集したものでございます。
 (1)のところでは、両立支援とかポジティブ・アクションの取組みにつきまして、既存の調査でどういうことが行われているかというところを御紹介しておりまして、これは図表1-9から1-12というところでございますが、これは12月の調査会で御紹介したものと同じでございます。
 それから、(2)は企業インタビューのまとめでございますけれども、基本的には前回と同様なものでありますが、重複する事例を少し整理をいたしまして、若干、コンパクトな記述に編集をしております。
 項目だけ御紹介をいたしますと、まず、第一にワーク・ライフ・バランスを企業戦略と位置づけるということがございまして、次のページで②といたしまして、実際の取組みを御紹介しておりますが、ワーク・ライフ・バランスの理解促進というところで、社内ニーズを把握いたしまして、効果的な施策を打っていくと。それから、きめ細かい情報提供などを行っていくというようなところが、取組みとしてはあったということでございます。
 9ページ目に業務調整の工夫というところでありますが、これはさまざまなやり方があるわけでありますけれども、基本的にはそのチーム内で仕事を分担していくというところでありますが、場合によっては、派遣社員の方で補っていくとか、あるいは基幹的な社員の方の後継となるような方を育成しておいて、いざという場合に備えるという取組みもあったということであります。
 10ページ目が多様なキャリア形成パターンということでありますが、今回のインタビューをした企業はコース制を取っていましたが、そのコース変更を柔軟にするような制度改革を行っているとか、ポストの公募制を行うとか、そういう取組みがあったということであります。
 それから、育児休業からの復帰支援とか、その際のモチベーションを高める働きかけというところも重要でありまして、そういった取組みもあったということであります。
 それから、11ページ目で、人事評価につきましては短時間勤務の方については時間ではなく、そのパフォーマンスで評価するということとか、休業自体をマイナス評価にしないということで、長期的なキャリア形成に対する配慮がなされているということであります。
 それから、12ページ目は業務の効率化でありますが、これも色々なやり方があるわけですけれども、共通して見られましたのは情報の共有化をいたしまして、「見える化」と書いておりますが、その後、業務の優先順位をつけて効率化を図るというやり方が見られました。
 それから、13ページ目でございますが、管理職の役割ということで職場のコミュニケーションの円滑化とか、信頼感の醸成といったことが重要であると。
 それから、14ページはこうした取組みがどういう効果が出ているかというところでありまして、人材確保に非常に役に立っている、それから結婚、出産、育児に際して退職する女性社員の方がかなり減ってきている。それから、男性の育児休業取得者がだんだん増えてきているという御指摘が多かったものであります。
 以上のようなことをまとめまして、16ページ目にただいま申し上げたようなことを文章で書いてございまして、図表1-13でイメージ図をつくっておりますが、これは前回、御紹介したものと同じでありますが、それを文章で説明したものでございます。内容的には重複いたしますので、御説明は省略いたします。
 それから、17ページ目でありますが、3といたしまして「パートタイマー・アルバイト社員における仕事と生活の調和と能力発揮」という節を載せてございます。これは議論の中で正社員も含めて検討すべきではないかという御意見をいただいておりまして、事務局の方で追加のインタビューを行いまして、それに基づき、整理をしたものでございます。
 追加のインタビューは総合スーパーと外食で3社ほど行いまして、今日はちょっと記録の確認が間に合っておりませんので、2社の分については資料3の末尾に追加をしてございます。1社はちょっと記録が間に合っておりませんので、付けていませんが、公表までには確認を取りまして添付したいと思っております。
 インタビューで伺ったポイントといたしましては、基本的にはパートタイマー、それからアルバイト社員の方の能力発揮のために、いろいろ、制度改革などを行っておられまして、人事制度改革の事例といたしましては、正社員、非正社員、その区分を一たん、廃止をいたしまして、転居とか転勤の有無によるその区分に再編いたしまして、全国転勤がある社員区分と地域的な転勤がある社員区分と転勤のない社員区分、そうしたものに再編をしまして、そうした社員区分に関係がない、共通の資格制度でありますとか、教育機会でありますとか、そうした形の人事制度に変更したと。
 それから、色々なポストの立候補制度を設けまして、それを社員区分に関係なく応募できるという取組みをされておられます。
 それから、パートタイマー、アルバイト社員の方の能力発揮という面では、技術認定制度などを設けまして、スキルアップを図るとか、目標の設定とその評価制度をパートタイマー、アルバイトの方にも適用しまして、そのモチベーションの向上を図っていると。
 それから、「多能工化」ということがワーク・ライフ・バランスの議論で言われておりますが、一人でいろんな仕事をできるようなスキルを身につけていく。そうしたものを推進している。それから、正社員への積極的な登用を行っている。そういう取組みが行われております。
 それから、パートタイマー、アルバイト社員の方のワーク・ライフ・バランスにつきまして、例えば育児休業制度などにつきましては、かなり利用者は増えてきているというお話がございました。
 それから、課題としましては、やはり管理職クラスのワーク・ライフ・バランスの確保が非常に難しいというお話もございました。
 概略、そのようなお話を伺いまして、それをもとに少し考え方を整理したものが3でございます。まず、ワーク・ライフ・バランスの実現の中で多様な働き方が選択できるという環境を整えていくということが大きな柱であるわけでありまして、そのために多様な就業形態の間での公正な処遇とか、能力開発機会の確保が重要であるということを最初の方で述べております。
 それから、正社員とパートタイマー、アルバイト社員の方のワーク・ライフ・バランスの関係といたしまして、今回、お話を伺いました業態ですと、営業時間が早朝から深夜に及ぶということで、少し、今までの議論とは違った条件下でビジネスをされているということでありまして、そういう状況で、かつ無休で営業をするという中で品質の高いサービスを提供するということが求められているわけでありまして、そのために正社員とパートタイマー、アルバイト社員の方がチームを組んで対応していくと。
 その中でパートタイマー、アルバイトの方の能力をできるだけ高めて、正社員に近い仕事をしていただくということで、全体のサービスも向上いたしますし、それが正社員の方のワーク・ライフ・バランスを確保していく上でも必要であるというお話がありまして、そういうことを実現するためにも、一般に言われております「均衡処遇」を進めていくことが重要ではないかというところを述べております。
 それから、考え方といたしましては、正社員の方のワーク・ライフ・バランスが改善していくことによりまして、正社員への転換を目指す人も増えてくるであろうと。そういう可能性でありますとか、あとはパートタイマー、アルバイト社員の方はもともとワーク・ライフ・バランスを重視して働く方を選んでいるというところもありますので、そうしたところで能力発揮の機会が増えていくことが重要である。
 特にその専門技能を高めるような形で能力発揮の機会が増えれば、ワーク・ライフ・バランスと能力発揮の両立という面でも望ましい動きになるのではないかというところを述べております。
 今回のパートタイマー、アルバイト社員といたしまして、「非正社員」という言い方はしていませんが、お話を伺いましたところがこうした体制でビジネスをされているところでありましたので、非正社員全体の問題をカバーしているわけではありませんが、一つの部分といたしまして検討をしたというところで御理解をいただければと思います。
 それから、17ページ目の4ですが、こちらはまとめでありまして、考え方と、それから取組み、18ページ目の方で「期待される効果と必要な取組み」というところですが、これは今まで御説明したところを簡単に要約をしたものでございます。
 それから、「今後の課題」といたしまして、そのインタビューの中で出てきたものと、それから、これまでの専門調査会で御意見をいただいたところを参考にいたしまして、「今後の課題」をまとめております。
 ここは少し並べるような形で整理をしておりますが、仕事とワーク・ライフ・バランスや、ダイバーシティの推進に必要なスキルを向上させるための教育研修でありますとか、休業者の増加とか、基幹的業務を担当する社員の休業に対応するノウハウ、これは現状ではだんだん対応できるようになってきていますけれども、休業者が大幅に増えたり、やはり管理職など、その基幹的な部分で担当者が長期に休むというところに対応していくのは、なかなか難しいですというお話がありましたので、そうしたところを御紹介しております。
 それから、今回、お話を伺いましたところはコース別人事をされていましたが、コースを設けないような人事制度等もありますので、そうした多様なキャリアを実現する人事制度を今後も検討していく必要があると。
 それから、評価の仕組みづくりということで、短時間勤務の方を時間当たり効率で評価していく。それから、長期休業がキャリア全体として不利にならないような人事評価といったものも必要ではないか。それから、身近なロールモデルの提示でありますとか、社会全体でワーク・ライフ・バランスを進めることが必要であると。
 それから、「休暇を取得しやすくする職場環境」としておりますが、これは色々な休業制度をかなり利用されてきているということがありますが、一方で有給休暇の取得が余り進んでいないのではないかというお話もありましたので、そうしたものがとりやすい職場環境というところも指摘をしております。
 それから、具体的には書かれていませんが、なかなかワーク・ライフ・バランスを実現しにくい職場というところにも注目していく必要があるとか、業務と人員のアンバランスに根本的に対応していかなければいけないのではないかというところも述べております。
 それから、管理職の役割が重要であるということを強調しているのですが、それに関連いたしまして、管理職自身にそれに取り組んで意欲を高めるような仕組みが要るのではないかという御意見がありましたので、例えば、その評価に組み込むという取組みがありましたし、その表彰を行うという方向もあるかと思いますが、そうした仕掛けを考えていくということ。
 それから、管理職の役割は重要ですが、そうした負荷をどんどん高めていってしまいますと、管理職自身のワーク・ライフ・バランスが実現できないということであれば、全体の見直しにはなりませんので、こうしたところも検討していく必要があるということ。
 それから、最後に個人の生活を充実させるという意識のところが最終的な目標でありますので、そうした意識を醸成していくことが重要ではないか。そうしたところを述べております。第1章につきましては、以上のような形でまとめさせていただいております。
佐藤会長
どうもありがとうございました。第1章は雇用セクターを取り上げて、特に課題はワーク・ライフ・バランスを推進していくことが、同時に女性の活躍の拡大にも貢献する。そういうワーク・ライフ・バランスでなければ困るわけで、女性はほどほどの働き方がいいというところに囲い込まれてしまって両立がとれるというのでは困るわけで、そういう意味では男女共同参画会議の下での専門調査会として、そういう観点からのワーク・ライフ・バランスを企業の中で進める必要性を、既存データでやり、かつ、その後、具体的にどういう取組みが必要かというのをケースで書くという形になっています。
 御意見は。これは、事例は企業名は入れておくのでしょうか。
酒巻調査課長
一応、入れるつもりですが、再度、確認をとりまして、もし、匿名の希望が多ければ匿名の形に変えたいと思います。
佐藤会長
では、「はじめに」と第1章について、御質問なり御意見があれば。では、岡本先生。
岡本委員
十分に読みこなしてはいませんけれども、分析も含めて、大変、共感できる部分が多くて、まさにここで提言されていることが具体的に進んでいけばいいなということを、強く感じました。
 その上で質問と意見が3点ほどあります。まず、17ページのところ以降です。「パートタイマー、アルバイト社員」という言い方をしていますが、多分、調査をした企業がそういう「アルバイト社員」という名称を使われているのかなとは思ったのですが、なかなか、雇用の議論していくときに、「アルバイト社員」という言い方は使われていないのかなと私は感じております。
 というのも、やはり、「アルバイト」というと学生アルバイトであったり、または短期のアルバイトというイメージが強いですから、どちらかというと「有期契約」という言い方なのか、「非正規」。「非正規」という言い方がいいかどうかというのは、いろいろ議論がありますけれども、少なくとも、問題としては有期で働く人たちのワーク・ライフ・バランスというものがきちんと進んでいるのだろうかという問題意識が大きいだろうと思うのです。
 特に、先ほど、このヒアリングをした企業では育児休職の取得が高まっているというお話でしたけれども、実際、今回、私たちが育児介護休業法の議論をしたときも、やはり、有期の方たちの育児休職の取得が本当に進んでいないという実態が明らかになっていますし、今の制限のもとであってはなかなか進まないだろうという議論があったので、そういった意味では、このところについては「アルバイト社員」ということではなく、もうちょっと幅広くとらえられた文言の方がいいのかなと、一つ、感じました。
 その上で、パート、アルバイトなどの能力発揮の機会拡大とか均等待遇は、まさしくこれをしていかないと、まさに女性の50%以上が非正規である、有期の形であることを考えますと、大変、大きな課題だと思うのです。
 そのことを考えますと、この18ページのところのまとめのところで、「今後の課題」の前に「また」ということで、若干、その補足的なイメージが、ちょっと、この文章表現上、読み取れますので、できれば、この幾つかの、6点、具体的に提起をしているわけですが、このところでも、やはり、能力発揮の機会拡大とか均等待遇ということは入れていただければいいのかなと思います。
 それから、もう一つ、これはちょっと基本的な質問で、大変、申し訳ないのですが、今、ワーク・ライフ・バランスについてさまざまなところで議論がされていますよね。それで、例えば内閣府の中でも少子化対策のところでも議論されていますし、それから、官民トップ会議のところでも、今、佐藤先生も入っていらっしゃると思いますけれども、またもう一つ、ワーキンググループをつくって、評価等をしていますので、そういったところの議論も進んでいるかと思いますが、そこと今回の提起と、どうやってそのリンクをさせていくのかということを、ちょっと教えていただきたいと思います。以上です。
佐藤会長
特に、もし、前半のことでもあれば、あと後半のどういう関係かという2つですね。
酒巻調査課長
最初に用語の、「パート」「アルバイト」という用語ですが、今回、お話を伺いに行ったところで、片や「パートタイマー」ということでお話を伺いまして、もう一つの会社では「アルバイト」という言い方をされていたので、「アルバイト」とおっしゃっていたのは、そちらは実際に学生アルバイトの方がかなり比率が高いと思いますけれども、「非正社員という言葉はよろしくない」ということを言われまして、ちょっと悩んだのですが、今回の情報収集という範囲では、「パートタイマー、アルバイト社員」ということかなと思いまして、こういう用語で書いてみたのですが、こちらの使い方につきましては検討をさせていただきたいと思います。
 それから、均衡処遇の重要性について、もう少し位置づけをしっかりするべきではないかというところも、検討して修正をさせていただきたいと思います。
 それから、ほかの検討の場との連携ということですが、課題としては今回の検討が役立てられる部分もあるかと思いますので、そうしたところには、是非、情報として提供しまして、やはり、ワーク・ライフ・バランスを普及させるための説明材料として何を使っていくかというところが検討課題になっているかと思いますので、そうしたところで役立てていきたいと思っております。
佐藤会長
いいですか。
板東局長
もともと、ワーク・ライフ・バランスの推進ということ自体につきましては、いろんな動機がありまして、男女共同参画も勿論、そうですし、少子化対策とか、経済全体の活性化とか、労働力不足などへの対応とか、あるいは、やはり、国民の健康の問題とか、教育再生とか、いろんなところからアプローチをしていると。
 それを全体としてまとめたのが、官民トップ会議などでワーク・ライフ・バランスの憲章、指針をつくって、今、お話の連携推進・評価部会などもつくって進めていると。だから、それが非常に大きな傘、全体の傘になっている。
 そういう中で男女共同参画の推進の観点から、いろいろ成果をまとめたようなものについては、そこの中にも反映させていくということだと思いますし、全体のワーク・ライフ・バランスの推進の取組みの中に位置づけられているということで、これは例えば先ほども申し上げましたように、ワーク・ライフ・バランスの観点だけではなく、女性の能力活用のところもつなげているということなので、必ずしも、官民トップ会議のもとにあるワーク・ライフ・バランスの推進の中の取組みの中に全部が押し込まれるというのではないと思いますけれども、少なくとも、ワーク・ライフ・バランスの推進のためには重要な視点であり、また重要なかぎとなる取組み方の問題を入れておりますので、これはできる限り反映をさせたいと。
 我々としても紹介をし、それから、いろんな資料も提供し、それからいろんなところに組み込んでいただくということは進めていきたいと思っております。
佐藤会長
はい。では、今のことで。
岡本委員
はい。今の。というのは、私もトップ会議のメンバーでもありましたが、あそこの評価部会などで議論されていることと、ここでの提起の方がもっと幅広くて、私たちから言えば、その評価基準の話とか、そういった意味では、大変、これを進めていただきたいという思いがあるわけです。
 けれども、その大きな傘の部分のところで言うと、なかなか、そこまで進んだ議論を、どうしても労使というところも入ってくるということもあって、進んでいきにくいなと思ったものですから、そういった意味で、そこも含めて、もっとこちらでのものを、影響力をやはり男女共同参画という視点で強めていってもらえたらうれしいなということも含めて、ちょっと質問をさせていただきました。
板東局長
評価部会でもまた、それこそ佐藤先生が出ておられますけれども、我々の事務局の方からもまた御紹介をさせていただきます。
佐藤会長
多分、このレポートが出れば、当然、男女共同参画会議の方にはつながっていくということ。もう一つは、何でしたか、仕事と生活の調和の評価、連携評価でしたか、何でしたか。正確な。
酒巻調査課長
連携推進・評価部会。
佐藤会長
連携推進・評価部会。あそこで、今、アニュアルレポートをつくっているので、多分、ここのものがその中に引用されたり、今も一部、もう、これまでのものが入っていますので、多分、これからまだ最終レポートをつくるのは時間がありますので、こちらのレポートが多分、向こうにできるだけ使ってもらうような形にできればいいかなと思っています。
 あと、前半のその「パート」「アルバイト」のところについては、皆さん、御意見を伺えればと思いますけれども、多分、17ページのところの書き方で、見出しは別ですよ、3の出だしの4、5行は、これはまず全般的に非正規全体の話が書いてあるのです。
 それで、多分、まとめもそういうふうに書いて、真ん中の事例のところは、これは聞いてきたことですので、つまり、今回はパート、アルバイトという事例を通じて、真ん中のところで。初めと終わりのところはもう少し、その限られた事例だけれども、もう少し一般化できることを書くという形に整理をしてもらう。ですから、タイトルをちょっと変えて、真ん中は、これは事例なので。
岡本委員
私もタイトルのところで引っかかった。
佐藤会長
はい。ですから、この書き方も、まず、この非正規のところ、言葉は別として、大事だというふうに言っていて、今回は事例としてこの流通関係を入れましたと。それでまたもう少し一般化するというような書き方で、ちょっと整理をしてもらえれば、御質問のところを活かせるかなと思います。検討をさせていただければと思います。はい、どうぞ。杉山委員。
杉山委員
「多様で柔軟性の高いキャリア形成パターン」という言葉が。
佐藤会長
どこですか。
杉山委員
16ページにあります。
佐藤会長
はい。
杉山委員
結構、何度か出てきていて、「多様で柔軟性の高いキャリア形成パターン」とはどんなものだろうというときに、事例として挙げているのがその上の「女性社員を念頭に置くと」ということで、育休がとれて、時短があって、その後、子育てが一段落したら本格的な業務体制に復帰するということが載っていますが、これだけでは特に多様でもなければ、柔軟性も高くないワンパターンであって、もしかしたら、ずっと時短で働きたいという人もいるかもしれないとか、何かその「多様で柔軟性が高い」というのはとてもいい言葉だけれども、それにここを引き受けるだけの要素が何となく見えてこないなというのを、ちょっと感じています。
 それで、そこをもうちょっと膨らませるなり、それがないなら、あえて我慢をして使わないようにするとか、ちょっとやった方がいいのではないかというのを思いました。
 あと、17ページ以降のことは私もすごく気になっていて、これまで男女共同参画のいろんな報告書とか、読ませていただいたときに、特に社会保障制度の面からパート、アルバイトのありようというのを、かなりはっきりと厳しく、こちらの局は指摘してきてくださっていたと思うのです。
 それがこれだと、若干、トーンが弱まっている感じがして、「パート、アルバイトがあるおかげで、正社員がワーク・ライフ・バランスが充実できます」というような書きぶりになるのは、絶対に避けていただきたいというのが一つ。
 もう一つが、事務局から年明けぐらいだったと思いますが、「生活困難者に関する報告書」を興味深く読ませていただきましたが、そことの対比で言っても、若干、トーンが甘いというか、本当にパートタイマー、アルバイトの抱えている課題が、今、いろいろ言われているわけですから、やはり、ちょっとそこは統一見解というか、どういう問題意識を持っているのかというところもちょっと押さえていただいて、その中でこういう外食産業とか、本当に24時間態勢でやっている企業というか、お店、サービス業の場合だとこういう工夫をしているとか、そういうふうな紹介のされ方をした方が建設的なような気がします。
 あとは、その多様で、柔軟性があってという場合だと、再就職ですね。一たん、辞めて、それからしばらくはパートでいたけれども、それから正社員になったり、再就職をするとか、そういう人もとても多いと思うので、その辺りの目配りというか、それもちょっと、どうなのだろうということを。
 あとは、ワーク・ライフ・バランスのライフに関しては、特に余り議論もしていなかったかと思うので、ここで何か、あえて何かを付けるというのはちょっと難しいかなとは思うのですが、どうするのかなというところはちょっと整理をした方がいいのではないかということ。
 あとはちょっと細かくなりますが、最近、私たちの中でワーク・ライフ・バランスというときに気になっているのが、学童期の子どもの預け先が余り保育所ほど充実されていないがために、何とかその学童までは働けたが、その後、辞めざるを得ないという話を本当によく聞くようになりまして、多分、今のこの調査でどうこうではなくて、今後、見ていく場合に、今ですと「出産、育児」と言って、「0歳以降、どうするの」「1歳以降、どうするの」「育休、どうするの」という話だと思うのですが、むしろ、今後はその「学童以降、どうするの」という新たな課題が出てきているのかなと。ちょっと、これは補足的にお伝えしたいと思います。以上です。
佐藤会長
いいですか。
酒巻調査課長
最初に御指摘いただきました「多様で柔軟性の高いキャリア形成パターン」の点ですが、ちょっと、文章の書き方で少し誤解を、余り明確に書けていなくて大変申し訳なかったのですが、「多様で柔軟性の高いキャリア形成パターン」のところは、内容としましては、次の3行目までの「必要な能力開発の機会や新たな領域にチャレンジできる制度が重要である」、ここで一応、切れておりまして、その後、短時間の方の復職支援の辺りの話を説明するために以下の文章があるという構成になっておりまして、そうした面でちょっとこの文章ですと、やや意味が正確に伝わらなかったのかなとは思います。
 ただ、「多様で柔軟性の高いキャリア形成パターン」がこの能力開発機会と新たな領域のチャレンジだけなのかというと、ちょっと足りないという気もいたしますので、少し検討をする必要があるかなと思いますが、この文章はそうした意味で書いておりまして、その趣旨は御理解をいただければと思います。
佐藤会長
今のところを、少し。基本的には辞めて、ずっと働かなくてもいいわけです。ただ、そちらの方はここには出てこない。勿論、それも一つの選択で、働かなければいけないというのも、また困るわけで、パートタイマーでも均等処遇ができれば、ずっとパートでいっても問題はないわけで、それは一つ、今、そこは変えていかなければいけないところなので、均等になって、それで自分は短時間だというなら、それを一つのキャリアとして確立していくわけなので、ちょっと、そういうことはわかるようにするということですね。
 それと、あと、後ろの非正規のところは「ワーク・ライフ・バランス憲章」の一段目の、やはり、生活手段の確立のところがね。だから、時間は短いけれども、収入の方はそれだけで食べている人にとっては非常に厳しい状況がある。その改善は確かにある。けれども、今回、そこをどこまで触れるかということはちょっと検討をさせていただくということ。
 あと、学童の方はこれまでのワーク・ライフ・バランスでは国際規格でも国内規格でも、やはり地域の保育サービスの充実をずっと言ってきて、今回は企業の働き方の方に焦点を合わせているというふうにちょっと御理解をいただかないと、ちょっと保育サービスの方は、そこは済みませんが。
 はい、どうぞ。では、武石さんの後。何かありますか。
板東局長
先ほどのその非正規とかパートタイムの問題は非常に重要な問題だと、我々も考えておりまして、それから「ワーク・ライフ・バランス憲章」の中でも、今、御指摘のように、一つ目の柱になっていますが、あの辺りの話が、今、非常に深刻であり、なかなか改善が進まないという部分だと思います。
 今回の調査のところが、ちょっと、余りこれに関する例を取り上げている部分が多くないので、どこまでそのパートタイマーの問題全体について膨らますことができるかというのが、ちょっと難しいところがありますが、少なくとも、我々のその問題認識のようなものはもう少しきちんと書いておかなければいけないかなと思いますので、先ほど、御指摘のほかの専門調査会でやっているところでは、まさに非常に生活困難層の一つの重要なジャンルとして、やはり、その問題を取り上げておりますし、やはり、基本的な認識のところは少し、また後で工夫をさせていただきたいと思っております。
 先ほど、御指摘のように、やはり、育児休業などもそういう正社員であれば、「あれだけ率が高くなりました」という話、それも辞めてしまった人が多くて、継続している人の中で「育児休業取得率がこんなに上がりました」という話ですが、結局、正社員ではない方々、それから辞めてしまった方々の問題というところが、そこの数字の中からは出てこないというようなところもありますので、もうちょっと厳しい部分の認識を少しうかがえるような形で、また御指摘のような整理をさせていただきたいと思います。
佐藤会長
では、武石先生。
武石委員
今、杉山さんがおっしゃった、「柔軟な」というところで、ちょっと気になったのですが、10ページのところの、この「多様なキャリア形成パターンの提供」「柔軟なコース変更と新たな分野へのチャレンジ」というところがあります。ここの事例のところに、例えば「特に女性の活躍機会促進のための新人事制度として、いろんなコースをつくっています」という話がありますが、「女性の」と言ってしまうと、女性はいろんなコースがあっていいけれども、男性は一つというようになってしまうので、ちょっと、ここの書き方を少し注意していただいた方がいいかなと思います。ちょっと細かいところですが。
 それから、杉山さんから「これから学童」という話が出ましたが、もう一つ、「介護」があります。事例は育児関連のものがほとんどだと思いますけれども、解説の文章のところは、「育児休業制度」というところをできるだけ「育児・介護休業制度」と並べていただいた方が良いと思います。今は「育児休業」だけになっているのですが、やはり、これから介護の問題が出てきたときに、ここはかなり大きくなるというのを、ちょっと、どこかの問題意識として書いていただけるといいのではないかということが二つ目です。
 それから、済みません、もう一つもちょっと細かいのですが、11ページのところの「人事評価の工夫」のところの事例の中で、「休業中の人事考課は休業前の実績に基づき評価している」というのをよい制度として評価できるかどうか。ここは制度の中でこれがいい場合もあるし、非常にネックになってしまう場合もあるので、これは好事例として紹介するのはやめた方がいいのではないかということです。細かいことですが、以上です。
佐藤会長
今のは、多分、後ろの方のいろんな事例は育児休業の事例であっても、ほかの休業でも同じようにこうやっておけば効果があるということのように、ちょっと書いておいていただくといいと思います。
 だから、いろんな仕事のやり方とか評価の話がいろいろ出てきますけれども、ですから、これは社員が長期に抜けた場合でも職場が回っていく、あるいは抜けやすい仕組みだと。だから、それは今は育児が多いにしても、介護が出てきた場合、対応できる。多分、そういう趣旨でちょっと書けばわかるのかなと。では。その次に小室さん。
永木委員
まとめ方のところで、2の(3)の「企業の取組と効果のまとめ」。
佐藤会長
何ページですか。
永木委員
16ページです。
佐藤会長
16ページ。はい。
永木委員
こちらの内容と、あと、4の最終的なまとめがかなり同じような形で話が進んでいまして、どちらかというと、16ページは企業のヒアリング結果のみをまとめるような形にして、4を更にその男女共同参画ならではの視点をもう少し加味されながら、結論を書いた方がめりはりというか、結論がぴりっとするのではないかと感じました。
 特にこの4の中も何度か重複感がありまして、18ページの「期待される効果と必要な取組」のこの「必要な取組」と、その下に「今後の課題」というのが同じような、そうではないようなという形で順番もばらばらで、ちょっと、カテゴリー分けをするとか、目的やねらいに分けてやった方が読む側としても、「あっ、これとこれがポイントだな」というのがわかるかなと思いました。
 あと、ワーク・ライフ・バランスの取組みが最終的に男女共同参画の加速につながっていくというところの中で、この18ページの「・」、6つですね。これがワーク・ライフ・バランスそのものの取組みなのか、それとも、その追加的な取組みなのかというところが、少しまぜこぜになっているところがわかりにくいかなと感じました。
 それから、最後に、ちょっと前後しますけれども、「期待される効果」のところの、18ページの真ん中、上辺りですが、「男性の育児休暇取得の増加」というのが効果になっていますが、これはちょっと、効果なのだろうかというのが。
佐藤会長
「必要な取組」と、両方になってしまっているのでしょうか。
永木委員
そうですね。その効果を得られるための途中経過だと思うので、並列させるには少し変な感じがしました。
佐藤会長
では、今の御指摘はちょっとやっていただくということで、では、小室さん、いかがですか。
小室委員
ありがとうございます。武石先生がおっしゃっていた介護の話を、私も最後のまとめのところに入れたらいいのかなと思いまして、17ページの下から2行目と3行目の間ぐらいなのか、大体ですけれども、結局、「長時間、働くことを前提としていると、今後、育児だけではなく、介護ということが予想されるので」というような視点をこの辺りで追加するといいのではないかと思いました。
 それと、「長時間労働を前提としていると、能力発揮ができない可能性がある」という感じで書いていますが、実際にもう結構、その状況が起きているので、何かで調査できているものはないのかなと。
佐藤会長
もっとはっきり書けということですね。
小室委員
そうですね。グラフとかも、何かそこにひも付けて入れられるグラフとか図表とか、何かないのかなと思いまして、最低限、企業さんの事例。
佐藤会長
自己啓発できないでいるのはなぜかというのでは、「仕事が忙しくて」とか「残業が多くて」というような調査はあります。
小室委員
若手の女性が「管理職になりたくない」とか「ステップアップしたくない」と考える理由に、「そういう長時間労働ができないから」という項目をよく選ぶと思うのですが、それが国の調査の中にないのかもしれませんが、よく一般的には見られる調査結果なので、何か途中のもっと早い段階の調査結果の中にもそれを入れておいて、ここでももっと言い切るということができたらいいけれども、ここは大分、推測のような、「可能性がある」というようになっていますけれども、もっと強く入れていいのにというようなところです。できれば、グラフを入れてもらいたいというところです。
佐藤会長
能力開発。前、研究を出していますよね。別の専門調査会で女性の能力開発の方で、確かそういう議論もしていたような気もするので、もし、あれば見ておいていただいて。では、介護のはちょっと皆さん、御指摘されたので、見るように。では、高橋委員。
高橋委員
今日、これを拝見して、一番最初のページのタイトルを見ると、「多様な人々の能力」というタイトルが書かれていますが、文中で表記されている言葉は「多様な人材」となっています。「多様な人材」という言葉を考えてみると、では、どういうのが「多様な人材」なのかということが一般的な言葉としてイメージしにくいので、どこかのところで「多様な人材」という言葉を適切に定義する言葉が要るのではないかなと感じたので、ちょっと、そこのところの御検討をしていただければと思います。
佐藤会長
これもタイトルですよ。タイトル。これは、一つは従来型の伝統的な男性の働き方以外の人もということですよね。どうしましょうかね。何か、これについて御意見はありますか。確かに「多様な人材」というと、中でやっているのは「やや限定的だな」というイメージがあるかもしれませんね。
 多分、「ワーク・ライフ・バランス憲章」のときもそうでしたが、いわゆる正社員の人のところの男性正社員の働き方を変えることによって、実はそれ以外の人たちのその仕事、働き方、働かないことも含めた選択の幅が広がってきて、結果的に多様な人たちが働けると。
 だから、専業主婦の人も本当は働きたいのだけれども、今、子育て、夫が何もしないで働けない。こういう人も夫の働き方が変われば働くという選択もできるようになる。その議論をしたのです。ですから、多分、ここが変われば多様な人たちがその働く、働かないの選択について高まってくるという趣旨ですけれども、どこかにちょっと書きましょうか。御検討ください。そうですね。「はじめに」に書くか。ちょっと、よろしくお願いします。どうぞ、輪島主幹。
輪島主幹
本日は代理の出席なので、これまでの議論を踏まえた発言ではないのかもしれませんが。
佐藤会長
それが大事です。初めて読めたときに、おかしなところがよくわかる。
輪島主幹
一応、コメントだけ。16ページの、先ほど、「多様で柔軟性の高いキャリア形成パターン」という点のところのパラグラフですけれども、私どもの認識は今のところ、国会に上程されている育児介護休業法が、十分ではないのかもしれませんが、ここに書いてあるようなものを担保するということでの方向性で、今、見直しが行われようとしているので、今、御指摘の点はわからないわけではないのですが、方向性は示しているのではないかと思っているところです。
 それから、報告書のバランスですが、これはよくわからないのですが、1ページ目、1、2、3というふうになりますけれども、4ページから1があって、7ページから2があって、ずっと、2の記述は非常に詳細に書かれていて、16ページまでがまとめなのですが、そうなって、その17ページに3がちょこっと書いてあって、この位置づけが余りよくわからないというのと、3と4は続いているのか、それとも、1、2、3のまとめが4なのかというところがよくわからない。
 18ページ目のその「期待される効果と必要な取組」の記述が、調査結果から踏まえているのだと思いますけれども、ここまで本当に言えるのかというのを、私どもとしてはそう思って、「強く書け」という御指摘もあったので、なかなかバランスが難しいのだろうとは思いますけれども、特に「均等対応を進める」というところも書いてあるので、どうかなと。
 「今後の課題」というところも、かなり踏み込んで書いてあるとは思いますが、例えば19ページの一番最後の「管理職の中には現状の働き方を変える必要性を感じていない場合もある」と書いてあって、確かにそういう方もいらっしゃるかもしれませんが、本当にそうなのかなという気がしないでもないということです。以上です。
佐藤会長
その辺は、後でその辺を輪島さん、岡本さんの議論を聞きながら、少し事務局がやって、また見ていただくということかな。確かにバランスをどうするか、これはなかなか難しいですね。3を2つに割れるとか、あればいいけれども、ちょっと、どうしましょうか。
 一つは3を「既存調査から見て」というように、2つに割ることはできなくはないけれども、これは3-1、3-2という感じではできないわけですか。そうはいかないのか。そうはいかないのだ。
 でも、量はしょうがないかな。構成がわかればよいぐらいで、「構成がわからない」と言われてしまうと困るので、それぞれの量はしょうがないかもしれない。ちょっと、それは。何かありますか。もし、あれば。
酒巻調査課長
構成は意図としましては、1から3のまとめが4であるという書き方です。3は確かに検討が余り深くできていないという認識をしておりますが、少し別の話題なのかなと思いまして、一応、独立した節ということで書いております。
佐藤会長
ちょっと、これは考えさせていただきます。はい、どうぞ。小室委員。
小室委員
済みません。図表1-8が、結構、初めて見ると、これはなかなかよくわからないなと思いまして、ページで言うと資料編の方の8ページだと思いますが、これは制度をつくっている、つくっていないとか、取組みがある、ないで並べていますよね。
 それが何か左から右に上ったように見えるのです。時系列で、かつて45だったのが57になったというふうに、何か、見えるのです。つくっている場合とつくっていない場合の2つのパターンを比較するなら、こういうふうにする必要があるのかなというのがよくわかりませんでした。
 それと、その左側にあるブルーの上向きの矢印も、これはどういう意味でこの矢印なのかということがわからなくて、すごく考えて、やっと最後、わかりましたが。
佐藤会長
縦に見ればよいということですよね。
小室委員
そうですね。
佐藤会長
けれども、これはもとのがこうなっています。だから、どうしましょうか。
小室委員
なので。
酒巻調査課長
研究所で公表した資料をそのまま引用しておりまして、ちょっと、改変してよろしいかどうか、情報元に相談をしてみたいと思います。
小室委員
どうでしょう。私が見るのが慣れないからなだけで、皆さんはわかるのでしょうか。
佐藤会長
比較すべきなのは、縦ですよね。
小室委員
そうですね。
佐藤会長
縦と。そうか。
小室委員
だから、前提の両立支援策を導入している企業の、なのです。企業のが緑で。していない。これはすごくいいデータなのに、見え方がキャッチーではないせいで、多分、今後は引用されないであろうという、すごくもったいない感じが。何か、これがすごくキャッチーなグラフにしたら、いろんな人がいろいろなところに引用して、すごく広まるのになと思って、何か、もっと見やすくならないのかと思います。もったいないと感じました。
佐藤会長
これは上の図だと、制度を導入する、しない。そうか。でも、やはり、これは横に比較しますね。だから、その制度を導入しているところ同士でも、評価をつくっている方が業績が伸びるのだから、つないでいていいことはいいのです。
小室委員
そうですね。
佐藤会長
比較がこのつないだところなのですね。だから、同じ会社に移動するわけではないけれども、そことそこを比較してくださいというあれですね。
小室委員
やはり、何となく棒グラフ、2つとかではないでしょうか。
佐藤会長
その方が。それでもいいけれども。
小室委員
こういう方がわかるのに、こうつなぐと移動、何か、年度で移動して。
佐藤会長
「これから作成」とすればいいでしょう。つくり直してしまえば。別に出所を書いて、データに基づいてつくり直してしまえば。小室さんにプレゼンの仕方を聞いて。プレゼンの本も書いている小室さん。
 では、次のをやって、また。大沢さん、今、1章について、いいですか。今、見ておいていただいて、戻ってくるので。
大沢委員
わかりました。ありがとうございます。
佐藤会長
では、済みません。2章の方を、もう一個、ありますので、やって、残ったところでまた大沢委員も含めて、全体のがあればということで。では、2章の方をお願いします。
日原調査官
では、2章の「雇用者以外の就業者のワーク・ライフ・バランスを実現するための課題」ということでございまして、これは大きく1の「現状」と、それから2の「課題」に分かれております。
 1の方の「現状」で、全部で5点、挙げております。まず、(1)、「性別でみた就業状況」でありますけれども、雇用者以外の就業者の中で、自営業主の中では女性が24%、約4分の1であるのに対して、家族従業者については約8割が女性で、非常に大きな差があるといったことを述べております。
 それで、(2)が「多様な就業時間」ですけれども、非常に就業時間の状況が多様で、雇用者以外の就業者ということでは、一くくりにできない状況がございまして、ここでは非農林業の中で雇用者と自営業主、家族従業者を見ているわけですけれども、これらをそれぞれの一くくりにしますと、男性、女性ともに週40時間以上働く就業者の方の割合、雇用者の方が高いわけですが、更に細かく見て、雇っている方がいるかどうかということで見ますと、やはり、男性、女性ともに雇い人のいる自営業主では週40時間以上働く方の割合、雇用者と同程度か、それ以上ですし、60時間以上働く方は雇用者よりも割合が高いと。一方で雇い人のいない自営業主の方の場合は、就業時間が短い方も雇用者に比べて多いということで、非常に状況が多様であるということでございます。
 それから、3番目が意識の問題を取り上げておりまして、これも非常に多様で、雇用者以外の就業者の方を一くくりにするのは難しいわけですけれども、幾つか、既存の調査を挙げておりまして、認知度とか希望と現実の状況、2ページにまいりまして見ますと、地域社会活動などのための時間は、比較的、とれているといった傾向がうかがえること。
 それから、雇用者以外の就業者の方の場合、有識者ヒアリングでもお話がありましたように、経済的な面の不確実性が一般的にあるわけですけれども、その反面では、やはり気持ちのゆとりとか、仕事のやりがいといったような面で雇用者よりもよいと自己評価をされている方が多いといった調査結果も得られております。
 それから、4番目。これは「家庭の状況」でありまして、これは仕事と家庭の両立、雇用者以外の就業者の方でも課題となっております。女性について見ますと、やはり負担感が重くて、両立支援に対する要望も強くなっております。
 それから、5点目にまいりまして、先ほど、家族従業者の方の方が女性の割合が高いということを申し上げました。それから見ますと、男性と比べると、ほかの家族の方が経営する事業を補助する立場で働かれることが多いと考えられるわけですけれども、しかし、一方では御自身で事業を興されたり、あるいは事業経営に積極的に参画されるという動きも決してまれではございませんで、ここでは2点、挙げております。
 一点目が女性の起業でございます。特徴としましては、比較的、小規模で、生活や地域に密着したサービス分野での起業が多いということでございます。
 それから、起業をした動機を見ますと、やはり、「家事や育児をしながら柔軟な働き方をするため」ですとか、「年齢や性別に関係なく仕事をするため」という理由の割合が男性に比べて高いわけですけれども、その背景にはやはり企業や組織で働き続けながら、仕事と家庭の両立をする、あるいは能力を発揮していくということの難しさがあるといったことも考えられるわけでございます。
 それで、実際にも、女性の経営者の場合は男性と比べて、企業や組織の場での勤務キャリアの状況が違うということで、知識やノウハウを得ることが難しい。そして、起業や事業経営に際して不利な要素となっているという面がございます。
 それから、もう一つ、2点目は農山漁村における女性の活躍の場の広がりでございます。農山漁村の女性、女性の割合、役割が適正に評価されにくい状況が指摘されたわけでありますけれども、女性の農業委員や女性理事の増加に向けた活動、あるいは農村女性による起業も増加しているといったような動きが出てきております。
 更に農山漁村については、自然を相手にした職業で労働時間を定めにくいという面もありますけれども、一方では地域の結びつきが比較的、高いとか、仕事と生活の調和を実現する上で魅力ある条件もあるといったようなことを挙げております。
 こうした流れを踏まえますと、雇用者以外の就業者にとっても、やはり、ワーク・ライフ・バランスの推進は重要性を増していると考えられるわけでございますが、2からは「課題」を4点、挙げております。一点目は「仕事と家庭の両立に関する意識の啓発」でございます。
 やはり、雇用者以外の方にとっても、女性が就業を続けていく上で仕事と家庭の両立は課題でございまして、これは働くことそのものについてもそうですが、その仕事に必要な知識や情報を得て、人的ネットワークづくりを進める、そういう学習の場などに参加していくためにも重要であると考えております。
 先ほど、御説明させていただきましたように、家事、育児や介護につきましては、やはり、女性の担う割合が高くなっておりますので、固定的な性別役割分担の見直し、男性の家庭参加、この重要性を一点目に挙げております。
 それから、二点目は「多様できめ細かな両立支援の推進」でございまして、雇用者以外の就業者の方、自分の裁量で働けるということで、仕事と子育てや家事など、家庭との両立が比較的、容易と考えられがちといったところもありますけれども、実際には、これも有識者ヒアリングのお話などでありましたように、就業形態や就業時間はさまざまですし、かえってその明確な就業時間を定めにくい。それから、経済的な面での不確実性もあるということで、組織に雇用されていないからといって、必ずしも、その家庭の状況に合わせた柔軟な働き方ができるとは限らないということがございます。
 先ほど、申し上げましたような、自身で事業を興されるとか、事業経営に積極的に参加されるという方が増えれば、この重要性は一層、増すと考えられるものであります。
 保育制度とか放課後児童クラブについては、今、新しい制度の在り方、これは財源・費用負担とともに検討されておりますけれども、やはり、検討に際しては雇用者以外の方についても、同様にそういう就業の状況とか地域の実情に応じたきめ細かいサービス、保育サービスなどの提供が行われるように、十分、留意されることが必要であるということ。これを二点目に挙げております。
 それから、三点目は「人的ネットワークづくりと情報提供」でございます。雇用者以外の方の場合は事業そのものが軌道に乗って、着実に運営されていくということが仕事と生活の調和の実現ということで、大変、欠かせない要素になるわけですけれども、そのためには、事業に関する知識や情報の収集、あるいはネットワークづくりを進めることが重要になってまいります。
 特に先ほど、お話ししましたように、女性は男性に比べて就業経験の少なさという点で、こういった課題に一人で直面せざるを得ない場合も少なくないと考えられます。また、雇用者以外の方の場合は事業のその状況を見ながら、比較的、長い期間でワーク・ライフ・バランスということを考えられる場合も多いということでございまして、やはり、先にそういう経験をされてきた方と接して、自分の将来像や目標を考える機会は有用と考えられます。
 現在、こういうネットワークづくりとか情報提供という面では、女性起業家向けのメンターの紹介ですとか、あるいは女性農業者の方を対象としました相談体制の整備ですとか、いろいろな施策が始まったところでございますけれども、こういった支援はワーク・ライフ・バランスの確保と、それができる環境づくりという点からも意義のあるものであって、今後とも施策の展開が望まれるというものでございます。
 そして、その場合は、その一部の情報を知っている人、時間や場所の制約のない人だけが参加できるということではなくて、幅広い層が利用できるような、インターネットの利用ですとか、広報面の工夫などの配慮が必要であるということ。これを三点目に挙げております。
 それから、最後、「新たな付加価値を生み出す視点としての仕事と生活の調和」でございます。これはこれまでとは少し違う論点でありますけれども、企業や組織でもそのワーク・ライフ・バランスの推進によって視野の広がりですとか、創造性の発揮を通じて新しい価値想像力につながることが期待されているわけですけれども、雇用者以外の方の場合は、いろいろ、お話を伺いましても、より直接的にワーク・ライフ・バランスを実現するためのニーズを事業展開のきっかけにされているという例も多く伺っております。
 例えば、女性の起業の中で御自身が子育てをしながら働かれた経験をもとに、在宅ワークの仕組みを事業化されるとか、保育サービスを提供する事業を始められるといったような御報告もございました。
 それから、農山村につきましては、そのワーク・ライフ・バランスの推進を通じて、都市と農山村の交流の活発化、ひいてはそれが農山村における起業の促進とか、農業に対する理解の深まりが期待できるのではないかといった御意見もいただいたところでございます。
 仕事と生活の調和という視点をきっかけとして、仕事と生活の調和そのものを図るということは勿論ですけれども、さらに、こうした動きは、個人の生活や地域を豊かにしながら、新しい付加価値を生み出して社会に活力を与える新しい流れという見方として、期待ができるのではないかということ。これを四点目に挙げております。以上でございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。「ワーク・ライフ・バランス憲章」で国民すべてのワーク・ライフ・バランスを実現できる社会。ただ、議論としては雇用者として働いている人が多いわけですけれども、そういう意味では、今回、ここでは、多分、ほかでは議論をしていない雇用セクター以外で働く人たちも大事だと。
 ただ、「では、これしか書いていないのか」と言われるところがあると思いますが、とりあえず問題提起、今回はそういう趣旨で取りまとめたと御理解いただければと思いますが、そういう範囲内でも、いろいろ、御質問なり御意見があるかと思いますので、よろしくお願いいたします。はい、どうぞ。
小室委員
ここにどう入れられるかは、全然、アイデアはないのですが、私、起業していて子育てをしているので、これは苦労というか、感じたのが、保育園に入れるときに自分の家とオフィスが一体だとポイントが低い、その預けられる緊急度のポイントが低いということになって、預けられないといけないので、会社の登記の場所を遠いところにしているという、すごい面倒くさいことをしていて、実際、今はもうオフィスが別なのでいいのですが、当時はスタート時点で、多分、女性の方は自宅でやられる方が多いと思うのですが、そのときに、だから保育の緊急度が低いとみなされて、それでポイントが下がってしまうということが、最初、すごく苦労をしたのです。
 なので、何かそういうことへの問題意識がまずどこかで出て、それで見直しが出ればいいなと思って、この中に入れられる方法はよくわからないのですが、そういうことも、結構、あるのではないかと思います。
佐藤会長
4ページのところの書き方ですね。その雇用者以外の方の保育サービスといったときの、それですよね。多分、何かちょっと工夫をしてもらえればということですね。はい、どうぞ。杉山委員。
杉山委員
私も大分、とうが立ってしまったので、自分のことは何かあれですけれども、全然、触れていないNPOの働き方のようなところを。
佐藤会長
そうですね。
杉山委員
どうしましょうというか、現状では自営業の働き方ほどハードではないというか、収入面でもどうなのだろうという部分が多いのですが、今後のNPOの発展を期待するのであれば、少し見ていった方がいいのではないかという気もしています。
 あとは、課題のところに全然、触れられていなかったのですが、やはり、社会保障制度が弱いというのが自営業の厳しさというか、リスクヘッジができ切れていない部分ではあるのかなという気がしていて、そこもやはりちょっと見た方がいいのかなと。
 あと、結構、いいことをいっぱい書いてあるその3ページの「農山漁村の女性の活躍の場の広がり」ですが、確かにこういう面はいっぱいあると思いますが、そうはいっても、なかなか厳しい面を、時折、私は耳にするものですから、これを読んだ当事者の方が「そうじゃないわ」と思われても、何だか残念なので、ちょっと、そこら辺、もうちょっと何か両方の部分を見ていただいた方がいいのかなと。
 あとは、昔、結構、はやっていたあのSOHOとかフリーランスの個人事業主的な働き方のことが余り載っていないのですが、どうしましょうかというか、ここの位置づけが前段の部分と、若干、トーンが違うので、どういう感じで御紹介するのがいいのかというのも、ちょっと気になるところではあるのですが、以上です。
板東局長
実は、ちょっと、使えるかどうか、わからないのですが、NPOに関してちょっと違う観点から違う課で調査をしたものがございまして、あれはちょっとできますか。例えば再チャレンジのような。
塚本推進課長
足りない部分があると思うので、入れられる分は入れるようにしたいと思います。
佐藤会長
形式的に言えば、NPOでもそこで雇用関係を持って働いていれば、雇用者の方ですよね。NPOであったとしてもね。そういう意味では、そこでNPOだからほどほどの給料でいいというわけではなくて、もう一つ、今度は完全なボランティア活動でNPOをやっていく人は、そこの人は落ちてしまうのです。
 収入、基本的には収入を伴うのが働くということなので、ですから、ある程度はカバーできるかなという気がしますが、問題は確かに個人事業主で、これは2つあって、本当に個人で事業をやっている場合と、個人だけれども、基本的にはかなり一つの会を従属的にやっている部分がありますよね。
 個人で自分でやっている部分については、これは雇用者なし自営業主に入ってくるけれども、その中で、多分、2種類あって、かなり自立的にやっている人たちと、インディペンデントではなく、ディペンデントな個人事業主がたくさんいるので、それは確か、ちょっと雇用者に近い人たちが他方でいるので、どうしましょうか。
 その辺のことは余り触れていないけれども、ただ、なかなかデータもないということがあります。では、NPOのことはちょっと使える部分は考えてもらうことにして、個人事業主ですが、一人でやっている人は皆、このいわゆる雇用者なしのところに入っているわけですよね。ちょっと、なかなか難しいなと。
板東局長
この部分は確かに、全体すべてを、なかなか状況が把握できない。先ほどの説明にもありましたように、あの中でどういうジャンルの人たちがどういう状況なのかが、ちょっとわかりにくい部分もありまして、ただ、今まで、やはり雇用者の問題だけで専らワーク・ライフ・バランスの問題が語られているし、先ほどから御指摘のように、やはり正社員の問題が中心になっていますが、本当はワーク・ライフ・バランスの推進ということを考えたときに、もっともっと広がりが大きいし、また、それぞれの分野で違う課題もある、あるいは違う可能性もあるというところを、少し広げて問題提起をしたいという思いがございます。
 そういう意味では、全体を精緻にやれていないというのは事実だと思いますけれども、少し、やはり、ここで触れないと、ほかのところではなかなかそういう問題が出てこないだろうというところで、少し整理をさせていただいているということでございます。
佐藤会長
では、その辺はちょっとできるだけ見て、考慮するようにしたいと思います。ほかにはいかがでしょうか。
杉山委員
済みません。
佐藤会長
はい。
杉山委員
たびたびで済みません。ちょっと、先ほど言い忘れたのですが。
佐藤会長
1章の方ですか。
杉山委員
こちらの自営業とかになりますが。
佐藤会長
はい、どうぞ。
杉山委員
自営業の方が地域でよく何かいろんな活動をされているというのがあったかと思いますけれども、やはり、PTAとか、それから自治会とか、そういった本当に地域を支える団体の担い手は、結構、商店街のおじさんとか、そういう人たちが相当、頑張っていらっしゃるというところは、結構、あると思うので、せっかくなので、こちらでそこもちょっと目配りをしていただけたらと思います。以上です。
佐藤会長
大沢さん、1章も含めて、何かあれば。なければ、無理という選択で。
大沢委員
後でもし時間があったら、少しコメントをさせていただきたいと思います。
佐藤会長
そうですか。先ほどの杉山委員のその個人事業主のところは、今から間に合えばですけれども、去年、厚生労働省の基準局の監督課の委託調査で、個人事業主の調査を委託調査でかなりやっているので、それはかなり自立性の高い個人事業主と、従属性が高い自営に分けて、取引先がどのぐらいかとか、価格交渉力があるかどうかとか、そういうのを分けて、それで、多少、その労働時間とか、仕事と生活の調和がとれているのかも確か聞いていたと思うので、ちょっと、リファーしていただければ。見つからなければ、言ってください。僕がやっているので。
 それでは、もし、1章、2章を通じて何かあればということで、あと10分ぐらいですけれども、全体を通じていかがでしょうか。一番大きいのは「多様な人々」、このところが結構、タイトル、それだけで見てしまうので、「はじめに」のところはちょっと工夫が必要かもしれませんけれども、これは変えるわけにはいかないとも思いますよね。そういう形でやっているので。では、そこはちょっと検討をさせていただきます。全体として、いかがでしょうか。
 それでは、これからの進め方ですけれども、一応、今日、伺った御意見と、もし、二、三日中にお気付き、あるいは、今日は細かい点は置いていくということがあれば、それを反映したものを事務局でつくっていただいて、それを皆さんに送って、もう一度、見ていただいて、時間は後でちょっとどの辺の時期になるかは。その後の調整は事務局と私でまとめさせていただくという形で、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

佐藤会長
つまり、もう一度、リバイズしたものを見ていただいて、後の調整はちょっと事務局と私の方でやらせていただければと思います。では、そういう形でやらせていただければと思います。 そうすると、今後の進め方で、いつごろ皆さんのところに行くとか、もし、わかれば、その今後の進め方について、ちょっと御説明をいただければ。
酒巻調査課長
進め方は、今、佐藤会長からおっしゃっていただいたようにやりたいと思いますが、スケジュールにつきましては、事務局でちょっと修正する時間等がございますので、少し、お時間をいただきまして、今月中にはまとめられるような形で進めたいと思いますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。
佐藤会長
そうしましたら、今月末ぐらいまでに届くと思いますので、1週間。
酒巻調査課長
済みません。今月中に最終版ができるぐらいのタイミングで、お送りしたいと思いますので。
佐藤会長
そうですか。そうすると、今、半ばだから、1週間後ぐらいに皆さんのところに届いて、それで四、五日、見ていただいてということですね。1週間ぐらい、見ていただく時間をとりたいと思いますので、では、そのとき、お手数ですけれども、もう一度、見ていただければと思います。
 その後、全体としての御説明で何かあれば、この調査会で、その後についてはどういうふうになっていくかどうか、もしあれば、少し。
酒巻調査課長
調査会の今後の予定でございますけれども、今回の検討に関しましては、本日で一応、最終ということにさせていただきたいと思っております。現在、男女共同参画基本計画、新計画の策定の議論が始まっておりますので、その関係で、今後、御協力をいただくこともあるかと思いますので、その際はどうぞよろしくお願いいたします。
佐藤会長
そういうことですが、とりあえず、これをまとめるというところまでやっていただいて。はい、どうぞ。
輪島主幹
済みません。図表の1-1。これがコンセンサス。
佐藤会長
それですか。本文中の図ですね。「目指すべき方向」というときに、第1象限を目指すということですね。ですから、両立と基本的にこれが第1章の最初の1から4に対応していてということですね。ですから、基本的にはそれをベースにやったと。
輪島主幹
この右の下とか左の下にバツが書いてありますけれども。
佐藤会長
望ましくない。
輪島主幹
望ましくない。それで、このバツのところから右の上に行くとか、そのプロセスというか、過渡期のようなものもあると思うのですが、ここは要は右上、右肩上がりでなければだめだということですね。
佐藤会長
なるほど。それは正しい、いい指摘ですね。それがなければだめですね。つまり、バツから丸に行くところはすべてあった方がいいですね。そうですね。だから、現状は例えば両立はできているけれども、均等ができていないという会社もあるわけです。相対的ですよ。
 そうすると、そこは均等を頑張らなければいけないし、均等はできているけれども、両立ができていないところもありますから、そこは両立の方をやるという意味では、これは両方あった方がいいですね。行く方としては。
酒巻調査課長
そうですね。矢印をいろいろ書きますと複雑になってしまうのですが、もともと、その赤の矢印だけの絵を最初に、そういう絵があったので、ちょっとそれを参考にしたのですが、わかりやすいようにと思いまして、灰色の矢印を加えたのですが、これは余計な情報であれば、これを例えば削除するとか。
佐藤会長
矢印をとってしまうか。
酒巻調査課長
赤のものぐらいはないと、ちょっと、なかなかわかりにくいと思いますが。
小室委員
確かに左の下から上に行くばかりではないですよね。
佐藤会長
そうですよね。実際、そういうパスを通らない企業が多い。
小室委員
左上がすごく多いです。
佐藤会長
多分、両方ともできていないところが多いけれども、片方だけできているという企業は、結構、あります。だから、当然、ずれはあって、だから、それは輪島さんが言われるのはそうで、ちょっと、ここを。
杉山委員
これを曲げて、こう、矢印を。
佐藤会長
曲げてやる。そうそう。そういうふうにする手はあるかもしれない。どうするかですね。
輪島主幹
この図の状態なのでしょう。そうでもない。
酒巻調査課長
これはわかりやすいようにと思いまして、つくったものなのですが。
佐藤会長
これだと、多様ではないので。
小室委員
矢印が全部なくても、おかしいですね。
輪島主幹
僕は、だから、ここに矢印があればいいのではないかという気もしますが。ここのところはこちらを目指す、ここはこちらを目指すということがわかれば。
板東局長
そう。これがなければ。
小室委員
同じ色で三方向から矢印が丸に集まってくる方がいいわけですね。
佐藤会長
そうそう。そういう感じにした方がいいと思います。そうか。この移行の矢印はなくていいわけですね。黒の矢印をなくして、赤だけというか、赤を3つ書けばいいと。その方がいいかもしれない。いものを書く、いい方向を書くというふうにすれば。現状はいろいろあると。現状は異なる出発点からでも、目指す方向は1か所だというメッセージにしてもらえば。では、ちょっとそれを御検討ください。
 大事な点を見落とすということがあるので、そういう点で、今日、来た輪島さんの最大の貢献であったと。はい、どうぞ。
大沢委員
済みませんでした。こんなに遅くなると思っていなかったのですが、それで報告書に対しての何か意見というわけではないのですが、資料を見せていただくと、やはり継続、両立支援や均等待遇をいろいろと整えることで、なるべく継続して働けるようにしようというメッセージはあると思いますが、実際には7割の女性が働いた後の再就職の問題もあって、逆に再就職の道が整って、多様な選択肢があると継続が進む。
 何かそういう点で言えば、今後、考えていく上には多様なキャリアを同じように位置づける、何かそういうような方向で、正社員がいいとか、一方方向に行くのがいいというのではなくて、むしろ、今の議論でちょっとありましたが、「皆でこちらの方に行こうね」というのも確かだけれども、実際のインターネットの調査を見ていると、意外と皆の希望が多様だと。
 家庭だけではなくて、個人生活を充実させたいとか、コミュニティの活動を充実させたいという、何か、そこにむしろ社会が対応していくということが、今後、必要になっていく。その一方にこのワーク・ライフ・バランスがあるのかなと考えています。また、具体的にメールで意見をさせていただきたいと思います。
佐藤会長
先ほどの「柔軟で多様」ですか。そこのところの書き方を少しやれば、今、大沢さんの。今、そういう議論もしていたので、それを踏まえた形でやると。
大沢委員
そうですね。議論があったのだと思います。
佐藤会長
それでは、先ほど、何かうちは18回、会合をやってきたということですので、まだ、ちょっと、皆さんに個別にお願いをすることがあるかと思いますけれども、多分、一つの報告書をまとめて、一つの区切りの時期で、調査会はまだ残っているということですけれども、本当にどうもありがとうございました。また、少しありますけれども、これからもよろしくお願いします。それでは、何か。
板東局長
本当に18回ということで、その委員の方の中にはその前の少子化と男女共同参画というときから、ずっとこのワーク・ライフ・バランスの問題にお付き合いをいただいたという方々も、たくさんおいでになります。本当に長い間、非常に緻密な御議論をいただきまして、ありがとうございます。
 それで、先ほど、ちょっと御質問にもありましたが、やはり、この問題は男女共同参画会議、また、その2つの専門調査会で引き続いてやってきたことにより、一つ、大きなワーク・ライフ・バランスの推進という流れができてきた。
 それも特に子育てというだけではなく、幅広く見ていこうという流れが出てきたのではないかと思っておりまして、そういう意味では、今の「憲章」「行動指針」の中にも、この専門調査会でやっていただいたことが、随分、活かされておりますし、それから、いろいろ、我々としてもワーク・ライフ・バランスの推進ということで説明する資料、その他にも、随分、この専門調査会でやっていただいたことを盛り込ませていただいているということだと思います。
 今後でございますけれども、今、先ほど、お話をさせていただきましたように、基本計画を、これから新しい次期の基本計画をつくっていくということですけれども、その中でこのワーク・ライフ・バランスの推進の問題は、一つ、大きな柱ではないかと思っておりまして、今の基本計画の中では「仕事と家庭生活の両立」という形では、柱として入っているわけですけれども、それがこのワーク・ライフ・バランスの推進の検討の流れの中でもっともっと大きな視点の中でとらえられていると思います。
 それから、ここのまさにこの報告書でいただいているように、またワーク・ライフ・バランスの問題から立ち帰って、男女共同参画推進との関わりをどういうふうにうまく有機的にやっていくのか。改めて、そういった視点で、このワーク・ライフ・バランスも取組みの中身を検証していく必要があるのかなと思っております。
 そういった全体のワーク・ライフ・バランスの推進、それから、男女共同参画の推進を一体として関連づけた形で、また基本計画の中に位置づけていきたいと思っておりますので、また、引き続きまして、この専門調査会の方にもその基本計画づくりの過程で、また御相談をさせていただいて、よりいい中身でその基本計画の中にワーク・ライフ・バランスを位置づけていきたいと思っておりますので、また、これで終わりということではなく、引き続きの御支援も含めまして、お願い申し上げたいと思います。本当に、どうもありがとうございました。
佐藤会長
それでは、本日の専門調査会を終えるというふうにさせていただければと思います。どうもありがとうございました。

以上