仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会(第14回)議事録

  • 日時: 平成20年7月1日(火) 15:00~17:00
  • 場所: 永田町合同庁舎第1共用会議室

(出席委員)

佐藤
会長
植本
委員
岡島
委員
勝間
委員
北浦
委員
杉山
委員
高橋
委員
永木
委員
羽入
委員
牧野
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 「多様な人々の能力発揮を実現する「仕事と生活の調和」推進の在り方」(仮題)についての今後の進め方
  3. 意見交換
  4. 山口一男シカゴ大学教授よりご講義:「男女の賃金格差解消への道筋:統計的差別の経済的不合理の理論的・実証的根拠」
  5. 質疑応答
  6. その他
  7. 閉会
佐藤会長
それでは、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」の第14回会合を始めさせていただきます。
 まず、7月1日付けで事務局の人事異動がありました。まず、竹林審議官が日本学術会議に転出されまして、後任に齋藤審議官が着任されました。長谷川総務課長が国交省に転出されまして、後任に久保田課長がいらっしゃいます。今日は御欠席ということです。栗田調査官が内閣府の賞勲局に転出されまして、後任に日原調査官がいらっしゃっています。

(齋藤審議官と日原調査官よりあいさつ)

佐藤会長
本日の議題は、今後の専門調査会で検討する新しいテーマについて御議論いただくということが前半の議題です。後半では、シカゴ大学の山口一男先生にお越しいただいて、今後の議論の参考となるお話を伺うことになっていますので、よろしくお願いいたします。
 なお、本日の議題に入る前に御報告がございます。この専門調査会で議論していただいて作成しました「仕事と生活の調和実現度指標」ですが、これについては今後、仕事と生活の調和連携推進・評価部会で検討すると。ですから、その後の見直しやその評価については、そちらの部会でやるということになりましたので、御了解いただければと思います。この点については事前に御説明がいっているかと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、最初の議題ですが、「多様な人々の能力発揮を実現する「仕事と生活の調和」推進の在り方(仮題)」につきまして、事務局から御説明いただいて御意見を伺えればと思います。それでは、お願いします。
神田調査課長
お手元の資料の資料1-1から1-3までについて御説明をしたいと思います。
 新たなテーマ案としましては、ここにありますように、「多様な人々の能力発揮を実現する「仕事と生活の調和」推進の在り方」としてはどうかという御相談でございます。
 まず、このテーマを掲げました問題意識について、若干御説明をしたいと思います。
 「仕事と生活の調和」の実現は、個人の希望を叶えるとともに、企業・組織、地域社会にとってもその成長のための活力の源となるものであると。それらすべてが好循環の関係、Win-Winの関係といいますが、そういうもので結ばれることが期待されている。まさに、この考え方は、本調査会で19年の7月に基本方針を出された。その基本的な考え方と一にするものだと考えています。
 しかし、現実を見てみますと、企業・組織において、仮に仕事と家庭の両立支援が行われていても、仕事における女性の登用など、活躍の場が限られているということになりますと、意欲の低下につながる可能性もあろうかと思います。また、一方で、活躍の場はたくさんあるのですが、活躍するには従来の男性と同じ働き方をしなければいけないということであれば、その場を使える女性というのは限られてしまうということになります。こうした場合には、結果的には人々の能力が十分に発揮されず、個人にとっては仕事での充実感が得られない、あるいは企業・組織にとっても生産性の向上にならないということで、Win-Win関係は実現されないということになろうかと思います。
 また、地域について見てみましても、個人と地域とが好循環で結ばれるということが重要になるわけですが、現状を見てみますと、NGOあるいは地域団体等における女性の活躍というものは不十分である。また、地域が自立的に課題を解決する力を有しているかというと、なかなか有していないというような状況で、地域においてもいまひとつ物足りなさがあるという状況だと思います。
 そこで、個人、企業・組織、地域が好循環で結ばれる社会を実現するには、まさに仕事と生活の調和の取組を通じて、多様な人々の仕事の意欲の向上、能力発揮を達成することが必要であると考えています。それによって、Win-Win関係が実現されるのではないかと考えています。
 まさにこのことが、多様な生き方、働き方を希望している男女がいることを認め、それぞれ持てる能力を存分に発揮できる男女共同参画社会の実現と表裏一体をなすものだと考えております。
 こうした問題意識のもと、以下2点について検討いただいたらどうかと考えています。
 1つは、多様な考え方、あるいは多様な人々の仕事への意欲、能力発揮につながるような「仕事と生活の調和」とはどういうものか。
 また、意欲の向上、能力発揮につながるような「仕事と生活の調和」を実現するためには、企業・組織、また地域においてどのような点に配慮して、どのような取組を行うことが必要なのだろうか。恐らく、この辺に通じますと、狭義の意味のワーク・ライフ・バランスだけでなく、人事の在り方、処遇の在り方、あるいは研修・教育、そういった幅広い点について恐らく射程の範囲に入ってくるかなと考えております。
 2のところで検討項目があります。これは、まさに今日、御議論いただきたいところですが、あえて、ここでは大胆にどういう視点があるかというのを書かせていただきました。
 企業・組織、地域で働く人の意欲や能力を高める上での必要な条件は何かというのがあります。また、今まで希望と現実のギャップがあるところに問題があるという議論がありましたが、働き方に対してどういう希望を持っているのか。その希望が意欲、能力、退職行動などにどういう影響を与えるんだろうかということです。
 また、職域拡大、昇進、上へのチャレンジという言葉でも言いますが、それに対する意向はどうなんだろうか。後ほど御説明しますが、否定的な向きもあるのですが、それは何なのだろうかということです。
 また、育児期の問題については、両立支援施策と女性の継続就業、登用施策との関係です。両立支援がプラスであれば、就業継続も可能な状況になっているのか、また、その逆はどうか。継続はできても、両立支援が整っていなければ両立が不可能ではないか。また、そういうような現状の状況についても見てみたいと思います。
 1個抜かします。また、特に育児期の女性が就業を継続する上で職場に求められる条件は何なんだろうかということでございます。
 両立支援だけではなくて、何かプラスアルファのものが意欲とか能力発揮に必要なのかということでございます。
 また、そのほかの問題点としては、今まで企業で働く方を中心に考えてきましたが、もうちょっと枠を広げて自営業者、あるいは農林水産業がどういう問題を抱えているのかということについても、欲張って整理をしてみたらどうだろうかということを考えています。
 そういうことで、政策課題としては、ここも大きな柱でしかありませんが、働く人々の仕事への意欲向上、能力発揮につなげるには、両立支援策に加えてどのような取組を行うことが効果的か、また、多様性を受容し、それを活かすための人事マネジメントという言葉を使わせていただきましたが、それがどうあるべきかということでございます。例示としては、以下のようなことが課題に上るのではないかということで、幾つか書かせていただきました。
 調査方法ですが、調査としてはかなり難しいわけですが、1つはアンケート調査を行う。実際に働いている男女、または就業を中断した女性、なぜ中断したのかというのを、もうちょっときめ細かく調査をしたいと思っています。併せて個人インタビューということ、また、企業に対してもヒアリングを行って、成功事例、また自治体、研究機関など、NPOなども含めまして、やや広めにいろんな組織形態における成功事例を整理したらどうかということでございます。また、人に着目した事例集などもつくるというのも、1つの案としてあるかなということで、ここに書かせていただいています。
 最終的な成果のイメージですが、これは通常ありますように、報告書の形で提言を取りまとめ、それを連携推進評価部会の議論へつなげるというのが1つあろうかと思います。
 ただ、もう一つは、専門調査会というのは、ある意味でアクションにつなげるようなものを出していくという意味では、ある程度、成功した企業とありますが、企業・組織あるいは自治体なども含んだ、そういう成功事例を整理して提示をする。あるいは、ガイドブックのようなものなどがあり得るのかなと思っておりますが、ここは全く私どももまだ不十分なところでございまして、皆様のアイデアをいただきたい。どういうものがあれば、企業にとって早速取りかかっていただけるようなものなのかということのニーズをお聞かせいただければなと思っています。予定ですが、今日を第1回目としまして、大きくは来年の4~5月ぐらいまでにまとめて参画会議に報告をしたいと思っております。
 次に、今日は、なぜここで私どもが意欲あるいは能力発揮が重要かと。単にワーク・ライフ・バランスというだけではなくて、さらにもう一深掘りをしたいかということについて、既存のアンケート調査でその辺、問題意識を探ってみました。吉野専門官から説明をさせていただきます。
吉野専門官
説明させていただきます。
 これは、既存のアンケート調査からということでまとめております。時間の関係で主要な部分をご説明いたしたいと思います。
 参考資料でデータがございますが、これは後ほど御覧いただければと思います。
 まず、「仕事・働くことへの意識」ということで、なぜ働くのかといったところが①でありまして、一番多い理由は生計を維持するため、経済的理由といったところですが、ほかにも自分が成長するため、自分のスキル・能力を活かしたいからといったような理由を上げる方も多いというのが出ております。
 もう一つ、結婚を機に辞めた方の理由ということで、育児、結婚といったところが多いということになっておるのですが、こちらの男女局のライフプランニング支援調査で、②ですが、結婚時に仕事を辞めた人の理由というのは、辞めるのが当たり前とか、両立の努力をしてまで続けたいと思えるような仕事ではないというような、仕事へ積極的意義を見いだせないような方もいらっしゃったというのが掲げられております。
 次に、2ページ目ですが、意欲ということですが、両立支援と人事育成策を組み合わせると、男女ともに従業員の仕事への意欲が最も高まるというのが出ております。
 なぜ働くのかというところをまとめてみますと、必ずしも経済的理由ばかりではなくて、自分の成長や能力発揮等を掲げる人が多いということ。意欲は、両立支援策と人材育成策を組み合わせると、男女とも共通していますが、仕事への意欲が最も高まるということになっております。
 2番目ですが、仕事をする上でプラスになったものということで、仕事をする上で最も役立ったことはやる気という調査結果がございます。
 3つ目、働き方に関する希望ということですが、これは仕事の満足度を高めるのは、男女ともに、①の方ですが、定時退社で融通性があるとか、残業が多いが融通性があるという形で、融通性というところで満足度が高いというデータが出ております。
 3ページ目、④のところですが、仕事に対しては自分の能力が十分に発揮できる、責任を任せられている範囲が広いということに満足する方の割合が高いという調査結果が出ております。
 反面、職場を変えたいと思っている方の割合が多いのは、残業が多く融通性のない職場というふうに上げられております。
 (3)です。特に女性の継続就業に必要なのはということで、(3)の①、必要なことは子育てしながらでも働き続けられる制度や環境整備、やりがいが感じられる仕事の内容、会社に希望することは、育児や介護のための労働時間面の配慮、男女均等な待遇と公正な人事評価の徹底というのがデータで出ております。
 満足度などをまとめてみますと、4ページ目になりますが、仕事の満足度は融通性、裁量度、能力発揮に依存している。女性の継続就業に必要なのは、両立できる制度や環境、やりがいのある仕事のみならず、労働時間面での配慮、プラス均等待遇と公正な人事評価というところが上げられます。
 4つ目ですが、仕事での能力発揮の状況ということで、管理職になりたいかどうかという希望で見てみますと、まず、女性の管理職の希望という方ですが、女性ではなりたくない方が7割、逆に男性はなりたい方が65.8%ということになっているということで、それぞれなりたい理由ですが、男女ともやりがいが感じられる仕事がしたいがトップということでございます。
 逆に管理職になりたくないという理由につきましては、男女とも知識や経験等が不足しているというのがトップになっておりまして、特にその理由としては、女性の方が男性に比べて高いという数字が出ております。
 他方、企業ですが、企業の方は必要な能力を持つ女性がいないとか、勤続年数が短いとかというのが、その企業が考える女性の活躍推進の問題点、そういうふうに出ております。
 5ページ目ですが、近年の人事評価とポジティブ・アクションの状況ということです。
 ①の女性管理職が10年前と比べ増えた企業は26.4%。増えた理由は、女性の積極的な登用、公正な人事評価の実施と出ております。
 ②ポジティブ・アクションの取組としては、人事考査基準を明確に定めるというのが一番高い割合で出ております。
 ただし、(2)のところですが、ポジティブ・アクションに取り組む企業割合というのは減少傾向にあるという数値も出ておりまして、この辺を整理いたしますと、6ページ目でございますが、女性管理職を増やすには、女性の積極的な登用と公正な人事評価の実施が効果的であると。企業の取組としては、人事考査等の諸基準の明確化が多いと。しかしながら、ポジティブ・アクションに取り組む企業割合は減少傾向にあるということでございます。
 再度繰り返しになりますが、まとめといたしまして、1つ目は、働く男女は経済的理由ばかりではなく、自分の成長とか能力アップ等に働きがいを感じていると。満足度は、融通性、裁量度、能力発揮に依存しておるということです。
 一方で、管理職を希望しない理由として、男女とも、特に女性の方ですが、知識や経験不足が多いというふうに言ってきておるということです。
 仕事と生活の調和を実現するに当たり、仕事と家庭の両立支援の制度や環境整備に加え、柔軟性とかもありますが、男女ともに十分な能力発揮の機会を均等に得られるようにすることが重要だというふうに既存の調査結果からまとめさせていただきましたのが、資料1-2でございます。
 続きまして、資料1-3につきまして簡単に御説明させていただきます。
 この資料1-3ですが、一応、6つくらいのインデックスに分けて「企業の「仕事と生活の調和」に向けた取組の整理」ということで、このA3の1枚紙にまとめさせていただいたんですが、これは女性の登用とか柔軟な働き方、人事評価などをうまく組み合わせることによって、ワーク・ライフ・バランスの成果を最大限に活かせるのではというふうに考えております。
 最後に、資料1-4でございます。先ほど地域の話が出ましたので、地域の女性の参画状況ということで、主なデータを上げてみたのですが、地域においてはボランティアの行動者率というのは女性の方が高いのですが、その下のNPOとか、次のページのPTAのトップといいますか、そういったところの女性の割合は少ない状況であるといった数字でございます。
 簡単ではございますが、以上でございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。今日は、新しいテーマの第1回ということですので、この専門調査会でこれから取り組むテーマの内容について、皆さんに御理解いただくということと、その上でどういうような取組の仕方を検討していくかという御意見を伺おうと思いますので、まず最初、今回のテーマ・内容について少し御意見を伺えればと思うのですが、この専門調査会、男女共同参画会議のもとに設けられていくということで、そういう意味で女性の活躍の場、拡大を考えていくということが大きなテーマなわけですが、これまで従来の男性の働き方を前提として、そこに女性が入っていけるような、ややもすると、そういうような女性の活躍の場、拡大とやってきたわけですが、それでは限界があるだろうと。
 そういう意味で、男女役割分業を前提とした男性の働き方を変えていくということで、ワーク・ライフ・バランスを推進しないと、女性の活躍の場も拡大しないと、そういう考え方で今までの前半のワーク・ライフ・バランスの取組、男女共同参画会議の中でのワーク・ライフ・バランスという点では、全部ではないですが、1つ考えてきたと思うのですが、他方で、そういう意味でワーク・ライフ・バランス、働き方の改革というのを進めようということになったわけですが、ワーク・ライフ・バランスが進んでも、今度は女性だけを対象としたワーク・ライフ・バランス支援とか、つまり、逆に言えば、女性の活躍の場は広がらないで、女性がさまざまなライフイベントに直面して、仕事を辞めないで続けられるような仕組みになる。
 確かに、これは一面見ると、ワーク・ライフ・バランスがとれているのですが、女性が従事している仕事を見ると補助的な仕事で、賃金も低い仕事ばかりで、みたいなことになると、これはもともとの趣旨の女性の活躍の拡大という点からすると、いかがなものかということになると思いますので、そういう意味で、資料1-1の2つ目の丸はそういう趣旨だろうと思うのですが、両立支援ができていればいいわけ、ワーク・ライフ・バランスができていればいいわけではなくて、同時に女性の活躍の拡大という観点から見たときに、それも実現できているかという両方の視点で見ていくことが大事だろうということ、そういうワーク・ライフ・バランスが進む中で、女性の活躍の場を拡大していくというのを進める場合、どういう留意点が必要かと。つまり、ワーク・ライフ・バランスは、当然、進めますよと。ただ、その中で同時に女性の活躍を拡大していくというふうに考えたときに、どういうような取組が必要なんだろうかというのが、今回のテーマになるのかなと私は理解しております。
 そのときに企業の中だけではなくて、少し地域の方にも目配りをしようということで、ここは私は女性が確かに役員等々には活躍できてないということもあるわけですが、同時に特に働き盛りという言い方はおかしいですが、特に30歳代とか、その前後の男性からすると、まだまだ地域での活動に参加できてないということもありますので、この辺も少し考えた方がいいかなと思っています。
 そういう意味で、女性も男性も仕事と生活の調和をとりながら、同時に仕事も地域でも活躍できるような、そういう仕組みをつくっていくということを検討します。そのときにワーク・ライフ・バランスは進めると。もう少し地域での活躍を進めるときに何が大事かというのを、多分、検討する。両者の関係とですね。というふうに私は多少理解しておりますので、違っていれば、また事務局から追加していただきたいと思います。
 まず、資料1-1の問題意識のところについて、御意見なり御質問を伺って、その後、検討項目、方法という形でやれればと思います。ワーク・ライフ・バランスを進めるということを前提にしながら、もう一度、原点に立ち返って、女性の活躍の場を進めていくにはどうしたらいいかということを検討しようと思います。
 御質問でも御意見でも構いませんので、どなたからでも。
岡島委員
今の会長のお話も含めまして、今後、どういうふうに進めるかということについては、よくわかりました。ただ、概念的によくわからないところがありますので質問させていただきたいのですが、地域ということで、何を示しているかがよくわからないのです。例えば、1ページの3つ目の丸で地域における仕事という概念があるのですが、この地域における仕事は何か。
 そのちょっと下では、地域が自立的に課題を解決する力という言葉がありますし、先に進んでしまいますが、2ページの検討項目の現状認識のところで、地域で働く人という言葉もありまして、その地域というのが、例えば都市と農村とか、東京と地方という意味での地域という概念なのか、あるいは、後で自営業者、農林水産業者も出てきますが、雇用者ではなくて、自営業者的な農林業者とか、そういう観点を入れておられるのか、あるいは、企業で働くということに対して、NPOとかボランティアとか、そういう地域活動ということで考えておられるのか、そのあたりを教えていただければと思います。
佐藤会長
今、1と言いましたが、2までの方がいいですね。1と2、検討項目はセットで御意見を伺えればと思います。今の点、いかがでしょうか。地域での仕事といったときに何をイメージされているか。
神田調査課長
これを見ますと、確かに混在していて申しわけありませんでした。あくまでも地域に密着したような、地域活動を主にイメージしておりまして、NPOですとか、自治体ですとか、そういう地域での活用、活躍、そこが、勿論ボランタリーな活動であったり、あるいは、ちゃんと有償の仕事であったり、いろんな人がいるんですが、それを地域で働く人というようなイメージでとらえています。それは専業主婦の方が、勿論地域で働いている場合もあれば、企業・組織というのは、ある意味で地域とはちょっと別のところで働いていて、地域にも参加している人もいると思うのです。ここでは、あくまで地域に密着した活動を行っているような組織とか、団体で働いているような人をイメージしています。
岡島委員
そうしますと、職業としてというよりは社会活動としてと、そういうとらえ方ということでよろしいでしょうか。
神田調査課長
そうです。はい、そうなんです。
岡島委員
わかりました。ありがとうございます。
佐藤会長
今の資料1-4は、これはNPOですよね。そういうふうに言っていただければ、非常にわかりやすいのだけど、ただ、そこで働いている、主婦の人も働いているというと、パートで働いているみたいなのも入るのかというと、そうすると、企業じゃないかということにもなるので。
神田調査課長
あくまでも地域の組織であるNPOとか、地域団体で働いている人。
佐藤会長
そういう意味では非営利ということでいいですかね。
神田調査課長
営利というのもあるかもしれない。地域密着型の企業とか、そういうイメージで。
植本委員
基本問題専門調査会のところで「地域における男女共同参画推進の今後のあり方」の検討をなさっていっていますよね、この秋に向けて。そことの関連で、ワーク・ライフ・バランスを考えるときも、個人はどこにおろうと個人、1人だと、働いている場と、働いている場でどういう働き方をするのかということと、地域に帰ってどういう生活をするのか、それぞれは同一人がやっているんだというイメージで、わかるような形で、その個人をとらえて、どこにおろうと自立をした男性、女性が生き生きと暮らせる、職業生活も、地域での生活も、その1本が必要です。切り口を、横串みたいなところでいくのか、1人をずっとトータルな24時間というところでの場面にするのかでもとらえ方がちょっと違ってくるのかなと思います。そのときに、地域で生活者として働いている人も、専業主婦の人も、リタイアした男性、女性も、体が不自由であっても、何らかの社会貢献をしたいと思っている人たちも、みんな地域という横串ではいけるわけだけどもという、この縦と横との部分のところをイメージとしてまず整理をしてやっていく方がわかりやすいかなと思ったのです。
神田調査課長
確かにそうですね。地域におけるワーク・ライフ・バランスといったときに、とかく地域で活躍をする場でのどういう条件が整っているかというのに、印象としては、なっている部分もあるので、そこの個で通すのか、場としての整理にするのか、そこはもうちょっと整理させていただきたいと思います。
佐藤会長
ここは検討いただいて、もし例えば、NPOの中で代表に女性がなれないという話は、上の方の2番目の丸と重なるんだよね、それ自体は。地域の方はもう少し、できれば、働いている男性でなければ地域の活動を担えないとか、逆に言えば、そこにいるのは専業主婦とか高齢者ばかりという、そこをいろんな人が地域の活動を担えるようにするというふうに整理した方がいいのではないか。そこは御検討ください。
神田調査課長
はい、わかりました。
佐藤会長
どうぞ。
勝間委員
これ、お願いでもあるのですが、1番上の、多様な人々の能力発揮につながる仕事と生活の調和とはどういうものかというので、工夫して計測可能なものにしないと議論がすごく錯綜するような気がするのですが、これはどういうものかというのは、どのように答えが出てくると思われているのでしょうか。この問題設定ですと、何らかの仮説なり答えなりを私たちが出さなければいけないと思うのですが、どういうものかと言われても、どう答えていいのやらと。
佐藤会長
能力発揮というのは、すべてですか。
勝間委員
すべてです。このワーク・ライフ・バランスはどういうものかと言われても、どう答えていいのかさっぱりと。例えば、長時間労働が何年に比べると、今はこのぐらい進んでいるので、これぐらいにおさめますとか、非正規雇用、正規雇用の収入格差が何割ぐらいあるので、これは諸外国比どのくらい高いので、これについてはどのぐらいにおさめますとか、何らかのベンチマークなり、あるいは指標なりがないと、計測可能なものでないと、なかなか議論が難しいかと考えますが。
神田調査課長
そこは1つの議論のやり方として、そういう計測可能なメルクマールの指標みたいなもので、理想的な意欲や能力発揮につながる仕事の調和とはどういうものなのかというのを、指標で全部網羅的に上げるというのも、確かに1つの分析の方法だと思います。
 それと、今はそこまではまだ私たちの議論もいってなくて、実は資料1-1、先ほど説明を省きましたが、どういう因果関係でその個人、意欲、能力につながっているのかということで、職場の環境、個人の希望がどうかとか、経験とか働きがいがちゃんとそこにつながっているかとか、そういう定性的な整理、その流れがどこかで切れてしまうようなことがないように、評価も重要だし、その評価に基づいた活躍の場も重要だし、個人の希望が叶うことも重要だしということで、ある意味で、こういう条件整理を定性的に行うというのも、ひとつあろうかなと思っている状況です。おっしゃるとおり、そこは悩んでいて、数値で勿論とるという方法もまだあるとは思っています。そこは悩んでいます。
勝間委員
もし、その因果関係の把握が主目的でしたら、そのようにした方がいいと思いますし、因果関係で、今、何が問題点なのか、問題把握をもう一度するということなんでしょうか。1番目のピレットというのは。
神田調査課長
留意点を探るみたいなことですね。ワーク・ライフ・バランスを進めるに当たって、まさにそれが意欲や能力発揮につながるような留意事項としては、こういう点に留意して進めなければいけないというような把握をするということ。そのときの因果関係というものは、例えば、こういう個人の希望が叶わなければいけないとか、そういうやや抽象的な表現になります。
勝間委員
例えば、長時間労働の問題であるとか、正規、非正規の差別の問題であるとか、あるいは男女間の格差の問題であるとか、既に問題点自身はある程度明確になっていると思うのですが、それをもう一度、これで見直すということですか。そこがちょっとよくわからないのですが。
神田調査課長
そこについては、まさに次の山口先生のお話にも関連するのですが、評価というものが賃金あるいは待遇面でどういうふうに行われているかというのも具体的に入ってくるわけです。正規・非正規の関係も、意向にどう影響しているかとか、そういうことも当然ながら、そこは入ってくると思っています。
 だから、今、四角の中で書いてある、抽象化してかなり大きく書いてあるのですが、こういうカテゴライズした中で、何が留意としてワーク・ライフ・バランスをせき止めないようにするための、成果を最大限に導き出すために、どういう点に留意するかという中で、勿論賃金をちゃんと同一価値、同一労働なのかあれですが、そういう正当な賃金を支払うとか、そういう話も項目としては、十分入ってくると思っています。
勝間委員
そうしますと、議論が後戻りするのを防ぐためにも、私は今ある仮説を全部書き出すべきだと思います。すべての仮説を書き出して、カテゴライズしたものの中で、重点項目を決めていきませんか。
神田調査課長
そうですね。
勝間委員
それは強くお願いします。
板東局長
今まであまり議論をされてない中で、恐らく、この問題でかなり重要になってくると思いますのは、今、話が出ておりました評価の問題とか、あるいは処遇とか人事体系の在り方の問題ではないか。ワーク・ライフ・バランスの実現のために、長時間労働を是正しましょうとか、柔軟性のある働き方とか、そういうのは大前提としてあって、その上でそういう働き方を選択した場合に、例えば評価はどうなるのか、昇進はどうなるのかといったような人事の在り方、評価、処遇の在り方、そういったところがかなり焦点になってくるかなという感じはします。
勝間委員
そうしましたら、もっとそれがわかるように評価や処遇の問題に絞っていただけないでしょうか。こういう問題があったときに、大体こういう問題の構造があって、その中で特に今、課題になっているのは、そういう人事の評価と処遇、リクルーティングを含めた形の部分だと思うのですが、そういう問題ですというように言っていただいた方がわかりやすいかと思いますが、その上でベストプラクティスなり、評価指標なりつくれていけるわけですし。
佐藤会長
検討事項をどこまで絞るかは、少しまた皆さんの御意見を伺って議論できればと思うのですが、先ほどの4のところ、事務局に多少混乱があるのは、3ページの4のところの書き方も、今度、ワーク・ライフ・バランス自体について、男女共同参画の視点からして、ワーク・ライフ・バランスを推進する上でもこういう留意点が必要だということがあり得ると思います。例えば、女性だけを対象にするのではなくて、例えば、わかりやすく男性も対象にしてくださいという趣旨の話ですね。長時間残業を減らすということは、男女ともにだと思いますが、そういう話の部分と、ただ、ここの部分はかなり論点は整理されてきているので、今回はそこというよりかは、勝間さん言われたように、ワーク・ライフ・バランス支援自体ではなくて、処遇の話とかその周りのところです。男女共同参画という視点から見たときに、こっちの方をどういうふうにしたらいいか。例えば、評価が時間で評価されているということになると、なかなか進まないですよとか。
 ですから、そういう意味では、議論するのは、ここの書き方は、仕事の調和のための企業ではないんだよね。逆に言えば、ワーク・ライフ・バランスを進めながら、同時に女性が活躍できるような人材活用の仕組みとして、どういう留意点が必要かというのが、多分、ポイントとしては大きいだろう。これだと、ワーク・ライフ・バランスの進め方みたいな感じになっているので、そこはワーク・ライフ・バランスを進めていく中での留意点も勿論幾つかあると思うんだけれども、メインは周りの方です。雇用セクターで言えば、周りの方のどういう留意点が必要かということが、多分、勝間委員が言われたことかなと思ったのです。
勝間委員
もし、それがそうであれば、人材育成と活用と評価のところに絞っていただいた方が、より問題点はクリアになると思います。
佐藤会長
ひとつ、その辺は検討させていただきましょう。
北浦委員
今のように絞っていくのもいいと思うのですが、今回、地域をかなり重点に取り入れられたのですね。この地域との関係になると、企業と個人と家庭と地域、こういう枠組みの中で広くとらえようと、そのことは私も賛成なんですが、逆にこれを読んでみると、最終的な検討項目なり何なりは結局企業のことなんです。そうすると、今、勝間委員言われたようなところの問題というのであれば、そこがポイントならそういう形で絞るべきですが、ただ、これ、問題意識はもうちょっと広くて、それができないのは、例えば地域自体の問題として解決すべきものがあって、そこが解決できないと、どうも活動ができないと、こういうことを言っているようにも思えるのですが、それは後ろの方を見てみると、必ずしも検討事項の対象にはなってないような感じがする。
 つまり、もう少し具体的に言うと、ここで出てくる政策的既決は何かと、こういうことになるのですが、それが、例えば地域政策的な、PTAはどうしようもないと思うのですが、例えばNPO活動支援的なものとか、あるいは、もう少し教育への参加であるとか、そういうようなことまで政策的なことを意図して、地域ということをおっしゃっているのか、働く人も、そういうところへの参加のことを言っているのか。あるいは、そうではなくて、そういうものも含めて、いろんな幅広いところに行けるために、今のようなことをもうちょっと、さっきの評価のようなところとかやってやらないと、とてもじゃないですけども、そんな活動までは面倒を見れないと。育児までは会社は理解できるけれども、それ以上はできませんよと、こういうことの意味で、その場面ももうちょっと強調しようと。そこがどっちなのかというのがもう少し見えないと、議論としてわかりにくいのかな。
 ただ、これに書いてある限りでは、前者というか、勝間委員言われたような感じの議論にはなっているのかなと感じましたが、そこはどういうふうに考えたらいいか教えてください。
佐藤会長
2ページの2の(2)のところ、勝間委員が言ったところはかなりすごくて、北浦委員は、地域のというのは、ここにないのではないかという話だと思います。その辺はいかがでしょうか。
神田調査課長
正直なところ、教育とか、地域でどういうサポートを得られるかと。そういう見方での地域の認識はなかったです。あくまでも、ここでの地域というのは、NPOとか、そういう団体で働いているときに女性の能力、両立支援もあり、かつ女性の能力発揮ができるような地域での、地域を支えるNPOだとか、自治体だとか、そういうところで女性が能力発揮しやすくなるような、そういう条件というものはどういうものかと、割とそういう認識で書いております。
 そういう意味では、働く場としての地域の組織なので、企業と地域でのNPOというのは、そんなに差はないのです。人事の評価だとか、上に上がっていく階段だとか、そういうのはあまり差がないので、検討項目から落ちてしまったのですが、もし違っていたらまた追加していただいて。
杉山委員
私の場合、3ページの4の最終的な成果というところから逆算していくという方が、何となくいいのかなと思ったりして。この男女局の役割の中で、せっかくのこの機会をどう活かすかということを考えていった場合に、勝間さんおっしゃられたような、割とぎゅっと絞って、企業に対して何かしらを打ち出していくというようなことがいいのか、あるいは広く伝えるというか、そういう意味で地域のことも一方で見ていかないとという問題提起も含めてやっていくとか、そういうことをどうするのかと。でき上がった報告書なりをどう活かしていくのかというところを教えていただいて、であれば、そのためにどんな調査がとか。
 そういうふうにやった方がいいのではないかというのが1つと、私の個人的な意見としましては、このワーク・ライフ・バランスで多様な人たち、特に個人が能力発揮をしていく場合に、モデルが見えないというか、どういう感じで生きていると、ワーク・ライフ・バランスも整っているし、生き生き生きているだろうなと、そこがすごく個人個人になってしまうのですが、イメージがつかみきれてないところがある、ワーク・ライフ・バランスという言葉が先走っている。
 残業しないで早く帰るのだけど、何していいかわからないとか、わかりませんが、そういうことももしかしたらあるかもしれないと。現状がもしそれであれば、それに対応する何かしらの、こちら側からのメッセージもあるのかもしれないと思います。
 以上です。
板東局長
まだ、我々の方でも十分に問題を整理しきれてないということで、今回、いろいろお話をお伺いしながら、これからどういうふうに議論させていただくのか、あるいはどういうふうに調査していくのか、それから整理をさせていただこうと思っておりますが、1つ、私が是非御意見をいただければと思っておりますのは、今までワーク・ライフ・バランスは、企業の領域が、最初、岡島委員から御指摘あったように、典型的なイメージとしてあるのですが、すべての人のためにもワーク・ライフ・バランスということを考えますと、最近、医師の問題とか、そういう企業以外のところも含めていろんな議論しているわけです。先ほどのお話のような、1人の人間を見ても、働いて糧を得るということだけではない、いろいろな側面を持っているというところに、どうサポートしていくのかという問題も勿論ありますし、働くということから見ても、例えば農林水産業、あるいは自営業、そういったところで、ワーク・ライフ・バランスをとっていくためには、どういうようなサポートなり条件整備なりが必要なのかという問題があります。その中でさらに、例えば、農業では女性がたくさん活躍しているけれども、農業委員など意思決定の場にはなかなか活躍の場がない。それは、もしかして、意識だけの問題ではなくて、少しワーク・ライフ・バランスの関連の問題もあるのかもしれないといったような、いろいろな分野における、非営利のセクターなども含めて、企業における活躍の問題だけではない課題があるのではないか、あるいは留意点があるのではないか、このようなところにも、少し視野を広げていただけるとありがたいというのがあります。ただ、そのあたりの課題というのは、これから議論しなければいけないということで、あまり我々も整理できていないというのが正直なところでございます。
 例えば、今のいろんな子育ての支援システムというのは、企業で働く方とか、そういう就業している方に対するサポートというのは割合あるわけですが、勉強したい、地域活動したいという場合についての子育てのサポートというのは不十分だと。そういった面で力を発揮しにくいような形にもなっているのではないかということもあります。
 先ほど北浦委員からお話のように、企業の側の評価のところでもまだそこまでなかなか評価してないよというのも、もしかしたらあるかもしれません。
 そういういろんな活躍をしていく上での幾つか考えるべき課題というのがあって、それが今まで十分に議論されてないのかなと思います。ワーク・ライフ・バランスの議論も、もう少し広げていかないと、この問題は様々なところに波及していかないのかな、かなり狭いイメージになりかねないのかなと思うところでございます。
佐藤会長
どうぞ。
羽入委員
今、お話を伺っていて、これまでの議論もさらに広めるという点で大変共感して伺っております。
 その場合に、先ほども話が出ましたが、最終的な到達点というのが何かと考えたときに、ここでは企業が対象になっていて、企業に対するガイドブックをつくるとか、あるいは評価部会の議論につなげるという非常に漠然とした形になっておりますが、例えば、政策課題になった場合に、ここの議論の最終的な結論をどこに対して発信するのかということを知りたいと思います。
 例えば、今回は働いている人、成人の人、そういうことがターゲットになっておりますが、次世代というか若い人たちは、これから仕事を持とうと思う学生とか、そういう人たちがどういうワーク・ライフ・バランスなり仕事の在り方を考えようとするのかということを視野に入れて議論するということも必要なのではないかというのが、1つの私の考え方です。
 もう一つ、先ほども議論に出ましたが、評価というのがどの分野でも非常に重要になってくるだろうと。評価の仕方は、働き方が多様であればあるほど難しくなってくると思いますが、それは難しいがゆえに、我々が議論するべき事柄ではないかという気がします。
佐藤会長
どうもありがとうございます。どうぞ、高橋さん。
高橋委員
今までのお話を聞いてみても、まず1ページの丸ごとの単位で読んでみても、それぞれが今まで取り上げられたテーマを一つずつ切ってあって、横のつながりがないような感じがするのです。例えば、丸の2つ目というのは、働くことと両立支援をしてという、従来型の考えがここのところにぽこっと入っていて、ほかのところでは地域の話になっているというふうに、横に何の糸を通すのかというところが問題だと思います。それは、一番最初に書いてある、最初の丸のところに出てくる個人の希望を叶えるというところを軸にして、それでもう一度、再整理をすると、よく見えてくるのではないか。
 例えば、働いて両立支援を受けているというのは、それは個人の希望の一部であって、人生トータルで見ると、個人の希望は、特に地域や社会に出たい、子育てのころには相当の力を子育てに置きたい、あるいは、年をとってからはロハスな生き方をしたいというように、個人の希望というのは時間の軸とともに変わるので、それらを人生の段階に応じて個人の希望を叶える仕組みが会社に、あるいは地域に、それぞれどのようなものが用意されているのか、それをチェックする、リスティングするというか、そういうような視点もポイントではないかなと感じました。
佐藤会長
どうぞ。
牧野委員
私、今の御意見、非常に賛同するところがありまして、企業でワーク・ライフ・バランスを進めていく上で、勿論会社が柔軟性を提供するというのも1つですが、まず一人一人が人生というか、自分の人生にオーナーシップを持っているんですかというところから考えてほしいと思っているのです。ですから、こちらが何か与えるものが待っているとか、依存しているのではなくて、自分がどういう人生を送りたいのかというところでワーク・ライフ・バランスというのは考えるべきだと。
 そうなったときに、仕事はどうとらえるべきなのか、あるいは家庭生活をどう考えるべきなのか、あるいは地域活動をどうするべきなのかというところを考えるという意味では、実は会社はそういう人たちが自立して、自分たちの人生をオーナーシップ持って、自分の人生というは自分がプロデュースするんだという意識を持ってやることによって、初めて仕事に対してもモチベートが生まれてくると。そうなったときに、やる気も出てきて、そういうモチベートされた人間たちが集まることによって、企業というのは活性化するのだという期待を持っているのです。そうなったときに、どう一人一人がやるのかという意味では、もっともっと一人一人が人生を考えていくべきではないですかという、与えられるものではなくて、能動的に動くというものを提案していくというのは、聞いていて非常に重要なことなのかなと思いました。
佐藤会長
どうぞ。
岡島委員
いろんな御意見ありますが、地域とか企業とか、あるいは自営業とか、それぞれアプローチが違うのではないかなと感じを今、御意見を伺いながら持ちました。企業の問題につきましては、かなりいろいろ詰めておられるので、そろそろ本当に具体的にどうするかということにしていかなければいけないのだと思いますが、例えば、地域につきましては、先ほどNPOの中での働き方という御説明ありましたが、私はそうではないと思いまして、むしろ、NPOなどに参加できるようにどうするかという意味での働き方ではないのかと思うのです。
 そういうふうに、地域の問題というのは、自主的ないろんな活動ですから、そこにどうしたら参加できるか、そういう発想だと思いますし、農林業とか自営業は、別に労働が与えられるものではなくて、みずから自分で決められるはずなのです。でも、決められるんだけれども、経済的要因とか、意識の問題とか、さまざまな要因がある中で、自分の思うような働き方ができないという問題だと思います。そういう意味で企業の中、地域、地域社会での活動、それぞれアプローチの仕方なり、発想の仕方も違っていいのではないか。それに従って調査方法とか、調査項目とかも違うように御検討いただいた方がいいのではないかなと思います。
佐藤会長
北浦委員で、杉山委員。
北浦委員
今のことで尽きていますが、要は2ページのところの問題意識のところの最後のところに、どういう取組が必要かというところで例示的に研修とか企業の内容だけ書いてあるのです。これが結構引っ張られてしまっているところがあるので、これをとって考えれば、もう少し広く考えられるのかなという感じがするので、最後の結論、地域のことに取り組むのであれば、もう少し後ろのところも広げたような形で書いていただいた方がいいのではないかと思います。
杉山委員
局長が先ほどおっしゃられたことが、私なんか随分うっと響いているところがあって、それは時々、地方とかに行って自治体の方のお話を聞いていますと、ワーク・ライフ・バランスということを取り上げるときに、すごい田舎とかでも、企業も301人以上もいないような小さなところでも、ワーク・ライフ・バランスというものを使って何をしようとするかというと、家庭内の性別役割、分業意識を変えようとするときにワーク・ライフ・バランスを使うと、そういうやり方をされている状況がありまして、一番、声が届かない層だと思うのですが、例えば農業にしても、パートの労働とか、いろんなそういう層の人たちは、意思決定の場に女性が非常に少なくて、本来、こうあるべきだよねというとおりになかなかいかない。多分、それはNPOなどもそう、PTAもそうですし、女性が働き手としてすごく期待されているんだけれども、意思決定はできていないと、そういうところを、これをワーク・ライフ・バランスというのかというのは、また別かもしれないんですが、ずっと根強く残っている、男女共同参画をずっと考えてこなければ課題ではないかと、行く先々で思ったりしているのです。
 それが、ここのシャープなワーク・ライフ・バランスとどうつながっていくのかというところは難しいかなとは思うのですが、何かアプローチができるのであれば、書き添えてもらえたらなと思います。
 以上です。
佐藤会長
どうぞ。
大沢委員
時間がないので具体的に提案まではできないのですが、先ほどどなたかおっしゃられたように、組織と個人の関係が、今、時代が大きく変わっている中で、変わってきていると。今までは行政は組織を応援して、運営しやすいような環境をつくっていくというところから、個人を応援していく。特に日本の労働市場の中で、どこが問題かというと、雇用の入り口なのです。新卒採用、既婚女性の中途採用、定年退職後の男性の非正規化というようなところで、そこがアメリカと比較して大きく違った点なわけです。
 ですから、最初からうまく入っていける人はいいんだけれども、一旦、その道から外れたときに戻れないと。ワーク・ライフ・バランスの中で、今までは企業の中でワーク・ライフ・バランスをどう進めていくかということでしたが、個人ということになってくると、個人がいろんな段階でやり直したいと思ったときに、それを社会がどうやって応援していくのかという、そこの部分が日本は非常に弱いのではないかと思います。
 具体的にそれをどうやって調査するのかと、それはまた後の問題で、そこまでは考えてはいないのですが、男女共同参画として女性の力をどう高めていくのかというときに、アメリカの変化の中で私が重要だと思いましたのは、最初に独身の女性が働く。M字になるときに、中途採用を支えていくような、私は大学におりましたが、奨学金を出して主婦が大学に戻ってくる、そういう人たちの奨学金の審査員などをやりましたが、そうすると、世の中が既婚女性が働くというイメージにだんだん慣れてきて、台形型になっていくと。その仕掛けをどこにつくるかだと思うのです。やり直しができるという社会をつくっておかないと、いろんなところでぎくしゃくしてしまって、それは既婚女性の問題ではなくて、フリーターの問題とか、いろんなところで今、問題が出てきているのかなと思います。
 以上です。
佐藤会長
山口先生においでいただいていますので、今日、御議論いただいたことを踏まえて、雇用以外の働き方もいますし、勿論、社会活動等の収入を伴う活動でなくても、ワーク・ライフ・バランスが必要ですので、もう少しいろんな働き方の人、社会活動をやっている人と、その両立支援として、そういう意味では企業だけではないので、地域での支援で必要なものがあるかどうかということ。
 勿論、企業のところは少し深堀する必要があるだろうと勝間委員もありましたので、ワーク・ライフ・バランスと同時にその周りのところをどうするか。
 もう一つは、地域のところは整理していただいて、NPO等での活躍の場拡大は、最初の方の話でいいのかもわからないので、そうすると、特に地域に関わってこなかった人たち、特に男性を抱えるような地域での活動の仕組みをどうするかというのが、もしかしたらテーマになるかもしれない。その辺、もう一度御検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次回の専門調査会までに、今日の御議論を踏まえたものをつくり直していただいて、また御意見を伺うというふうにさせていただければと思います。
 それでは、山口先生もおいでになっていらっしゃいますので、予定していますテーマについて御講演いただいて質疑という形にさせていただければと思います。
 多分、紹介しなくても、最初に自己紹介していただける、あるいは皆さん、御存じの方、多いと思いますが、よろしくお願いいたします。
山口教授
シカゴ大学の山口です。よろしくお願いいたします。
 今日のテーマは、「男女の賃金格差解消への道筋」と。これは日本労働研究雑誌に出た論文をもとにして、ワーク・ライフ・バランスの関係についてお話ししたいと思います。
 最近、私、ワーク・ライフ・バランスはWin-Winだというのを、ミクロのWin-Win、マクロのWin-Winと言っているのですが、ミクロのWin-Winというのは、個人のレベルで、ワークもウィン、ライフもウィンと。勝間さん、今日いらっしゃっていますが、ムギ畑のメンバーたちがポジティブ・イメージとして与えてきたものです。両方ウィンだと。マクロのウィンというのは、社会のレベルで、ワーク・ライフ・バランスが少子化対策にも役立つし、男女共同参画推進にも役立つと。
 勿論、単純にミクロのウィンが達成できればマクロのウィンが達成できるというものではなくて、制度的なものが必要ですし、ミクロのウィンにも制度的なサポートが必要だということで、今回はマクロのウィンに関する、特に男女共同参画の一面としての男女の賃金格差の解消ということについて、私が分析および理論的な論文を出しましたので、それについて御説明申し上げたいと思います。
 次のページですが、基本的な観点として、女性差別という言葉を使っていますが、「日本の雇用と賃金制度の問題とその結果という限定した枠組みの中で考える」と。差別という言葉は、間接的に雇用、昇進および賃金の機会に関する不平等を生む社会的メカニズムを言い、結果の差のことを言っていない。あくまでも機会の不平等の問題として言っているということです。今回は、特にその雇用、昇進および賃金と、そういう限定した枠組みで考えています。
 統計的差別という概念がありまして、その話をするのですが、根源に統計的差別の問題があると、これは後で御説明します。それが合理的なものかどうか。従来、これは本当にそうかは別として、労働経済学では統計的差別というのがあって、それが合理性を持っているので、企業はなかなか女性差別から抜けられないのだと、そういう議論がかなりなされてきたわけです。
 私は、実はその統計差別の理論自体、理論自体ならば、アメリカでもその後の進展がありまして、なおかつ、実証的に我が国の状況と結び付けると、これは不合理の方がはるかに勝っているのではないかということを指摘したのが、今回の論文ということでございます。
 計量的分析に関しては、統計的差別が不合理だというところまで直接はいかないのですが、まず、どういった形で不平等が、男女賃金格差があらわれているかという分析を通じて、どこをターゲットに、不合理があるとすれば、どこに一番不合理があると見られるかという分析をまずしまして、後半で理論的にどうしておかしいかという話に結び付けていきたいと考えております。
 状況としまして、我が国においては、高い離職率、現在、結婚、育児、両方合わせて7割ぐらい離職するわけです。高い離職率を理由とする女性の統計的差別。男女平等に扱った場合、離職されるとコストになるという企業の側の認識があって、そのコストを組み入れて、あらかじめ賃金を低く設定する、あるいは年功賃金プレミアムを低く抑える、そういう慣行があるのが我が国の統計的差別と私は理解しているわけですが、それが経済的に不合理である。なぜ、不合理かということを実証的、かつ理論的に示したいということです。
 不合理の解消を通じることによって、経済活動面での男女の共同参画への道を開きたい。ですから、企業が合理的だと思っているものが、実は不合理なんだ。だから、解消は企業にとって実はプラスなんだという話です。
 それがもし認識として広まれば、これは企業の方からも男女格差をなくしていくというか、特に優秀な女性人材を活用していく、モチベーションというのは非常に広い意味でできてくると思いますので、そういった認識というのは非常に重要ではないかと考えます。
 もう一つは、日本的雇用慣行。これは八代先生などの御議論だと、かなり日本的雇用慣行、基本的に否定する、それが諸悪の根源みたいな感じですが、私はその中で、合理性を持っている面もある。ですから、それを全否定しないで、正規・非正規は完全に解消できればいいのですが、それもある程度の前提を区別とか、年功賃金というものを全否定しない中で、男女賃金格差をなくすにはどうしたらいいかという点です。
 ですから、これは同一価値労働賃金とか、同一労働同一賃金を主張する人たちは視点が異なっているということです。その同一労働同一賃金、あるいはそれを広げた同一価値労働、同一賃金の話は後でしますが、その観点は日本的雇用関係そのものと、根本的におかしいと、そういう議論にならざるを得ないのです。それはいろいろな障害があって、企業がなかなか受け入れがたいところがある。私の議論は、そうではない道を考えようということです。そうではないのは、あくまで、これは経済的な不合理があるので、そうではない道でも当然解消できるという前提に立っております。
 まず現状ですが、これは私の分析ではないのですが、厚生労働省の研究委員会で発表した「男女賃金格差の要因」という分析があるのですが、それで初めに実証分析として明らかになってきたことの1つとして、原数値というのは、いろんな調整をしないで、これは65.3とか若干変わってきているのは、変数が入れられないものと入れられるものと表変数が違ってきているので、若干推定値が違っているのですが、男性100に対して66.0というのは、あるファクターを同一だと、ここだけ平等になったらどうなるか、どのぐらい解消するかという話で、職階差が一番大きいという分析が出ています。
 貢献度でいうと、男女差の34%、約3分の1は職階差、つまり管理職、係長、課長、部長、それ以上、そういった職にどれぐらい就いているか就いていないかという職階差です。勤続年数が18%、貢献度である。次に大きいという結果が出ています。その2つが大きい。
 ただ、この2つを両方合わせても、これは下方的ではなくて両方とも相関しているので、両方合わせても説明度は40%ぐらいかなという感じです。あとの60%ぐらいは説明できないという感じで残っております。
 これは私の分析ではなくて、今までの分析です。
 平成17年度に初めて雇用形態について、賃金構造基本調査で常雇とパートタイム、短時間勤務との区別と、正規と非正規というのを両方区別して四分法ができるような形で表をつくりました。これは17年度が初めてなのです。
 私が問題にするのは時間当たり賃金の格差で、賃金格差という場合には、1日当たりの格差ではなくて、あくまで時間当たりの賃金格差を解消したいという観点で、時間当たり賃金を問題にしています。
 これを見ますと、雇用形態の分布が非常に違っていて、各雇用形態別に男女の賃金格差がある。一番下に男性を1.0とした場合の女性の値が出ていますが、フルタイムとパートタイム、いわゆるパートとフルではなくて、あくまで週何時間働いているかという時間でもって言っています。パートのおばさんとか、パートという標章がついていても、事実上、働いている労働時間が短時間でなければフルタイムという形で分類されています。
 正規・非正規は通常の正規・非正規です。
 7割というふうに、フルタイム・正規での格差が非常に大きいと。
 パートタイム・非正規になりますと、89%ぐらいと格差が比較的少ない。ただ、構成比を見てみますと、賃金の低いところ、時間当たり賃金のカテゴリー、当然、パートタイムの方がフルタイムより低くて、非正規の方が正規より賃金が低いわけです。ですから、フルタイム・正規が一番有利で、パートタイム・非正規が一番不利なわけですが、男女の構成比を見ると、女性はその一番不利なパートタイム・非正規が非常に男性より多いと。一方で、一番有利なフルタイム・正規が一番少ないわけですから、そういった構成比の差が影響していて、平均賃金総数で見ると、各カテゴリー別の差よりもっと大きくなって、約62%になってしまうという結果が出ています。
 ですから、構成比と各カテゴリー別の格差がある。
 次のスライドですが、これはよく知られていることですが、欧米でもある程度は見られるのですが、日本の場合には非常に極端に、格差は最初は少なくて、どんどん年齢とともに広がっていくという傾向が非常に顕著です。これは年功賃金プレミアムが非常に違うからと、単純に言えばそうですね。勿論、年功賃金プレミアムに相関する昇進機会が非常に違う。この差が一番あらわれているのは、フルタイム・正規です。一番上の年齢とともに伸びていくのがフルタイム・正規です。男性です。
 女性の場合には、次の点線で、丸の記号がついているのが女性のフルタイム・正規ですが、これはグラフで見ていただけるとおわかりになりますように、30代から50代、60代ぐらいまでの広い範囲に関して、非常に格差が出てくるわけです。
 正規であってもパートタイムである、勿論、これはパートタイム・正規は、1つ前のページと関係するのですが、構成比で見ますと、パートタイム・正規というのは、実は男性が0.003、女性が0.009で、実は1%にも満たない雇用形態なのです。ですから、短時間正社員というのは、カテゴリーとしては、概念としてはあっても、普及度としてはほとんど普及していないという状況です。
 そこは省いて、その他の3つを見ているのですが、この問題というのは後で関係してきます。
 正規の短時間勤務というのがないために、短時間勤務を選ぼうとする女性が非正規を選ばざるを得ないという構造的要因を生み出しているのは、実はこの短時間正規社員制度が非常に普及していないと、この現実が非常に関係しています。
 グラフの方ですが、ほかのところは比較的格差が少ない。ただし、男女差がそれぞれのカテゴリーで起きてきているわけです。
 実は、一種の標準化法という統計的な方法があるのですが、それを使いまして、要因分解というのを行いました。全体が100%になった場合に、どういった要因に分解できるかということを、次のページに示しています。
 具体的な手法については、アペンディクスといいますか『日本労働研究雑誌』の最後の付録のところで技術的な説明をしております。これは一種のシミュレーションだと思ってください。
 これによりますと、各雇用形態内での格差がどのくらい貢献するかというのと、男女の雇用形態の違いが貢献するかというのと、最後に就業者の年齢分布が男女で違うというのが貢献しているのですが、大きいのは上の2つなのです。フルタイム・正規雇用者内での男女の賃金格差は55.1%、半分以上。前のグラフで見た年功賃金プレミアム、昇進機会が違うためにどんどん乖離していくと。その辺はまさにきいている。
 2番目に男女雇用形態の違いがある。従来、男女賃金格差については、雇用形態の違いが非常に強調されて、これは認識されてきたと思うのですが、実はそれよりも大きいのはフルタイム・正規の中での格差が非常にバリアなんだという、そこの認識が新しいかなと考えます。
 次は、同じようなことを勤続年数について分析してみました。
 次の表ですが、雇用形態別に平均勤続年数を見ますと、フルタイム・正規の中での勤続年数が違います。勤続年数というのは人的資本の変数の1つに考えられているのですが、人によっては人的資本による差は差別ではないと主張する人もいるのですが、実際はそれはある前提、つまり人的資本を得られる機会が平等であれば差別ではないと。それが平等でなければ、例えば、勤続年数が違ってくるのは、一旦、育児離職することによって、自主的というのも非常に問題がありますが、ある状況の中で育児と仕事が成り立たないという構造的要因があるので、本当の意味での完全なボランタリーには問題はないわけですが、いろんな構造的な要因もあって離職せざるを得ないという要因もあります。再雇用するときにも非正規になりがちだとか、いろんな理由でフルタイム・正規の平均年数も変わってきているのです。
 一番大きいのは、フルタイム・正規で差が一番大きいということです。これも要素分解をしてみました。そうすると、この場合には雇用形態の違いは勤続年数格差を一番生み出していると。雇用形態が違うことによって、勤続年数格差、これは厚生労働省の分析だと職階について2番目に大きいファクターと言われていたわけですが、それについて、この場合は説明していると。ところが、それだけではなくて、フルタイム・正規内でも勤続年数格差が生まれています。
 ただし、重要なのは、一番下のところですが、フルタイム・正規内での男女賃金格差というのは55.1%と言いましたが、それが平均勤続年数の違いとして説明できる部分は、実は非常に小さいと。13%ぐらいが平均勤続年数の違いよって説明できて、残りの83%は勤続年数差としては説明できない差がフルタイム・正規の男女格差としてある。これは何かといいますと、当然、昇進機会とか、年功賃金プレミアムが違うから。年功賃金プレミアムが違う主な理由は、コース制、一般職、総合職の区別というのが非常に大きくきいているわけです。書きませんでしたが、これは厚生労働省の分析の中でも、企業別に見たときに、コース制を導入している企業ほど男女賃金格差が起こりやすい。ほかの要因をコントロールして起こりやすいという結果も出ています。ですから、コース制というのが年功賃金プレミアムについて明らかな差別的な対応を行っている。
 この原因となっているのが、統計的差別と私は考えているわけです。その統計的差別が不合理であると、今日はそういう話に持っていくということでございます。
 一方、雇用形態の違いによる男女賃金格差のうち、約31%は勤続年数の違いで説明できる。3分の1ぐらいは勤続年数差が雇用形態の違いの格差を生み出しているということです。これは、逆に因果関係でいうと、雇用形態が違うから平均年数が違ってくるということで、雇用形態自体がそれを通じて影響していると。就業年数の違いを通じて影響しているということでございます。
 次のページですが、まとめをしますと、全体の格差を55%で説明するフルタイム・正規内の格差の解消が最優先課題である。男女の職階格差による賃金格差が、大部分、このフルタイム正規雇用内での男女格差と関係している。この差は、男女の就業年数の違いではほとんど説明されず、男女の昇進機会や年功賃金プレミアムの違いが原因である。
 もう一つは、これは私の研究ではなく森先生とか、中田先生のご研究ですが、職能評価や人事考課などの判断に明らかに性別が入っている。これが具体的な事例研究としての統計的差別があるという事実だと思うのですが、原因であると。
 統計的差別の話にいく前に、雇用形態の違いによる賃金格差というものについても先を分析してみたのですが、重要なことは、均等待遇という、フルタイムとパートタイムの均等待遇というのが非常に重要だということが主張されています。これは、ヨーロッパの国がほとんど均等待遇を法制化して、我が国ではそれを法制化してないという部分がありまして、それを均等化すれば、格差が非常に埋まってくるのではないかと議論があるのですが、重要なのですが、無条件でこれだけではどうしようもないというのがあります。1つの例として、正規職員の中でパートタイムとフルタイムの時間当たり賃金を、時間当たり賃金の均等化というのは、20時間を下ると若干生産性が落ちるという議論もあるのですが、普通、典型的にある20時間から35時間ぐらいでのパート勤務の中では、時間当たり生産性というのは、むしろ落ちないと。過剰な残業勤務は、むしろ時間当たり生産性を落とすと。これははっきりしているわけですから、時間当たり生産性に関する限り、パートであるかフルタイムであるかということは、本来、生産性に響かないので、当然、均等待遇であるべきだと、そういう議論もあるわけです。経済合理性からいっても、均等は当然です。
 そういうこともあるのですが、我が国の場合、それをただ導入しても、正規のパートタイムというのは1%にも満たないわけです。ですから、実際には短時間正社員というのが普及してこないと、均等化が実際の効果を持ってこないという結果になります。
 もう一つは、正規・非正規雇用の機会の均等というのがないと、正規内・非正規内での均等待遇だけ、正規・非正規の均等待遇まですれば、より大幅な賃金体系とか、雇用の仕方とか変わってこざるを得ないわけですが、とりあえず、その前提の区別を否定しないで正規内・非正規内で均等待遇を図っても、実際に構成比が女性の方が非正規が非常に多くて、男性が正規が多いと。これがあると、この均等待遇だけではだめということで、実際にはシミュレーションをしますと、三者を同時にやらないと、どこか一つだけ解消しても、あとの2つが悪い方に引っ張ってしまって、なかなか解消しないという結果で、結論としては正規・非正規雇用の男女の機会の平等、端的に言えば、正規雇用者の割合が男女で同じ割合になるということです。これをするためには、育児離職後の再雇用の道が開けるとか、現在、非正規である人の正規雇用への道が開けるということが必要なわけです。
 そのためには、企業としては非常に守られている正規があるということ、これは正規をなかなか拡大しにくいので、現在、守られ過ぎている正規雇用の在り方についても考え直す必要があると。これは連合などは非常に反対すると思うのですが、そういった形でのより柔軟な流動性というのを導入する必要があると考えます。
 あるいは、アメリカでは所得補てんはないのですが、再雇用保障の育児離職というのが企業で採用しているところが多いです。ですから、単に育児休業ですと、これは国によって年数とか月数も違いますが、アメリカなんかほとんどないに等しい状態ですが、一応、保障はされているのです。1993年のアメリカン・ファミリー・リーブ・アクトというのがありまして、雇用を保障されているのですが、所得補てんもないために、とっても短い期間というのがほとんどなんですが、実際問題として育児休業があっても、戻ってくる職場というのが、実際、家庭との両立が非常にしがたいということでありますと、現在、実際にわかってきたように、離職率がなかなか低くならないということで、統計的差別の温床みたいな原因が残ってしまうということがありますから、そういった問題も含めて、解決していかなければならないということがあります。
 ですから、短時間正規社員の大幅拡充と、正規雇用の機会の均等待遇がともに進まないと、雇用形態による格差はなかなか縮まらない。ですから、全部を推し進めなければだめだということです。
 もう一つは、企業を単位とする実証分析というのは、私の分析ではなくて一橋大学の川口大司先生の分析ですが、これは2つ分析があって、企業の固定効果といいますか、個々の企業が違うという仮定をする分析と、そうでない分析で若干違うのですが、その企業の異質性みたいなものをコントロールすると、女性の総体賃金は男性に比べて低いわけですが、生産性も同じぐらい低いという結果が出ています。
 その解釈をどうするかということの話ですが、これが公平だというのは間違いで、賃金を低く抑えているから生産性も低くなるという議論があります。これは、理論的にも実証的にもあるのですが、理論の方は非常によく知られているので、日本ではあまりよく知られてなかったのですが、いろいろ知られている理論があるので、それを御紹介したいと思います。このことを日経の最近の経済教室に書きました。
 次のページですが、アメリカの経験ですが、女性の人材価値が経済成長にどれくらい影響したかという話で、一つは国民総所得というのを見るというのがあります。国民総所得は3つのファクターからなっているわけです。就業率、週当たりの勤務時間、時間当たり賃金、それが全部絡んでくるわけです。
 就業率、男女が同じでない場合は実際は就業人数ですが、1970年代には女性が男性と比べて国民総所得の3分の1である。現在は3分の2です。これは2003年か2004年ぐらいの時点です。その間、男性の国民総所得は、インフレーションをアジャストすると、実は増加しなかった。ということは、伸びは全部、100%女性の伸びだったという分析があります。これは、ケーシー・マリガンという私の同僚でシカゴ大学の経済学部の教授の論文です。
 もう一つは、格差の指標はどこで行われたかというと、時間当たり賃金格差が非常に縮まってきた。就業率の差が縮まってきた。一方で、週当たりの労働時間はあまり縮まっていない。それは女性の方が両立が難しいので、平均的には短時間勤務を好む傾向がずっと残っている。ですから、我が国の場合にも、多分、それは残ると思います。でも、それは賃金当たり賃金格差とは無関係のものです。ただ、女性の人材活用を考えた場合、時間当たり賃金の格差の解消、生産性をむしろ高める方向に向かって賃金を当然、合わせていくという方向と、両立しやすい環境を整えることで就業率を上げていくということをアメリカでは行われたし、日本でもそういう方向でいくべきではないか。
 現在の日本の男性の総所得と女性の総所得はどのぐらいの比かという問題です。家従と自営業を除いて、雇用者だけに限っていえば、アメリカのちょうど3分の1ぐらいです。男女の時間当たりの賃金格差が一番きいていて、就業率が2番目、短時間勤務であるという先行をしている、それは一番きいていない。先ほど62%という1時間当たり賃金がありましたが、就業率の差は3分の2ぐらいです。時間になると4分の3ぐらいですから、実際の大きいところは、アメリカが解消してきたところで大きいという結果になっています。ただ、日本の場合には家従という人たちがいますので、それは今回は除いて分析しています。
 リマークというか、注なんですが、先ほど申し上げましたが、同一労働同一賃金、これはいろんな意味で言われていて、均等待遇という意味で言えば、私は賛成なんですが、同一職、労働職というふうにとらえて、同一職同一賃金ですと、欧米に多い職務給みたいなものがベースになっているわけですが、これは成果主義とは矛盾するので、合理性、生産性の議論とは合わないだろうと考えています。
 実際にアメリカでも職務給制度があるのはスキルドワーカーを除くブルーカラーと、非常にルーティン的なホワイトカラーだけです。あとは成果が中心になっています。
 もう一つは、これは雇用形態の問題ですが、先ほど言いましたように、雇用形態間の差というは実は3つの要因が絡んでいて、均等待遇は非常に大事なのですが、それだけの問題ではなくて、短時間正社員の普及であるとか、正規雇用の機会の均等という問題がありますので、そういった面を合わせることが大事で、ここだけを焦点を合わせてくというのは、非常に一面的ではないかということで、これ自体を提唱する人たちに対して、私、反対というほど強くはないのですが、それは成果主義と矛盾するので説得力がないだろうという話と、それ自体が主なポイントではないのではないかという考えを持っています。
 同一価値職というのは、アメリカの分析ですと、細かい職をコントロールする男女賃金格差はアメリカはなくなっています。人的資本も経験年数とか、教育年度とか、教育年数とかの賃金格差はなくなっている。残されている違いは職の差だと、職の分離だということで、ペイ・エクイティ、コンパラブル・ウォースとも言うのですが、同一価値職、職が違っても同じ賃金であるべきだというのは、これは公共部門では幾つかの州で実験的に、ミネソタですとか、カナダのオンタリオとか、ヨーロッパの一部で行われています。民間部門は反発して、これはとてもできないということで公共部門だけですが、これもそういった恣意的に合わせるのはどうかなという感じはします。これは強い議論ではありません。
 本論ですが、統計的差別の理論とあります。統計的差別というのは、先ほども言いましたように、日本の場合には高い離職率というのがあるので、それを前提にすると、離職をされたときにコストがかかると。そのコストを組み入れて賃金を低く抑えるということが合理性を生むと。これは離職に関する理由だけではなくて、資質が違うときに、グループの資質が違って、個人が離職するかしないか、あるいは個々人の資質というのは不確定で、それを見極めるのにコストがかかるという前提があって、そういうときに平均値でもって人を判断するのが合理的になるという数理的な理論をフェルプス、これはコロンビア大学の教授でノーベル経済学賞を受けた人ですが、1972年にとりました。
 それ以降、統計的差別というのが、一時、差別は合理的な面があるのだという話が随分あったのですが、それ以後、いろいろ進みまして、合理的といっても限定性があって、非合理な面も混在しているよというのがいろいろ出てきました。それが3つです。
 1つは、リスク回避傾向というのですが、不確定が高いほど、コストを見る傾向が拍車をかけるという議論があります。我が国の場合には、それではないか。離職というのは、コストだけではなくて、男性の場合は育児離職はほとんどないわけですから、そういった不確定性はない。少なくとも、育児離職という不確定性はないわけですが、女性の場合にはあるということで不確定性を見る。
 ところが、不確定性をコストで見るというのは、一種の主観的合理性なのです。客観的には、その不確定性を取り除くためにお金を払っているわけです。ですから、心理的には合理的でも、心理的というのは、経済学的にいえば効用最大化というのですが、それでは効用最大化になっていても、実際には企業にとってはコストになっているという話が絡んできます。
 もう一つは、コートとラウリー、これは非常に重要な議論で、逆マッチングという話ですが、賃金を落としてしまうと生産性が落ちてしまうという話を経済モデルを使って説明しているわけです。ここには自己投資のインセンティブというのを考えています。我が国の伝統では、人的投資というのは企業が行って企業が回収するという、そういう先入観が非常に多いのです。つまり、長期雇用を前提とするので、企業特殊な人的資本と言うのですが、その企業特殊な人的資本というのは、ほかの企業で扱えないけれども、その企業では役に立つ知識とか技術です。そういったものを投資して回収するという考えが非常に強くて、大学出てしまうと、大学以降、どこの企業でも役立つような知識に対する、本人たちが自己投資をすることによって、生産性を向上させて、それでもって賃金を高くしていくと。そのインセンティブというのを全然考えてこないという習慣がありました。逆に、米国企業を見る限り、そういった自己投資のインセンティブを与えることを非常に重視しています。
 最近は、IT産業などは企業特殊ではなくて、一般的な知識が実践的に非常に役立つのです。ですから、そういった意味でも、時代的にもそういった一般的人的資本、企業にかかわらず、生産性に役立つ資本というのが重視されているわけですが、差別をすると自己投資のインセンティブをなくしてしまうと。差別をされると知っている人間たちが自己投資インセンティブをなくしてしまって、自己投資してもチャンスを与えられないのならしてもしようがないと、そういう計算が成り立つ。そういう均衡解。均衡解というのは一種のゲーム的な状況ですが、それが均衡を乱してしまう。それが悪いことには、差別をしている人たちが自分の差別が見えない。結果的には、差別された人が自己投資をせず、優遇されている人たちが投資をするわけです。そうすると、生産性の差が出てしまう。そうすると、差別した人たちが、自分たちが正しい人間に優遇したのだという錯覚を生み出してしまうという議論です。非常に不条理な、差別の自己成就ではなくて、一種の予言の自己成就なんですが、偏見の自己成就と言ったらいいですかね、それが非常に大きな問題だと。
 その解消の手段として、彼らはアファーマティブ・アクション、ポジティブ・アクションを考えまして、これは積極的女性活用、人種活用政策です。ただ、結果は、条件次第と。かなりそれがうまくいって、実際にはよく見えない人的配分の不合理さを取り除くこともできるけれども、下手をすれば、逆に生産性のない人をプロモーションさせてしまう。員数合わせみたいなことをやるのが一番よくないという話ですが、資質を見て、チャンスを与えなければいけない議論になってくると思うのです。限定的にポジティブ・アクションが有効だという話です。
 ですから、そういった差別がある場合、偏見がある場合にはポジティブ・アクション、あるいはアファーマティブ・アクションというのは、運用は問題だけれども、進めるべきだという議論になってくると思います。
 もう一つは、シュワッブの議論というのがありまして、これは逆選択という話ですが、実は一律に人間を差別しますと、これはもともとマーケット・オブ・ザ・レモン、レモンの市場、中古車市場でアカロフというノーベル経済学賞を受けた人が言い出したことですが、情報の非対称性というのがありまして、雇用者は自分が離職するかしないか、あるいはどのぐらいの生産性があるかというのを雇用主より知っていると。ところが、雇用主がわからないために一律に差別をすると、自分はもっと生産性があるので、いい給料が当然だと思っている人ほど辞めていく、あるいは外資系に逃げるとか。実際に外資系企業に日本の優秀な女性は非常に行っていると思うのですが、そういった状況を生み出していくという議論です。ですから、優秀な人ほど辞めていく。
 もう一つは、予言の自己成就。これも似ているのですが、一種の調整ゲームというのですが、差別されるからこそ、本人たちにとって離職するコストが少なくなるので、離職のモチベーションが増すと。ですから、差別をすることによって離職率を増していく。ですが、離職がコストならば、そういったコストになるようなものを上げてしまうというのは、そこに不合理があるわけです。そういった議論があります。それが主な議論です。
 問題は、離職のコストは存在するのかという話ですが、これにも議論がありまして、新古典派議論では、離職コストという概念はありません。これは限界生産性に賃金が一致するという仮定を置いているので、そういったものはないのですが、生産性と賃金が乖離を説明する理論は、主なもので2つあります。
 1つが、ラジアという人の人事経済学の創始者なのですが、これは日本のことを意識してやっているわけではないのですが、米国企業でも一部ありまして、そういった年功的な、年功的といっても、アメリカの場合にはあまりオートマティックではなくて、ある程度競争させながら年功を入れていくという形で、州立大学でもやっているのですが、こういったものは賃金後払い制度であると。退職年金もそうです。長いほど退職一時金が多くなるという制度も賃金後払い。これは、こういった制度のもとでは、若いときには辞めると損でないけれども、つまり、賃金が生産性より低いから、逆にある程度勤めると生産性より賃金が上回ってくるので、辞めるのが損になる。ですから、初期に辞める人を除いては、ずっと継続して就業するというインセンティブを与えるシステムです。長期雇用を促進するシステムだと考えています。
 そういう企業は、これは人的資本と関係するのですが、企業特殊の資本の投下みたないものは重要視するということと関係しています。
 これが成り立つと、中途で辞める人は、賃金後払いをもらわないまま辞めてしまうので、企業にとって中途離職は全然損ではないよという議論になります。
 それと矛盾する議論がベッカーの理論というので、ベッカーの人的資本論ですが、この場合には企業特殊な人的資本の投下というのは雇用の初期に企業が行わなければいけない。それは、その投資期間中は生産性は賃金を下回っているわけです。ですから、その後でその投資を回収しなければいけない。ですから、回収する前に辞められると損だという理論です。
 生産性と賃金の乖離というのは、どちらが実際、理論が当てはまるかというのは、私はサーベイしたのですが、アメリカにも日本にも、ばしっとした理論はないのです。しようがないので、清家先生が非常におもしろい分析を、主観的にどっちが大きいと考えているかという分析があったので、これを引用したのですが、これで見ると、20代はベッカー理論、30代はラジアの理論がほぼ成り立っていると。現在、結婚年数が非常に遅くなっているので、ラジアの理論が成り立つような期間に入り込んでいる。ですから、ほとんどの場合、もし離職コスト等あっても大きくないのではないか。それを企業は主観的には非常に大きいと考えているわけです。そこに計算のおかしさがあるのではないか。その計算のおかしさがどこから来るのかというのが、次の理論です。
 もう一つは、コース制の問題。人的資本論、離職コストがあるという議論が正しいとする人的理論に根差すと、コース制というのは不合理だと。総合職と一般職のうち、総合職というのは長期雇用を考えて人的資本を投下して、それを回収するシステムと考えられるが、一般職の方は賃金は抑えているけれども、人的投資を全然してない。人的理論によれば、そういった企業特殊な人的資本を使わない場合には、企業外でも役立つような一般的な人的資本の自己投資のインセンティブを上げていくのが非常に合理的なわけです。それをやってない。むしろ逆に、賃金を抑えることによって、やる気を失わせている。私のシカゴ大学のPHDのときの学生さん、「OL達のレジスタンス」を書いた小笠原祐子さんですが、小笠原祐子さんが書いた本ですと、一般職の女性たちが変なレジスタンスをしているのです。変なレジスタンスというのは、村八分みたいな、女性差別的な上司にはバレンタインチョコやらないとか、変な嫌がらせする。
 よく読み直すと、女性差別をしてないところでは、格好付けの変なレジスタンスは少ない。ですから、差別自体がそういった行動を生み出しているということもありまして、いろんな意味での非生産的、それを非生産的と言っていいかどうか知らないけれども、そういった行動自体はレジスタンスとしても意味がないと思うのですが、そういったことを生み出す要因というのは、むしろ、そういった差別そのものであると考えております。
 コース制は人件費を抑えるのが目的かという話があります。企業が給与を抑える登記は人件費が低くなるわけですから、それで得しているかという議論ですが、得するか得しないかですが、この下の方にあります総体賃金を総体生産制、これは一般職、総合職は男性と考えています。女性対男性としてもいいです。割ったときに、これが1より小さいか大きいかによって、1より小さければ得、1より大きければ損という形になるわけです、実際には川口先生の分析でもほとんど1で、賃金を抑えても生産性が下がっているから全然得してないかという議論になります。そうすると、離職コストだけを考えているのかなと。離職率が高いことによる、それだけの考えかなとなると思います。
 逆選択の話は先ほどしましたので、次は省きます。
 今まで言わなかったのですが、ワーク・ライフ・バランスですが、離職コストというのは期待コストと言われます。期待コストというのは、起こったときにどのぐらいかかるかというのと、起こる確率の積なのです。それが下がれば、確かにその分だけはコストを減らす。ところが、先ほど言った予言の自己成就でコストを下げても離職率がもし上がってしまえば不合理だ。逆に離職率を下げるという戦略もあり得るわけです。それがワーク・ライフ・バランス施策ということです。
 ワーク・ライフ・バランスが最終的にコストベネフィットを考えたときに、離職のコストがあると仮定して、離職のコストというのは、男性と同様に資本投下をするなり何なり同等に扱ってから辞められると、そういう意味です。そういった意味でのコストがあるとして、実際に確率を下げるワーク・ライフ・バランスが経済合理的であるかという分析を理論的にいたしました。
 これもモデルを使っているので、詳しくは論文を読んでいただきたいのですが、無条件ではないけれども、かなりの広い条件で合理的になります。これ自体がワーク・ライフ・バランスを推進してきた企業というのが、単に男女の平等を倫理的に達成するというものとは別に、合理性を追求している面と矛盾していないということと、サポートしていると思います。
 どういった条件があるかといいますと、離職のコストが高いほどワーク・ライフ・バランス推進は有効である。高い人ほどワーク・ライフ・バランス推進は有効。ヨーロッパと違って、アメリカみたいに民間ベースで進みますと、専門職とか比較的賃金の高い人ほどフレックスタイムとかいろんなものが入ってきます。オランダとか、国でもって基準を設けるところは、より広くワーク・ライフ・バランスが普及する。ですから、ワーク・ライフ・バランスについて有効かどうかというのは、民間主導だとどうしてもある程度いびつになってきます。
 同じように、個人にも関係して、平均離職率が非常に高い企業か、低い企業よりは中間的な企業が有効である。個人に対しても、家族指向型というのですが、ワーク・ライフ・バランスがあろうとなかろうと辞めてしまう人、あるいは、なくてもずっとキャリア指向という人にはあまり有効ではなくて、両立指向型に有効だと。両立指向型が大多数、女性については恐らく大多数であろうという分析があります。イギリスなどでもありますが、多分、日本でもそうだと思いますが、そこには有効である。
 あとはモラルハザードの問題とか、利用するけど、結局、離職してしまう人が少ないとか、情報開示などで明示性が高まるということもベネフィットになると。特に政府の援助というのが、特に経済負担を減らす制度があれば、非常に推進に役立つという議論があります。
 もう一つは、不確定性を回避する傾向があるのだったら、離職を回避していくのではないかというふうに思われるのですが、不確定性で一番大きいのは0.5のところが大きい。現在0.7なんです。そうすると、むしろ下げてくると、0.5に近づけると不確定が高くなってきてしまうと。ですから、リスク回避型にとってはむしろ辞めるという前提に立った方が指向になりやすい。ですから、そういった傾向もあるので、これが逆転して0.3ぐらいになってくると、今度は全体を辞めないという方向に動いてくるのではないか。ですから、そこのスレッシュホールドというか、0.5を超えるという、それが非常に重要だという戦略的な目標があります。
 これは人事決定のリスク回避性です。これは佐藤先生もいろいろ御批判がありまして、私、いろいろ調べて、人事部人事課をターゲットにするのはよくないので、人事決定に関わる人と言い換えているのですが、アメリカの場合には人事というのはマーケタビリティーがあるのです。つまり、引き抜きが非常にあるのです。ですから、外との競合を考えながら人事をしなければいけない。ところが、日本は長期雇用が前提なので、これは非正規の場合には非正規を引き止めようと、最近、優秀な人を引き止めようというふうに考え出した議論が出てきましたが、従来は外からの引き抜きを全然考えてない。ですから、そういった意味では、特典主義といいますか、リスクを負っても優秀な人を留めておこうというよりは、むしろリスクの少ない選択をしやすいと、不作為と言うのですが、今までの慣例を踏襲するのは不作為で、変えていくのは作為。女性に統計的差別を続けるのが不作為で、変えるのが作為だとすると、作為の方は慣例変えるわけですので、不確定要素が高くて、作為は不確定性が多いということがありまして、減点主義のもとでは、作為の誤りのコストが過大評価されて、不作為の誤りのコストが過小評価されるということが生まれてきます。ということがあるので、そういったリスク回避性が非常に大きいとまずいのではないか。それが原因している。
 これはどういうふうに解決していくかというと、そういった人を解決するのは、一つはカタリストという有名な内永ゆか子さんなどが日本で推進しようとしている活動がありますが、アメリカのカタリスト加盟企業の大部分が中間管理職の評価基準にダイバーシティ推進を入れました。ただし、有効なダイバーシティ推進です。無条件、何でもメカニカルにやればいいということではなくて、ダイバーシティ推進をして、成功した人には、それを評価する。インセンティブ構造を与えることよって、そういったリスク回避性のある人でも進めていけるのではないかということもあります。ですから、そういった問題もあるということで、中間管理職と人事の人たちの保守性みたいなものを変えていくインセンティブシステムというものを非常に重要で、そのメリット自体が非常に重要ではないか。社会的な規範化を推し進めていくということも重要かと思います。
 最後の法的加入は重要かというのを若干申し上げます。ワーク・ライフ・バランスの問題というのは、法的加入が一番必要だと思います。私、時間の問題に関しては、EUが参考ですが、Working Time Directive(1993年)、これは週48時間を超えないという基準を定めました。イギリスも同等な基準を定めています。
 Charter of Fundamental Rightsというのを2000年にEUはつくりました。これは、具体的に何時間と言わないのですが、最高時間、就業時間を決めることは、雇用者が決める権利を持つのは基本的人権の一つと考える。具体化は、個々の国と企業によって考えてほしいということで、若干あいまい性が残るのですが、基本的権利として最高の勤務時間を決める権利を雇用者は持っている、働く側が持っているんだということを基本的人権として宣言しました。
 あとは、柔軟に働ける社会、これはフレキシビリティーの問題で、これは北欧型の両立支援よりは非常に重要だと。これは少子化問題との関連の中で、別の論文で重要だと重視しているのですが、これは国によって非常に違います。一番有名なのはオランダの時間調整法です。これは、所得補てんはないのだけれども、個人が自分の働く時間を決めて、なおかつペナルティーを受けない。それによって不均等な待遇を受けないという権利を保障しました。
 ベルギーのタイムクレジットというのは、国が一部保障するのです。ただし、本人の給料にかかわらず一律の保障をするのですが、このクレジットは、勤続年数にもよるし、20%と50%をとれるというのがあって、これも権利として与えています。ですから、本人たちがそれを主張すれば与えなければいけない。ただし、企業の負担を考えて、これは100人以上の企業が該当するのですが、最高5%まででいいと。5%以上応募者がある場合には、プライオリティーは企業が決めていいと。ただし、5%までは、主張する人に対しては短時間勤務を与えなければいけないと、これは権利として与えなければいけないという法を通しました。
 イギリスのフレックスタイム勤務に関する子育て支援法、これは6歳未満の子ども、あるいは18歳未満の障害児を持っている親、母親、父親にかかわらず、に対してはフレックスタイムをとる権利を与えました。これも権利です。
 そういった形で、さまざま国は違うのですが、こういった法的介入をしております。これは考えられて、当然、すべて合理性ならばいいのですが、偏見みたいなものも大分残っていると。リスク改正みたいな、主観的合理性も残っているので、なかなか変わりにくい部分があるので、法的介入は必要ではないかと考えています。
 先ほど言いましたように、コース制などは間接差別であり、インセンティブ問題上、不合理なので法的に禁止すべき。
 正規・非正規の待遇格差の減少への介入の在り方は、今後の問題だけれども、先ほどの3つを同時に進ませる、それが重要だということで、人事問題に関してはポジティブ・アクションが重要ということと、ダイバーシティ推進の中間管理職の業務評価などです。
 もう一つは、アメリカではクオリティー・オポチュニティー・ローニオによって、連邦議会均等法によって性別、人種別、職種別の雇用者数100人以上の企業について、連邦政府に報告義務があります。法的には公開は義務づけられておりません。ただし、公開を推奨しております。公開している企業が多い。特に大企業は多いのです。これは企業によって、産業によっても、職種に差がありますので、多少の性別があっても、それは即アンフェアとは言えないのですが、実際に同一産業に比べて、女性の雇用とか人種的に偏りがあると、地域の人種構成なども考えて偏りがあると考えると、アカウンタビリティーといいますが、説明責任を求められます。そういった仕組みがあります。
 日本は、特に雇用形態も入れて、雇用形態、職階、あるいは職業別に男女の雇用者数というのを政府には少なくとも義務づけて、公開に関しては推奨すると。強制はしないけど推奨する。積極的にやっているところは、レピテーションも上がって、いい人を集められるというシステムを生んでいくということが必要ではないか。これは、差別の機会コストの可視化という意味では非常に重要だと考えております。
 以上ですが、最後に宣伝ですが、これは皆さん御存じだと思いますが、「論争 日本のワーク・ライフ・バランス」というのが出まして、これは板東局長、佐藤さん以下、私も入っていろいろワーク・ライフ・バランスについてディベートしています。
 もう一つ、これは勝間さんとも関係しているのですが、Chabo!もいただきまして、Chabo!というのは、チャリティー・ブック・プログラムで、勝間さんが非常に推進しているプログラムで、2カ月で428万4,000円、もう既に寄附金をJENという組織に寄附できたという貴重な成果を上げていますが、そこに参加させていただきまして、今年の7月11日発売で『ダイバーシティ』という本を書きました。これは数量的分析の本ではありません。ダイバーシティ推進のために私が書いたと。ファンタジー形式とかを使って、ダイバーシティの概念を広く一般に訴えるという本を書きました。岩井克人氏の推薦状もいただいておりますので、よろしければ御覧ください。
 以上です。
佐藤会長
どうもありがとうございました。男女共同参画を進めるにはワーク・ライフ・バランスの推進が必要だということや、特に男女の賃金格差というのは男女の活躍の場の違いをあらわしているわけですので、それをどうしたら解消していけるか。どこをターゲットにすべきかということについて御説明いただきました。
 時間があまり残っていませんが、せっかくの機会ですので、御質問や御意見があれば、どなたからでも伺えればと思います。
 どうぞ。
勝間委員
1つ教えてください。諸外国は、どうやって法的介入にまで持っていったんですか。
山口教授
オランダの場合には、今回日本でも初めてワーク・ライフ・バランス憲章をつくったときに、連合と経団連と政府との三者合意ができましたが、それと同じようなより広範な形で三者合意というのをつくりました。
 その基本にあるのは、この均等待遇がもとにあったわけです。均等待遇というのは、時間当たりのパートに対する短時間勤務の生産性を損なわないという前提で、それならば、雇用者の側に自由を与えるのが、当然、人権上も、いろんな意味でいいのではないかということに対する合意です。ですから、あくまで視点は働く側に立って、企業が自分たちにとって損失でない問題であるならば、譲るという形になります。個々人を大事にするということです。それを基本的に認識する。
 そのあらわれとして、時間調整法というのが、これは勿論しょっちゅう変えるわけにいかないのですが、一定期間中、1年なら1年という形に、今年は20時間、あるいは35時間とか、フルタイムとかという形で決められる。なおかつ、それによってさまざまな待遇格差ですね。ヨーロッパの場合はほとんど年金と健康保険上の扱い、この2つがフリンジ・ベネフィットですから、このフリンジ・ベネフィットの2つの上で格差を与えない。年金の場合には、自分の周囲に関係してきますから、それは自然にですし、健康保険も加入できるものとできないものに対する機会などを平等化するということ、そういった意味での平等化を図る。なおかつ、勿論解雇したりしない。その選択によって解雇するようなことは不法ということです。
 そこまでやるかどうか、いろんな国によって、北欧の場合には、ああいった法が非常に進んできたのは、むしろ男女共同参画というか、女性の就業が非常に進んだ後ですから、これでは女性について非常にきついということからできてきたことだと思いますけれども、北欧の女性の場合には日本の女性とかオランダの女性よりはキャリア志向が非常に強い女性が多いので、バランスがとれてなくても就業は続けるというタイプですが、それでは苦しいということで進めてきたということだと思います。
佐藤会長
どうぞ。
高橋委員
資料の3ページ目のところ、時間当たり賃金の年齢変化、平成17年のデータがあるんですが、結局、日本の場合、なぜこれほどまでに男性の賃金が高いのかというと、一つには家族の再生産コストがすべて男性の賃金に組み込まれていて、だから、男女間の賃金の差も大きい。その根っこのところはいかに解消できるのでしょうか。
山口教授
ですから、その家族を中心に考えて、これは八代先生も強調しておられましたが、男性が10で、男性がブレッドウィナーで女性は補助と、そういう役割分業の先入観が非常にあるということです。
 ただ、企業の側もそれではもたないという意識は、多分、多くあるのだと思うのです。ただ、どうやっていいかわからないというか、それで生産性がとれるかわからない。そういった人材活用のノウハウもわかってないというものありますし、固定的役割分業自体が家庭内でも企業内でもそういった前提が残っているし、一部の管理職は確かに持っていると思うのですが、そういった意識自体、僕は変わっていくと思います。だから、それだけ取り除けば、全部変わるかというと、なかなか変わっていかない。こういった制度的な、特に家庭と仕事を事実上、両立しない事情があれば、女性の側から継続就業するインセンティブが低くなりますから、それが一番問題ではないかと考えます。ただ、法的面でそれを解消できるならば、当然すべきだと思います。
佐藤会長
この男性の賃金のところは、生活関連手当等含めてなくすというのは、その人たちが反対するという状況があるので、企業は変えたいのは事実だと思いますね。でも、働いている人側は守りたいというのが一方で強いというのが現状なので、なかなか難しいところだと思います。
 どうぞ。
神田調査課長
ワーク・ライフ・バランスによって離職率が下がりますという効果があるのですが、関心事項として、ワーク・ライフ・バランスによって生産性がどうなるのかなというところが気になっています。今のお話の中で、賃金に対して生産性というものが非常にリンクをしていると。賃金が低いと生産性も低くなる。賃金が高くなると生産性も高くなるというのはあるのだと思うのですが、ワーク・ライフ・バランスによって意欲だとか、あるいは生産性に対してどういう影響があるのかというのは、既存の論文も含めまして、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
山口教授
意欲に関しては非常にエビデンスはたくさんあるのです。これはいろいろなところで、ワーク・ライフ・バランス推進企業ほど働く意欲があると。生産性に関しては、アメリカではパネルデータでやってない分析がほとんどなので、男女に関してはダイバーシティという形で考えられているんですけれども、ダイバーシティを推進している企業ほどアメリカ的なのですが、株主配当が高い。ほかの状況をいろいろコントロールして株主配当が高いとか、そういう分析もあります。
 生産性というときに労働生産性のことを言っているので、どこまでが労働生産性でどこまでがその他の生産性かというのを、2回目はいろんなモデルを使っているのですが、そういう分析はあります。ただ、なかなかまだパネルでもってきちっとやってない。パネルというのは、いつも議論としてくるのは、生産性の高い企業ほど、そういったダイバーシティも推進しているのではないかみたない、そういう疑いというのは、常に言われてきました。ただ、マイナスだというのは全然出てないですから、それは重要だと。
 もう一つは、先ほどアメリカの例で言いましたが、総所得に対する貢献、これはマクロなレベルの話で企業レベルではないのですが、これは完全なエビデンスとして女性の活用というのがいかに国の富を生み出したかと。これはアメリカに限ったことではなくてヨーロッバもそうなんです。アメリカは非常に顕著なのです。
佐藤会長
どうぞ。
勝間委員
お話聞いていて、今、ふと思ったのは、諸外国の企業は、ひょっとして、女性活用によって男性社員の賃金を抑えるために女性を活用しようみたいな使い方をしていますか。
山口教授
女性活用によって男性賃金を……
勝間委員
男女雇用機会均等とかいうとすごく聞こえはいいのですが、要は男性を使うと高くつくので、だったらもっと安い女性を制度整えて使えばいいじゃないかという感じに今のお話は聞こえたのです。その方が企業にとってはメリットがあるし、それによって企業も制度を整えるインセンティブ体系になると。
山口教授
でも、その議論というのは、男女の賃金格差があるという前提ででしょう。
勝間委員
あるという前提なんですが、ただ、今安い人をよりインセンティブ体系を付けてあげれば、生産性も上がるし、多少賃金を与えても、今の男性よりもさらに生産性の高い人を雇える可能性が高いと。もし同じ100の賃金を払うのであれば、今、100しかない生産性のところを120、130の女性が雇えるかもしれないと。
山口教授
そのこと自体は、暫定的にはそういう考えというのはあると思いますよ。だから、最終的には賃金格差が解消してくれば、その議論は成り立たなくなってくるということだと思います。
佐藤会長
それでは、まだまだ議論をしたいのですが、お願いした時間を過ぎてしまいましたので、一応、ここまでで山口先生のお話を伺って議論したということにさせていただきます。
 今日はお忙しいところおいでいただき、どうもありがとうございました。
 それでは、事務局から連絡事項があれば、よろしくお願いいたします。

(事務局から「カエル!ジャパン関連資料」について説明)

神田調査課長
最後に、次回の専門調査会ですが、恐らくは8月の後半か9月ぐらいにさせていただきたいと思います。また、御連絡等させていただきます。
 また、本日の資料の取扱いですが、数字の横に参考と書いてあるものについては非公表ですが、それ以外は公表させていただきます。
 私からは以上です。
佐藤会長
どうもありがとうございました。
 次回までに今日の議論を整理していただきますので、次回もよろしくお願いします。

以上