仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会(第10回)議事録

  • 日時: 平成19年11月26日(月) 13:00~15:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(出席委員)

佐藤
会長
植本
委員
大沢
委員
岡島
委員
勝間
委員
北浦
委員
小室
委員
高橋
委員
武石
委員
永木
委員
羽入
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の在り方について
  3. 企業におけるワーク・ライフ・バランスのコスト・メリット等について
  4. その他
  5. 閉会

(配布資料)

資料1-1
仕事と生活の調和実現度指標の在り方(案) [PDF形式:18KB] 別ウインドウで開きます
資料1-2
仕事と生活の調和実現度指標のイメ-ジ [PDF形式:19KB] 別ウインドウで開きます
資料1-3
個人の実現度指標、環境整備指標について(マトリックス表)(案) [PDF形式:21KB] 別ウインドウで開きます
資料1-4
指標の合成の考え方(案) [PDF形式:31KB] 別ウインドウで開きます
参考1
仕事と生活の調和実現度指標について(案) [PDF形式:28KB] 別ウインドウで開きます
資料3-1
企業がワーク・ライフ・バランスに取り組むメリットやコストの分析について(案) [PDF形式:22KB] 別ウインドウで開きます
資料3-2
企業の取組事例調査項目(案) [PDF形式:17KB] 別ウインドウで開きます
資料3-3
ワーク・ライフ・バランスに関する企業の取組事例調査先について(案) [PDF形式:34KB] 別ウインドウで開きます
佐藤会長
それでは、まだお見えになっていない方もいらっしゃいますけれども、時間になりましたので、ただいまから仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会の第10回会合を始めさせていただきます。
それでは、お手元の議事次第に従いまして本日の審議を進めさせていただきます。
本日は、日本経団連の紀陸委員は御欠席ということですので、オブザーバーとして正式に日本経団連から松井労政第2本部長に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
まず議題の1ですけれども、ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の在り方につきまして、前回の専門調査会の議論を踏まえ、また関係機関との調整を経て、お手元の資料1から4として取りまとめていただいていましたので、その内容について御説明いただき、御確認いただきたいと思います。合わせて、説明と同時に実現度指標についてはワーク・ライフ・バランス憲章と一緒にワーク・ライフ・バランス行動指針ができます。その行動指針に反映させることになっていますので、その関係についても合わせて御説明いただければと思います。では、よろしくお願いします。
神田調査課長
では、よろしくお願いします。資料1から4についてまとめて説明をさせていただきます。
資料1については今までもごらんいただいているものですけれども、今回の実現度指標をつくる目的と、どういう視点でつくっているかという考え方をもう少し書き込んでほしいという意向を踏まえて、修正をさせていただいております。 まず、初めの1.は実現度指標は何かということですけれども、我が国の社会全体で見た個人の暮らし全般にわたる仕事と生活の調和の実現状況と、②それを促進するための官民による環境の整備状況、それぞれを数量的に測定し、評価するものであるとなっております。
「目的」が2に書いてありますが、これは従前とほとんど変わっておりません。実現度を数量的に測定し、それを分析・評価することにより、調和実現の阻害要因、取り組むべき政策、優先度の把握に資することを目的とするというものです。
(2)以下が変更されております。「対象」は何を把握するかということです。
①は「仕事・働き方を中心とした把握」ということです。柔軟かつ過重な負担とならない多様な働き方を選択できることが、仕事と生活の調和の実現のために不可欠であるとの基本的考え方の下、女性や高齢者を含め、多様な主体が希望に応じ、柔軟かつ過重な負担とならない働き方を実現しているかを中心に把握するということで、これは仕事・働き方がやはりワーク・ライフ・バランスの中ではどうしても中心にならざるを得ないということです。
2番目は、そうは言っても暮らし全般の活動や状況の把握をしますということです。多様な働き方が実現されれば、家族との過ごし方や地域活動や学習・趣味娯楽などの活動に関わるゆとりができ、暮らし全般に変化が生じることから、仕事以外の3つの分野についての人々の活動状況を把握する。また、過重な仕事・働き方は心身の負担となることから、人々の仕事・働き方に起因する健康状況についても把握の対象とするということでございまして、主に行動指針の方では仕事・働き方あるいは生活が日々の中心ですけれども、私たちの方は地域・社会活動、学習あるいは健康といった点も見るようにするということでございます。
③は「環境整備の把握」ということです。個人がさまざまな活動を選択することができるようにするためには、官民による社会基盤づくりも不可欠であることから、多様な働き方を選べる機会や、働きながらさまざまな活動を行う機会が設けられているか、またさまざまな活動を支える地域の支援サービスを得られる機会が設けられているか等の環境整備の状況についても合わせて把握するということでございます。これが、恐らくこの実現度指標の一つの大きな視点だと思っております。
(3)ですが、これは前回委員から御指摘のありましたものでございまして、個人がさまざまな活動をしているわけですが、それが希望に沿ったものかどうか。そういうものをチェックした上でなければ、調和しているかどうかがわからないのではないかという御趣旨の御意見だったと思います。そこで、「個人の希望を踏まえた実現度の把握」とさせていただきました。個人がさまざまな活動を選択することができるように環境の整備がなされ、その結果、個人の希望がかなうことをもって調和が図られるものととらえる。そこで、実際の個人の行動の方向性が希望に沿ったものであるかどうかを確認した上で、仕事と生活の調和をどの程度実現できているのかの進展度合いを測定するものとする。以上が、指標をつくる上での考え方だと整理をいたしました。
テクニカルな部分については、3の「実現度指標の作成方法」としてまとめをさせていただきました。
1つは「体系」です。実現度指標はそこにありますように「個人の実現度指標」と、官民による環境の整備状況を示す「環境整備指標」の2つから構成される。前者は何かということですが、柔軟かつ過重な負担とならない多様な働き方の実現状況云々ということで幾つかの状況について把握するということです。また、後者は何かというと、繰り返しになりますので説明いたしませんが、結局は各種制度等の普及状況、保育関連などの支援サービスの提供状況について把握するというような性格のものです。
活動分野については、「個人の実現度指標」についてはそこにありますⅠからⅤ分野を設定するとともに、5つの分野に中・小項目を設けるということを考えております。他方、「環境整備指標」については1つの分野とするということです。
「作成方法」ですけれども、それぞれの分野及び項目に関して関連のある統計データ、これは構成要素を選定する。各構成要素について標準化を行った上で構成指数化をして指標を作成するということです。ですので、具体的には個人の実現度指標については5分野の指標と、あとは中・小項目の指標を、また環境については1つの指標を作成するということでございます。
「公表等」ですけれども、原則は毎年指標を更新して公表する。その際、必要に応じて構成要素の入替えなどの見直しを検討するということにさせていただきたいと思っております。
次の別紙のところでは5分野ごとの考え方を書かせていただいていますけれども、ここについては指標を見ながらのコメントに代えさせていただきたいと思います。
資料1-2はポンチ絵でございますし、今までも御紹介をしてきたと思いますので、一応確認です。真ん中のところに「仕事と生活の調和がとれた社会が実現した姿」とございます。個人については5分野で5つの活動領域で把握をする。環境というものは一つのまとまりなのですが、その環境を真ん中にあります「仕事と生活の調和がとれた社会が実現するための3条件」、これは行動指針の方でこの3つの条件が重要であるということをうたっているわけですけれども、やはりその環境というのもこの3条件をある意味で支えていく要素なんだろうということで、環境についてはこの3条件で一応区分けをしているということです。そういう3条件が備えられれば、個人が5分野でどういうバランスをとっていくかも影響されることになるだろうということでございます。それが1-2のポイントです。
資料1-3についてですけれども、ここで確認をさせていただきたいのは、どこの段階で指標をつくるかということのもう一度確認でございます。1つは仕事・働き方、家庭、地域というふうに左側にⅠからⅤまで打っています。これでそれぞれつくる。ですから、仕事・働き方指標、家庭生活指標となるわけです。そこに今、中項目とありますが、これも中項目指標になるわけです。次の小項目も指標です。それで、構成要素とありますけれども、これはあくまでも指標をつくるための材料です。ですので、今後ここについていろいろなデータが出てくれば、あるいはいろいろチェックしながら問題があれば柔軟に差し替えていくということで、私たちが把握をしたいのはあくまでも小・中項目であり、働き方がどうなっているかということで整理をさせていただきたいと思います。
それで、この資料はそもそも構成要素を関係者の方々といろいろ詰めていく段階でこういう整理をさせていただいて、それぞれの分野ごとにこうなっているということをわかりやすく示させていただいたものです。これで前回から変更点、調整の間にどういうような状況になったかということを御説明したいと思います。
まずⅠの中項目の1の「柔軟な働き方を選択できるか」というところで、それぞれ希望に応じた柔軟な働き方を選択できているかという①ですが、その中で「テレワーカー比率」、それから「出勤時間の多様性」、これはフレックスタイム制と、もう一つ裁量労働制というものもございましたが、これはなかなか厳しい状況がございまして、ここは実際に現実に出勤時間がばらけているかどうかという結果をもってどのように柔軟な仕事・働き方ができているかということを、最終的な人々の行動でチェックをしたいと考えております。
それから、ここの中に転勤・転職による離職率というものがございました。ここについても、よく見ますと、転勤・転職だけではなくてその中に質問表を見ますと「等」というのがあって、事業所が閉鎖になったというようなこともございました。これは事業所側の都合によるものですので、そういう意味ではこれは採用しないことにさせていただきました。
②の公平性については、数としては2つということなのですが、以前ここにちょっと入っていました男女の賃金格差あるいは平均勤続年数の男女差は、その下の多様性というところで見ていきたいと考えています。ここはあくまでも柔軟性ということですので、結果的に女性が働いているかどうかというような指標にさせていただきまして、多様な主体が働けるという中で「平均勤続年数の男女差」、または正社員の男女の平均の賃金格差というものを見ていきたいと思っております。
また、ここの多様性のところでその次に「非正規から正規への移動率」とあります。これもカテゴリーを移動しました。前はその下の3の「過重な負担となったり、生活が維持できないような働き方をしていないか」という収入面での自立が可能か。要するに、ここに入れておりますと非正社員であるイコールあたかも自立ができていないかのような印象を与えていたんですけれども、必ずしもそうではない。幅広い方々が非正社員という形を使っているということもありますので、ここは多様性という形で整理をさせていただきましてここに移動をしております。
また、米印のところですけれども、高齢者の就業希望率というものを追加したいと思っておりますが、ここはまだ各省との調整がやや残っているところでございます。
また、②の方ですけれども、ここについては従前から変わっているところは最後の「子どもを持つ女性の潜在失業率」とあります。これは、以前は待機児童数だったのですが、待機児童数ですとあくまでも顕在化したニーズだけしか把握できていないということです。でも、実際には子どもを持ちながら就業希望のある人、仕事は持っていないけれども仕事をしたいという人もおられるので、そういう潜在的な失業率、より広い潜在的なニーズも把握したデータに変えさせていただきました。
「家庭生活」ですけれども、1の「家族で過ごす時間はとれているか」というところですが、この中で2つ目の要素の「一週間のうち家族そろって一緒に食事をする日数」というもの追加させていただきました。
それから2の方で、「固定的性別役割分担」の男女差というものを持っていたんですけれども、必ずしも社会の中で男女差がなくなること、固定的役割意識について男女差がイコールになるということ自体がワーク・ライフ・バランスに資するかどうかというと、どういうタイプの人と結婚するかによってその人々がどういう意識が共有できるかが変わりますので、社会で男女差がゼロになることがいいと決められないのではないかという意見がございました。そこで、ここは役割分担そのものが解消しているかどうかということ、それが家庭プラス職場でのワーク・ライフ・バランスに資するということで、ここは役割分担そのものを入れると考えております。
「ボランティア関係」は、それほど大きな変更はございません。
「健康・休養」ですけれども、ここについては1.で最後のところに「20歳以上の健康診断等の受診率」というものを入れさせていただいています。ここは幅広く、市町村も含めましていろいろなところで健康診断を積極的にやっているということがある意味で働いている人、あるいはそれを支える家族の方々の健康に配慮できるような世の中ということですので、ここは20歳以上の全体の健康診断の受診率というものを実現度指標として入れたいと思います。
また、「環境整備指標」の方ですけれども、ここについては1つの指標をつくることにしたいと思っております。ただ、行動指針との関連性をもう少しつけてほしいという意見がございましたので、3条件で整理をさせていただいています。
3条件の中で1つ目が自立可能な社会かどうかということなのですが、そこの指標としては「公共職業安定所の求職者の就職率」、あるいは「離職者訓練の就職率」というものを入れさせていただいています。
また、2つ目の条件の時間の確保ですが、ここは労使が話し合いの機会を設けているかというような話で、これは前回と変わっておりません。
3つ目の柱については、数が増えている部分もございます。プラス前にも柱に整理をしていたのを3の柱に持ってきた部分もあります。初めの方は変わっていないんですけれども、真ん中くらいで、ちょっと読みにくくてすみません。8行目に「正社員への転換制度がある事業所割合」というものがありましたが、これは前に自立のところにやはり実現度と同じように入れていたんですけれども、非正社員イコール自立ができないというわけではないということでございますので、多様な方に入れさせていただきました。
また、「リフレッシュ・ゆとり活動に対する支援・援助制度がある企業割合」、「職員のボランティア活動に対する支援・援助制度がある事業所割合」というものがあります。これは2の方のさまざまな活動に入っていたんですけれども、実は行動指針の方でボランティア活動ですとか、こういうものは3の柱として整理をしておりますので、そちらの方に移動させていただきました。
それプラス新しく追加したものとしてはその2つ下ですが、「生涯学習の土日の開催状況」、「社会人特別選抜実施校数」、あとは「社会教育施設における学級・講座」というようなものを追加させていただきまして、この辺は若干ペンディングのところもあるんですけれども、文部科学省の方々の御協力も得まして、こういうものを今、追加させていただいている次第です。
最後に、地域での支援サービスということです。ここは、保育関連のものが入っています。それプラス幼保一元化に関する指標として認定子ども園です。あとは「放課後児童クラブを提供している割合」、ここもまだ確実にセットされているわけではないですけれども、必ずしも働いている人だけではなくて、よりユニバーサルなサービスということで放課後の児童クラブを提供している割合というものを入れさせていただいています。
すみません。説明を間違いましたので、修正させていただきます。放課後児童クラブはOKなのですが、「放課後子ども教室の設置箇所数」の方を、よりユニバーサルなサービスということで、働いていない方へのサービスということで入れさせていただいています。
それ以外に、ここでちょっと移動したという意味では「シルバー人材センター会員数」、これは実現度の方に入っていましたが、こちらに移動しました。あとは、御意見のありました「公契約の評価項目にワーク・ライフ・バランス取組を採用している自治体割合」ということを追加させていただきました。そういうことで、前回よりもかなり官の取組の方を充実させていただいた形となっています。それが3です。
それで、全体にちょっと戻りますけれども、1つ重要なことを言いそびれました。資料1-2に戻っていただきまして指標の名前なのですけれども、今までは資料1-2にありますワーク・ライフ・バランス実現度指標という名前だったのですが、なるべく片仮名用語は避けるということで「仕事と生活の調和実現度指標」と変えてはどうかと思います。
それと、実現度指標の中に「個人の実現度指標」とあります。これは「個人の総体で見た」とあったのですけれども、なかなかわかりにくい部分もありますので「個人の実現度指標」に変更させていただいております。また、「官民の取組指標」と前回はさせていただきましたが、それについても「環境整備指標」ということで、より広い概念をとらえることにしたいと思っております。そういうことで今回ちょっと言いそびれましたが、名前が変わっておりますので、そこについても御了解いただければと思います。
今、御説明をしました資料1から3についてが、実質的に本日御了解いただきたい内容です。これが基本的に28日、明後日ですけれども、行動指針の策定作業部会の方にこの資料1から3をもちまして専門調査会での議論の成果ということで御報告させていただきたい内容です。ですので、主に今日は資料1から3について突っ込んだ意見をいただいて合意をさせていただきたいと考えております。
資料1-4ですけれども、これにつきましては合成をどうするのかという関係でございます。
まず「個人の実現度指標」については、先ほども言いまして繰り返しで恐縮ですが、5分野ごと、または中項目、小項目のレベルで合成をする。「環境整備指標」については1つにしますということです。
それぞれウェートをどうするかということですけれども、次のページを見ていただきますと「個人の実現度指標の合成ウェイト」とあります。それぞれ5分野ごとにこういう構成になっているわけですが、中項目で見ると「仕事・働き方」については3つある。もうこれは単純に3分の1にしてしまおうという考え方です。それぞれ小項目として2分の1ずつあります。それは2分の1になる。ですので、それぞれの小項目は「仕事・働き方指標」のうちの6分の1のウェートになりますということです。ここはいろいろ御議論はあろうかと思いますけれども、要するに客観的にウェートを付けることがこの場合は困難ですので、単純にするしかないというような判断でございます。
小項目の指標の中にそれぞれいろいろな構成要素があるわけですが、それは基本的には単純平均で積み上げようと考えております。
元の資料の1ページ目に戻っていただきまして、2の(1)のポツの3つ目です。小項目に合成するための構成要素のウェート付けについても同等ウェートとする。単純平均にします。ただ、類似性、関連性が高い一部の指標についてはそれで一つの指標と見るようなこともしたいと思っています。その辺は育児関係で若干生じると思いますけれども、そこはまだ検討途中でございますが、基本的には構成は同等ウェートと考えています。
「環境整備」についても、同等ウェートを基本とする。ただ、場合によって関連性が高い、類似性が高いものがあれば、若干そこは加味をさせていただくかもしれません。
「合成指標作成の具体的手順」としましては、(1)のところですけれども、初めのポツでは必ずしも毎年ないデータもありますので、そこについては必要に応じて補完をする場合もあります。また、個別の構成要素の合成については、どうしても人数だったり、割合だったりするわけですけれども、そういう単位が違う。また、変動幅がどうしても違って、ある統計はすごく大きくブレるのに、一方では余り動かないというようなこともございますので、そういうものを除去するための標準化という手続をとります。
標準化の方法としては、基本的には対称変化率、要するに伸び率をつくる。伸び率にしますと単位が捨象されてすべてパーセントになるわけですけれども、それで伸び率に換算をして、その上で指数化というか、抽象化というんでしょうか、そういうものをつくる。その対称変化率というのは、2ページ目をめくっていただきますと書いてありますけれども、伸び率を出すときに、分母に前年の伸び率を持ってくるのと、今年の伸び率を持ってくるのと、その増分を割るときですね。その2期間の差を割るときに分母のどれを取ってくるかで数字が違って、中学校や小学校の試験問題で間違うような形で違ってきてしまうという例は皆さんも御存じだと思いますが、そういうふうにならないように、要するに両方の期間を足して2で割ったものを分母に持ってくればいいということでございます。そうすることによって100が200になっても、200が100になっても絶対値で見れば変化率を同じにするということで、そういう意味で対称にしておくということでございます。そういう対称変化率を用いて、ある意味で指数化といいますか、標準化した。更にそのときに、物によってはかなり変動差がありますので、それを標準偏差で割ることによって、よりノーマライゼーションを行うというようなことでございます。
それで、標準化した後の構成要素については単純に平均をして指標を合成するということです。その指標については、同等ウェートで基本的には足し上げるということを考えています。
最後は、基準年を100として指数化をするということでございます。
この1-4については、今後具体的に作業をこれからさせていただきますので、基本の方針については御意見をいただければありがたいんですけれども、追ってまた御相談をさせていただきたいと思います。
最後になりますが、行動指針の策定作業部会で前回、14日に御報告させていただきました。そこでどういう議論があったかということは、1つは数値の指標、構成要素ですが、具体的にどういう構成要素でそれぞれの指標をつくるかというのは是非専門調査会で十分に御議論いただきたいということです。要するに、行動指針策定作業部会では専門調査会での議論をそのまま受け入れるということでございます。それで、専門調査会と行動指針の策定作業部会との仕切り、役割分担が明確になったということです。
もう一つは、先ほどから行動指針の中の3つの指標、3つの条件に分けてほしい。この整理をしてほしいという御意見が結構強うございます。ですので、そこについてはもう少し資料をつくって説明をしてほしいというような要望もありましたので、今回参考1として資料を皆さんのお手元に配っております。これは専門調査会で決めていただくことではないのですが、あえて行動指針の中における位置付けとしてはこういう位置付けになるということで御紹介をさせていただきたいと思います。
何かというと、これは実現度指標について5分野で、左側に縦に5分野並んでおります。中項目がありまして小項目があります。それで、構成要素もありますということでは私たちの今までのものと同じなんですが、何が違うかというと、真ん中に「仕事と生活の調和のとれた社会が実現するための3条件」とあります。行動指針はこの3条件を整備していくために何をしていくかということを議論するということですので、この指標もある意味でこの3条件で整理するとどういうふうになるんだろうかということを明確にしてほしいという強い希望がありましたので、小項目レベルで3つの条件に割り振るとどうなるかということを示したものです。
例えば、一番上は柔軟な働き方ですが、これは3条件の中の「多様な働き方・生き方が選択できる社会」というところに位置付けられるでしょうし、公平性という意味では行動指針での整理は自立にもプラスになるし、多様な働き方・生き方にもプラスになるということで2つに整理をされていらっしゃいますので、そういうふうに合わせています。
また、多様性という意味では3つ目の柱で、女性という意味でも多様性ですので3つ目の柱です。それで、私たちの方の「過重な負担となったり」という拘束時間の方は第2の柱の「健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会」ということで真ん中に分けています。自立という意味では、第1の柱ということです。また、ちょっと先ほど触れましたが、地域活動、または学習、趣味・娯楽という意味では、多様な生き方が選択できるという意味でございますので、第3の柱の方に整理をするというような位置付けです。
ですので、私たちはあくまでも指標をつくる上では5分野で整理をしますけれども、政策的なインプリケーションとしては小項目を分けることで行動指針が示す3条件がどう動いているのかということも把握することが、3条件の中で個人がどう活動しているかということも把握することが可能であるというような整理にさせていただきたいと思います。 一方で、1枚めくっていただきまして「環境整備指標」の方ですが、これはある意味で3つの条件にどういうふうに環境整備のそれぞれが関係しているかということで整理をさせていただいています。それで、経済的自立のところは収入での自立をする機会が設けられているかというようなことで、ここはあくまでも指標はつくりませんので整理の視点としてこういうふうに分けることができるという意味でございます。指標としてはそれぞれでつくりますと、正直なところかなり指標の数にばらつきがございまして、ウェート等は余りよろしくないと思いますので、ここについては「環境整備指標」一本で測定したいと考えております。
そういうことで、今お示しをした参考1は、では何のためにつくったかというと、実はこれは行動指針の中の別添資料として付けるとすればこういう形ではないかという案でございます。もちろん行動指針策定作業部会で28日に議論が行われると思いますが、当方の案としてこういう形が考えられるのではないかというような趣旨でございます。以上です。
佐藤会長
少し追加的に説明させていただきます。資料1と2で、これは多分前回の絵と違うのは真ん中に「仕事と生活の調和のとれた社会を実現する3条件」というものが入ったんですけれども、この専門調査会では調和実現度指標を作成し、今後その推移について公表していく。これは変わらなくて、それ自体はここでつくるんですけれども、先ほどお話をしましたようにワーク・ライフ・バランスの行動指針の策定作業部会の方で行動指針をつくっているわけですが、行動指針の中でこの実現度指標をどう扱うかということは行動指針策定作業部会の仕事なんです。まずそういうことが1つあります。ですから、我々は事実的にもちろん実現度指標をつくるんですけれども、我々独自としてそれを公表していくということと、もう一つは行動指針の中でどう扱うかという2つがあるわけです。
それで、なぜこの3条件が出てきたかというと、ワーク・ライフ・バランス社会が実現した社会の姿というのは何かといったときに、この3条件がきちんと確立する社会だろうというのがワーク・ライフ・バランス憲章の中でうたわれているんです。ですから、行動指針もこの3つの条件をちゃんと確立できるようにするような整理の仕方になっていますので、当然政策的にモニターしていく場合もこの3つの条件がちゃんとできてくるかということを見ていくことになりますので、行動指針の中ではこの専門調査会でつくった実現度指標を男女局として公表していくのと別に、実現度指標をできればこの3条件の進捗などを測るものとしても使いたいということがあるわけです。それで、参考1みたいな絵が出てきているということです。
ですから、そういう意味では外在的にあるこの実現度指標をどう使うか自体は向こうで議論しますので、そうすると絵としても我々としては個人から見て5分野ごとのワーク・ライフ・バランスの実現の姿を測定しようとしていたわけですけれども、それを3条件の進捗を見る上でも使いたいとした場合、その両者の関係はどうなっているかがわからないと外から見た人がわかりにくいということがありますので、そういう意味で資料1-2の絵にしましたし、参考資料もそういうふうにつくっているということです。ですから、その辺を御了解いただければということです。それが一番大きな点です。
それからもう一つは、28日に作業部会に専門調査会での議論を報告します。なぜそれが必要かというと、行動指針の中に位置付けを書くわけですから、我々がどういうものをつくっているかについて説明しておかないと、策定作業部会の方で位置付けを議論できないということになります。逆に言うと、28日までにこちらはこういうものをつくるんですということを決めなければいけないんです。まだ決まっていませんというと、向こうではどう位置付けていいか議論できない。議論できないと、極端な言い方をすると行動指針の中に入らないということにもなりかねない。
やはり行動指針の中に実現度指標をきちんと位置付けてもらうということが我々としても重要ですので、そういう意味では十分議論できていないところもあったんですけれども、少し早目に調整して、いろいろ御意見はあるかと思いますが、できれば今日までに計算のところで多少入替えはあるにしても、大枠は今日決めておかないと28日の議論に出せないという状況があるということを御理解いただければと思います。
それからもう一つ、参考1でも結構なんですけれども、実現度指標をつくる構成要素に太字が入っていると思います。これは、あくまでも数値目標として行動指針に入るものです。ですから、行動指針の数値目標として入るものも我々の実現度指標の中に入っている。実現度指標は皆さんがずっと議論していますが、これは数値目標ではなくて進捗度を測るものであるということで、その整理はできていますけれども、行動指針の方にはここに挙げている太字のものが数値目標として入る。ですから、5年後、10年後ですか。2010年、2015年ですか。
神田調査課長
10年後が最終目標で、中間年が5年後です。
佐藤会長
例えばそのそれぞれについて何%とか、数値目標として入るのがこの黒字のものです。ですから、数値目標ももちろん入るし、もう一つは実現度指標のモニタリングとして進捗度を見ていく上ではこちらも使うということです。以上です。
それでは、御説明について御質問や御意見をどなたからでも、わかりにくいということでも結構ですし、どうぞ。
勝間委員
点数は何点満点のうち何点というのがまず初年度で決まって、その後、変化値を求めるというのは、その数値の結果はどういうような指数化になるんですか。
神田調査課長
基準年を100にします。
佐藤会長
それを2000年にするかどうかはまだ決めていないんですが、多分一番調査が実施されている時期を基準年にした方がいいと思うんです。あとはどうするかわかりませんけれども、ないところは前後でいってそこの数値をつくるしかないと思うので、わかりやすいのは2000でしょうか。2000、2005というような感じでしょうか。
勝間委員
景気動向指数とかですと、いい悪いはわかりやすいんですが、100が150になっていいんだか、200になっていいんだか、300になっていいんだかという絶対観がつくっている私たちがわからないと、受け取る人はますますわからないんじゃないかというのが心配なのですが。
神田調査課長
そこはトレンドとして出してみて、過去のトレンドと比較して、今回ワーク・ライフ・バランスと言っていても過去と余り変わらないか、あるいは加速的になっているかどうか。あとは進んでいるとすれば、柔軟性が進んだのか、多様性が進んだのか。その辺のバランスを見ていくことになると思います。
勝間委員
結局、そうするとほかの指標でも諸外国比較とか、何かベンチマークがあっていい悪いという話があるんですけれども、日本だけが単独でベンチマークがないとなると、かなりこれは数値の見方を丁寧に説明してあげないと使いにくくなるかなというのが懸念なのですが。
神田調査課長
おっしゃるとおりです。ですので、私たちはそのニーズ、希望がどうなのか。その希望がある意味で満たされているかどうかというのが1つの把握のメルクマールになるかなとは思うんです。正直、海外との比較というと指標が限られてしまいますので困難だと思いますし、当初から海外との比較をすることは念頭に置いていません。
ただ、個人のニーズに対してこのスピード感がどうなのかということはあろうかと思っております。
勝間委員
更新頻度は年に1回ですか。
神田調査課長
原則、年に1回です。年次データで取れる部分がありますので。
勝間委員
やはり5年くらいしないとある程度のトレンドは見られないけれども、今からやっておこうという感じですね。
佐藤会長
ですから、過去にさかのぼるということで、例えば2000、2005と、その後と、その前も少しやるということですね。今を基準年にするのではなくて、多分少し前を基準年にするということだと思います。
それからもう一つ、今、大事な点で、多分公表したときに極端に言えば全部100ですから、100の水準はいろいろあるわけです。そこは正直言って議論できない。皆、同じ水準にあるわけではなくて、本当は変ですけれども、絶対水準で見ればこれは100なのにこれは50くらいというものもあるかもわかりませんけれども、基本的に今よりも改善しているかどうかだけで、絶対水準については同じように改善しているかどうかはわからない指数だと、それは少し説明する必要があるとは思います。
勝間委員
過去にさかのぼってもしできればですけれども、2000年から2005年にかけた施策と連動して、この数値がよくなった、悪くなったという解説で、だからこの施策をもっと進めていきましょうとか、この施策については見直しの余地があるのではないかというような過去の分析が必要かと思います。
神田調査課長
過去の施策との関係ですね。
勝間委員
予算をここで増やしたからこうなったとか、ある程度ここについてはこういう効果があったんじゃないかという仮説でもいいんですけれども、それである程度後押しをするような形にした方が望ましいかと思います。
神田調査課長
政策との関係は、行動指針がそもそもそういうワーク・ライフ・バランスの政策を規定しているという位置付けなので、1つはもちろん私たちとしてはそういうものをチェックするためのツールを提供いたします。また、その結果を見て、ではどういうふうに次の政策にフィードバックするかというのは恐らくは行動指針のある意味でフォローアップ的なところで議論されて、次の行動指針にまた生かされていくような形になろうかと思います。もちろんおっしゃっているように、私たちの指標を見ればそういうことも分析が可能になるようなところまでは準備しようと思いますけれども。
勝間委員
その将来については理解しているんですけれども、過去においてケーススタディを提供するべきではないでしょうかというのが提言です。私たち以外に、今から過去のことをわざわざやる人はいませんから。
佐藤会長
使い方については少しつくった段階で、こういう使い方もできますとか、政策評価に使うことを言っていますので、それは考えた方がいいとは思います。
神田調査課長
今回も報告書をつくるときには過去のトレンドを見ながら、どうしてこうなっているのかというような解説は加えたいと思っています。
佐藤会長
どうぞ。
北浦委員
2つほどですが、1つは確認と、1つは質問です。
確認の方は今のこととも関連しますが、大変よくまとまった指標ではないかと思うんですが、資料1-1の基本の在り方の1の「指標とは」というところの最後の3行目の「評価する」というのは何を評価するんだということがここでは明示的には書いていないです。ただ、説明でもいろいろわかりましたが、先ほどの議論もありますように、これはここでも議論がありましたが、実現度というのは何か一定の水準を目標に掲げて、それの到達度ではなくて、あくまでも実現の度合いという現状を指標化したものの進捗度を評価するということですね。ほかのところにはそういうふうに出ているんですね。ですから、実現度合いの進捗度を評価するという趣旨だろうと思うんですが、その辺は確認をさせていただきたいと思います。その辺がないと、何を評価するんだということがわかる人はわかるんですけれども、わからない人はわからない。それが1点です。
2点目は単純な質問なのですが、参考1です。これは大変よくできた表だと思うんですが、これは感想めいた話ですけれども、このことによって2つ見えてくる。
1つは、先ほどの数値目標との関係でいくと、この5領域の中でやはり家庭生活のところに数値目標がないというのが見えてくるわけです。このことはここでの議論ではありませんので別段あれなのですが、そういったようなものも確かにこうやって整理をするとよくわかる。これは感想ですので別に関係ありません。
質問としては、先ほど3つの条件ということでマトリックスをつくられました。これで関係は非常によくわかったのですが、先ほどの座長の話にもあったり、説明にもありましたように、この3条件の達成度合いというものが将来的には測定される可能性がある。そうだとすると、指標というのは横ではなく縦系列でも何か出される可能性があるのかどうか。そこのところが1点です。
佐藤会長
指標は中分類、小分類、大分類のそれぞれで公表されますから、読み方次第で、小分類を縦に見れば使えるということなんですね。小分類、中分類、大分類では数字は公表されますから、我々は5つの分野で出すにしても、縦で見ればこちらの進捗でも使えるという趣旨ですね。
神田調査課長
そうです。ただ、3条件で第1の指標というニーズがあるかというと、そこは余りニーズがなくて、そこは個別でチェックしていけばいいという考え方でいます。これを足し上げるとなると、活動とか、生活とか、ウェートが必要になっていくわけですね。そこは私たちも難しいので、単純に2分の1、3分の1にできないかということで、なかなか実際は難しいかと思います。
北浦委員
そこは考えていないんですね。
佐藤会長
そういう意味では、こちらとしては縦で積み上げたものは考えていないということですね。
北浦委員
将来的にどう評価するかというのはありますね。ですから、5つの領域に分けて、それを単純に積み上げてウェートづけをしていく。それはそれで私も結構だと思いますが、3条件でということになってしまうと、恐らく見方としては3条件と言われたらウェートが3つ同じじゃないか。ただ、この1番目の条件で全部仕事と働き方のところに特化しているわけですね。そうすると、ウェートづけからいくと、こちらで言う総合的な指標の数字と、3条件的に見たものと多少違いが出てしまうと感じたものですから、そういうふうな使い方はしない。あくまでも横で見たものを縦で見る見方、視点の整理だと理解してよろしいですね。わかりました。
神田調査課長
今の件ですが、実は家庭生活のところの目標というのはありまして、厳密に同じではないので入れていないのですが、6歳未満の子どもがいる男性の夫の育児時間というものをフランス並みにするということを掲げています。
ただ、私たちは男女比にしておりますので太字になっていないということですが、でもおっしゃるとおり地域とか学習なども目標としてはなかなかそこまでまだ世の中の合意が得にくいので、ボランティアをどのぐらいまでやるべきかとか、そういうことで今回は目標としては入っていないということが1つです。
あとは確認なのですが、私たちも5分野でそれぞれ指標をつくろうと思っている提案なのですが、5分野を足し上げて全体で個人の実現度指標というところまでは数字は出さないということですね。○佐藤会長 5分野ごとのところについては、総合指標はつくらない。だからレーダーチャート的な形で出るということです。
北浦委員
さっきウェートがあったんじゃなかったでしたか。
神田調査課長
それは、仕事分野までのウェートです。
佐藤会長
5分野が最終で、大分類以上の積上げはないと。
北浦委員
大分類のところのウェートということですね。わかりました。それはちょっと誤解しておりました。
佐藤会長
積み上げてつくればつくれなくもないけれども、一応そこは出さない。レーダーチャート的な形で出るということです。
ほかにどうぞ。
高橋委員
今回、変化率法を使って標準化されたというのは非常にいいことで、それによってニュートラルな関係に指標をされようというのはよく理解できたんですけれども、ただし、幾つかの変数によってはそれでもなかなかうまくいかない部分があるんですが、それは後の宿題に恐らくなると思うんです。ですから、今日どうのこうのということではなくて、後でフォローアップをして指標の動きを再評価するということを明記しておいていただきたいと思います。
佐藤会長
それはどこかに書いていなかったですか。
神田調査課長
見直しは書いてありますが……。
佐藤会長
資料1-1の2枚目の最後にありますが、もうちょっと書いた方がいいですか。指標の入れ替えや作成方法とか書きますか。正直言うと、計算まで今回やっていないので、そこはちょっと……。
高橋委員
そうですね。ですから、事前にそれができていたらという確信は持てるんですけれども、理念的に仕組みとしては非常に真っ当な標準化指標を用いるという意味では高く評価できると思います。ですから、その後の事後評価のところだけです。
神田調査課長
そこの点は、また次回か次々回に具体的な指標をお見せしますので、そのときにもし問題があればそういうことを報告書あるいは今後の在り方で……。
佐藤会長
本当は全部やってと思うんですけれども、そうはいかないので、一応原則だけ御了解していただいて、やる作業の中には多少幾つかの項目で別のやり方をやらざるを得ない点が出てくると思うんですけれども、そこまでは策定作業部会まで出さなくてもいと思うので、そこは御了解を得ようとは思っていますが、こちらではちゃんと議論しようと思います。
どうぞ。
松井本部長
オブザーバーとして参加させていただいております日本経団連の松井です。資料1-3の「個人の実現度指標」の構成要素について確認というか、疑問点などを申し上げたいと思います。
まず1の「仕事・働き方」の1の②なのですが、「正社員とそれ以外の労働者の賃金格差」というときに、単なる二分法ではなくてもう少し職種別だとか職階だとか、更にきめ細かい作業をやった上での差を見るということでやっていただけるのか、そうでないのか。そこをまず明らかにしていただきたいということです。
2点目といたしまして、次の2の①のところで平均勤続年数というのが別のところからこちらに移ってきたという説明は、それはそれでいいのですけれども、今、申し上げた「正社員とそれ以外の労働者の賃金格差」を見るときに、例えば平均勤続年数みたいなもので区分をして差を見ていくとか、そのような差があってしかるべきではないかと思います。
それから、次の「正社員の男女の平均所定内給与格差」というのも、もう少し最初に申し上げたものと同じような形での職種別だとか、そういう細かい区分を見た上での差を見ないと、平均だけで見るとなかなか正直言って縮まらないというか、それはどういう仕事や職務・職種に就いたのかによって相当変わってきますので、そういう違いを除去するような仕組みを設けてもらえるのかどうかというところの確認をさせていただきたいと思います。
それから、次の次でしょうか。3の②ですが、「収入面での生活の自立」の部分について「低所得層の賃金」と「中位数の半分以下の所得である世帯主50歳未満の世帯員割合」というところが、自立しているか否かとの関係で、なぜこの指標で自立可能かどうかを見ることができるのか。その説明をお願いしたいと思います。
それから、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳのところにさまざまな活動の総平均時間というものが書いてありますけれども、場合によってどちらかが増えてどちらかが減るというような部分もあると思いますし、それぞれの内数の場合もあると思うのですけれども、それはどういう考え方で見たらいいのか。例えば、家事、育児、介護の総平均時間、これは男女比ですね。その次はボランティアの総平均時間とか学習・研修の総平均時間というのは両方とも伸びていくという見方をするのか。どちらでも伸びればいいという考え方なのか。それと、家庭にいて育児をしている時間の方に食われてしまうことをどのように考えるのか。ここら辺は、左の方の項目を見た場合に何となく理解はするのですけれども、こういうものを横ぐしに見た場合にどういう考え方をしたらいいのか。そこら辺の議論を、恐らくこの調査会でもきちんとした方がいいのではないかという問題意識で申し上げました。
それから、次のページの「仕事を通じて心身の健康を害することはないか」というところについて、先ほど「20歳以上の健康診断等の受診率」ということでありますが、まずなぜ20歳以上なのか。場合によっては大学生も20歳以上の中に入ってくると思うのですけれども、学校健診は含まれないのか、市町村レベルで行っている高齢者のものは恐らく含まれると思うんですけれども、ここら辺はどのようにして見るのか。
それから、もう一つ上の「過労死等事案の労災補償件数」というのは、過労死と言ってもそこの定義は今どのようなことを考えているのか教えていただきたいと思います。
全部申し上げておきますと、次の「環境整備指標」については先ほど北浦委員からもありましたけれども、余り公のものが入っていないということで、私もまずそのように感じます。
それともう一つ確認をしたいことは、「多様な働き方・生き方が選択できる社会」の「機会が設けられているか」というところについて、先ほど指数化していくときにもう少し検討されるであろうという項目とも想定されるのですが、「短時間勤務を選択できる事業所の割合」と、それ以降の「育児、介護のための勤務時間短縮等の措置の制度がある事業所の割合」は、その定義において多くの人が違いが理解できるようになっているのかどうかという疑問があるということです。
それから、その場合、3行くらい下の「正社員への転換制度がある事業所割合」というものについて、重複している部分もあるのではないかということ。それから、それぞれ育児、介護の勤務時間短縮等の措置と、あとは育児、介護休業制度の問題、看護休暇制度について「規定有りの事業所割合」と書いてありますけれども、これは法律で認められているものについて就業規則とか、そういう規定があるかないかだけを見る意味合いというのはどういうことなのかということを教えていただきたい。
というのは、制度あるいは規定があろうがなかろうが、育児、介護休業法で定められたものについては従業員が法に定められた所定の申出をすればきちんと取得ができるということになっておりますので、制度あるいは規定のありなしをどうしてそのように重く見るのか。場合によっては、削除してしまってもいいのではないかと思います。
それから、これらの項目について事業所の割合というのは恐らく役所の統計では民間の事業所に限られていると思うのですけれども、事業主たる公共部門の取組状況だとか、そういうものが一切入っていないのはどうなのか。
それから、1つ上に飛んで「健康づくりに取り組んでいる事業所」というものについても、健康づくりの定義はどうなのか。
それからもう一つ、これは事業所だけなのか、あるいは場合によっては健保組合がやるとか、公的部門だと言っていますが、共済組合あるいは共済会がやっているというケースもありますので、ここら辺をどのように見ていくのか。
細かいところにわたりましたけれども、気が付いたところは以上でございます。
神田調査課長
コメントをありがとうございました。では、初めの方から御説明します。
まず賃金のところですけれども、正社員の賃金格差については勤続年数、企業規模、学歴、職種も含めてデータで取り得る限りのものについて属性を除去した形で、あくまでも雇用形態でどういう差が生じているかということを男女別に取りたいと思っています。それは、男女の平均所定内給与格差も同じです。特に男女の場合は職階の差が大きいと思います。職階というのは、部長クラスか課長クラスかという問題ですけれども、そういうものについてもデータは取れますので、そこについては調整をしたものを取りたいと考えています。
また、自立可能かどうかというところですが、これは要するに中位数というものがある意味で自立可能な評価になるかどうかということです。おっしゃるとおり、中位数の50%以下が貧困ラインというふうに言われていますが、それが自立可能かどうかというのは、あくまでも相対的な指標なのでわかりません。
ただ、一方で、では日本で、例えば東京で最低限の生活をするのにどのぐらいのコストがかかるのかというのは、実は大体平均的な数字から出しているのが常でして、似たようなものなんです。要するに、平均的なものを基準に、そこから何割かというところである意味で自立可能かどうかということを見ている指標しか入手できない状況にあります。例の標準生計費調査にしても同様の計算方法であり、そういう意味では絶対的にこれが貧困かどうかというのは議論があるんですけれども、そこはちょっと統計の限界で、ある意味で相対的な貧困をもって、それの代理変数とするというように考えたいと思います。
4番目は、家庭とか地域活動、学習とかでそれぞれバランスを取るので、必ずしもAが増えてBが減ることもあるし、AもBも増えることがあるということだと思います。おっしゃるとおり、地域活動をする人は学習を減らす人もいるかもしれない。学習する人はそれまでやっていた地域活動を減らす人もいるかもしれない。ただ、全体として地域活動をしたいという人は多いし、学習をもっとやりたいという人も多いので、そういう意味では社会全体で見れば恐らくしばらくの間は両方増えていくものであり、地域活動をするために皆、学習の時間を削らなければいけないというような切羽詰まった状況には今のところないと思っていますので、多分当面は増えるでしょうということです。
また、家庭との関係については、私どもは家庭の育児の時間が増えればいいとは思っておらず、あくまでも男女の比率がどうかという役割分担を考慮しています。また別途指標として入れている平日の在宅時間はある意味で学習もできる時間ですし、地域活動もできる時間なので、そこは多分代替関係にはならないと思っています。
一方で、では育児と地域活動と学習はどうか。これは、多分3つは代替関係になってしまうと思うんですが、そこについては、当面のところ育児については男女比で見ているということ。また、地域活動、学習活動についても当面の間はまだ両方とも伸びていく余地があるだろうということでニーズ調査で把握しておりますので、そこは当面の間は伸びていくだろうと思っています。
それから、健康診断のところがなぜ20歳以上かというところです。これは、基本的にワーク・ライフ・バランスというのは学生というのはちょっと捨象して働いている人、または働いていない人、ある意味ではそれを支えているような人たち、専業主婦も含めてということを対象にしているので、そういう意味で一番近い母集団というのは20歳以上ではなかろうかということで20歳以上を取っています。
過労死の定義は私の手元にないので、もしあったら最後に追加してください。もしなければまた後でということになります。
「環境整備指標」というのは、おっしゃるとおり公の数が少ないという御意見を踏まえて、今回かなりの数を追加させていただいたものです。そこは是非御理解いただければと思います。初めの自立関係のところでは公共職業安定所も入っておりませんでしたが、追加をさせていただきました。
あとは、ワーク・ライフ・バランス実施企業を表彰する制度を設けている自治体の数、先ほど申しました公契約をやっている自治体の数、放課後子ども教室の設置箇所数、社会人特別選抜実施校数等々、認定子ども園も含めて、かなりの数を関係省庁の方の御協力を得て今のところここに書かせていただいている状況なので、そこは是非御理解いただきたいと思っています。
定義の違いですが、「短時間勤務を選択できる事業所の割合」、これはこれから厚労省さんの方でデータをつくるというふうに聞いております。ここについては、育児、介護だけではなくて例えば勉強したいというような一般的なそれ以外の理由による短時間の制度を導入しているものも入れたいと聞いておりますので、そこは定義が違っています。
あと、正社員の転換制度はちょっと趣旨がわからなかったんですけれども。
松井本部長
正社員への転換制度というのは、場合によって短期間正社員制度の一部分にも包含されているのではないか。そこで重複感があるのではないでしょうかということです。
もちろんそういうことでなくて、来年4月から施行されるパートタイム労働法に基づいて、いわゆる正社員への転換の措置を設ける企業は義務になりますから、当然のように増えてくると思います。ですから、こういう指標化をしていくときに何を指しているのかというのは世の中の人にわかるようにしておかなくてはいけないのではないかという問題意識があります。
それともう一つ申し上げたいことは、法律に基づく制度がいろいろここには羅列されているのですけれども、すでに制度としてつくられていることを見るのはどういう意味合いがあるんですかという質問をさせていただきました。そこでは、法律により制度化されてものについてまでなぜ書いておくのかという素朴な疑問について、この調査会としてはどう回答していくのかを教えていただきたいということです。
神田調査課長
規定ありの事業所には育児とか介護とか制度の規定ありというのですが、法律上は規定をつくらなければいけないとはなっていなくて、申し出た場合にはそういう環境を認めなければいけないということなので、そこはある意味で日本の制度にそういう法律ができても、なかなか利用しにくい環境にある。育児とか介護の場合に、要するに申し出にくい環境にあるというところが一つの問題になっています。
そういう意味では、規定があります、だれでもが使えますということをその事業所内で周知するということが重要だと考えています。幾ら法律で申し出ればいいとなっていても、では申し出られる環境なのかというと、その環境を後押しするものとしてやはり規定をつくることが重要だと思っております。ですので、そこは規定のあるところを入れさせていただいています。
松井本部長
1つの考え方としてそれは理解をいたします。制度があっても利用しにくいという意見もありますので、本当に法律に基づく制度があるのかないのかだけでいいのか疑問です。
私自身、労働政策審議会の雇用均等分科会の委員として、その部分については制度のあるなしに関係なく中小企業ではきちんと取り組んでいくということがあるということを常に主張してきている観点からしますと、本当に進ませるという意味合いでこういう指標でよろしいのかどうかということはやはり疑問であると言わざるを得ません。
神田調査課長
私どもは、これは社会環境で規定のある方をとらえさせていただいて、一方で実現度の方でどれだけ利用したかという双方でとらえようとしていますので、そこの認識は経団連さんと私どももそんなに違っている感じはしないのですが、ただ、双方でとらえているのでそこは制度があっても利用しにくいかどうかというのは利用の方でとらえればいいかと思っております。
あとは、公的な事業主としてのということですが、特定事業者でそういう行動計画をつくらなければいけないというのを初めに入れようと思ってチェックしたんですが、ほとんどの事業体で予定も入れるとほぼ100%がつくることになっておりますので、これ以上入れても余り意味がない指標だということで、そこは除かせていただきました。
松井本部長
確かに次世代法に基づく特定事業主の行動計画の策定届出というのは意味がないと思うのですけれども、私が質問した趣旨は、ここで取ろうとしている数字は民間のものしか把握していない統計ということをまず確認したかったのです。それで、せっかく自治労の方がいらっしゃるので、敢えて申し上げますが、そういうところはすでに全部きちんとやっているという大前提なんですか。そこを本当にそのまま放置しておくんですかと、そういうことを確認したかったのです。自治労のほかにここにおられる事務局の皆さんのような国家公務員もあるわけですから、そこに働く方々というのは日本の就労人口の5分の1くらいあるのに、今回の要素からそこがすぽっと抜けている理由は何ですかということを聞きたかったんです。
神田調査課長
それは、環境整備に限らず実現度の方も含めてということですね。
松井本部長
実現度指標の方は個人で見るから、民間企業に勤めているのか、公務員なのかどうかというのは区別して集計はあるのかもしれません。あるいは、余りないのかもしれません。
ただ、こちらの環境整備の方は純粋に民間だけですよねということで、本当にそれでいいのですかということを申し上げたいのですけれども、自治労の方の御意見も聞いたらどうでしょうか。
神田調査課長
ここについてはあるかどうか、ちょっと見ますが、ただ、基本的には育児介護とか、制度としてはあるので、そこはそろっているかもしれないです。
植本委員
せっかく御指名いただきましたので、今、御指摘の部分は確かに民間のところでしか統計的に出てこないような内容というのはかなりあることは事実であります。だから、逆に私たちも職場点検などの形で調査をしたりというのは組合的にはあるのですが、多分総務省で自治体のさまざまなこういう関係の制度についても、たしか5年に1回くらいの割合でいろいろな形で調査をしたことが参画についてもあったように思いますので、できるだけそういう意味では把握をしていただきたいという思いは同じであります。
それは民間のところでも法律ができても、やはり労使で確認をして取れる環境をつくっていかないことには、法律が横にあるだけではなかなか進まないというのは現実の問題としてあるのと同じようなことは、自治体や国公の職場でもやはりあると私たちも承知をいたしています。そうであるからこそ、それぞれの職場にはこういう制度があるよというふうに啓発をしながらきちんと労使で確認をしましょうという呼び掛けも現実的にしているわけです。そうしないと、今ある制度自身が定着しないという実態もありますので、むしろこういうものがありますかと聞くこと自体が定着を促進するということであると思いますので、もし把握できるトータルな資料がなければ、例えば毎年総務省が各自治体にやっている調査に項目として1つ2つ、何かオンをしていくことで実現可能なものもあろうかと思います。
今、これはしているけれどもこれはしていませんということはすぐには思い出さないですが、関連の項目として調査をしているような、実態把握をしているような項目もあろうかと思いますから、そういうものにオンできるようであれば次の調査からオンをするように働きかけるのも大事なことではないかと思います。
神田調査課長
では、それは確認をさせていただきます。ただ、これからまた各省との調整も入りますので、28日にもし間に合わないような状況になれば、またそれは次回の見直しのときということにさせていただくかもしれませんけれども、そこは盛り込む方向で確認をした上で検討したいと思います。
佐藤会長
それぞれ大事な点で、例えば先ほどの育児休業の規定の話なんですが、何度も言っているようにこれは構成要素自体が目標であるわけではなくて、つまり育児休業などが使いやすいかどうかといったときに何で取るかなんです。確かに規定があっても使いにくいところがあるのは事実です。ただ、規定があることが進むことは使いやすくなることの一つの条件ではあるので、私はないところも含めて使いやすくなれば当然規定を入れるところは増えるだろうという趣旨で取っていて、これ自体が目標ではないので、そういう趣旨だと御理解いただければと思います。
時間の点は、確かに時間は24時間ですから、個人単位に見ればどこかが増えればどこかが減るんですけれども、ただ、これは国民全体を積み上げたものですので、仕事の部分が減れば全体として個人のある人はボランティア、ある人は子育て、あるときは学習でと今、増えていくことになって、私は全体としては膨らむだろう。希望のデータなどを見るとそうなっていますので、仕事のところが減るという前提ですから、そこが減れば社会全体としてはボランティア活動なり、学習なり、子育て、家事に使う時間が増える。だから、全体として膨らむだろう。
ただ、これが10年、20年たったときに全部が膨らむような状態になるかどうかはもちろん別で、それは勝間委員が言ったようにどこかがあるところまでいくと伸びなくなることはあり得ると思いますが、現状ではそれぞれ別に取ってもそんなに問題はないだろうと思っています。
あとは、パブリックセクターをどうするかは、確かに個人の方で取れるものはできるだけ取るようにした方がいいと思いますけれども、制度の方は当面はこれでいって見直しのところで少し考える。ただ、国家公務員などは一つの制度だから、1つ入れてもあれなので、取得率の方で言えば育児休業などは取得率は高いですから、そこをどう取るかですけれども、当面今回はこういう形でやらせていただければということで、課題では事実あります。
ほかにはいかがでしょうか。
羽入委員
ただいまの御発言についてですけれども、この環境整備の指標と個人の実現度指標というのはやはり何らかの形でリンクさせる必要があると考えていて、制度があるかどうかということをせっかく環境整備の方の指標で聞くわけですから、それに対応した形で個人の実現度のところの構成要素の太字を用意するということもあるのではないかと思います。ですから、環境整備の指標の3つ目のところで、実際に制度はあるけれども、どれぐらい現実化しているのかということがわかるようにする。具体的にどれがいいのかわかりませんが、今、環境の方で太字なのが「短時間勤務を選択できる事業所」の割合であって、それに対応するものが個人の指標の中にも登場してくる方が、これを両方重ね合わせたときにわかりやすいということがあるのではないかと考えました。これは1つの提案です。
佐藤会長
ただ、注意していただきたいのは、構成要素で対応させるということではなくて、小分類なりで対応していればいいので、そこで対応しないと問題だとは思うんですけれども、それが1つです。
神田調査課長
構成要素レベルで関連性のあるようなものをちょっとグループにして、それを整理表として次のときにでもお見せすることは可能かと思います。頭の中でつくる段階ではそうやってつくっていたんですが、それを今まとめてお示しをしてしまっているんですけれども、あくまでも構成要素で積み上げないという意味ですね。私の方はやはり指標に重きを置いて見ているので、余り構成要素のところのそういう整理はしなかったんですが。
羽入委員
もちろんそうだと思いますが、そういう問題意識の下に作成していくということは重要ではないかと思います。
神田調査課長
そのような整理表をまたお見せしたいと思います。
佐藤会長
あと、これはつくるときも5分野で、基本的には仕事・働き方が変わるということが、今の日本の社会状況を考えるとそこが変わらないとほかの分野にかける時間とかエネルギーが取れないという前提ですので、そういう意味では実現度指標も「仕事・働き方」が多いですね。
環境もそこは多いというつくり方になっていて、そういう意味ではアンバランスなのは事実なんです。もともと「仕事・働き方」のところの環境整備をして、そこも代わり、結果として回りが変わるというふうなつくり方で始まったので、そういう意味では環境指標の5分野全部について同じような水準で入っていないというのは実態です。それをつくるときの議論がそうだったので、確かにそういう意味ではほかは少ないですね。これも今後の課題で、今やれるところはやった方がいいと思いますけれども。
羽入委員
もう一つ、非常に素朴な質問なんですけれども、家庭生活のところで家族と過ごす時間とかありますが、この表を作成する際にはシングルの人というのは想定していないのでしたか。家庭がありというか、結婚していて子どもがいるということを一つの理想型のような形で前提にしてこれを調査するということになっているのでしたか。
神田調査課長
未婚の方ですか。
羽入委員
未婚とか、一人暮らしの人とか。
神田調査課長
有職者で既婚者ですね。有職者の中でも単身の方は入っておられないです。
ただ、地域活動とか学習は既婚、未婚関係なく有業、無業で取りますけれども、やはりそれは単身の方も含めてそういう活動に参加していただくというのが一つの方向性かと思って、それは入れています。
羽入委員
家庭という概念は、一人暮らしは外すということですか。
神田調査課長
有職者の平日の在宅には入っているということです。「家庭生活」で「家族で過ごす時間はとれているか」の「有職者の平日の平均在宅時間」は既婚の単身の方も入っているということです。すみません。間違えました。
岡島委員
過去2回の議論に加わっていないものですから、理解不足のところも多いと思うのですけれども、幾つか確認をしたいことがあります。
7月にまとめられた報告書では、基本的には企業での働き方の見直しということを中心にして、それがだんだん社会全体に広がっていくということを前提にまとめていたと思うんですが、今回のこの指標の整理の仕方というのも今、単独世帯の話もありましたけれども、基本的には仕事を持っている人についての指標という理解でよろしいのかどうか。
もしそうだとした場合に、学習とか、あるいはⅣの学習・研究とか、あるいはⅢのボランティア活動の総平均時間とか、有業、無業で区別できない指標もあるけれども、それはデータの制約から近いものを取ったという理解でいいのかどうかです。
そういう点でいくと、先ほど松井本部長がおっしゃったⅤの「20歳以上の健康診断等の受診率」は、それこそ高齢者も含めて入りますし、非常に幅広いデータになるので、企業を中心に働いている方の生活の見直しという観点でどういうデータが取れるのかを精査した方がいいのではないかということが1つです。
それからもう一つは、「環境整備指標」の多様な生き方の「地域での支援サービス等を得られる機会が設けられているか」というところの構成要素を見てみますと、子育て支援的なデータが多いんですが、例えば介護というのは大きな要因だと思うんですけれども、それが入っていないのは何か理由があるのかどうか。あるいは、それは民間のサービスだから地域での支援サービスとは余り言えないという整理をされたのかどうかということをお聞きしたい。
最後に3点目なのですが、これは国全体の指標ということでおつくりになっていますが、できれば自治体でもというようなお話がございましたが、かなりデータ的に難しいものがあります。国全体で取られたデータも都道府県別のものがあるものはいただきたいとか、あるいはサンプル数を増やしていただきたいということ、これは要望でございます。以上でございます。
神田調査課長
まず基本的には働き方は企業で働く人が中心なんですけれども、働いていない人も含めて、専業主婦の方も含めて、やはりそれなりの生活の充実というのは必要なのではないかということで考えております。
それから、子育て中心なんですけれども、介護の方もちょっと入れる努力はしたんですが、制度的に一応介護休業制度みたいなものがありますので、そこについてはなかなか指標としてワーク・ライフ・バランスという観点から適切な指標がなかったということで、今回は落とさせていただいております。これも今後、更に検討を進める上で何か適切なものがあれば、次回の見直しのときに再度考えたいと思います。以上です。
板東局長
最初の御質問のところは、企業における働いている方々のワーク・ライフ・バランスの話が中心ではあり、大体年代的に見ると、その働いているくらいの年代が中心ではあります。しかし高齢者もこれから一層いろいろな意味で雇用の機会も広げましょうということでありますので、厳密にどこからどことははっきり言いにくいんですけれども、企業の中だけの問題ではなくて、可能性がある年代の範囲というようなものを幅広く組ませていただいています。また、本来であれば仕事自体が何かという議論を突き詰めていけば、有償無償労働なども含めていろいろな議論はあり得るんですけれども、その辺りは余り今回突き詰めた議論としてはしておりませんが、前提としてやはり雇用者とか、その辺りだけを中心にしていくとちょっと狭過ぎるであろうということでございます。
武石委員
大変私も整理していただいてわかりやすくなったと思うんですけれども、ちょっと細かいところで1つは最後の公契約の項目が「地域での支援サービス等を得られる機会を設けられているか」に入っているのですが、多分これが意図するところはそういう公契約にこういうことを入れると企業がワーク・ライフ・バランスの取組が進むということであれば、その上の次世代法に基づく一般事業主行動計画策定届出と意味的には近いと思うので、ここよりは上の「働き方・生き方を選べる機会」の方に入れる方が適切かなという気がしました。
それから、戻って「仕事・働き方」の2番の①のところなのですが、こうやって眺めてみるとやはり女性のことが多くて、ここは女性・高齢者ということなので検討中になっているのですが、是非高齢者の就業希望が実現しているかというようなところは女性の就業希望率と同じような取り方で取れると思いますので、入れてもらえると、女性高齢者ということでもう少し広がるのではないか。今のままだと、かなり女性にウェートがかかってしまうかなという気がしています。
それから、今はこのままでもいいと思うんですけれども、例えばここに女性の再就職と女性の就業希望率というのが1つの項目に入っているのですが、例えば再就職が増えていくと希望が実現して希望率が減るとか、第1子出産後の継続就業率が増えると再就職率が下がるとか、多分この辺は女性の働き方が変化することによって数値が上がったり下がったりと、かなり全体がトータルに影響し合う数字だと思うので、そこは少し数字を見ていったところで全体をどういう数値でとらえるのがいいかということを検討する必要があるかなという問題提起です。以上です。
神田調査課長
ありがとうございました。公契約のところは動かしても問題なさそうですけれども、動かしますか。
佐藤会長
これは上の方がいいですね。つまり、企業にワーク・ライフ・バランス支援を進めさせるということで取っているんでしょうから、多分上ですね。これは直接個人じゃないですから。
神田調査課長
では、上にします。
高齢者は是非入れたいと思っていますので、ちょっと調整は難航しておりますが、頑張ります。
それから、おっしゃるとおり、ある指標が伸びたときにそれが確実にほかの指標にとって逆の方に動くような相関の非常に強いもので、しかも理屈の上でもかなりリンクがあるようなものについては、また指標をつくる段階で精査をさせていただきたいと思います。
佐藤会長
ただ、これは再就職率だから、再就職の必要な絶対数は減っても率で取っていれば平気かもしれない。
武石委員
希望者に占める率にすれば。
佐藤会長
そうですね。ただ、武石委員が言われたような問題はそれぞれ検討した方がいいとは思いますので。
神田調査課長
再就職率で何か変えたんですよね。
佐藤会長
離職した人の中で再就職できた人か何かでしょう。だから、離職した人が減れば。率で取っているから、多分問題はないと思います。ただ、ほかのところでそういう問題が出てくる可能性があるから、それは見た方がいいと思います。
分析官
参考2の8ページに「女性の再就職率」というデータを上に載せております。こちらで整理していく段階で、より適切な統計があるだろうということで差し替えました。
国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」の中で、1歳以上の子を持つ初婚同士の夫婦について、結婚持続期間別に妻の就業経歴を取っておりまして、その中の再就職型の割合を取るということにしております。こちらの結婚持続期間は1から4年、5から9年と5年刻みで取れるのですが、おおむね結婚をして子どもを生んでから再就職できるという状態を取るには5から9年がいいのではないかということで今5から9年の結婚持続期間の方についての再就職の割合を取っております。
神田調査課長
継続型が増えれば、ここは影響を受けるかもしれないですね。ちょっとそこはチェックをさせていただきたいと思います。
植本委員
先ほどの雇用者中心で、そして家族のいる方という、独身の単身は除外ということではないんですか。
佐藤会長
そういうことではないです。
植本委員
そこのところを少しわかるようにしていただきたいと思います。
それから、ワーク・ライフ・バランス憲章、行動指針、そして実現度指標という枠組みの中でトータルなものが見えてくるというところでいけば、やはりワーク・ライフ・バランス憲章ではすべての国民を対象にしてというのが憲章の趣旨だろうと思うんです。そこから行動指針で具体的なものに落とし込んでいき、そして今度は実現度になっていったときに雇用されている人中心としか見えないというのは、議論の途中経過のところで、例えば農業や自営業の人たちのワーク・ライフ・バランスはどう考えたらいいのかということを少し申し上げたことが過去の議論でもあったと思います。
例えば、農業の家族経営協定などというものはワーク・ライフ・バランスの入り口の入り口のところで必要になってくるようなものなので、これで各省庁の調整をしておられて26日にはそこまでというのはあるかもしれないんですが、例えば雇用者以外の人のワーク・ライフ・バランスを進めていくときにどういう観点でやるのかというようなことは少しイメージとして次につながるものがないと、憲章からの流れで見ていくと何か狭まっているような印象になりはしないかという心配と、やはり受け止めた人たちに、それは企業に働いている人だけのことねと横を向いてしまわれかねないというところを考えれば、諮り方として家族経営協定を結んでいる農家の比率は多分数字としてはとらえられるのではないかと思うんですが、そういうものが自営業のところであり得るのかどうかわかりませんが、そういう視点を加味する必要はないのかどうかということです。
佐藤会長
これは前も議論したんですけれども、働き方について雇用以外の人ももちろんシェアに入れるんですが、今回のワーク・ライフ・バランスの議論の対象としては雇用セクターを考えるというふうにしたんです。
なぜかと言えば、そこが変わらないことにはしようがない。ですから、ほかに問題がないと言っているのではなくて、一番そこに集約している。だから、それがわかるように書いた方がいいですね。政府のワーク・ライフ・バランス憲章も国民すべてなんですけれども、数値目標自体を見れば雇用者だけです。それはそういう議論もあったんですけれども、やはり今、日本は雇用社会化しているのは事実で、全員が雇用者ではないが、圧倒的にはそこで、そこが動かないことには日本社会は変わらないだろうという趣旨で、ほかが大事じゃないというわけではない。ですから、それを全部というのは今からは難しいので、それがわかるような趣旨で、それが大事な点はよくわかります。
植本委員
そういうことがわかるように、除外ということではないということがわかるようにお願いします。
神田調査課長
生活の部分では学習だとか、地域活動は有業、無業なので雇用主も全員入っています。一方で無業も入っていますので、高齢者が退職した後に参加するというのも全部フォローしたいと思っております。そういう意味では、できる範囲で対象を広げているというふうに理解いただいた方が真実に近いとは思っています。
佐藤会長
その点、前の報告書でもそういう議論をして、たしか初めの方にそういうことを書いていたと思いますので、わかりやすくまとめるときにはその辺を配慮して書かせていただきたいと思います。
あとは、パブリックセクターをどうするかとか、数値の見直しをどうするかという大事な点はあると思いますので、それも今回でこれ以上やらないという意味ではありませんので、その辺も少しわかるような形でまとめさせていただくようにさせていただきたいとい思います。
あとは、28日までに直せるところについては先ほど武石委員の御指摘とか、松井本部長が言われたわかりにくいところをわかるようにということについてはやりたいと思います。
それで、いろいろ御意見はあろうかと思いますが、最初に御説明しましたように28日に説明をしないと行動指針に入らない。入らないことはやはりマイナスが大きいと思いますので、プラスマイナスを考えていただいて、今日御意見をいただいたことで可能な範囲で事務局と調整して直させていただくということで、それを28日の作業部会に、専門調査会としてここまでまとまりましたという形で御報告させていただくということでよろしいでしょうか。
では、すみません。これからまだ課題が大きいと思いますが、そのようにさせていただければと思います。
松井本部長
先ほど岡島委員がおっしゃられた「地域での支援サービス」で、ここに書いてあるのが育児関連だけしかないのはやはりおかしい。私どもも事務局にはそういう指摘をしたと思います。介護サービスにはいろいろな主体が今、参入しているので、その難しさはわかるんですけれども、一方で介護をするのがこれから本当は非常に大変な部分があって、特にこれを見た人がなぜ介護が入っていないのかということについて、この調査会としての説明責任を私は果たすことにならないと思いますので、何らかのものは少し入れられる工夫はしてもらえないものかと強く要望いたします。○佐藤会長 では、それはちょっと検討します。28日までに間に合うかどうかは別として。
板東局長
御指摘の点は非常によくわかりますので、関係省庁の間で必ずしもいい指標が出てこなかったということがあったのですが、今のお話は重く受け止めさせていただいてと思います。
松井本部長
特に女性が仕事を続けられないのも一つは介護という事由もありますので、何で育児だけなのかということについてやはり疑問であるということは申し上げておきます。先ほど神田さんの御説明ですと、介護休業があればいいというような感じでしたが、介護休業というのは今、法津上3か月程度ですので、それより介護について悩んでおられる方は現実にたくさんいらっしゃいます。そうすると、そこにおける地域のインフラというものが整っていないと難しいというのはやはり事実だと思いますので、是非短時間ですけれども、努力をしていただきたいと、再度お願いをしたいと思います。
板東局長
まさに女性だけではなく、これから男性にとって大変大きな問題なのも事実でございますので、この辺りはうまくできるかどうか早急に検討させていただきます。
松井本部長
育児休業の場合は、今のところ男性は非常に少ないですけれども、介護休業の方は男性の方の取得率も高いので、是非お願いいたします。
佐藤会長
介護休業は逆に取らない方が望ましいんですね。比率が増えるのがいいかどうかという議論はあるので、そういう意味では地域の介護サービスがすごく大事だと思います。では、その点は少し事務局で頑張っていただくことにします。
それでは、もう時間がかなりたってきてしまったんですけれども、議題2があります。この専門調査会では実現度指標を議論すると同時にもう一つ、企業がワーク・ライフ・バランスに取り組むメリット、コストについて検討するとなっていますので、それについてどういうふうに議論するかのまず検討の参考として、資料2について小室委員から御説明いただくということをしたいと思いますので、よろしくお願いします。
小室委員
時間があと15分なので、短目に話すようにいたします。
資料をごらんいただけますでしょうか。これは弊社がコンサルティングをしながら見えてきたものなんですけれども、1ページめくっていただいて2のところです。1から4の中で1:女性の採用と2:女性の復帰支援・継続就業の支援をやりたい、もしくは1と2をすごくやってきたという企業さんが多いんですけれども、結局これだけやってきたのに女性管理職比率は全然増えないとおっしゃいます。その原因は結局3:長時間労働の是正と4:マネージメントの意識改革をやっていないと進まないということが多い。
理由としては、長時間労働が恒常化していると長くいてくれる人がありがたいという評価の基軸がどんどんでき上がっていって、結果として休業を取っている人や短時間勤務を取っている人は、見た目は平等のように見えてもそこ以上に上がれない構造になっているということが見えてきました。
そういうことを是正していく上で一番キーポイントになるのが、マネジメントの意識だったり、評価の基軸である。弊社は、このマネジメントの意識改革をする仕事をしているんですけれども、そのときにやはりマネジメントに意識改革を促すには徹底的にコストに絞って説得をしないと、コストの面で腑に落ちない限り動かないという傾向が非常にありましたので、大企業においてマネジメントを説得するコストの話はどうしても材料が足りないということが今までありました。
今度は、中小企業の方に目を向けてみます。次のページですけれども、非常に取り組むことに躊躇している中小企業が現状でも多いです。弊社のクライアントは半分くらいが中小企業さんなんですけれども、2:「大企業のような体力が無いので」というと、3:「うちの業界・職種は特別なので」と、必ずその言葉の下に隠れみのに逃げ込んでしまいます。
ただ、それに対しては必ずその次のポツのところですけれども、むしろワーク・ライフ・バランスに取り組まないと経営上のロス等が大きいという事実を、現状だとその企業さんの数字を出してもらってうちが計算をして、ほらこんなにロスが大きいでしょうということをやっています。それを客観的で汎用性の高い数式のような、指標があればもっと中小企業が、各自検証できるのにということを常日ごろ感じております。
「また、大企業であっても」というところですけれども、経営状態のいい企業がやるんでしょう。経営状態が悪い場合にはそういうことを言っている余裕はないというふうに必ず後回しにされるんですけれども、そちらに関してもワーク・ライフ・バランスはむしろ生産性の向上で、経営状況が悪いときにこそ取り組まなくてはならない。業績向上に有効な手段であるということを証明する必要があるということを日々感じております。
幾つかの事例なのですけれども、こちらはあるメーカーさんの資料です。この企業さんの場合、29.6歳が女性の平均退職年齢で、勤続年数は8.24年です。2000年以降にもう既に50名辞めてしまってますが、2000年以降の男女の採用数というのはほぼ一緒ですし、それだけ同じコストもかけ、同じように教育をしてきています。
では、1人当たり幾ら採用と育成にお金がかかったんでしょうかということを人事部と幾つかの関係部署と一緒に出したところ、約1,000万円と右上のところに黄色で書いてあるんですけれども、1人の採用育成、あとはOJTにかけた先輩の事件費だとか、そういうものを幾つか足し込んでいったところ1,000万でした。ほかの中小企業さんでやったときに大体400万の企業さんと600万の企業さんがありまして、中小企業でも意外に採用の方が結構かかります。大企業は採用はネームバリューで取れるのでそれほど1人当たりでかかっていなくても、中小企業はそちらが結構かかっているということがあるので、大企業の方は研修費が結構大きくて、中小企業の方は採用費が結構大きくてというところで、双方1人当たりにかなりのコストがかかっている。
それで、50名辞めたということは既に5億損をしたということなんですよというような、これだけではないんですけれども、全体の文脈の中でここのグラフに関してはかなり役員の方からも質問が相次いで、本当にそんなにかかっているの、そんなに無駄をしてしまっていたのというようなことはかなりインパクトがあったようです。これが、役員向け説得資料の例です。
次のページにいっていただきます。これは現在進行中のあるIT企業さんなんですけれども、この企業さんは残業とメンタル急増、例の休業の方の急増ということの原因を追究して一緒に入ってやらせていただいていたときに、何年か前から非常に経営状況が悪いので、全社を挙げて売上げアップを図ろうというような目標を掲げたところ、結局売上高のみの目標設定で、内側には原価に対する目標などもあるわけですが、現場にはほぼページビューをどれだけ上げるかというような目標値のみがどんどん落ちてきていました。それを追究して、現場も頑張って残業を重ねて目標値の到達に向かっていった結果を後から弊社で調べていったところ、利益の増え幅というのはそれほどなくて、非常に全体として疲れて利益がそれほど増えていないという状況になっていた。
しかし、トップとしては目標を掲げたものに近付いていっているという感覚を持っていらっしゃったんですけれども、それに対して非常にそのコストがかさんでいる原因をまた更に深く見ていくと、①のところで派遣社員の離職率がものすごくなっていて、来た人が次の日に辞めたとか、非常に劣悪な環境に対して来た人がやめてどんどんくるくる回っていってしまうような、1年じゅう採用育成している状態になっている。
2つ目が、現場のモチベーションダウンが著しくて、目標に向けての掛け声もかなり強くかかっていて一生懸命やっている雰囲気は出ているんですけれども、生産性というものが実際に見ていくと以前よりも落ちているということが出ていました。
3つ目が、そういった長時間労働が恒常化していることに対して、若手女性たちのヒアリングで見えてきたのが、この会社は育児のフェイズに入る前に退職しておかないと、というようなことを下の方では皆、思い始めていて転職準備を皆さん考えていらっしゃったということで、こういった大きなロスが出てきていることがわかりました。
こういった①から③が漠然とまずいことはわかるわけなのですけれども、これがコストの面でどれだけの損失なのかというようなことを明確にしましょうということをその企業さんと今やっていまして、売上拡大の目標値だけを見せれば必ずこういうふうになりますので、そうではなくて生産性の向上、効率化を重視した目標値そのものの見せ方も変えて、評価体系も変えてやっていきましょうということをワーキンググループさんと一緒に今、進めているところです。結構、時間がかかってやっています。売上げアップのみにターゲットした目標というのは問題で、見直すためにコスト試算ということが非常に必要かと思いますし、同じような状況がいろいろな企業で起きているのではないかと思っております。
ですので「客観的で汎用性の高い試算方法を」というのが非常に求められているかと思っています。必ず聞かれるのが、まず休業中に会社は幾ら負担しているのと、これは人事部の方でもどれくらい会社が負担している額で、国からどれぐらいの支援が入っていてというようなことが1人当たりでぱっと出ないような企業も多いです。ちょっと複雑なのかと思いますし、企業によってその負担額の割合も違うと思うんですけれども、一般的な企業の例だったり、法律で決められた例だったりということで、1人の人が1年休んだら幾らかかってというようなことがぱっと出るような、月25万の人だったら幾らかというようなことがわかるような試算がもっと明確になる必要があるのではないか。新規を雇った方が安いのではと必ず言われるんですけれども、そうではないということは個別の企業さんで計算するといつも出るんですが、そういったものがもっと明確に出た方がいいと思っています。
それから、1人雇うと固定費が増えるから困るというのも必ず言われるんです。それから、メンタルな問題が発生したら幾らのリスクなのかとか言われるんですけれども、それも幾らというのは言い切れないとは思うんですが、メンタル休業が発生したリスクの方が大きいので、会社にとっては、残業しないで1人人を増やして残業しない体制を作ったほうがいいという数字が必要だと思っています。今の人数で残業させた方がもうかるんだという考え方を否定するような数字が必要だと思っています。
3つ目が「育児で女性の話でしょ?」と言われがちなので、今後の男性が休む可能性というのをもっと試算する必要があると思っているんです。今、団塊ジュニアは大体7・3で男性の方が多く働いていて、しかも未婚率は非常に男性が多いということを見ていくと、未婚の人というのは介護を分け合える相手がいないですから、その人がもし一人っ子だったりしたら親の介護は自分に直撃ですので、むしろうちの会社で試算をしていくと、15年後に休んでいる人というのは育児休業を取る女性より介護休業を取る男性の方が多いという数字が企業によっては出るんです。そういうふうなことをきちんと数字で出せば、「育児で女性の話でしょ?」という議論から抜け出られるのではないかと思っていまして、そこの数字の試算も必要ではないかと思っています。こういった疑問を個別の企業が計算できるシート等を提供することが有効ではないか。
非常に今よく起きているのが、意識の高い一般社員の方がうちの会社を説得したいと言って四苦八苦されている状態です。そういうかたたちにこういうコストに関する情報を手に入れてもらえば、ワーク・ライフ・バランス推進の提案を下から突き上げていくというようなことも起きてくるのではないかと思っています。すべての社員にとってワーク・ライフ・バランスは明日は我が身だし、そのことが会社の戦略にかなっているというような試算ができる、そういう必要性があると思っています。
佐藤会長
どうもありがとうございました。まとめて後で御質問があればということで、企業を説得する上でコストメリットをきちんと説明した方がいいということをポイントで御説明いただきました。そういうことを調査しようということで、どんなことを考えているかを先に御説明いただいて、それから全体について御意見を伺うということにしたいと思います。それでは、よろしくお願いします。
栗田調査官
お時間が迫っていますので、なるべく簡潔に説明をさせていただきたいと思います。
資料3-1から資料3-3まで、事務局の方で用意させていただいたこの3種類の資料を使いまして、「企業がワーク・ライフ・バランスに取り組むメリットやコストの分析について」という分析に関する資料と、資料3-2と資料3-3がコストメリットと、ほかにマネジメントの例なども含めまして、企業の取組事例調査をするということになっておりますので、その企業の取組事例調査の関係の説明資料ということで2種類御説明させていただきます。
まず資料3-1でございますが、「分析の対象とするモデルケース」としましては前回の専門調査会のときに御説明した4つのケースを想定して把握をしたらいかがかということでございます。ワーク・ライフ・バランス環境が相対的に整っていない場合と整っている場合のコストの差をメリットととらえまして分析をするということで、まずケース1というのが採用育成してきた従業員が出産などで休業取得環境が整っていなくて辞めてしまうケース、これはケース1のAです。そして、欠員を補充する場合です。Bのケースは、辞めずに休業を取得して一定期間後に復職をする場合ということでございます。
それからケース2でございますが、こちらはケース1の続きといったような形になりますけれども、育児などで短時間勤務制度を利用するような方々、そういった環境が整っていないために辞めてしまうことがケース2のAで欠員を補充する場合ということです。それから、そういった環境が整っているので短時間勤務制度を利用しながら就業を継続する場合がBでございます。
ケース3は若干観点が異なりまして、メンタルヘルス上の理由で休職されたり、退職されたりする方が減るということでどういったメリットがあるかということで、まずAの方は2つにケースを分けていまして、メンタルヘルス上の理由で辞めてしまって欠員を補充する場合をA-1、それから辞めないまでにしてもA-2として休職をしてその後の一定期間後に復職をする場合。B、は通常に勤務を継続する場合という形で設定しています。
ケース4でございますが、こちらは小室委員の御発表にもありました長時間労働を是正するのにどういった取組をするかということで、Aがそのままにしてしまうケース。Bが、長時間労働を是正して派遣社員を導入したり、時間当たりの生産性を向上するといったことで総業務量を確保する場合といったようなケースを考えてございます。
2.でございますが、基本的にはAのコストの合計からBのコストの合計を引きまして、その部分をメリットととらえるということでございます。2つ目のところは、細かい点ですので省かせていただきます。
1枚おめくりいただきまして、今、御紹介しました4つのケースそれぞれに環境が整わない場合と整った場合というのを簡単に整理表にしたものでございます。
ケース1は出産などで辞めてしまう場合と続ける場合ということですが、Aの方が辞めてしまって欠員を補充するケース、Bが休業した後に復職するケースということでございますが、まず退職とか休業を開始する時点ではその引継ぎ等にかかる人件費がかかります。Bのケースではそれに加えまして、もし臨時要員を採用する場合にはその人件費ですとか、それから募集広告の経費がかかる場合もあるであろうと。
その次に欠員補充、それから休業期間中の場合でございますが、まず欠員補充をするまでの期間、Aのケースですと、業務を代替補完する同僚従業員の人件費がかかるでしょう。休業期間ですと、それに同じように人件費がかかりますが、どちらにしても今まで仕事をしていた方々とは違う人がすることになりますので、生産性が若干下がるというような想定を置いて計算したらどうかということで考えております。
それから、欠員補充をする場合は新人を採用する人件費とか経費というものが余分にかかってくるということで、ここはかなり大きいのではないかということも考えられます。
Bの方に対応するものとしては、臨時要員を雇う場合ですとその人件費、それから臨時要員を管理する人件費などがかかってくるだろう。あとは、それぞれ退職者、休業者の賃金ですとか社会保険料は控除されるという条件は同じではなかろうかと思います。
その次のところですが、ケースAでは新人の入社時点でやはり引継ぎの人件費、復職される場合でも引継ぎ等にかかる人件費はかかりますが、ここも同程度のコストと想定されますので相殺が可能ではないか。
一番下の部分でございますが、ケースAの場合は新人入社後の一定期間に研修にかかる人件費ですとか経費、それから新人の業務を補完してあげる従業員の人件費、一部研修のようなOJTで教えるといったような形のものもあるかと思いますが、そういった経費がかかるだろう。
Bは復職した後のケースでして、復職の業務を補完する同僚従業員の人件費等がかかるでしょうということになっています。
もう1枚おめくりいただきまして、ケース2でございますが、こちらも同じようにケースAとBで、時点ごとにコストを比べています。同じようにAの方ですと、短時間勤務に入る方がいらっしゃるときに、辞めてしまう場合には引継ぎにかかる人件費、短時間勤務を開始するときには同じように人件費がかかる。臨時要員を採用する場合には同じような人件費がかかる場合とか、広告の経費がかかるような場合があるといったような形になります。
あとは欠員補充までの期間、Aのケースですが、そこにはやはり業務を代替する方の人件費、それから新しい方を採用するということで人件費、新人さん用にかかる人件費の経費が大きくかかってくるということになります。休業期間中も同じような形で、補完する従業員の人件費、臨時要員を雇う場合にはその人件費ですとか管理にかかる人件費がかかってくるといったような形です。その後、賃金・社会保険料などが控除になるというのはケース1と同じような形で控除が可能かと思います。
その下の部分はケース1とかなり類似の部分がございますので説明を省かせていただきます。
それからケース3でございますが、こちらはメンタルヘルス上の理由で休職や退職をする方がいらっしゃる場合ということですけれども、こちらはこういった対比表にしますと最初にごらんいただいたケース1の従業員の出産等によって育児取得環境が整備されるか、そうではないかというケースと、コスト的にはかなり重なる部分がございますので、対比表をつくることは割愛いたしますが、メンタルヘルス上の理由のケースにつきましても、例えば退職ですとか求職に入る前にも実際にはなかなか普通どおり働けないという状況になって、生産性の低い期間があるだろうということですとか、復帰支援に関しましてカウンセリングですとか、いろいろなコストがかかるといったような要素をきちんと考慮する必要があろうかと思われます。
ケース4の長時間労働の是正でございますが、こちらはAで長時間労働を放置する場合には従業員の人件費と言っても残業代の支払いが非常に多いということと、それから長時間労働になることにより時間生産比が低くなるというような仮定を置くということでございます。
長時間労働を是正する場合には、同じく人件費はかかるんですけれども、残業代の支払いは削減されますし、時間生産性も短時間で効率的にやるということで、放置するよりも高いだろうという仮定を置かせていただきます。
Bのケースですと、臨時要員で対応するような場合にはその人件費ですとか、長時間労働是正取組をするのに何か工夫をするような必要があればそういった人件費等もこちらにはかかってくるのかなということでございます。
下の方に書いてあります光熱費でございますが、こちらはAB同じように要素としてはかかるんですが、残業の削減によって労働時間が少なくなるBのケースの方が光熱費等も当然少なくなるだろうというような仮定を置くことになろうかと思います。
続きまして資料3-2でございますが、こちらは先進的な取組をしている企業に取組事例の調査をしに行くということで、その調査項目の案でございます。
まず1.としまして、関連する制度・取組の状況ということで「制度の概要」をずらっと、各種休業、休暇制度ですとか、柔軟な働き方を選択するための時間面、場所面といったような観点からの制度、健康面、それから事業所内保育施設をつくっている場合ですとかいろいろな支援がある場合、こういったものをまずは把握をする。
それから、それらの「利用状況」を見ていくということでございます。
また、「制度の利用促進に係る取組」ということで、そちらも詳しく質問表に書いて聞いていったらどうかということで幾つか挙げてございます。
2.の部分でございますが、「ワーク・ライフ・バランスに親和的なマネジメント」ということで、マネジメント改革を行っているような企業の事例が集められればということでございます。まず、経営者がどういう意思を持っているのか。それから、従業員とどのような対話をしているかということで、ワーク・ライフ・バランスの推進する理由、それから経営意思を全般的にどういうふうに伝達をしているのかというようなところを質問項目に挙げてございます。
おめくりいただきまして2ページでございますが、前回「人事評価制度」が返還されてくるというところも大きな影響を与えているのではないかという御指摘がございましたので、いわゆる成果主義要素といったものがあるのか、ないのか。そういったものがどういった影響を与えるのかといった側面でございますとか、あとは管理職の評価におきましてワーク・ライフ・バランス的な要素、ワーク・ライフ・バランスにきちんと取り組んでいるかというところを管理職の評価に入れるかどうかというようなことがあれば把握していきたいということでございます。
あとは「業務の進め方、人材育成のあり方」でございますが、こちらは時間外労働の削減、業務効率化にかかる取組、働き方の柔軟化などに対する取組について聞いていきたいということでございます。
「健康上の問題を抱える従業員への対応」につきましては、いろいろこちらは個人情報の保護につきまして難しい問題があるかと思いますが、できる限りの聞き取りをしたいということでございます。
3.がコストメリットの項目でございますが、資料3-1で御説明しましたコストの分析というのは計算上定量的に把握できるものの比較分析をしていくということですが、そちらの方は企業の実際の例として数値的に生かしていけそうな情報を得たいということでこちらの質問項目にも入れてございます。
「メリット・コスト分析手法について」ということで、それぞれ先ほど御説明したものに関連するいろいろな資料にどういったものがあるのか。あとは、下の方のポツでございますが、先ほど生産性が落ちるという仮定を置きますというような御説明をさせていただきましたけれども、実際にどのくらい落ちているのかというようなお考えですとか、それからパートですとかアルバイト、短時間勤務者というのは実際にどのぐらい時間が短くなっているものなのか。それはなかなか把握が難しい部分もあろうかと思いますけれども、聞き取れる範囲で聞き取っていきたいということでございます。
それから、「その他のワーク・ライフ・バランスに係るメリット」、それから次の丸のデメリットにつきましては、いわゆる定量的にはなかなか把握できないけれども、定性的に働く皆様方が感じておられるような項目についてどのような状況かということで把握をしたいということでございます。従業員の満足度の向上ですとか業務の改善、生産性の向上ですとか、企業イメージの向上といったようなもの、逆にデメリットにつきましては回りの従業員の負担感の増大といったようなもの、あとは人事評価が難しいといったような御指摘もいろいろ出ております。
最後のところでございますが、イニシャル・コストということで、いわゆる取組を始めるのに一定のコストがかかるものが幾つかあろうかと思います。事業所内保育施設の設置コストですとか、例えば在宅勤務のためにハードウェアですとかシステムを構築するということでかかるコストといったようなものも把握できる範囲で把握したらどうかということで考えております。
このような形で、3-2で項目を整理させていただきました。前回御説明したときに、特にマネジメントに関しましては基本的に人事担当者にヒアリングをしたいということで考えているのですけれども、マネジメントに関しては現場の管理職の方にもお聞きしたいということで御紹介させていただいておりますが、なかなかそこまで受けていただける企業があるのかどうか、ちょっと難しい問題を抱えているというのが、ヒアリングなどの実態に詳しい方々から御指摘をいただいているところでございます。
実際にどの企業にヒアリングをしに行くかというところが資料3-3でございます。具体的に行く対象企業先は15社程度ということで前回御案内をさせていただきましたが、今回はコストメリットに関する情報ですとか、マネジメントに関する情報といった比較的聞き取りが難しい、難易度が高いと思われます項目が入っている関係上、幅広にピックアップをさせていただきました。
太字の部分が最初に15社程度お声をかけたいということで選定をしたものですが、それ以外にもお引き受けいただけなかった場合に、ほかのところにもどんどん声をかけたいということで、今40少し超える企業をピックアップさせていただいております。前回も申し上げましたが、基本的には規模、業種にある程度配慮して選ばせていただきました。
1ページ目に規模が大きいところから挙げてございますけれども、いわゆる大企業と言われるところですとNECですとか、松下電器さん、アイシン精機さん、ヤマハ発動機さん、P&Gグループさん、1枚おめくりいただきまして日立ソフトウェアエンジニアリングさん、キッコーマンさん、北陸銀行さん、ノーリツさん、日本イーライリリーさん、サタケさん、平和堂さん、3枚目にはふくやさん、イノスさん、カミテさんということで並べてございますが、専門調査会の委員の方々の御出身の企業にも是非御協力を賜りたいということで、最初の太字の企業の中に入れさせていただいております。
それから、比較的いつもワーク・ライフ・バランスの取組ということで名前が挙がっている企業ばかりではなくという御指摘も前回ございましたので、大企業というよりは2ページ目とか3ページ目に入っている企業さんですが、そちらには余り今まで名前がワーク・ライフ・バランスという観点から挙がっていないと思われる企業も幾つかピックアップをして入れたつもりでございます。
それから、できましたら企業調査につきましては次回12月17日にももう一度御議論いただきたいと思っているんですけれども、年明け早々にもヒアリングを実施したいと考えておりまして、この範囲でしたらもう構わないよというような御了承というか、御意見がもしいただけましたら、今日専門調査会が終わりました後に情報整理しまして、早目にヒアリングをお願いする企業に当たらせていただければと思っております。
あと1点、情報で補足なんですけれども、今日ちょっと資料に間に合いませんでしたが、タニタ秋田さんという秋田にある精機製造の企業につきましても、こちらの企業の調査先に追加をさせていただきたいということです。
以上です。
佐藤会長
本当は議論したいんですけれども、時間が過ぎてしまったのですが、小室委員のお話もいろいろお伺いしたいこともあるのですが、12月17日には議論できますか。何か伺っておいた方がいいところはありますか。
栗田調査官
御意見をもしいただければということではあるんですが、一番急ぎますのが資料3-3のヒアリング先でして、要するに先方との関係がありますので受けていただけるのかどうかということで。
佐藤会長
これは事務局にお任せするということでいいんじゃないですか。どうしてもここに行ってほしいということがあればですけれども。
板東局長
こういうところがいいというのは、私も今、幾つかもう少し違うところに声をかけたらどうかなと思ったところもございますし、先ほど小室委員のお話もございましたけれども、皆様のところで声をかけやすいところがございましたら教えていただければと思います。これは仮のリストアップということで、是非皆様の方からも御提案いただければありがたいと思います。○勝間委員 いつまでですか。
佐藤会長
12月の初めぐらいまでに言ってもらった方がいいということですね。
勝間委員
メール等でお送りした方がいいのか、次回に声をかければいいのか。
栗田調査官
そうしましたら、1週間くらいを目途に事務局まで御連絡をいただけますと大変ありがたいです。
それから、資料3-1ですとか資料3-2に関しましても御要請等をいただけましたら次回までに反映をできるだけしたものをもう一度お出しするように調整したいと思っております。
佐藤会長
特にケース4などは業務量一定という前提なんです。でも、多くの場合は業務を捨てるわけだから、やめてしまうんですよね。だから、ケース4はもうちょっと考えた方がいいと思います。
松井本部長
それとの関連で、休業取得者が出たときに欠員補充をするか否かというところを考えますと、しないという企業もあるので、この枠組みで本当にうまく見られるのか。そこら辺はもうひと工夫必要なのではないかと思います。
佐藤会長
した場合としなかった場合で、した場合も普通はパートでやるようなものが多いから、モデルを2つくらいやった方がいいと思います。
板東局長
今日は御出席ではないんですけれども、カミテさんのお話をお聞きすると、休業者が出ると業務を細かく分析をして、その中でほかの人に代わってもらうものもあるけれども、この際、もう不要な業務ではないかということで見直すことになるので、休業者が出るというのは業務の見直しのチャンスであると言っておられますので、そういった対応も今の御指摘のようにあろうかと思います。
小室委員
企業選びに関してですけれども、どうしてもこのリストに入っている以前からワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる企業さんの場合はそもそもトップの意思もあって、コストがどうというのではなくやっているところが多いように感じます。費用対効果に関しては長期で見てくれている企業だとか、そういう部分も多いので、ワーク・ライフ・バランスに最近取り組んだというような企業がねらい目なんだと思うんです。2007年問題くらいから焦って、急にわっとやり始めている企業はコストでのある程度のメリットを感じるからやっていて、そうでないと動かないような企業なので、まだ結果がすごく出ていないので、こんなにいい結果が出たという話はなかなか聞けないですけれども、コストに関してどう考えているか?という部分で最近の企業から聞けることもあるかと思います。
佐藤会長
これはメール等で御連絡ということで、何かあれば伺いますけれども。
永木委員
設定条件というものを明確にされないと、年齢とかでお給料とかが全然違うと思いますので。
佐藤会長
武石委員と私などは一度育休取得のコストシミュレーションをやったので、そのときも取った人が何歳くらいで、給与計算などはそれをやらなければいけないから大体幾らくらいと、実際上はモデルを設定してやらざるを得ないですね。
小室委員
本当は、その人の年齢と給料を入れたら出るという表ができるのが理想だと思います。
佐藤会長
では、大事な点ですけれども、今日十分に議論できませんので、メール等で御連絡いただくということと、次回の12月にもう少し議論をしたいと思います。
それでは、事務的な連絡があればお願いします。
神田調査課長
では、今日御議論いただいた指標についてはまた検討させていただきまして、どういう資料で報告するかというのは事前にお渡しをしたいと思います。
次回が12月17日13時から15時ですので、よろしくお願いいたします。
佐藤会長
それでは、いろいろ御無理をお願いすることもありますけれども、今日伺った意見をできるだけ反映した形で28日に御報告したいと思いますので、またその後もよろしくお願いします。どうもありがとうございました。

以上