仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会(第8回)議事録

  • 日時: 平成19年10月1日(月) 15:00~17:00
  • 場所: 永田町合同庁舎第一共用会議室

(出席委員)

佐藤
会長
植本
委員
大沢
委員
鹿嶋
委員
勝間
委員
川島
委員
北浦
委員
紀陸
委員
小室
委員
杉山
委員
高橋
委員
武石
委員
永木
委員
牧野
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の基本的な考え方について
  3. 「ワーク・ライフ・バランスの取組」について
  4. その他
  5. 閉会

(配布資料)

資料1
ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の考え方(案) [PDF形式:18KB] 別ウインドウで開きます
資料2
ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の全体像(案) [PDF形式:19KB] 別ウインドウで開きます
資料3
ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の体系図(案) [PDF形式:17KB] 別ウインドウで開きます
資料4
第7回専門調査会議事録
佐藤会長
よろしいですか。それでは「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」の第8回の会合を始めさせていただきます。
 まず最初に、事務局の人事異動がありましたので、御報告させていただきます。
 8月1日付で池永調査課長が異動された後任に神田調査課長がいらっしゃいました。
 8月24日付で定塚推進課長が異動されて、後任に塚崎推進課長が就任されました。
 9月1日付で新しく船木政策企画調査官が就任となりましたので、御紹介いたします。
神田調査課長
神田と申します。よろしくお願いいたします。
船木政策企画調査官
船木と申します。よろしくお願いいたします。
佐藤会長
それでは、まず最初に、本日はワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の基本的な考え方について議論するわけですけれども、その作業については、みずほ情報総研株式会社にもお手伝いいただくということですので、御紹介させていただきます。
 具体的な細かい作業等々はやっていただく、力仕事を特にということのようであります。
 それでは、お手元の議事次第に従いまして本日の審議を進めさせていただきます。
 まず、先ほどお話ししましたように、ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の基本的考え方は、先般の「ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標等に関する検討会」での検討を踏まえて事務局で整理していただいていますので、お手元の資料に基づいて事務局から説明していただいて、皆さんの御意見を伺いたいと思います。では、よろしくお願いします。
神田調査課長
では、よろしくお願いします。まず、資料1と資料2の大きなA3の紙、これを基に大体の全体像について御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料1の方ですけれども、ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標とは何かということでございます。これは、そこにありますように、仕事、家庭生活、地域生活等の幾つかの視点から、我が国社会の社会全体で見たワーク・ライフ・バランスの実現の状況及び官民の取組み状況を数量的に示し評価するものであるということを考えております。
 なお、ここでは、ワーク・ライフ・バランスとは、こちらの専門調査会で御定義いただきましたもの、そこにありますように「自ら希望するバランスで展開できる状態」というふうに定義をします。2番目で、ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の基本的な考え方です。では、なぜこれをつくるのかということが「目的」に書いてございます。我が国の社会全体で見たワーク・ライフ・バランスの実現の状況及び官民の取組み状況について数量的に測り、分析・評価することにより、ワーク・ライフ・バランス社会実現の阻害要因や、取り組むべき政策及び政策の優先度を把握することを目的とするということでございます。これはPDCA(Plan Do Check Action)の中の1つとして評価、そして新たな施策の方向に結び付ける、その中の指標というふうな位置づけで考えております。
 また、ワーク・ライフ・バランスの指標は、その考え方やその現状を国民一般に広く普及させるためにも非常に有効なものではないかと考えております。
 (2)ですけれども、これは個人の希望のワーク・ライフ・バランスと、社会全体でとらえるワーク・ライフ・バランス、そこの関係について述べさせていただいています。
 まず、個人の希望や事情によってワークとライフのバランスは多様である、自ら希望するバランスを決められるものであるということなんですけれども、ただ一方で、社会全体、働く人々全体で見ると、やはり現状の働き方がやや異常というと問題ですけれども、ワーク・ライフ・バランスを取る上で妨げとなっていることが多いと考えられるという問題意識から、ここでは個人総体としての社会全体としてのワーク・ライフ・バランスが実現されているかどうかを考えようということです。
 その中で一つ、柔軟かつ過重な負担とならない働き方が多様な主体により実現されているか、また家庭生活や地域生活など、仕事以外のさまざまな活動がより充実し、かつ健康・休養が確保されているか、更にワーク・ライフ・バランス社会の実現に向けた官民の取組みが進展しているか、こういうことをもってワーク・ライフ・バランス社会が実現しているというふうに考えたいと思います。
 お手元の資料2の方で、もう一度、今の話を御紹介したいと思います。これは指標の考え方です。まず、なぜワーク・ライフ・バランスが、今、重要な課題になっているかということです。左側に書いてありますが、社会では少子化、少子・高齢化もあります。企業ではグローバルにおける競争、人材不足などがあります。個人では現実と希望にギャップが生じている。ここでの現実というのは、仕事の働き方、あるいは柔軟性の問題。希望という意味では、仕事だけではなく家庭や地域も大切にしたいのだけれども、なかなかできないというような、育児、介護、あるいは転職かもしれません、そういうライフステージに応じた希望が実現されてないという問題があります。
 こういう中でワーク・ライフ・バランスを実現をしなければいけないということですが、では実現した姿とはどういうものかということです。1つ、個人ということでは、ここでは5つの領域について考えてはどうかということでございます。仕事・働き方、時計回りと反対ですが、家庭生活、地域活動、学習・趣味等、あるいは健康・休養、こういった5つの分野で自ら希望するバランスで展開できるような状況、これは恐らく個人レベルで見たワーク・ライフ・バランスなのだと思います。ですから、仕事をしたい人もいれば学習したい人もいるでしょう、それが自ら希望するバランスで展開できる。
 それを今回の社会指標という意味では、個人の総体、その個人を全員アグリゲートした指標でとらえざるを得ないということです。したがいまして、5分野で整理をしまして、個人の総体で見た実現指標というものをつくりたいと考えております。
 下の方に「官民の取組」とございます。ここではわかりやすく企業及び政府という2つに分けております。それぞれ例示として書いてございますが、こういう官と民が一体となった取組み、恐らくこれによってワーク・ライフ・バランス社会というものが進んでいくということで、矢印を下から上というふうにさせております。その取組みをあらわしたものが官民の取組み指標と考えております。ですので、ここでは個人の総体で見た実現、要するに社会全体、アグリゲートした平均的な姿という意味、あともう一つは、官民がどういうふうに施策をし、それに取り組んでいるかという取組み指標、この2つで考えて、それを合成したものをワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標と考えるべきではないかと思っています。
 その下に、ではワーク・ライフ・バランス社会が実現したら何が生じるんだろうかということが書いてあります。成果でございますが、企業の競争力が強化されなければいけませんし、生産性が上がらなければいけないし、出生率に歯どめがかからなければいけない。こういうことが成果でございます。ただ、ここについては、ワーク・ライフ・バランスだけではなくて、実は為替だとか景気だとか、いろいろな要素が入ってまいります。ですので、ワーク・ライフ・バランスの取組みだけで実現されるものではございませんので、こういったやや遠いもの、指標については、今回は含めずに、中長期的に1人当たりの生産性をチェックするだけにしてはどうかなと考えております。
 また元に戻っていただきまして、もう言いたいことはこれに尽きているんですが、文章でもう一度御確認をしていただければと思います。1ページ目の一番下にあります(3)のところからです。「活動分野の設定」ということですが、個人の総体で見たワーク・ライフ・バランスの実現については、そこにあります5つの分野を設定をしました。分野ごとに状況を把握する。
 また、官民の取組みについては、あえて分野を設けません。というのは、1つの政策であっても、仕事、その裏側の、どちらが表か裏かあれですが、家庭とか個人、両方に影響を与えますので、あえてここは5つに分けないで、分野を設けずに一つのまとまりとして把握をするということを考えています。
 次の(4)の「実現度の捉え方」ですけれども、ここの考え方は、では、どういう状況を実現度が高まったと指標化するんだろうかという考え方です。1つは、個人が希望する形でさまざまな活動を選択し、その結果、希望と現実との間の乖離が縮まること。あともう一つは、やはり個人が希望する形でさまざまな活動を選択することができるように制度や環境の整備がなされることと、取組みの方を書いています。
 なお、なお書きですが、指標の評価については、ワーク・ライフ・バランス社会の実現に向けた進捗度を基本といたします。ただ、一部の指標については別途行動指針の方でも目標値の議論がございます。目標値が明らかに合意できるようなものについては、その目標値における達成度、全体を仮に100とした場合に、そのうち何割まで達成ができたかというような達成度についても計測をしてお示しするということを考えてはどうかと思います。
 また、先ほどの個人の希望と現実の乖離については、なるべく指標の中で測られればいいんですけれども、直接的に測れない場合には、やはりある程度、いかに望ましい方向が実現したかというような形で測らざるを得ない部分もあるということをお含みおきください。
 その次、ややもう一度ブレークダウンをした話に入りたいと思います。別紙の方ですけれども、引き続き別紙ですが、これは何を書いたものかといいますと、個人の総体、先ほど申し上げました5分野の中をどういうふうに区分けするのかというお話です。別紙と、あと資料3も併せて、両方置きながら、恐縮なんですけれども、ちょっと御説明を聞いていただければと思います。文章の方「仕事・働き方」ここが中心に、主たる部分になるわけですけれども、仕事が仕事以外の活動の充実を妨げず、人生の段階に応じた柔軟かつ過重な負担とならない多様な働き方を個人が実現しているかということでございます。その中の、ここでは中項目として1~4を挙げています。
 1つは、そういう働き方を実現する機会が設けられているか。要するに、そういう機会が提供されているかということです。
 2つ目は、では、その下で実際に柔軟な働き方を選択できているかということです。これは時間、場所というような話もあります。その中に、「また」以下ですが、それらの選択肢の待遇面での公平性があるか。選択肢があっても、それが選択可能な、公正なものでなければ、事実上選択肢とはなり得ないものですので、ここに公平性を入れさせていただいています。3番目、多様な主体が希望に応じて働けるか。女性、高齢者を含めています。こういった方々が育児・介護を機に仕事を辞めていないか。また、希望する人が再就職できているのだろうかということです。
 4番目は過重な負担、生活が維持できないような働き方、生活するために過重な労働を強いられていないかという点でございます。
 それが先ほどの資料3の方では、ちょっとクモの巣的ですが「仕事・働き方」のところにⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳと書いてございます。
 小項目のところは、今、申し上げたのを更に細かくしていますけれども、今回はここまでは御議論する対象にしていただかなくて結構だと思っています。
 あと「家庭生活」以下ですけれども「家庭生活」以下の部分では、実際そういう時間が取れているのかというような問題と、あと家庭内での仕事の分担が男女共に関わっているのだろうかということで、2つに分けています。
 資料3の方ですと、家庭生活で1、家庭で過ごす時間は取れているか、2として、男女の家事・育児への関わり方はどうかという問題。
 地域でも同じです。実際に参加できているかというもの。2番目は、多様な主体が参加できているのだろうか、専業主婦に偏ったりしていないだろうかということでございます。
 4番目、学習、趣味・娯楽等ということで、やはり時間が取れているのかどうかということです。多様な主体が参加しているか。
 5番目の健康・休養はちょっと違いまして、これは資料2の方がよろしいかと思いますが、仕事を通じて心身の健康を害することがないかということで、仕事によって健康が害されていないかどうかというのが1つです。2番としては、休養する時間があるかということで2つに分けさせていただいています。
 実際にここまで御説明を聞かれても、では、どういう指標を取るのだろうかと具体的にイメージができないとまずいなと思いまして、参考1と2を配らせていただいています。資料4の最後に載っています。
 参考1、2は非公表なので取扱いに注意していただきたいんですが、先ほど申し上げました中項目、例えば「仕事・働き方」ですと4つに分かれます。それについて仮に、今、考えられる指標としてはどういうものがあるかというものを、網羅的に書かせていただいたものです。指標の候補案と備考のところに、どういう意味でこれを取ったかというのが書いてあります。黒字のゴシックのところは、恐らく各項目の中で重要なものであろうと。仕事の働き方の多様化、選択肢といっても、具体的に何を意味するのかというのは恐らく人によって違うと思います。それをある程度合意をしていくために、あえてここでは、まだ指標の検討会の方でも十分議論していませんけれども、あえてイメージをつくっていただくために太字で書いています。これはあくまでも御参考です。
 例えば2番「柔軟に働き方を選択できるか」というところでは、テレワーカー比率、フレックスタイム適用の労働者割合など。あと後半の公平性の面では、正社員とそれ以外の労働者の賃金格差などが入ってくるかなと思います。
 多様な主体のところでは、女性の就業希望率、あるいは労働力率、あと正規職員に占める男女割合、女性が今3割ぐらいというところをどう考えるかということ。あと就業者が性別、年齢に偏りはないだろうかということ。あるいは25歳から44歳の女性が子どもを持つ持たないによって、仕事の就業率、あるいは実際の賃金に格差が生じていないのだろうかということを調べてはどうかと思います。
 あと過重な負担については、フルタイム労働者に占める週60時間以上の労働者の割合ということ、括弧して年間実労働時間と書いていますが、そういったもの。
 次をめくっていただきまして、家庭ですと、実際の在宅時間ですとか、行動している時間の男女比、あるいは行動者率。男女のうち何割が行動しているかということですが、その男女比。普通であればそれが1にならなければいけないんですが、差があります。
 あと地域活動については、ボランティア活動、社会参加活動などの指標を取っていきたいと思っています。
 学習、趣味娯楽については、それぞれの指標でございます。
 3ページ目の健康については、仕事を理由に強い不安とか悩みとかストレスを持つ人の割合ですとか、過労死等の事案による労災の補償件数というものかなということで、イメージをつくっていただくためのものです。
 ちょっと急ぎで申し訳ありませんが、参考2の官民の取組み指標ですけれども、あえてここでは、官民共同でやる分野が多いので、1ページにありますように、官民共通の取組みが具体的にどういうものがあるのかということを羅列をし、それを指標化する。勿論できる範囲で指標化するということです。また、官だけでやるものとして、恐らくは中立的な税制、社会保障の中立的な制度の実現というのがあるでしょう。民ですと、マネジメント改革などがあるでしょうということです。この「…」は、実際に指標化するに当たっては、ここに文字で書いてあることを更にブレークダウンとして具体的な取組みにしなければ指標化はできませんので、もう一段階、具体的な取組みについて議論をしていただくという趣旨です。
 次のページは、あえて整合的になっていませんが、済みません、ちょっと具体的なイメージで書いたものですが、必ずしも1ページ目と整合的ではなくて申し訳ありませんが、具体的な指標が書いてあります。
 私の方からは以上でございます。
佐藤会長
資料2で、ワーク・ライフ・バランスについて合意がないということで、そういう状況で、ワーク・ライフ・バランス社会とは何かというのをここでやらなければいけないんですけれども、比較的ワーク・ライフ・バランス社会とは何かについてはここの専門調査会ではこれまで議論してきたので、ある程度合意があるかなと思うんですけれども、我々は、ワーク・ライフ・バランス社会に向けて、日本というのはどの程度これまで動いてきて、これから5年、10年たつとどのぐらい進捗していくのか、どこが遅れているのかということを測定できる何か物差しをつくれということになっているんです。
 ワーク・ライフ・バランスは、資料2にあるように、あくまで個人です。個人の視点で、ワーク・ライフ・バランスの状態というのは人によって違うし、ライフステージによって変化していくわけです。ただ、ワーク・ライフ・バランス社会というのは、そこで生きている個々人がワーク・ライフ・バランスを実現できるような社会の仕組みだと思いますので、この社会の仕組みの方を測定しようということで、それを一応個人の5つの領域に分けて、そこで個々人が、いろんな選択肢があるとか、選択肢を実現できているということがあれば多分、全体として個々人がそういうワーク・ライフ・バランスを実現できているということだろうと思いますので、それを社会全体として測定しようというのが上の方です。総体でというのはそういう意味です。だから、領域ごとにいろんな機会とかがあって、かつ選択できているという考え方でつくっていこうということです。
 下の方は、それを支援する取組みがどの程度進んできたかということですね。それを一応5分野で、かつそれを中分類にブレークダウンし、ものによっては小分類というふうにつくられています。小分類なりに落ちたところを今度は、中分類までのところもありますから、例えば学習や趣味娯楽のための時間があるかということを、あるようになったということを何か測定しなければいけないんですね。
 あるいは過重な働き方になっていないかというのが、では、どういう状態が過重な働き方ではないかを測定しなければいけませんから、そのときに参考でお見せしたようなものを考えている。何か数値を上げて測らなければいけないので、それは先ほどフレックスタイム適用労働者とかテレワーカー比率とかがありましたが、これは柔軟な働き方です。大事なのは、各人が希望に応じていろんな働き方を選べる、これが大事なんです。それをどういうふうになったら選べるだろうかといったときに、例えば少なくともフレックスは増えているんではないかとか、テレワーカー比率が増えていれば、多分柔軟さが増えているんではないか、こう考えようということなんです。
 ですから、今、候補で上がっているのは、最終的にどれが一番望ましい物差しとして残るかはこれから決めていくんですけれども、ただ何にもないとわかりにくいですから、それぞれの上げた項目、例えば過重な働き方ではないとか、趣味や学習の時間が取れているということを何で代理的に測定したらいいかという物差しの例示だというふうに御理解いただければと思います。
 そういう意味では、今日はここまで議論いかなくて、できれば資料2、資料3のところまでで御質問なり御意見を伺って、ある程度これが整理されれば、先ほどいろんな作業をお願いしているということで、いろんな指標を上げてもらって、どれが割合リーズナブルかというのをここまでまた議論していただくことになると思います。ですので、とりあえず事務局の説明に御質問なり御意見あれば、どこからでも出していただければと思います。いかがでしょうか。はい、どうぞ。
杉山委員
御説明ありがとうございました。質問を兼ねての意見なんですけれども、資料2の「ワーク・ライフ・バランス社会実現の姿」というところに関しては、官民の取組みということで、企業と政府の取組みが出ていますが、そこに出ている具体的な例えばの方策というのは、どちらかというと働き方の部分の取組みが多いかなと思うんですが、矢印の上の個人のところを見ると「仕事・働き方」は1個で、あと「家庭」とか「地域」とか「学習・趣味」とか「健康・休養」というところであれば、何が言いたいかというと、ワーク・ライフのライフの受け皿であるはずの機関がこの取組みの中に入っていないのはちょっとどうなんでしょうというところなんですね。
 例えば非営利組織、NPOですとか、そういうところは多分ライフの担い手になっているし、勿論NPOに限らず地域の中にいろいろな活動があるかと思うんですが、そういったところが一緒に取り組まなければ、働き方の見直しはもしかしてできるかもしれませんが、その後のライフをどうするのというところの取組みにまで落ち込むことはちょっと難しいのではないのかなと思いました。
 まずは資料2と資料3ということだったんですが、つらつら御説明を伺いながら、指標の中で例えば公民館などの利用はどうなんだとか、民間でいろいろなスポーツクラブであったりとか、そういったところもあるので、そういうところの利用はどうなんだ、特に働き盛りと言われているような人たちがちゃんとそういうところに行けているのか、レクリエーションの部分の時間を見てみるということも意外に簡単なんではないのかなと思ったり、NPOの活動がどれぐらい伸びているのかという辺りも外せない1つの部分ではないのかなと思いました。以上です。
佐藤会長
それは議論していただければいいと思うんですけれども、それぞれについての、政府だけではなくて、いろいろなアクターの、例えば働き方は労働組合もあるわけですけれども、それは大事ではないという意味ではなくて、それを全部上げるか、あるいはワーク・ライフ・バランスといったときに、今の日本の現状を考えると、一番上の「仕事・働き方」が変わらないとほかが動かないだろうという発想で言うと、そこに関わる取組みだけをとにかくモニターしていくというのをつくろうというのが今の仕組みになっているんですね。だから、全部広げてしまうと何をやっていいかわからなくなってしまうから、そこはただ、全部上げた方がいいという議論になればそうだと思います。今のつくり方は「仕事・働き方」のところを動かさないと他がというので、取組みも今のところは「仕事・働き方」に関わるところを、今、上げているという整理の仕方になっているんです。それは前の専門調査会も一応というようなのを受けていると。
杉山委員
よくわかりました。であれば、できればそういうふうに段階を追って広げていくんだよということはちょっと付記していただけたらなと思います。以上です。
佐藤会長
ですから、領域のところで、働き方が変わればNPOに参加する人も増えたりという、そちらでは取ると思うんですね。だけど、NPO支援の政府の取組みみたいなものはここでは上げていない。ですから、保育サービスは勿論大事なんですけれども、それはここでは取っていない、政府の取組みではという今の整理の仕方です。
川島委員
まず、ここでの調査というのは、個人のワーク・ライフ・バランスの実現度というのが1つの軸と、もう一つ、社会の仕組みとしての官民の取組み状況というのはある意味絶対値の指標を出すというふうにこの文章から読み取れて、質問項目も見えるんですけれども、是非そこら辺、どの質問項目がどちらに当たるのかということを明確に分けて提示していただいた方がわかりやすいのかな。ごちゃごちゃになっていると、どう使われるのかというところがわかりづらいと思いました。
 それから、もう一つ、この先なんですけれども、官民の取組み状況を数量的に出したところに対して、この委員会としては何か価値観を付加するんですか。要は、今、出てきた数値に対して何らかのコメントをするというところまで我々が仕事としてするのかどうかということはどうお考えなんでしょうか。
神田調査課長
要するに数字を出して、それをどう評価するかということですね。
川島委員
そうですね。ワーク・ライフ・バランスということに関する今の現状の絶対値と言えるべき数値が今回指標として出てくる。それは数値として社会に投げるだけなのか、それに対して我々が何かコメントするのか。なぜそんなことを聞いたのかというと、コメントをするのであれば、では理想的なワーク・ライフ・バランスは何かということが前提として持っていないとコメントのしようがないので、そこまで考えているのであれば、委員会でそちらも同時並行して進めていかないと、数字だけ、はい出しました、ちゃんとお金使いましたよで終わってしまうことになるぞという意見でございます。
神田調査課長
恐らく2つのレベルがあって、全体の行動指針、あるいは憲章の中での全体の評価をどういうふうにしていくのかという話と、あと指標レベルでどういうふうにしていくのかというのがあると思います。恐らくこれは今後、行動指針、あるいはそういうのを担当している事務局との調整になるかと思いますけれども、ワーク・ライフ・バランス実現度指標についてはやはり専門調査会で出していくものだと認識をしておりますので、ある程度そこは、出した以上は数字がどうなりましたというだけではなくて、どういう評価をするのか、どういう認識をその数字から読み取るのかということは当然ながら付いてくると思っています。
川島委員
実現度指標に関しては何の不安もないんですね。個人が実現できているかどうかですから、それはもうだれが見てもわかる数字なわけで、国民にそのまま出しても皆さん理解できる。一番理解できないのは、もう一つの社会の仕組みを定量化した方の数値です。そちらをどう扱うつもりなのかということです。
神田調査課長
そちらも含めてですね。どういう取組みが遅れている、あるいは進んだからワーク・ライフ・バランス社会が進んだかというのも合わせてですので、そこは取組みについてもある一定の評価をしていくんだろうと考えています。
川島委員
ということは、ある意味理想像があるということですね。進んだ遅れたというのは何らかの理想的な指標がないと。
佐藤会長
ちょっと誤解があるのは、この絵で「個人」とありますけれども、直接個人の方は測定するわけではない。測定するのは個人全体の方だけなんですね。個人にとって望ましいワーク・ライフ・バランスはいろいろである。だけど、今で言うと、例えば女性は妊娠・出産で7割辞めているわけです。辞めたい人がそのうち4割ぐらいで、3割は続けたい。これを前提にすると、続けたい人が続けられるというのが実現度指標の方で推移で取るわけです。だから、目標として7割勤めなければいけないとか6割がいいというのがあるわけではないんです。
川島委員
そちらはそのとおり理解しています。そこには何の疑問もありません。もう一つの方です。官民の取組み状況を数量的に評価するという方をどう扱うかという話をしています。
佐藤会長
ここはちょっとね。
神田調査課長
要するに、そこについては政策全体の話もあるので、1つは行動指針、あるいは行動憲章レベルでの大きな政策を、方向性を示そうとしています。おっしゃるとおり、そこの評価とも絡んでくる部分ではあるんですね。だから、数字だけでどうこうと言える部分と、そうではなくて全体で見ていく部分と2つ絡んでいくので、そこについては勿論うちの専門調査会として数字を出した以上、何らかの価値判断があって出しているわけですから、そこについては責任を持たなければいけないと思いますし、それプラスもうちょっと高いレベルでの評価というのも当然必要だと思います。
川島委員
そこでどういう価値判断を持ち得るかということも是非この調査会で話し合いをしていただきたいと思うんですね。でないと、どういう指標を取るかということも実はそこに絡む話でございますので。
佐藤会長
私もちょっとまだ理解できないところがあって、上の方で、今の個人総体で出た実現度指標の中に、例えば働きたい人が働けるようにというふうに改善していくのが目標になって、下に達成度とありますね。ここは、例えば過度な残業が多いのがよくないとすると、例えばこれは残業が少しずつ減っていく方がいいですよというふうにあるんだけれども、政府が行動指針か何かで、例えばですけれども、週60時間以上、働いている人の今の比率を半分にしますという目標を政府の方で合意ができるとすると、それが達成度の方に入る。ここで決めるわけではないということです。
川島委員
ということは、社会システム自体も達成度という評価をするんですか。
佐藤会長
それもあり得る。今、官民の推進協議会で合意ができればですね。政府の目標になれば、当然それは達成すべき目標になり得る。我々がここで決める部分があるかどうかというか、そこで決まればですね。
川島委員
それはハードル高いですね。
佐藤会長
そういうシステムだと思います。
川島委員
ある意味理想像をつくってしまうわけですから。国の考えで理想像を。
佐藤会長
理想像というか、国としてそれが決定すればですね。
川島委員
はい。それを国民に押しつけて、あんたの今はおかしいという話をするわけですから。
神田調査課長
押しつけにならないようにしようということなんです。
佐藤会長
押しつけになるかどうかは別として。
神田調査課長
ただ、全体で、行動指針部会とか官民トップ会合というのもありますので、ここでの議論はあくまで専門調査会としての意見をまとめて、そちらの上の方に持っていくための議論ですので、上の方でまた議論があって、また別のことになれば、それはそちらに合わせなければいけないしということで、若干フィードバックをしながらこれからの議論は進めていくことになっています。
川島委員
ですので、その重みづけの考え方として、やはり今までのお話をお聞きしますと、この専門調査会は個人の実現度というところに重きがあって、社会の達成度というところというか、今の社会がどうかということの定量評価の部分は付加的なデータだというとらえ方でいいんですか。そこに対して我々は余りタッチしないということは。
神田調査課長
いや、多分重要だと思うんです。
川島委員
どちらもイーブンにやりたいということですか。
神田調査課長
イーブンだと思います。
佐藤会長
どうぞ。
植本委員
お話聞いていてよくわからなくなってきたんですが、要するに実現度指標の位置づけは、先ほどおっしゃった行動指針が何か上部にあって、それに対する、言ってみれば下部的な実現度指標という位置づけのように、今、御説明があったんですが、ここで議論する役割が今のやりとりを聞いていて、どういう立場でどのようにものを言えばいいのかということが少しわからなくなりました。もう一つは、この実現度指標、個人総体で見た達成度も一部評価をするという、この流れでいけば、例えば今おっしゃった社会全体がかくあるべしということも一つの判断の材料としてあると思います。例えばOECDの比較で見てどうなのかという形での、少なくとも上位5位までに入りましょうよというふうな、そういう客観的な比較指標みたいなものが議論材料としてあるのか。少しこの指標の押さえ方みたいなものが、何をもって指標というふうに整理をしていくのかということが少しあいまいなような気がするんです。
佐藤会長
私が余り答えないで事務局が答えた方がいいんだけれども、1つは、ワーク・ライフ・バランス社会が望ましいという価値判断はもうあるんですね。その中の個々人がどうかというのは多様な選択肢ですから、あなたはこうしなさいというわけではない。それを整理した上で、ワーク・ライフ・バランス社会は何かといったときに、実現すればこう動くでしょうという指標をつくるわけです。ですから、それぞれがプラスになれば改善しているということが測定できる指標をつくるんです。ただし、いつまでにこうしようとまで言うかどうかだけなんです。例えば「仕事・働き方」で柔軟な働き方を選べるという物差しをつくります。それがある時期50で、60になる、70になる。そのときに、5年後に70とすべきという目標を立てるかというのをここでやるかやらないかという議論が次なんです。そこはここでやるのかと言っているだけの話です。私はそういう理解なんです。ですから、そういう意味では、その都度その都度、この分野は前年よくなりました、ここは遅れていますというのは出せるわけです。ただし、いつまでにここまでいくよというのを先に立てておくと、実現できた、できなかったという話になるわけです。これをここでやるのか、あるいは幾つについてここでやるのか、そういうところが次の話なんですね。
板東局長
ちょっとよろしいですか。今、指針とか憲章とかと、この指標の開発との関係とか、上部なのかどうなのかというお話をされましたけれども、まず、政府全体、あるいは官民挙げて、どういう形でワーク・ライフ・バランス社会の実現のために取り組んでいくかという大きな方向性を出すのが憲章であり、具体的に政府の取組み方針を示すのが指針ということになるかと思うんです。ワーク・ライフ・バランス社会を推進していくために指標設定をして、それに基づいて逐次フォローしていくということが非常に重要なんではないかという一つの柱の中で、この専門調査会の方で御議論いただいて、その指標の開発をしていただくということだと思います。
 その指標の中身とか、そのフォローの仕方みたいな問題については、この専門調査会の御議論で専門的に行っているわけなんですけれども、全体のワーク・ライフ・バランスを推進していく仕組みの中で、指標の開発というのが非常に重要であり、そのフォローが重要であるという位置づけは何らかの形で憲章なり指針の中にしていただければありがたいなと思っています。
 それから、もう一つ、さっきから目標の話が出ておりますけれども、目標の設定自体はここの指標を検討する専門調査会としてのミッションを超える部分があるんだろうと思います。目標は、これは憲章の方にセットされるのか、指針の方にセットされるのかわかりませんけれども、政府として何らかの数値目標を掲げましょうということが出ておりますので、その目標が例えば先ほどちょっと例が上がっています長時間労働をする人の割合はこれぐらいまで引き下げていきましょうという話があれば、当然この指標の中でもそういったものは使わせていただくということになろうかと思います。だから、目標を設定するというところは別途違う場で御議論をされているということかと思いますけれども、この指標の御議論の中で、こういったこともいろんな意味で、目標なり、いろんな達成度を見ていくなり、そういう中で重要な要素ではないかという御意見もいろいろ出てくるかと思いますので、そういうところはうまく、ほかの場での御議論につなげていければと思っております。そういうことをしていただくために何人かの先生も共通してお入りいただいているんだろうと思います。
佐藤会長
少なくとも実現度測定の指標はつくりますと、それを達成度なり目標達成に使うかどうかというのが、もしかしたらほかで決まる可能性がある、今のところ。だから実現度は測っていくんです。よくなったとか悪くなったとか。だけど、これはいつまでにここまでとか、目標を達成していませんねという議論をここでやるかどうかというと、我々が言っても取り上げてくれなかったら、それは全然使われませんので、政策的意味というところであれば、やはり国民にこうと、川島委員が言われたように、ある程度いろんな団体、主体が合意してくれないことには目標になりませんので、そうしないと押しつけになります。それは今ほかでやられていますので、そこでの議論次第かなというのは今のところの整理です。ただ、我々から向こうに、こういうことが大事だと言うことはできると思います。こういうものを入れてくださいと言うことは十分やれるなというふうには思っています。はい、どうぞ。
永木委員
指標の件で何点かちょっと疑問に思ったところがあるんですけれども、例えば個人が希望する状態を達成できたらOKということになれば、極端な話で、これは現実ではありませんが、8割の人が働きたくないと思っていたとします。それで8割を達成したら、それはワーク・ライフ・バランスを実現したことになるのか、日本としていいことなのかというと必ずしもそうではないと思うので、常に改善されていればいいというわけではなくて、ある程度ベンチ・マーキングというか、かくあるべしのベストな結果が出る姿というのを考えた方がいいのではないかと感じたことが1点と、あと例えばフレックスタイム制の採用企業の割合と、裁量労働制採用企業の割合とありますが、弊社の場合はいろんな事業場でいろんな制度を導入しているので両方でプラスということになるんですけれども、会社によってはフレックスだけを採用している。それを裁量労働に変えたときはどう考えるのか、そこら辺の指標の相関というのもしっかり見ていかないと、例えば育児休業取得者率は減ったけれども、在宅勤務が増えたとか、そういうのは決して悪くなったというわけではないと思います。
佐藤会長
ですから、これは個々の企業を評価するわけではないので、個々の企業とすると出入りがあっても、日本社会全体としてといったときに、今、言われたように、フレックスが増えたらこちらが減るような指標であれば、片方だけ取ってはだめですから、そういうときは両方足すとか何かしますけれども、その辺はこれからの議論だろうと思います。基本的に大事なのは、フレックスなのか、テレワーカー比率というよりは、いろんな柔軟な働き方ができるというのを何でモニターしたらいいか、適切な指標を取ることが大事で、今、言ったような問題があるすれば、もうちょっと適切な指標という議論になると思います。
 どうぞ。
牧野委員
ワーク・ライフ・バランスが取れているかどうかを客観的な指標でみることも大切だと思いますが、本人が自分で取れていると思えているか、さらに言えば、一人ひとりのワーク・ライフ・バランスに対する満足度がどうかということが実は重要ではないかと思っています。例えば男性の育児休暇の取得比率が高くなることは客観的な指標としてはいいと思いますが、本人の意思よりも、多くの男性が育児休暇を取ることだけに会社が一生懸命になるといった状態になりかねません。本当はそういうものではなくて、いろいろなところで自分が仕事と生活のバランスにどのくらい満足度を感じているかがワーク・ライフ・バランスの指標になるべきだと思います。たくさんの人に聞いて、今、満足していますかみたいな、何か感情的なものを指標として出せないのかなというのをふと思ったりしましたので、是非御検討いただければなと思います。
高橋委員
私も、今、同じことを思っていまして、参考1の指標を見ても、これから直接満足度というのはわからないわけですね。ですから、今回も余り時間がない中でやる中で、例えばインターネット調査などを行って、これに対応するような項目に対する満足度を同時に取って、それを合算してワーク・ライフ・バランス社会の実現の姿みたいなものを計量化する、そういうことは可能なのかどうかということです。それを入れるかどうか。
佐藤会長
意識調査、ただ、これは難しいのは、時系列でフォローしていくので、できれば過去もですね。今つくるんだけれども、5年前、今、5年後ぐらいを取っていきたいと思うと、ある程度時系列に行われている調査で取らざるを得ないかなという問題はある。ですから、昔の経済企画庁がやっていた国民生活指標ですか、ああいうもので使えるものは入れたらという議論は事務局としていただいているようです。ですから、意識調査を初めから否定しているわけではなくて、安定して同じ質問でやられているようなものは使ってもいいかなという議論はしています。ただ、今回だけではなくて、毎年とか、来年もやってくれないと困る。ですから、新しくやってというと、それが続かないと入れられないという問題があるので、そこはちょっと苦しいところだと思います。
 いかがでしょうか。どうぞ。
川島委員
あと想定されていく対象群とサンプルサイズはどんなものを今お考えでやろうと思っているんですか。
佐藤会長
どうぞ。
神田調査課長
特に調査を改めてやることは考えていないんです。既存の統計で、それを使いながらやろうと思っております。
川島委員
既存の国にある統計等の資料の中から都合のいい部分を引っ張り出してくる。
神田調査課長
そうですね。都合のいいかどうかは、適切なところね。
佐藤会長
都合のいいというか、一番適切なものを選ぶ努力をする。
川島委員
なるほど。その中には個人の実現度みたいなことを問うた質問もあるわけなんですね。
神田調査課長
そうですね。男女共同参画に関する世論調査で出たのがあるんです。本当に実現がされているかどうかという意識調査。
川島委員
時系列で追いかけるというのは、同じ対象者を追いかけるんですか。
神田調査課長
ではないです。パネルではなくて、対象者は変わりますね。
川島委員
群でどう動いたかということを見る。
神田調査課長
はい。今のところ、パネルでそういう統計は余り存在しないと思います。
川島委員
そのサンプルを今ある調査から選ぶときに、例えば職業のバランスとか年齢のバランス等に関しては、十分バランス取れるという見込みがあっての御提案なんでしょうか。
神田調査課長
基本的には無作為抽出なんで、バランスは取れているはずなんですが、勿論そこはチェックした上で、そのサンプルにバイアスがある場合には、偏りがある場合にはこちらの方でちょっと調整しなければいけないかもしれません。
佐藤会長
確かにその辺は難しい問題もあると思いますが、例えば就業構造基本統計調査などであれば、今、働いている人、働いていないけれども、働きたい人などはずっと取っていますから、女性などで言うと、そのギャップが少なければ働きたい人が働けるというような、そんなようなものも少しずつ工夫していこうということです。
 ですから、割合理想、理想というのは変ですけれども、いろいろ取って、代理変数としていいものが取れる領域と、かなり距離があるなというものもあり得ると思います。ですから、そのときは御提案いただけば変えていくということは想定していかなければいけないと思います。そういう意味では、具体的な指標の内容なんですけれども、枠組みをしっかりしておくというのは結構大事で、こういう枠組みでとらえています、そのとき、その指標として、今はこれしか取れないけれども、もっといいものが取れるようになれば入れ替えるということを想定していないわけではないということです。
 なかなか難しい話で、いかがでしょうか。どうぞ。
武石委員
私は指標のワーキングの方にも入っているのにちょっと言いにくいんですが、前回欠席してしまったので済みません。ちょっとわからなかったのが、「仕事・働き方」のところの1番で、希望する働き方を実現する機会を設けられているか、今日は具体的な指標の議論ではないんですが、例えばここにフレックスタイムとかね。
佐藤会長
別紙ですね。
武石委員
済みません、別紙です。
佐藤会長
もうちょっと細かいものですね。
武石委員
そうです。別紙と、非公表の参考1と参考2で、つまり官民の取組み指標とこの1番が重複しているものがあって、どういうふうに整理するかなんですが、機会を設けられているかというのは、そういう制度がないと機会がないということで、制度の採用、フレックスの採用企業とか、裁量労働制採用企業の割合がⅠの1の中に入っていて、もう一個、参考2の方でも官民の取組み指標の後半の方に同じ項目が入っていて、こういうものをどちらで整理していくかというのはこれからの議論になっていくので、要はⅠの1と官民の取組みはきちんと切り分けていかないと難しいかなという気がしました。
佐藤会長
一応考えているのは、企業の取組みの方は、例えば企業の導入率で、労働者の方は適用労働者数で取るとかですね。だから、上の方は、個人は適用労働者数みたいなもので取って、片方は導入企業比率で取るとかいうようなやり方はあり得る。
武石委員
でも、同じことをやっている。
佐藤会長
同じことです。だから、そういう意味では両方にあってもいいんではないか。だから、今のところは、ものによっては両方にあってもいいかなという考え方なんです。企業が取り組むことによって、「仕事・働き方」、そこはかなり重なるものがあるかなという議論はしました。ただ、そこは議論の余地ありだと思います。
勝間委員
こちら、サンプルを見せていただくことは可能ですか。具体的な指標を見ずに表題だけ見て議論しても余り意味がないような気がするので、一応こういうものがありますということでの、ある程度の実物があった方が議論が進みやすいと思うんですが、いかがでしょうか。もしありものを集めるのであれば。
神田調査課長
済みません、今日は在り方という抽象的なところを合意いただくのが主たる目的だったんで、個別の指標について、こういう動きになっています、これは指標に入れるのが適切でしょうか、これをあらわすのに代表例としていいでしょうかという議論は次回にさせていただきたいと思っています。
勝間委員
わかりました。
佐藤会長
次回は多分、中分類、小分類の動きを見るために、こういうものが候補としてあり得るというものを、プラスマイナス、これはここが問題あるとかとあると思いますので、そういうことを議論していただくことになると思いますので、多少その数字がくっついて出てくるということになると思います。
 前回、5つの分野というのはここでたしか議論しましたよね。5分野も今日初めてでしたか。
神田調査課長
いいえ。
佐藤会長
前回しましたね。ですから5分野は、一応これは前の専門調査会を引き継いでいるところがあると思いますので、問題は5分野を、大きくは機会があるかどうか、それが実現できているかというのを、ただ働き方のところは少し細かく見るというようなつくり方になっていますが、大ぐくりの考え方ですね、それと社会全体の実現度と取組みを見ていく。取組みについては確かに重なっているとか、これでいいのかという議論はよくわかるんですが、そういう全体のデザインについて、まず御意見を伺っておくとありがたいんです。そうしないと先へ進まない。はい、どうぞ。
大沢委員
3番の「多様な主体が希望に応じて働けているか」というところですが、ここで子どもの有無と女性の再就職などが出てくると思うのですが、女性だけではなくて、例えば非正規から正規への移動とか、ダイナミックな動きを指標の中でとらえていくことも非常に重要だと思いますので、御検討ください。
佐藤会長
どうぞ。
杉山委員
ワーク・ライフ・バランスなのか、ちょっとあれなんですけれども、30代ぐらいの女性と話す機会がとても多いんですけれども、前職を聞いたりしますと、例えば専業主婦でも、1社でずっといたという人はほとんどいらっしゃらず、3回転職しましたとかおっしゃられて、私のいたときと随分変わったなということを思うわけなんですけれども、多分男性も同じで、それは本当に多様な働き方なのかどうなのかがちょっと私も、本当に希望にかなっているのかとか、そこら辺をちょっと確認するような指標のようなものはないのかなという気がするんです。それがキャリアアップに、アップまでいかなくても、せめて維持とかになっているのか。多分今後も1社でずっとという人はそんなにおいでにならず、転職を繰り返す方も昔に比べて増えてくるだろうと思うんですが、そのときにセーフティーネットとして何が必要なのかなというところをちょっと見ていただけるとありがたいなという気がします。これが多分それに当たるよというのがもしあれば教えていただけたらと思います。
佐藤会長
転職しやすさみたいなものですか。例えば年齢制限があるとか、途中で転職したときに失業期間が短くなるとか、そんなようなイメージですか。
杉山委員
そうですね。全体がよければ、どこに移っても不利益はそんなに、前の会社ではとてもよかったけれども、今度の会社はということはなくなるので、そんなに個別にいかなくてもいいのかもしれないんですが、何かないかなとか。
神田調査課長
自発的に辞めるとか、そういうのは取れます。ただ、景気の影響を割と受ける指標なので、余り景気に左右されるような指標は、少なくともその要因は除きたいと思っているので、ちょっとそこは検討が必要だと思います。
杉山委員
とりあえずよく動いているというのが見えたら、一ついいかなと思うんです。まあ動いていないかもしれないですけれどもね。
佐藤会長
転職機会がある、ワーク・ライフ・バランス社会といったときに、働き方で、例えば希望する人が働けるというときに、今みたいな転職のしやすさというのを入れる必要があれば何か取らなければいけないし、ほかのもので取っておけばそれは入れなくていいのかというのは少し議論する必要があると思いますので、ちょっとそれは考えます。
 やや抽象度が高い話なんですが、済みません。検討会でもなかなか、資料3もまだきちっと合意できている話ではなくて、こういうものもつくる必要があるというところで事務局でつくっていただいたというところで、大きな枠組みについては割合検討会でも議論したんですけれども、資料3は途中までしかできていないので、こういうものをやっていくというところまでは合意できたんですが、この一個一個について、すべて議論しているわけではまだありませんので、事務局は一応苦労していただいたということです。
 はい、どうぞ。
紀陸委員
1つの指標を出すにも、平均値だけではなくて、属性だとか対象だとか、ブレークダウンして出さないと誤解を招きやすい。典型的に有給休暇の取得率だといっても、年齢階層によって、仕事によって全然違います。平均的にこうだと出したって、ああ、そうですかというだけの話で、そこから休暇をいっぱい取るようにしましょうという目標値を出したところで、そこのつながりは決して有意ではないですね。そういう意味で指標の出し方が非常に難しい。これは最初から恐らくその論議をされているんでしょうけれどもね。個人のニーズの把握と企業の対応の仕方が、物によっては相当に裏表の関係になっている。ものによってはそうではないものもあり得るでしょうしね。その辺の処理は、資料2の中からだけではなかなか見にくい面があります。それは、さっきどなたかがおっしゃられた、具体的に指標を出して、そのイメージを把握し、ただ、どの指標を出すか、参考1のところにも幾つか具体的に出ていますが、この中で何を選ぶかという作業をした上でないと、1つ出してもまた元に戻ってしまう可能性があるので、論の進め方自体が難しいですね。
佐藤会長
例えば、勿論必要なときは残業しなければいけないわけですけれども、過度な長時間労働が日々続くのはやはりおかしいということがあるとすれば、それは個人の方の働き方で見る指標と、企業の取組みであれば、恒常的な残業を削減するような取組みをしてもらうということですね。その結果を、もしかしたら、週60時間以上の比率が減るということであれば、上と下が同じ指標になるかもしれないんですね。ただ、読み方で、企業は取組みをやるわけですから、これは企業が取り組んだというふうに評価する指標であってもいいわけなんです。それが個人として、過度の長時間労働ではない指標だというふうに取るのは別におかしな話ではないので、もしかしたら同じものが入るかもしれない。
 ですから、取組みというのにこういうものがのるか、企業が過度の長時間労働を削減する取組みをしてください、それを何で測るかと言えば、恒常的な長時間労働が減っていれば、そういう取組みをしたんでしょうという評価の仕方もあり得る。その辺をちょっと整理しなければいけないなとは思っているんです。今日は取り組んだかどうかをモニターするわけですから、下の方をもしかしたら結果で見ていくということはあり得ると思います。政府としては、企業のそういう取組みのための情報提供とかモデル提供ということが政府の取組みになるのかもわからない。
鹿嶋委員
ワーク・ライフ・バランスというと、我々の周囲の生活のいろいろな問題点をこのキーワードの中にみんな閉じ込めているようなところがあるわけね。やはり相当拡散してしまっていて、これがワーク・ファミリー・バランスであれば、仕事と家庭の両立ということであれば、すきっとくるようなこともあるし、この調査の指標を見ても、ワーク・ファミリー・バランスであれば何となく説得力があるような調査があるんですが、例えば地域活動にしてもボランティアとか、学習にしても社会人、大学生とか、趣味とかというようなことで、これはワーク・ライフといった場合、何となく拡散しているような印象は否めないなという感じがしているんですよ。そうなってくると、この指標に選ぶ調査自体が、もうこのぐらいしかないんでしょうね。
 要するにこれは、すべてこの言葉の中で、地域の再生から教育の再生から親子関係の再生から、みんなやってしまうようなところがあるわけでしょう。これがワーク・ファミリー・バランスで家庭との両立だけなら何となくまだまとまりがあるんですが、でも、そこはしようがないと言えばしようがないんですね。とにかくライフと風呂敷を広げてしまったんだから。そこがいまひとつ説得力を持って国民の皆さんに受け入れられるかどうか、何かその辺を感じているのと、もう一点は、例えば柔軟な働き方を選択できるかといった場合の指標候補として、短時間雇用者比率といったものが上がっていますけれども、この比率をどう、例えばこういう問題だとどう評価するかというのは極めて難しいですね。それから、再就職率なども、多ければいいのかという話ではないわけです。10人中7人辞めているから再就職率が高くなるんでね。そういうところの調査の分析も本当に注意してやらないと、この指標そのものがおかしくなるなという感じ、その2点感じました。
佐藤会長
最後の方の指標の取り方はおっしゃられるとおりで、指標だけがひとり歩きしてしまうと、これでいいのかというふうに取られてしまう。何のために取ったかをはっきりしておいて、確かに問題もあるけれども、これを見るために取りましたと言っておかないと、そこは結構難しいなと思っています。私が参考資料でと言ったのは、そういう意味で、これだけがひとり歩きしてしまうと、まだまだそこに詰めなければいけないことがあるので。ただ、ないとイメージが湧かないので上げております。鹿嶋委員の言うのは非常に難しいので、そこはきちっとこれから詰めていく作業になると思います。
 あと、前半の方は、これは辞めてしまうという意味ではないですね。
鹿嶋委員
辞めてしまうではない。要するに、ライフといった場合の抱える宿命みたいなものでね。
佐藤会長
これは議論ですけれども、学習、趣味のところは余り細かく取らないで、例えば社会生活基本調査かな、例えばそこに割く時間だけで取っておくとかね。中身については議論しなくて、その時間が増えればいろいろやる人が増えたぐらいに取るかなというような考え方もあると思います。何かを取ると、これをやらなければいけない、これが大事だと思われる可能性もあるので、そこはこれからまた議論だというふうに思います。
 はい。
植本委員
ちょっと入り口の話になってしまうかもしれないんですが、要するに政府と企業の取組みという形での、官民のというふうに言った場合に、こういうふうに見ると、ああ、対象にしている国民は雇用者なんだなというのがまず入り口で多分疑問として出ると思うんです。そこは明確にメッセージとして逆に、そういう限定的なものですという整理をするのか、それとも農林漁業従事者とか、自営業者とか、今そういう意味で雇用者の概念がものすごく変わってきているようなときに、特に個人の請負になっている人たちについての考え方をどう整理するのかとか、そういうところも含めて、働くということの中身をどういうふうに整理していますよということが入り口のメッセージで入っていないと、指標一つひとつを見ても誤解を与えることがいろいろ出てくるんではないかなと思ってまして、そこは整理をしてしまうのか、それともそこのところはばくっといってしまうのかということも含めての入り口の意思統一はしておく方がいいんではないかと思います。
佐藤会長
今までの専門調査会でも、別に働き方はいろいろですというのがあったんですけれども、基本的には、今、雇用者が8割ぐらいですか、日本が雇用社会化したのは間違いないので、ほかの働き方を否定するわけではないんですけれども、多分ワーク・ライフ・バランスで言うと、雇用者が一番大きいだろうという前提で今のところ議論している。
 もう一つは、今、働いている人だけではなくて、非労働力化して働きたいという人も視野に当然入れながらやるということは検討会で議論したんです。一応、雇用社会化ということを前提としながら、しかし、今、働いている人だけではなくて、専業主婦と非労働力化した人で働きたいという人が働けるようなというところまでは入れよう。だけれども、自営まで入れるかというと、それは大事ではないと言っているわけではないんですけれども、一応そこでつくろうというような、今、議論をしているということです。ただ、どこかにそれを書いておかないと誤解を招くのは事実ですね。
大沢委員
確認ですけれども、派遣なども入るということですか。
佐藤会長
はい。
大沢委員
これという強い意見があるわけではないんですが、雇用者のみで本当にいいのかなということについて、特に偽装請負という、自営の意味が変わってきて、農林業での自営ではなくて、本来は雇用者としての性格を持ちながら、名称として自営というのは本当に御存じの現象ですが、そういうこともあるので、ちょっとその点について個人的にはもうちょっと考えてみたいと思っています。
神田調査課長
統計でどの程度取れるのかどうかをちょっとチェックして、その上で考えたいと思います。
北浦委員
私も作業の方に関わっているんで余り意見は言いづらいんで、勉強だけしていたんですけれども、確かにこの指標の取り方で、全部を網羅するというのはまず無理であるということは一つ言っておかないといけないんだろうと思うんです。そういった意味で、ある程度代表的であること、それから、一番問題がある意味で先鋭的に見えているものである、そういうような絞り方をしていかないといけないのだろうと思います。
 そういった意味で、例えば働き方の問題でおっしゃったような雇用形態の議論、就業形態、大変重要な問題なんですが、それはそれとして論議をしてきちっと整理をしないと、逆にここでは書き込みにくい問題もあるので、そういった問題はそういうところに譲りながら、それでもしかし就業者の方々が、例えば労働時間上の問題になって、その方のライフ・バランスが問題であるとすれば、これは雇用者で取るのではなくて、就業者ベースで取ったらいいだろうとか、そういったような形で修正をしていくのがいいんではないかなという感じがしております。
 それから、もう一点の官民の取組みが非常に悩ましいところであるわけで、会長がおっしゃったように、これは裏腹で取ろうという考え方になっていて、片方においては一種の環境整備みたいなもの。ただ、個人に一番重きを置く。個人もそれも個々というよりは個人の総体であるということで、先ほどの紀陸委員の話だと、漠たる平均値なのかもしれませんけれども、世の中のある程度の標準というものを見定めないと、こういう指標はつくり得ませんので、今後それを細分するかどうかという問題はありますが、とりあえずの目安としての標準的なものとして個人の総体を考えていく。
 そこを考えていくとすれば、それを実現しているかどうかということで考えると、こういったような統計の取り方になると思うんですが、結局それの前提として、では企業の方の取組み、社会の取組みがないと実現できないだろうということで、環境の整備状況がこの取組み状況という意味合いであろうと一応考えていたわけであります。ただし、おっしゃったように、では企業の取組みというのは実行ベースでいくのか、結果ベースで見るのかということなのか、結果は個人のところに行き着くんだと、こんなことになりますので、そこのところはもうちょっと精査をしないといけないわけですが、この考え方というのが並列しているというより、個人というところが中心にあって、それのいわば環境、こういう条件が整わないとできないぞと、こんなようなことで整理をしているのがこの指標ではないかなと思っております。ですから、ウエイトとしては上の部分が圧倒的に多いというのが1つかなと思います。
 それから、もう一つ、意識調査的なものは確かに世論調査のようなもので確固たるものがあればいいんで、これも大分議論になったところなんですけれども、私も余り主観を入れてしまうと、ワーク・ライフ・バランスは満足度であると言ってしまえばそうなんですけれども、逆に言うと日々変わるものかと、こういう議論になってもいけない。ですから、主観、余りにそれであればお手盛りではないかと逆にとられてしまってもいけないということで、意識調査的なものはなるべく外してということで、なるべく代理的な指標で、これであらわすことができればということで一応やっているわけですけれども、確かにそういったものがないと納得できないということで、よいものがあれば、それは排除するものではないんだろうと思います。ただ、世の中で受け入れてもらうためには満足度がないといけないというのもおっしゃるとおりなんですけれども、逆に余りそれが前面に出過ぎてしまうと、主観的指標の集まりということになって、通常やっているアンケート調査とどこが違うのという話にもなりかねないということもあろうかなと思っております。それは私も参加した立場でちょっと感想です。
佐藤会長
どうもありがとうございました。大事な点をみんな御指摘いただいて、大事なもので、結構みんな難しいものです。かつ今回は時間がない。ほかのところはなかなか議論がまとまらないということもあります。
 いかがでしょうか。はい、どうぞ。
植本委員
参考資料1のところで、例えば転職率とか短時間雇用者比率とかのところは男女別というのが書いていません。それで片方で女性の場合とか男女の賃金格差とかがあって、それぞれどの指標も男性と女性でこの違いは当然出てくると思うので、それぞれのところで男女というのがあるということで、たまたまこの書き方の問題だけということなんでしょうか、それともわざわざ分けてあるのは何か考え方があるということなんでしょうか。
神田調査課長
そこは、男女別に取れるものはすべて取るということで、この下の指標の部会の方で議論がありましたので、そこは男女別に取れるものは同時に取って入れていくということです。下の方で男女比率というのは、男性と女性の違いがどうあるかというのをフォローするために、その比率とか割合を出す、差を出しているのが、多様な主体とかのときに書いて、男女割合とか何かございますね、それは男性と女性の差を見るための指標が後ろの方です。何も書いていないのも、繰り返しになりますが、男女で取れるものはそれぞれ取って別個に入れていくということを考えています。
佐藤会長
ちょっと追加すると、北浦委員が言ったように戦略的に取るということにしたので、例えば働きたい人が働けると考えたら、多分30、40の女性と高齢者。30、40まで男性を取ってモニターする必要はあるかということはあると思うんです。ここは女性を取っておけばいい。上の方、高齢者は男女分けなくていいのかはわからない、そこは分けた方がいいとか。多分、あるものは分けるし、あるものは当面は女性だけモニターしていくことが大事だという、その実現度を測るときに、どちらが大事かということは少し議論していくことになると思います。場合によってはこれは男女別に取った方がいいし、ここは男性だけ取った方がいい。例えば地域での社会活動時間などというのは多分男女分けないと意味ないと思います。ただ、就業率などで言うと、女性の方を取っておくということは大事なのかもしれない。30代、40代ですね。その辺は、分けなければいけないか、一緒でもいいかということは議論していくことになると思います。
 いかがでしょうか。気が重くなるんですけれども。大きな点はよろしいですか。今日の議論を踏まえまして整理して、特に取組みと個人総体でのところの整理とか、そのような指標についても、意識調査的なものをどうするかとか、男女それぞれ取らなければいけないのかとか、それぞれ代表的なものかどうかということはこれから議論していくことになると思います。
 では、今後のスケジュールについて御説明いただいて、よろしくお願いします。
神田調査課長
済みません、何も書いていないA4の横で、今後の作業スケジュールについて御説明をしたいと思います。
 専門調査会が一番左側に書いてありますが、本日ということで第8回の審議を受けました。「基本的な考え方」とありますが、これは資料1と2の部分、文章でなったものと3の一枚紙、ここについての議論を10月をめどに行動指針作業部会の方に中間的に御報告をしたいと思います。
 また、本日の議論を踏まえて、第3回の指標の検討会を17日の10時から開催する予定です。そのときには個別の指標等について更なる議論をしていきたいと思っています。
 それを踏まえまして、来月の11月5日にまた再度、個別の指標などをお示ししながら、更に細かな議論をしていきたいと思っています。そこでの議論も踏まえて、どこまで行動指針に盛り込むかというのはあるんですけれども、基本的にはある程度取りまとめて、更に行動指針、憲章の方に盛り込んでいただくようにするということでございます。もしまとまらなければ、また追加的な、させていただくかもしれませんけれども、なるべくまとまるようにしたいと思っています。
佐藤会長
先ほど目標を設定するかどうかというお話がありましたけれども、この絵の右側の官民トップ会議とか行動指針作業部会等がありまして、ここでワーク・ライフ・バランス憲章と行動指針をつくるということがありますので、そこにも一応こちらの専門調査会での議論の経過を御報告するということですので、2回ぐらいやることになっていますから、そこで、いわゆるウエイトの置き方で、こういうことが大事だということは言っておきたいと思います。そこでまた目標になれば、こちらにも反映するというようなやり方でいければなということです。
 あと、こちらは検討会と専門調査会を少ししながら、今日いただいたような難しい点をどう処理できるかわかりませんけれども、その辺は事務局と専門調査会のメンバーで少し工夫しながら、皆さんができるだけ納得できるものをつくろうというような手順になります。どうぞ。
神田調査課長
実はグッドバンカーさんがこの後50分からの予定なんですが、ちょっと早目に終わってしまいまして、この間をどうしたらいいかと思っているんです。
佐藤会長
50分前に来るでしょう。
神田調査課長
多分40分ぐらいにはいらしていただけるとありがたいなと思っているんですが、いらしたらすぐ入れます。
 それで、一つ私どもの方で思っていましたのは、例えば5つの分野がありますが、今後ある程度代表的な指標というんでしょうかね、ある程度チェックしていく指標として、あえて誤解を与えるかもしれませんが、目標的な指標として、どういうものを皆さんイメージされているのか。例えばワーク・ライフ・バランスというと、選択肢の多様化、柔軟性というふうに一言で言うわけですが、それは例えば皆さんの中で、ここである指標の中で、イメージとしてぴったりしたものがあるか、あるいはちょっとこれではまずいでしょうというようなことなのか、その辺を仕事・働き方に関して、もし御意見等ある方がいらっしゃれば、あるいは男女の公平性の賃金格差というようなものとか、そういうものが非常に指標として重要なものと、どの程度皆さんお考えでいらっしゃるかとか、その辺について、ざっくばらんな意見で結構なんですけれども、今後指標体系づくる上で多分必要になってくると思います。本当は次の会にそういう議論をしたかったんですけれども、ちょっと不十分な資料でございますが、御意見等聞かせていただければ大変助かります。
 あと勿論今おっしゃった地域活動などは、こういうのは指標として入れるけれども、ボランティアだとか、そんなに重要視する必要ないんではないかというような御議論もあったかと思います。そこはソーシャル・キャピタルみたいな議論が最近ありますので、それをワーク・ライフ・バランスの中で、一つはやはりソーシャル・キャピタルをつくっていくという中で入れるという考え方もあるかなという整理ではいたんです。つながりとか、人的つながりを持っていく、単に家庭への回帰とか、2つのうち1つをどういうふうにバランスつかなくて、広がり、つながり、深みというものを、ワーク・ライフ・バランスの基本にあるのかなと思いまして入れてはいるんですが、その辺についてももう一度御意見等あれば助かります。
佐藤会長
多分、目標にするかどうかというのは、ワーク・ライフ・バランス社会といったときに、特に働き方といえば、これとこれとこれが少なくとも実現しないとできないというものが合意ができれば、それを測定するのが目標なんですね。だから、何が大事かということだと思うんです。例えば過度の長時間労働はおかしいというと、それを何で測るかというのが目標になるということだと思うんです。ですから、何がとりあえず当面、もし目標を設定するといえば5年、10年で取り組まなければいけないかというものが目標になる。それをどういう指標で測るかということだと思うんです。ですから、課長が言ったように、どれが大事かということは、どこを変えることが大事かということだと思います。そこの指標を取り上げるということだと思うのです。
 何かありますか。余り無理に議論してもしようがないので。おいでになりましたか。
神田調査課長
グッドバンカーの方がいらっしゃいました。
佐藤会長
では、一応ここまでの議論ということで、少し休憩してやりますか。それとも続けてやるのかな。
神田調査課長
少し休憩しましょう。
佐藤会長
では、35分からで、5分休憩で次のヒアリングというふうにしましょう。どうもありがとうございました。

( 休 憩 )

佐藤会長
そうしたら、よろしいでしょうか。続きまして、本日は「ファミリー・フレンドリー・ファンド」についてお話を伺う機会を設けさせていただきました。本日は株式会社グッドバンカー代表取締役社長でいらっしゃる筑紫みずえ様にお越しいただいて、御説明を承りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
グッドバンカー筑紫
皆様、こんにちは。グッドバンカーの筑紫と申します。今日はお話をさせていただく機会をいただきまして大変ありがとうございました。座ってお話をさせていただいてよろしいでしょうか。
佐藤会長
はい、どうぞ。
グッドバンカー筑紫
私どもは1998年に会社をつくりましたとき、お手元の資料に、後でゆっくり読んでいただければと思うんですけれども、グッドバンカー宣言というのを出しました。金融業界にいた女性たちを中心にして98年に会社をつくりましたときに、だれもこの世でグッドバンカーと言わない、みんなが銀行の悪口を言っているということで、金融機関にいてとても残念でございましたので、この名前にいたしました。
 今日、三菱UFJSRIファンド、ファミリー・フレンドリー、そのものずばりで、ファミリー・フレンドリー・ファンドというのは、ワーク・ライフ・バランスというものをもたらすためにつくった商品でございます。お話をさせていただくのを大変うれしく思います。
 SRIというのは、投資に際して、別に株式投資だけでなく、銀行に預金をするとか、保険会社の保険商品を買うとか、すべての金融行動において、単に収益だけではなくて、自分の金融行動というものが社会的に何をもたらすのかということを意識することをSRIと呼んでおります。
 私どもはSRIを、私どもの社内での定義は「社会的な問題とか課題とか、そういったものの解決や改善を金融的手法で図ること」とみなしております。
 98年に日本最初のSRI専門の投資顧問会社ということで、法律的には投資顧問会社、しかしやっていることは調査でございます。企業が社会とどう関わっているか、つまり社会の抱えている問題というものに対して、企業活動の中で、金融は金融なりに、物をつくる会社、サービスを提供する会社、そういう会社が今そこにある社会の危機をどうとらえているか、私どもは98年にはそれを環境問題だと思いました。ですから、ありとあらゆる業種で環境問題というものに対して、自分たちの事業の中でどう環境の負荷を減らしていきながら競争力のある経営をして収益も上げていくかということをやっているかを調査をする、そしてそれを測るための指標、クライテリアというものをつくって、それがエコファンドというものに結実をしまして、98年8月4日に発売されました。
 そちらの方が思いがけずヒットいたしまして、次はファミリー・フレンドリーだと強く思っておりました。といいますのは、勿論環境問題も非常に大きな問題ですけれども、この次の日本の課題、日本だけではなく世界の課題といったときに、少子・高齢化、もう一つは知識社会になっていくだろうと。人のアイデアとか、そういったものが価値を生み出していく社会ということを考えると、これはもう人材というものを、どれだけよい人材を引きつけるかということが会社の競争力につながると思いましたので、2000年には、次はファミリー・フレンドリーだ、女性の働きやすさだということをうたいまして、後ろにおります朝倉が主に開発の担当者になりまして、どうやってそれが評価できるかとか、どんな評価基準を使って、それでもって出てきた会社が何十社かあるわけですが、そういう会社に投資したとしたら、しなかったのに比べて、例えばトピックスと言われるような指標ですね、そういったものに対してどれくらい乖離しているのか、私たちのクライテリアでファミリー・フレンドリーだと思った企業の過去の3年、5年というものの株価の値動きを全部調べました。それで、こういうスクリーニングをかけて、単に収益だけではない、ファミリー・フレンドリーで多様な働き方で従業員が働ける、そういう会社に投資をした場合に、投資収益にネガティブに働くわけではないというものが出て、初めて金融機関はやってみようかということになりましたので、開発に取り組んだのが2000年ですけれども、実際に商品化されたのが2004年の12月でございます。
 後ほどいろいろお手元の資料を見ていただければと思うんですが、2004年に発売されて、2007年現在、非常に株価のパフォーマンスもよくて、評価をされております。実際にどういうふうに私たちが評価をし、なぜそういう評価をするかということについて、参考3という、「三菱UFJSRIファンド」を例に取って御説明いたします。
 最初はグッドバンカーの概要ですが、これはまたお時間のあるときにごらんになってください。私どもとしましては、このようにいろいろな問題があればあるほど、それに対して、金融的なソリューションを目指すということで、いろいろな形のファンドをこれからもつくっていきたいと思っております。
 2ページですけれども、三菱UFJSRIファンドは、ファミリー・フレンドリーをテーマとして国内の株式に投資するSRIファンドです。SRIというのは、先ほど御説明いたしましたように、いろいろな社会の問題について、金融的な手法で解決を目指すためのやり方です。
 私どものSRIファンド、ファミリー・フレンドリーの主なクライテリアですけれども、マネジメント体制において、まず組織としての長期的な戦略性と効果的な運用可能性を検証します。
 調査項目として、ファミリー・フレンドリーな組織体制、情報公開、従業員ニーズ、施策効果の把握・対応などの管理体制がどうなっているかということです。
 各種制度の整備がどうなっているか。それから、実際にどう運用されているか。制度だけはたくさんあるんですけれども、運用が余りされていないこともありますので、それを聞きます。産休・育児・介護休業などです。このファンドというのは要するに、働くところに多様な人材がいる方がその会社の競争力が高いという仮定、シナリオで成り立っています。特にそれはワーク・ライフ・バランスとか、育児だけでなく介護とか、非常にフレキシブルな働き方というものがあれば、従業員の方がその方の一生を通じてバランスの取れた働き方ができるんではないか。そういう会社に対してはいい人材が残って、それは非常に生産性の高い人材であるはずだから、その会社は伸びるという考え方です。それは結局ファミリー・フレンドリーではないかということで、この愛称にいたしました。多様な労働条件の整備・運用ですとか、その他の両立対応、社会への支援活動、こういったクライテリアを評価するための指標といったものを、大体100項目の質問表でアンケートをし、アンケートだけではなくて、企業を訪問いたします。実際に企業のお取組みについてのヒアリングをしまして、それによって私どもの方で格付をいたしまして、それを運用会社さんの方に出す。今回のファンドの場合は三菱UFJの運用会社さんの方に出します。
 情報の取得ですけれども、公開情報、企業からの追加情報、外部専門家ということです。いろいろな企業が公開している情報から情報を取りまして、その結果を、私どもが社内で開発した格付/スコアリングというシステムにインプットしていくと自動的に格付ができるようになっています。これはアナリストによる暫定格付で、それから格付評価委員会をいたします。そこで検証をし、総合評価をし、クライアント、運用会社さんですけれども、運用会社さんの方に報告をいたします。
 その後、企業が私どもの方でファミリー・フレンドリーだと思っていたり、あるいは企業さんもそういうふうにおっしゃったにもかかわらず、ファミリー・フレンドリーでないようなことが起こることがあります。そういう事件・事故案件といいますか、そういったときのためにモニタリングということをやっております。ですから、毎日メディアをチェックし、自分たちの投資調査対象企業というものについてモニタリングをするわけです。一旦そういう事件・事故が起こった場合には、企業にヒアリングをしたり、あるいはそれをどう見るかということについて外部の専門家に対してヒアリングをいたします。
 4ページですが、三菱UFJSRIファンドの運用スキームですが、以下のようになっております。私どものクライアントは運用会社の三菱UFJ投信さんです。こちらに対して私どもがやっていることは、まずファンドのコンセプトをデザインするんです。そして、今この社会が求めているものはこういうものではないか、だから、こういうファンドのコンセプト、それからデザインはどうでしょうかということで提案をいたしまして、三菱UFJさんが、これからはやっぱりファミリー・フレンドリーだろう、ワーク・ライフ・バランスだろうということで、2004年にこれを採用したわけです。
 また、私どもが勝手にこれがファミリー・フレンドリー・ファンド、ファミリー・フレンドリーな会社ですと言って、さあ、これに投資をしましょうということではありません。やはり投資ですから、財務的な観点からプロのファンド・マネジャーさんの方で投資をしたいなと思う会社があって、600社~700社ですけれども、その会社がファミリー・フレンドリーでもあるかどうかということで、最初は財務のスクリーニング、次にSRIのスクリーニングということで、2段階のスクリーニングをいたします。そしてファンド・マネジャーさんの方で運用ガイドラインと目標ターゲットに従って、利益成長性やSRI評価の両方の側面で優れた企業を組み入れるということになります。
 三菱UFJ投信さんのパンフレットもございますので、お時間のあるときに見ていただければと思います。
佐藤会長
よろしいですか。
グッドバンカー筑紫
これがファンドの説明でございます。結構です。
佐藤会長
どうもありがとうございました。ファミリー・フレンドリーについて御説明いただきましたが、追加的に説明していただきたいとか、御意見があれば、どなたからでもよろしくお願いします。どうぞ。
勝間委員
済みません、SRIについてはなかなか資金を出す側の理解が得られないということなんですけれども、どうしてもパフォーマンス重視であるとか、あるいはパフォーマンスがちょっとでも調子悪くなると資金を引き上げたりする動きがあるというように現場では聞いているんですが、その点について、ファミリー・フレンドリーも随分資金が集まってきたと聞いているんですけれども、逆により火をつけるためには何が必要だというのが、今、現場での御認識なんでしょうか。
グッドバンカー筑紫
そうですね。勝間さんの行かれているところと私どもの行っているところと場所が違うのかもしれませんが、私どもの認識では、SRIをやりたいけれども、パフォーマンスがとか、資金の出し手が余りSRIに関心がないということは余り感じたことがありません。結局SRIというのは社会的に責任を果たすということが、何が社会的責任なのかというのは結局資金の出し手の人たちの属性といいますか、そういったもので変わってくるわけです。ですから、その方たちに必要な社会的責任を果たせる、果たすと感じられるようなプロダクトを持っていけばいいんではないかと思っています。ですから、パフォーマンスも大事なんですけれども、パフォーマンスを出す、企業が利益を追求していかなければ企業自体の存続が危ういわけですので、企業にとっての収益が大事で、そして投資する側にとっての運用益というのも大事なんですが、それをもたらすためのプロセスといいますか、そういったところをきちっとチェックしますよというのがSRIですので、私どもがまだ余り関心のないところに行っていないというだけかもしれませんけれども、私はSRIというのは機関投資家にとって今後も非常に関心の高いテーマだと思っております。非常に楽観的ですので、とにかく当社にもっと人手さえあれば新しいファンドの契約がいっぱい取れるのになあというのが、私どもの、調査会社の現場のフィーリングでございます。
勝間委員
エコファンドに比べて立ち上がりが遅いという印象を持っているんですけれども、その違いについてお伺いしたかったんです。
グッドバンカー筑紫
エコファンドの場合ですと、97年の京都議定書のすぐ後でしたので、環境といったものに対する危機感とか、あとプラスして、環境ではすぐに、まずは省エネになりますから、コスト削減になるだろうということでファンドのコンセプトをすぐに理解してくださったということがあるかと思います。ただし、ファミリー・フレンドリー・ファンドのようなものは、それが本当に企業の競争力に結び付くのか、収益に結び付くのかということの距離といいますか、そういったものがあったからではないかと思います。
勝間委員
御社の方では、それはもう解決したのだと、マーケティング次第という理解ですか。
グッドバンカー筑紫
ええ、私どもとしては、それが理解できるような人のところにまず行こうと思っております。
勝間委員
一般の投資家が、ファミリー・フレンドリーでも、ほかのSRIでもいいんですけれども、SRIが欧米のように数10%になるというのは一体何年先ぐらいを見ればいいんでしょうか。
グッドバンカー筑紫
そうですね、それはにわかには言えませんが、98年から約8年たって、ファンドの数が33ということ、そしていわばメジャーな金融機関がSRIのプロダクト・ラインを持っているということをもってすれば、大変な発展だと見るべきか、ただ額的に、今、全世界で300兆円ぐらいはあると思うんですけれども、それに対して日本が3,000~4,000億というのが少ないと見るのであれば少ないんですが、ただ欧米の方でも実際に始まったのが19世紀の終わりから1920年代、それから60年代というふうに非常に時間はかかっていますので、あと何年たったら欧米並みになるかということはちょっと私はわかりません。
鹿嶋委員
2004年の12月に朝倉さんと筑紫さんに話を聞いていたんで、その話と比較しながら聞きたいんですけれども、当時のファンドの購買層が30~40代の高学歴女性だった。従来のファンド購買者と全く違った。それは何を意味するのかと聞いたら、要するに女性が市場を通じて、マーケットを通じて今の企業の在り方に疑義を申し立てているんだと、大変シャープな説明をいただいたんですが、まず第1点として、その傾向は今も続いているのかどうか。
 それから、第2点は、このファンドの売り上げが10億台から100億台に乗ったんですが、今の説明だとグッドバンカーが開発したエコファンドは更に売れていますね。そうするとエコとファミリー・フレンドリーというのは、今の質問とちょっと似てしまうんですけれども、やはりエコの方が、京都議定書云々等はあるにせよ、我々にとって受け入れやすいものなのかどうか。
 最後、3点は、運用会社でなかなか引き受ける会社がなかったと言っていましたね。それで結局三菱が引き受けるわけですが、当時、エンパワーメント・ファンドみたいなものを売り出したかったと。ところが、そんなものが売り出せるかとほとんど断わられた。今だったらそういうものは売り出せるのかどうか。あるいはファミリー・フレンドリー・ファンドだったら、今は引き受け手がかなり出るのかどうか、その3点を聞かせてください。
グッドバンカー筑紫
まず、女性とか若い人とか高学歴というのは、それは私もそのとおりだと思います。それは変わっていません。
 それから、やはりエコの方がいいんではないかと。今、売れているエコファンドというのは、実は私どもはあれはエコファンドではなくて環境ファンドだと思っているんですね。つまり証券会社さんの戦略といいますか、エンバイラメント・フレンドリー・ファンドとエンバイラメント・テクノロジー・ファンドがあるんですね。ですから、私どものエコファンドはそういうテクノロジーの会社も入れるんですけれども、基本的にはすべての業種が、その業種の中での環境負荷を減らしていくというものなんです。ところが、エンバイラメント・テクノロジー・ファンドというのは非常に環境の危機の中で、あるテーマに沿って、水処理だったり、廃棄物処理だったりというものに集中的にという、こっちの方がずっと売りやすいんですね。ですから売れているということで、エコファンドが売れているというものとはちょっと違う。ただし、それでもそういったところにお金が入っていくことによって、そこの部分の技術というものが非常にエンカレッジされるわけですから、私はいいことだと思っています。
 それから、なぜファミリー・フレンドリー・ファンドというものが、あるいは今だったらみんなが引き受けるかという、それから女性のエンパワーメント・ファンドもやりたかった。私ども自身が実は運用する法律的なステイタスがないんですね。その法律的なステイタスを取るためには何億というお金が要る。それは私たちにはできなかったんです。ですけれども、そういうリソースを持っている人たちが全部男性ですから、これは私はジェンダーの問題だと思っています。女性のエンパワーメント・ファンドもいいんではないですか、これからは女性の時代ですというようなお話をしても、非常に大きな運用会社の人が、「えっ、筑紫さん、だめですよ。女性のエンパワーメント、そんなのだめだめ。今でさえ女は強くて、僕なんか家で女房に頭が上がらない。だめだめ、うちは女のそういうのはだめ」とか、その場ではちょっとアメリカなどでは起こらないような御発言があります。
 ですから、アイデア、それから投資家もいるんですけれども、実際に金融商品に仕立てるところの運用会社だったりとか証券会社、例えばSRIの専門の証券会社があれば、もっといろんな人にわかると思います。しかし、SRIの証券会社は、ほかの国では簡単につくることができるのに日本ではできない。SRIの専門の運用会社をつくることも、ほかの国はもっと自由化されています。もっと少ないお金でも出きます。しかし、日本ではできない。こういう金融システム特有の問題があります。
 それから、もう一つは投資家ですね。ほかの国では公的な年金が明快にSRIというものを政策投資だと思っています。つまり、政策を具現化していく。今までは法律だとか規制だとか、そういったものでうまくワークしなかったものが、SRIという市場メカニズムを使うことによって劇的に進んでいく。これを使わない手はないというので、結局民間の細々とした宗教的な倫理だとか何か、そういったもので始まったものを、90年代の初めぐらいからほかの国で公的なところがスタートをさせて、例えば公的年金の10%はSRIでやるとか、いろいろな施策を取っている。日本で国の公的年金のイニシアティブがないということが一番大きな問題です。
佐藤会長
ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
勝間委員
公的な話は実はこれもよく聞くんですけれども、では、なぜ日本は動いてくれないんでしょうか。
グッドバンカー筑紫
これは私の私見ですが、日本の人はとても真面目なので、SRIと言われたら自分のことを思うからではないでしょうか。こんな偉そうなことを人に言えるだろうかと思ってしまう。つまりコーポレート・ガバナンスとかイコールオポチュニティーだとか、そういったものを企業に求めたときに、自分のところもまだできていないのにと、非常に苦しいんだろうと思います。
佐藤会長
はい。
鹿嶋委員
財務のスクリーニングのときに、財務のスクリーニングと例えばSRI関連のファミリー・フレンドリーとか、例えば男女共同参画、それとは比例しませんか。まだ乖離が大きいんですか。
グッドバンカー筑紫
つまり、財務でいいということですか。
鹿嶋委員
いいのと、それから、そちらの進展度が比例するかどうか。
グッドバンカー筑紫
それはある程度は比例すると思いますけれども、それでも意外な会社がやったりとか、エコファンドなどに比べるとファミリー・フレンドリーな取組みというのは、いわば相関性ですか、それはエコファンドよりはないです。ですから、そこはちょっと面白い。そんなに大きくないところでもやっていたり、ちょっと国のお金が入っていたような、それで民営化された企業で、施策はいっぱいあるんですけれども、運用は余りされていないとか。それはなぜかというと、例えばそういう企業はファミリー・フレンドリー施策とかワーク・ライフ・バランスというものを福利厚生だと思っているんですね。そうでなくて、例えば日本のほかの企業であると、競争力だと思うと、福利厚生だというよりも競争力だと思うから、実際の自分たちの施策とか、それがどう運用されたかということが競争力にどう結び付くかということで必ずチェックをなさる。しかし、福利厚生だと思っているところは、そういうチェック、あるいは施策についての従業員の満足度みたいなことは全然チェックをしていないとか、そういったところで非常に違いが出てくることがわかります。
佐藤会長
今の確認なんですけれども、このファミリー・フレンドリー・ファンドで取り出した会社、評価したところと、財務の方では、エコファンドほど相関がないということね。
グッドバンカー筑紫
ないです、はい。
佐藤会長
私はそれはちょっと、いろいろこちらで、武石委員と私とでやっている調査、リファーしていただくのは、この指標のつくり方の問題で、つまり既存研究で言うと、両立支援だけやっているところは業績がいいわけではなくて、例えば女性の活躍の場の拡大とか、人材育成とかをやっていて初めて経営にプラス。つまり、女性はほどほどの仕事でいいですよというので、長く勤めていただいてもという会社もあるわけですよ。指標のつくり方を見直すという考えはないんですか。これだったら女性を活用しなくても取れてしまうんです。今の指標を見ると。だから業績がよくないのは当たり前ではないか。指標のつくり方が、両立支援しか見ていないのでというような気がするので、業績とリンクしないのは当然ではないかなという気もするので。既存の研究で見るとね。我々がやっている研究は、両立支援だけやっていれば業績が上がるわけではなくて、女性の登用とか人材育成とかを一緒にやらないとだめだというのが我々の研究なので、でも、そちらを見ていないような気もするのでね。
グッドバンカー筑紫
私どもの場合は見ております。
佐藤会長
見ている、中に入っているわけですね。
グッドバンカー筑紫
はい。
佐藤会長
では、ウエイトの取り方。そちらのウエイトが小さいとか。
グッドバンカー筑紫
ウエイトの取り方で、朝倉さん、何か意見がありますか。
グッドバンカー朝倉
いわゆる企業価値と、それからファミリー・フレンドリーの評価との相関があるかないかという点においては、発言を撤回するようではあるんですけれども、これまでのファンドの運用状況は良いですし、そもそも、トラック・レコードを使ってパフォーマンスを検証し、問題がなかったからファンドの設定ができたということもありますので、財務的な評価とファミリー・フレンドリーの評価の相関がないことはないと考えています。また、このファンドのクライテリアは、経営パフォーマンスが上がるようなファミリー・フレンドリーな取組みは一体どういうものなのかという視点でつくっておりますし、最終的には企業価値との相関からも、ベストの取組みを見つけ、そこを積極的に評価するという方針でやっております。
佐藤会長
そうすると、これには女性の管理職比率とか、そういうのは取っているんですか。入っているんですか。
グッドバンカー朝倉
取っています。
佐藤会長
ほかにはいかがでしょうか。今度、ワーク・ライフ・バランス・ファンドというふうに売り出すと、世界環境、どれが売れるかわからないので、エコファンドと同じように来年度は名前だけ変えただけで売れるかもしれない。やはり子育て支援という感じが強過ぎるイメージなので、ワーク・ライフ・バランス・ファンドという中身がそうであれば、そう言った方がいいかもしれない。エコファンドと同じように乗るのであれば。
鹿嶋委員
ただ、環境何とかに関する法律とかは、要するにエコロジー関連の企業の商品買いましょうなんて書いているわけですよ。だから、そこまでいかないとね。そういうものを、例えばワーク・ライフ・バランス企業の商品を買いましょうぐらいのものを法律に明記していくぐらいにしないと、これはだめでしょう。
佐藤会長
それはあるね。
 はい、どうぞ。
勝間委員
例えば今のオーバーウエイト銘柄を見ますと、ぱっと聞いたときに私たちの感覚だと、それがファミリー・フレンドリー企業かどうかがよくわからないんですね。どうしても今の組み立てですと、かなり微妙な違いで選ぶしかないんでしょうか。
グッドバンカー筑紫
朝倉さん、その辺どうですか。
グッドバンカー朝倉
組み入れ銘柄というのは、各企業のファミリー・フレンドリー評価だけではなく、理論株価モデルを組み合わせた上での評価により最終的なポートフォリオへの組み入れ銘柄が決まります。ですから上位5銘柄が必ずしもファミリー・フレンドリー評価のトップ5ということではないです。
勝間委員
何かで、確かにリムか何か使っていた記憶があるんです。株式評価モデルで。それは理解しているんですけれども、やはりそちらの影響の方が大きくなってしまう可能性もあるということですね。
グッドバンカー朝倉
株価モデルの評価とファミリー・フレンドリー評価のウエイトについては、ファミリー・フレンドリー評価の方に高いウエイトを置き、担当ファンドマネージャーが最終的な組み入れ銘柄を決めています。
勝間委員
済みません、しつこいようなんですが、では上位の組み入れ企業は何かファミリー・フレンドリーの評価すべきポイントがあったということですか。
グッドバンカー朝倉
はい。特に上位の組み入れ企業に関しては、ファンドのパフォーマンスに対する影響度も大きいので、マンスリーで出している投資家さんあてのレポートの中で各企業のお取り組みの内容と、私どもがなぜその企業を評価するのかという点について情報開示をしております。
勝間委員
ありがとうございます。
佐藤会長
よろしいですか。それでは、お忙しい中をおいでいただいてどうもありがとうございました。
 それでは、事務局から最後に連絡事項がありますので、よろしくお願いします。
神田調査課長
先ほど申し上げましたが、参考は非公表のものですので、済みませんが、取扱い注意をお願いします。
 次回は11月5日ですので、またよろしくお願いいたします。
佐藤会長
私がちょっとしゃべり過ぎてしまった感じもありますけれども、貴重な御意見を伺いましたので、検討会に持ち帰り、あと事務局にもいろいろ工夫していただいて、できるだけ納得いくものをつくりたいと思いますので、また御意見いただければと思います。どうもありがとうございました。

以上