仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会(第5回)議事録

  • 日時: 平成19年5月11日(金) 10:00~12:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(出席委員)

佐藤
会長
植本
委員
大沢
委員
岡島
委員
鹿嶋
委員
勝間
委員
川島
委員
北浦
委員
紀陸
委員
小室
委員
杉山
委員
高橋
委員
武石
委員
永木
委員
羽入
委員
牧野
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 基本的方向についての中間報告(案)について
  3. 意見交換
  4. その他
  5. 閉会

(議事内容)

佐藤会長
それでは、時間になりましたので、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会の第5回会合を始めさせていただきます。お忙しい中、御出席いただきありがとうございます。
 お手元の議事次第に従いまして、本日の議事を進めさせていただきます。紀陸委員、川島委員、武石委員は少し遅れられて御出席ということです。
 今回は、ワーク・ライフ・バランスの意義、重要性や取組の大きな方向性といった基本的な考え方、方向性についての中間報告書(案)をお示しするということになります。これは、これまでの皆様の議論を整理し、前回の検討資料を文章化したものです。今回だけでなく次回ももう一度議論するというふうにします。そして、それを踏まえて中間報告を取りまとめたいと思います。そういうことで御議論いただければと思います。まず最初、事務局から中間報告の(案)について御説明いただいて、その後、皆さんに御意見を伺えればというふうに思います。
 それでは、説明の方、よろしくお願いいたします。
池永調査課長
中間報告(案)は資料1-1でございます。内容について御説明する前に、少し全体の流れについて御説明したいと思います。資料2をごらんください。「当面のスケジュール」と書いてございます。ただいま会長からお話がございましたように、ワーク・ライフ・バランスの意義・重要性や取組の大きな方向性に関する、すなわち基本的方向という部分につきましての報告については、今回と次回の専門調査会で御検討いただき、取りまとめていただいたものを中間報告として男女共同参画会議に報告していただきたいと考えております。
 その後、一般からの意見募集を行ったり、より検討を加えるなどして、7月ごろの専門調査会で「基本的方向についての報告」、今回は中間報告なのですけれども、意見募集などを経まして、報告として取りまとめていただくということを想定しております。
 それでは、中間報告(案)の内容について御紹介したいと思います。資料1-1をご覧下さい。
 まず、表紙をおめくりいただきまして目次をご覧下さい。
 構成は「はじめに」、「1」で「仕事と生活の調和の意義・重要性」、「2」で「取組の方向性」、「おわりに」となっております。
 意義・重要性の部分は、1.ワーク・ライフ・バランスの考え方。2.なぜ、ワーク・ライフ・バランスが必要か。そこでは個人、社会全体、個々の企業・組織にとっての必要性というふうにまとめております。
 3で、ワーク・ライフ・バランス推進により目指す社会の姿というのを示しております。
 「取組の方向性」では、2つ柱がありまして、1つは、企業・組織のマネジメント改革、2つ目は、ワーク・ライフ・バランス実現に向けた社会基盤づくりとなっております。
 それでは、2ページをごらんください。
 「はじめに」の部分は、調査検討の問題意識を述べています。最初のパラで、現在の社会経済を取り巻く環境の中で、個人が能力を最大限発揮できる環境づくりが求められており、国民一人ひとりが様々な可能性を自ら選択できる機会が必要である、と言っています。
 3パラから4パラにかけましては、ワーク・ライフ・バランスの流れということで、海外で先行した動きがあること。また、国内でも様々な施策分野でこの言葉が用いられ取組が始まりつつある、と言っております。
 この男女共同参画会議の専門調査会では、多様な個人の多様な活動の展開により、個人を生かし、社会の活力を高めるとの観点から、幅広い人々の幅広い活動を視野に置いて、意義・重要性や取組の大きな方向性について検討してきた、というふうに記しております。続きまして3ページをごらんください。
 「1 仕事と生活の調和の意義・重要性」の部分です。まず1で「ワーク・ライフ・バランスの考え方」となっておりまして(ワーク・ライフ・バランスとは何か)と記しています。ここでは、老若男女誰もが、様々な分野において、自ら希望する活動ができる状態というふうに言っております。
 次にワーク・ライフ・バランスの理解にとって重要な3つのポイントというのを掲げております。
 ポイント1は、ワーク・ライフ・バランスは、子育て期の女性に限らず全ての人のためのものである。
 ポイント2は、人生の段階に応じて、希望する「バランス」を決めることができるもの、としています。
 ポイント3では、ワーク・ライフ・バランスは「仕事の充実」と「仕事以外の生活の充実」の好循環をもたらすもの、としております。
 次に4ページをごらんください。
 それでは、「2.なぜ今、ワーク・ライフ・バランスが必要か」について整理しています。
 まず(1)の「個人にとっての必要性」です。ここでは男女の仕事、家庭、地域等へのかかわり方が変化し、また仕事以外の活動に時間を割く必要が増えている中で、希望するバランスを実現するために必要というふうに整理しています。
 以下、より具体的に触れております。この四角囲みの小さい字につきましては、記述を裏づけるデータでございまして、本日お配りしている資料1-2が参考データ集となっておりますので適宜御参照いただければと思います。
 まず1で「仕事と家庭の両立が困難,」ということで、共働きの増加といったライフスタイルや意識の変化。
 2番目として「仕事・家庭・個人生活の両立」を望みながら長時間労働となっているという男性の状況を示しております。
 さらに5ページに行きまして、<大きな家庭責任を担い、希望する形で働くのが難しい女性>ということで、そういった女性の状況について掲げています。
 続きまして、2「自己啓発や地域活動への参加が困難」というところでは、自己啓発や地域活動の必要性が高まっているにもかかわらず、参加する時間を確保することが困難であるというように言っておりまして、次の6ページでは、3で「長時間労働が心身の健康に悪影響」を及ぼし、本人のみならず、社会的にも大きな損失を生むことになる、ということを述べております。
 続きまして(2)で「社会全体にとっての必要性」を整理しています。
 ここでは、労働力の減少、少子化、超高齢化、地域社会の希薄化の進展といった厳しい状況の中、社会の安定や活力のために、一人ひとりの希望に沿った形での仕事・家庭・地域社会等へのかかわりを可能とするワーク・ライフ・バランスの推進が不可欠としております。
 7ページを見ていただきますと、厳しいということをより具体的に書いておりますが、労働力不足の深刻化、生産性の低下・日本経済の衰退、少子化の深刻化、地域社会の希薄化ということを述べております。これは現在既に見られている厳しい状況があると、また、この克服のためにワーク・ライフ・バランスが必要であるといったことを述べています。
 最初の<労働力不足の深刻化>に対しては、様々な時間的制約を持つ人の活用や、また、介護ニーズがこれからますますそういうニーズを持つ人が増えていく中で、そういう人たちへの対応ということを考えていかなければいけないと言っております。
 <生産性の低下・日本経済の衰退>という部分では、これは効率的な働き方に転換できなければ、日本経済が衰退すること。また、今のままの働き方、働かせ方では能力向上が妨げられ、社会全体の人間力が劣化すること。また、ワーク・ライフ・バランス先進国に有能な人材の流出が起こってしまう懸念などを述べております。
 次の<少子化の深刻化、地域社会の希薄化>でございますが、ここは働き方を見直し、家庭や地域へのかかわりを変えていかないと事態が深刻化するといったことを述べております。
 続きまして、8ページをごらんいただきますと、「(3)個々の企業・組織にとっての必要性」が整理されています。
 ワーク・ライフ・バランスは、将来の成長・発展につながる「明日への投資」というように位置づけています。それは、<ワーク・ライフ・バランスが、企業・組織に与える影響>として、人材獲得にプラスであるとか、従業員の満足度や意欲を高める、また、仕事の効率化を進める、多様な人たちを使うという多様性による変化への対応がより容易になる、また、従業員の創造性の高まりにつながるといったようなことを言っております。
 続いて、特に中小企業では人材獲得が厳しい。また、女性の活用という、相対的に大企業に比べても女性の比率が高いというようなこともございまして、女性の活用面でワーク・ライフ・バランスに取り組む意義が大きいとしています。
 次に9ページに行っていただきますと、企業・組織の1つとして行政機関についても触れております。行政機関にとりましても、多様な視点・価値観や、また、効率性の点からワーク・ライフ・バランスが重要だと言っております。
 続きまして、「3.ワーク・ライフ・バランス推進により目指す社会の姿」を整理しています。ここでは、<多様な人材が意欲と能力を発揮する社会>、<希望に沿った様々な活用により豊かさを実感できる社会>、<より多くの女性が活躍できる社会>、<企業等の生産性向上により活力に満ちた社会>、<子育てフレンドリーな社会>、また、次のページに行きまして、<地域のつながりが充実した社会>ということで、先ほど見ましたような、必要性とまた厳しい状況の克服といった点から、その後、目指していく社会の姿ということをこのように書いております。
 3.のすぐ下のパラでは、今、申し上げたような特徴を持つ社会というのを一言で言うとどう表現していいのかということなのですが、ここでは「多様な人材が生きる社(P)」と書いてございます。これはワーク・ライフ・バランスの推進によって目指す社会が、いわば副題という形で掲げられておりますが、そもそもこういう社会の表現の仕方でいいのか。また、この中間報告の副題として言うべきことは何なのか。これについてはかなり暫定的なものとして、仮置きということで(P)ということで掲げさせていただいております。この中間報告の副題として何を言うべきか、何をメッセージとするべきかということはぜひ御議論いただきたいと思います。
 続きまして、10ページに行きまして、「2 取組の方向性」でございます。
 まず最初のパラでは、ワーク・ライフ・バランスの実現に当たって重要なのは、多様で柔軟な働き方とサポート体制の整備としています。とりわけ、企業・組織の取組、中でもマネジメント改革が重要であり、それを社会全体として総力を挙げて後押しすることが必要としております。
 まず最初に、「1.多様な人材から高付加価値を生み出す企業・組織のマネジメント改革」について整理しています。
 ここでは「時間管理」の改革、「人材活用」の改革、「組織の在り方」の改革という3つの改革を掲げています。
 11ページに行っていただきますと、まず「時間管理」の改革では、時間制約を持つ社員から最大限の付加価値を生むため、仕事の見直しや評価の転換を図るといったことを整理しております。
 次に「人材活用」の改革では、多様な人材の意欲と能力を最大限引き出すため、例えば多能工的人材の育成であるとか、女性や高齢者の活用、また、処遇面の改善等を挙げています。
 「組織の在り方」の改革につきましては、柔軟な対応やワーク・ライフ・バランスを推進する風土といったようなものを挙げております。
 続いて、マネジメント改革にとっては(経営者・管理職の意識改革)、特に中小企業では経営者のリーダーシップが重要としています。
 さらに改革に当たっては、進捗状況や成果の点検・把握、次の段階に活かすといったPDCAサイクルで進めることが有効であるというふうにしています。
 12ページに行っていただきますと、行政機関の話でございますけれども、行政機関では、業務効率化という点から率先してマネジメント改革を行うことが必要であるということ、また、諸外国で導入が進んでいる柔軟な働き方を試行するなど、モデルを示すべきとしております。
 続きまして「2.ワーク・ライフ・バランス実現に向けた社会基盤づくり」でございますが、ここでは4つの戦略に沿って社会基盤の整備を図ることが必要としております。
 戦略1は、「理解の浸透・推進力強化のための枠組みをつくる」であります。ここでは、多くの主体がかかわり、理解の浸透を図り、協力して推進するための枠組みを構築する必要があるとしております。
 まず<取組の進捗度や成果を把握できる指標の整備>というのを挙げております。これは、いわゆる「ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標」といったようなものの整備やその周知。
 また、<ワーク・ライフ・バランス推進ネットワークづくりの促進>ということで、全国、次のページに行っていただいて、地域レベルでこういうネットワークづくりを促進すること。
 また<産学連携によるワーク・ライフ・バランスに関する研究の推進>ということで、大学等にワーク・ライフ・バランスの研究拠点を設けるなどして、ワーク・ライフ・バランスに関する学際的な研究を推進するといったことを言っております。
 戦略2では、「企業・組織のマネジメント改革を社会全体で後押しする」ということです。
 これはまず<企業の取組を社会が評価し、マネジメント改革への創意工夫を促す取組>として顕彰というのを挙げております。これは企業に対して動機づけを与えたり、中小企業の取組を幅広く評価することも考慮した顕彰ということ。
 また、一部の地方公共団体で先行しておりますような、企業・組織との協定であるとか、また公契約上の優遇措置を一層普及していくといったようなことを掲げております。
 その顕彰のところで、最初の「・」のところで、取組を一層進めることでさらに評価が高まるというのは、一回限りの顕彰というのではなくて、さらに進めていくと、さらにグレードアップした形で評価されるといったようなことを念頭に置いています。
 続きまして<中小企業向けのノウハウ・支援情報の提供・相談体制の充実>とございます。このマネジメント改革という点につきましては、中小企業に対してきめ細かい支援が必要であるという視点に立っております。そこでノウハウであるとか、支援情報を提供すると。相談体制を充実するとか、あと次のページに行きまして、専門家の派遣や専門家を育成するといったようなことを掲げております。
 次に<自己診断指標の開発・普及>とあります。
 これは既に民間の組織などで、こういった指標の開発をする動きがございますけれども、民間を中心とした多様な組織による開発の普及、また、そういった指標が中小企業でも利用しやすい指標というものが必要であると述べております。
 次に<企業間連携の推進>とございますが、企業単独での取組が困難であるとか、連携をすることで効果的といった場合があるということですので、こういう連携を推進すると。
 また<経営者・管理職への普及>ということで、経営者が経営のメリット等を学ぶことができる機会の充実であるとか、管理職に対する研修や手引き書の作成といったようなことが考えられます。
 また<個々の職場の状況に応じた身近な取組の推進>とありますが、これは職場の状況に応じて、できることを進めていくということで、わかりやすい目標。この間、キリンビールの例にございましたような、1日45分というような、わかりやす目標や身近な取組について、それを情報交換、また他の職場の動きなどの情報を得るようなことによって広めていくといったようなことが考えられます。
 次に戦略3ですけれども、「個人の多様な選択を可能にする教育やサービスを展開する」ということで、これは個人に対する支援といったことを掲げております。
 15ページに行っていただきますと、<ワーク・ライフ・バランスに関する教育の推進>というのがございます。ここでは職業生活の出発点までにワーク・ライフ・バランスの考え方や選択肢の存在、支える法制度やサービスについて学ぶといったような教育を掲げております。また、男性に対する教育といったことも言っております。
 続きまして<求職者に対する企業等の「ワーク・ライフ・バランス情報」の提供>とございます。これは企業等でどの程度ワーク・ライフ・バランスが実現できているかといったことを職を探す人がわかるようにしていくということです。
 また<地域の活動に関わるきっかけづくり支援>とあるのですが、ワーク・ライフ・バランスで仕事と地域活動というようなバランスをとりたい場合でありましても、働く男女が地域活動やNPO活動に参加しやすくするということで、地方公共団体、企業・組織、NPO等が連携した情報提供の仕組みづくりであるとか、企業・組織による休暇取得の促進といったことを掲げております。
 また<自己啓発・能力開発支援>ですけれども、これにつきましては、社会人が利用しやすい場所や時間を工夫した柔軟な学習機会の充実といった趣旨のことが書かれております。
 16ページに行っていただきますと、<多様な両立支援・再就職支援サービスの拡充>ということを挙げています。
 続きまして戦略4ですが、これは「時間・場所の制約を克服するイノベーションを推進する」ということで、より技術等の力によってワーク・ライフ・バランスが進めやすいような環境をつくっていくということであります。
 具体的には<テレワークや職場の情報化推進>や<e-ラーニングの活用促進>ということを挙げております。
 さらに、今後(関連する法制度等の柔軟な見直し)ということで、今後必要に応じて関連する法制度等も含め柔軟に見直しを図るということを言っております。
 17ページをごらんいただきますと、「おわりに」ということでまとめの文章が書かれております。ここでは、本専門調査会が、経済財政諮問会議や「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議等と十分な連携を図りつつ、引き続き検討していくということで、その中身につきましては、ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の検討やワーク・ライフ・バランスの推進に資するデータ等の分析、また、推進のための枠組みづくりに向けた検討など、引き続き検討を進めていくといったようなことが書かれております。
 なお、ここで掲げられている検討テーマ等につきましては、引き続き検討していただく中で、節目節目で報告書を取りまとめていただくことになるのかと考えております。
 事務局からの説明は以上でございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。
 この中間報告の位置づけですけれども、今、御説明ありましたように、ワーク・ライフ・バランスの意義や重要性をまとめて、ワーク・ライフ・バランスを推進するための取組の大きな方向性をまとめるということです。
 ですから、この後は、この後ろにありますように、中間報告を踏まえた上で、ワーク・ライフ・バランス社会の実現の手法を検討したり、データ修正をどうするか、取組の方向性を検討する。ですから、これをもう一度議論して次にまた出すというわけではなくて、この上に次のが来ると、そういう中間報告の位置づけと御理解いただければと思います。
 もう一つ、これは次回でもいいと思いますが、副題は結構大事なので、これはきょう御意見があれば伺いますし、全体としてワーク・ライフ・バランスを進めてどういう社会をつくっていくのかというようなメッセージを副題に入れられればいいかなということで、これは皆さんの御意見を伺いながら、つまりどういう社会を目指すのかというようなことが、ワーク・ライフ・バランスを実現するというだけでなくて、それによってどういう社会を実現するのかということが副題に盛れればというのが事務局の案ですので、それはきょう伺えればいいですし、あるいは最後にでもということです。
 それで、目次を見ていただければありがたいのですけれども、今、御説明しましたように、大きく2つから成っています。1つは、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の意義・重要性というものを説明する。それを踏まえた上で、それを実現するための取組の基本的な方向性、これを出そうという2つです。
 1の前半の意義・重要性は、まず「ワーク・ライフ・バランス」、最近よく使われていますけれども、言葉を一応定義しようという考え方。それを踏まえた上で、なぜ必要なのかということを、個人・社会・企業について説明し、3のところでは、その結果、どういう社会が実現するのかということを書こうということが1つ目です。
 その上で、それを踏まえた取組の方向性は、重要な取組はたくさんあるわけですけれども、まずは働き方の見直しというところがキーだろうということで、企業・組織のマネジメント改革というのも今回大きく取り上げている。それだけやればいいというわけではないわけですが、そこが変わらない限りなかなかワーク・ライフ・バランス社会は実現できないだろうということで、それをかなり大きく取り上げて、その上で、それを後押しするような社会的な基盤づくりが2と、こういう構成になっています。
 それでは、構成はまた戻ってきますが、構成について、何か御意見があればまず伺って、また、最後戻ってきますが、どうぞ。
紀陸委員
定義自体の問題もあるのですが、流れとして1章の2.で「なぜ、今、ワーク・ライフ・バランスが必要か」ということで、個人にとってということと、社会全体と、個々の企業・組織、こういう順序で来ていますね。
 その後、2部で「取組の方向性」というところを見ると、企業・組織から入っていって、その後、社会基盤づくりという4つの戦略が掲げられていて、この4つの戦略というのは関連する各主体がそれぞれ関与すると、そういうような組み立てになっています。
 そうすると、ここのメッセージのねらいが、どういうふうなところに視点を置いているのかというのがちょっとぼやけるのではないかという感じがするんです。私どもとしては、このワーク・ライフ・バランスというのは、まだ人によって受けとめ方も様々だし、理解がかなり人によって違います。この問題をどういう趣旨で論議する必要性があるのか、ここのコンセンサスが実はまだ極めて不十分で浅い段階だと思うんですね。言ってみれば、そこの論議をしっかり行うことが、実はこの調査会としての価値だと思っておりまして、具体的に何をするのかというのは、そこの理解が十全にできてないと本当は出てこないのだろうと思うんです。しかも、企業の対処に焦点が絞られていますね。
 企業は、今まさにいろんな意味で試行錯誤している段階ですね。政府がやるべきことは、個々の企業の中でいろいろやっていることを側面からサポートしていくということでいいと思うんです。具体的にここで、特に10ページから11ページにかけて、企業ではこういうことをしなさいよなんて言わなくても、これは個々の企業の自助の努力で、なぜ自助が必要かということが実は非常に大事な話で、自助をいろいろ考える中で、実はワーク・ライフ・バランスの問題というのは、そこから答えが出てくる問題もあるのだと思うんです。その基本認識のところが非常に乏しい。だから、こうやればというノウハウとかハウツーみたいなことばかり出てきても意外と効率上がらないかもしれない。なぜというところとか、本当の意味で、どういうふうな視点で取り組むべきかということがはっきりしていれば、あとは個々の企業はそれぞれの労使の話し合いでできるのだと思うんですね。
 そういう意味で、国とか社会、地域が企業のやるべきことを側面からサポートするよという立てつけの中に、あるいはその最後に「企業は」というのが入ってくるような順番であれば、非常に流れとして受けとめられやすいのですけれども、第1部である程度要約整理をしているところまではいいんです。その後の2部の頭から、ちょっと流れとして、何でこうなるのかという感じがする、そういう構成の組み立てに対しての疑問であります。
飛田審議官
紀陸委員の御意見と書いてあることはそれほど認識が違うとは思っていないのですが。今御指摘いただいたようなことを強調するために具体的にどのように記述したらよいかというのはぜひ御意見をいただきたいと思います。企業がやることがすごく重要だということもまた重要なメッセージでありますので、そういったことを文章で書いているのであって、企業がいつまでにこれをしなさいということを強調しているわけでは決してないと思います。
北浦委員
同じ点なんですけれども、恐らくこれは構成を見ると、個人が入って、その次に社会が来ているんですね。それから企業が来るんです。だから個人から押さえて、社会から押さえて、それで企業が動けと。それで後ずっと企業と、こういうストーリーになっているんですね。だから多分そういうような議論が出てきちゃうのだと思うので、1つは、それぞれが動いていかないといけない、個人の部分。それから、社会の中には、社会的な意義だけでなくて、恐らく行政の役割というのも非常に大きいわけで、そういうものもあるし、そういうものが動く中に当然企業というのは大きなファクターとしてあるので一緒に動かなければいけない、そんな感じが1つあるということ。
 もう一つは、企業の認識がまだまだ十分でないと思うんですよ。それは理解しているところは物すごく理解していますけれども、本当にまだ理解しきれてないところが多いと思うんです。そこのところに訴えていくためには、必要性のところは、十分この際もっともっと認識しましょうということは、紀陸委員がおっしゃったようにもっと強調していいのだろうと思うんですが、そういった意味でいうと、流れからいって、個人があって、社会があって、企業なのか、個人、企業どっちにもいろいろ必要性というのをもっと訴えていって、そして社会の意義が結果として出てくるのだと、こういうストーリーがいいのか、その辺の構成は少し考える余地があるのかなという感じはちょっといたしました。
杉山委員
7ページのところに、経済財政諮問会議とか「子どもと家庭を応援する日本」重点戦略検討会議等々でも今ワーク・ライフ・バランスを進めているということなのですけれども、多分立ち位置が若干違っていて、経済財政諮問会議の場で、ある程度「企業は」という主語で、企業としての取組についてのラインがもし出るのであれば、ここで改めてあまり頑張る必要もないのかなという気がするのですけれども、先ほど来の御意見のように、どこに一番重点が置かれているのか。それは多分表紙にあるサブタイトルにも来ると思うんですけれども、「多様な人材が活きる社会に向けて」という題ですと、それは企業に向けているなという感じがしますね。それで個人は、自分たちは「人材」と呼ばれることを喜びはしませんので、だから、どこにメッセージを一番伝えますかというところをちょっと整理して、ここの中間報告は、一番伝えたいのはここですよというのがあった方がいいのかなという気がしました。
植本委員
組み立ての部分は個人があって、社会があって、企業があってというこの順序が少し違和感がある。それは逆に目指すべき社会ということがこの考え方のところで出されていくことになると思います。ワーク・ライフ・バランスの考え方の入り口のところで、一番大事な定義としての、働くとは何なのか、生活というのは何なのかというイメージがそれぞればらばらではワーク・ライフ・バランスと言ったときに、考え方として、仕事と生活という、その場合の仕事というのは、例えば私たちはディセントワークだと主張するわけですね。私たちが求める仕事の在り方や、仕事の仕方、仕事のさせられ方ということの根本のメッセージはディセントワークということがどのように活かされ、実現していくのかということが、一番基本なので、働くということ、仕事をするということについての共通認識はどういうものなのか。生活という場合も、それは職業生活も含めて生活でありますから、ワーク・ライフ・バランスといった場合のライフというのはどのようなものをイメージしているのか、ここでは定義しているんですよというまず入り口のところが整理をされないと、多分どんどんとイメージがずれていくのではないかと心配します。そういう意味で、副題のメッセージのところなども含めて、望むべき社会、目指すべき社会というところがしっかり伝えるようなものとしての組み立てが必要なのではないか。そういう意味では、入り口のところの考え方の部分をどのように整理をしていくのかということで、次の2番目、3番目の目次のウエイトの置き方とか順番とかが随分変わってくるのではないかなと思います。
勝間委員
1つ目が、これに関してシンプルな方がいいのではないかと思ったんです。、組み立てが皆さんがおっしゃっているようにかなり複雑なので、議論している私たちが混乱するのですから、してない方が読むともっと混乱するのではないかという印象を受けました。
 これは提案なんですけれども、長時間労働をやめようというのが一番基本的な全てのアンダーラインのメッセージにあるような気がするのですが、それをもう少し前面に出すことはできないかというのが案です。
 2点目で、それをサポートするものとしてデータをもっともっと使うのがいいかなと思いまして、かなりこの図表の中で衝撃的なデータが多いんですね。実際に2%の人しか仕事優先にしようと思ってないのに、実際には5割以上の人が実態では仕事優先になってしまっているとか、あるいは週60時間以上働いている人が大都市圏で多くて、深夜に帰っていく人は2割といったような、かなりわかりやすい数字が随分入っていますので、そういったものをもっと前面に出せないかということで、それを基点に、今度は3番目になるのですけれども、まさしく皆さんがおっしゃっているとおり、企業だけの責任ではなくて、もっともっと個人、社会、企業全体で考えなければいけないので、政府としてはこういうサポートの仕組みをつくりますといったような流れにした方がシンプルかなと思います。
 以上の3点が提案です。
羽入委員
提案というほどのものではないですけれども、先ほどお話がありましたように、ワークとライフとバランスをどこにこの委員会は重点置くのかというようなことをむしろ明確にしてしまった方がいいのかもしれない。ワークとは何であり、ライフとは何であり、ワーク・ライフ・バランスをトータルに考えるというよりも、この3つのキーワードの何に私たちが重点を置くのかということも意識した上でまとめていくというのがよろしいのではないかという気もいたします。
 全体の構成については、私も同じような印象を持っておりますけれども、何かストーリーと力点の置き方を明確にするのがいいのではないかと考えます。
佐藤会長
まずワーク・ライフ・バランスについての理解が十分ではないのは事実なので、それを少しきちんと初めの方で書いています。そのときにワーク・ライフ・バランスというのは、3ページのところの上にありますけれども、唯一望ましいバランスがあるわけではない。これが出発点で、別に、あるライフステージで仕事に打ち込むのが悪いわけではなくて、問題なのは、仕事以外にも、例えばある時間を使いたいし、やりたいにもかかわらず、働き方が仕事中心でないと受けられないという働き方になると、これが問題なので、いろいろな人がここに書いてありますように、いろんな領域の活動に希望するような時間配分ができるような、そういう仕組みの社会なり働き方を実現するということなんですね。ですからこれが望ましいということは書けないのです。それが議論の出発点で、ですから、それぞれの方が希望するような仕事なり、地域、家庭での活動が担えるような、そういう社会にしていこうということです。
 そうしたときに一番ネックなのは働き方のところで、働く人たちが望んでいる生活・ライフスタイルが変わってきているにもかかわらず、伝統的なライフスタイル前提にした働き方になっているわけですね。ですからここが変わってくれないと希望がかなうようなライフスタイルを選べない。そういう意味でかなり働き方に重点を置いているというような構成になっています。
 そういう意味で、ワーク・ライフ・バランスは個人が出発点なので、なぜ必要なのかというところは個人から始まっています。
 もう一つは、次に、なぜ社会が来るかというと、今まで企業が働いている人の時間をとったことによって、家庭とか地域の在り方が相当変わってきている。つまり家庭や地域の担い手という中に働く人というのはいない。そういう意味では、地域としても、今のままだとなかなか持続しにくいような社会になっている。社会から見てもかなり必要性があるということで2番目が出てきて、ですから個人から社会から見ても、今のような企業の働き方の仕組みだともちませんよと。
 そういう意味では企業も変わらないと、企業としても人材の確保とか活用ができなくなってくるというので3番目に出てくるという構成なのだろうと思います。ただ、それは違和感があるということであれば少し考えなければいけないなと思います。
 それと取組の方向性も、確かにワーク・ライフ・バランスの必要性を理解してもらえば、企業が自主的に取り組むということはあるかとは思いますけれども、気づいたときにどういうことが大事なのかというメッセージは出す必要があるだろう。企業が最初に来るというのは、前半の構成からしてそうなんですけれども、確かに違和感が強いということであれば、2と1をひっくり返すというのはあるかなという気はしますけれども、取組の方向性の2を先に書いて1を後ろにということはありますが、メッセージ性でいえば、1を先に持ってくる。ただ、構成がわかりにくいということがありますね。わかりやすさを説明した後、この構成を維持するということになると思いますが。
鹿嶋委員
ワーク・ライフ・バランスというのは何が大事かというと、企業がどういうふうに働き方、働かせ方を変えるか、これが一番重要なことは確かです。ただ、紀陸さんの意見を聞いていれば、それを社会がどういうふうに企業をサポートしてくれるのか。その辺の部分が欠落したのでは、あるいは行政がどうサポートしてくれるのかということがなければ、企業も変われないということなので、そのあたりのことを少し補足して入れていくようにする。私は企業が変わることが一番大きな課題だと思っているんですね。そこがあいまいになるようなものでは、実態としてワーク・ライフ・バランスが空論になってしまうと思うんですね。
佐藤会長
今、鹿嶋委員言われた1つは、10ページの「取組の方向性」以降のところの、鹿嶋委員のだと、1は先のまんまで、12ページから社会的基盤があるまんまでもいいと。
鹿嶋委員
私は北浦さんが言ったようにひっくり返してもいいと思う。個人、企業、社会とやった方がいい。
佐藤会長
これを先に持ってきてということですね。○鹿嶋委員 どうしても企業だけに責任を押しつけているような感じがあることは確かですよ。
佐藤会長
私もそれが1つかなと。まず2を先に持ってきて、今の1を後ろに持ってくるという方が紀陸さんが言われたような誤解はなくなる。中身は一緒ですけれども。
鹿嶋委員
「ワーク・ライフ・バランス」の定義もきちんと出ているんですけれども、この3ページは、これだと読者は何かの引用みたいな感じで出るわけですよね。かぎ括弧つけて。だから、これはこの専門調査会できちんと定義したのであれば、どこかの引用かなんか紛らわしいような書き方ではなくて、公文書としてきちんと定義したのだということをやると。それがないと、さっきから意見出ているように、ワーク・ライフ・バランスとは何かとか、必要かどうかというのがわからなくなるので、そこはきちんとやってほしいですね。
佐藤会長
逆に括弧だと引用と誤解する。
鹿嶋委員
誤解する。
佐藤会長
わかりました。
永木委員
ワーク・ライフ・バランスというのは何かというのは今回きっちり書いていただいていて非常にいいなと思っているんですけれども、何のためにというのがちょっと足りないのではないかと思うんですね。「そういう状態である」ことと、「重要である」と言って、「なぜ重要なのか」という、「なぜ」というところが欠落しているような印象です。ですので、例えば企業にとって、これを見たときに、すぐにでもやらなければいけないなという気にならないと思うんですね。
 先ほどの長時間労働の是正っていうけれど、働かなくていいの、どうするのと、企業として成り立たないじゃないですかと。でもそうではない。時間を短くしても、長く働いているのと同じだけのアウトプットを出すということですよね。そこの部分をきっちり書くということと、あと、生産性という点については、日本の生産性、日本の競争力、日本企業の競争力とか、日本人の時間あたり生産性が外国と比較して低かったりとか、そういうところもきっちり見せた上で、だから、時間の概念が非常に大切で、もっとハイレベルな仕事をするなり、個人生活に充てるなりというところが必要なのだよというところが見えてくれば、じゃあ、やろうかなという気になると思うんですね。
佐藤会長
8ページのところだけでは足りないですか。書いてあるつもりなんだけれども、趣旨はそのとおりです。わかりました。もうちょっとその辺は。
高橋委員
3ページのところで、この3つのポイントが掲げられているのですけれども、これに関連する様々な選択を人生の過程で行う際の現実に制約している諸条件みたいなものがあまり強く触れられてないような気がするんですね。例えば、それは年功序列型賃金というものがあって、そこからなかなか抜けにくいので、ライフステージの選択が不自由であったり、あるいは様々な社会慣習、例えば残業するということが慣習として当たり前の居残り残業がある文化があるわけですけれども、そうした社会慣習を一体どうやって変えていくのかというようなことですね。
 それから、もう一つは、正規・非正規という大きな壁があって、それも1つはいわば選択をしにくくしている大きな条件の1つですけれども、そうしたものをワンパッケージで、どこかに記述するような箇所が、特に「2」の「取組の方向性」の中に1つ柱としてあっていいのではないかという気がしました。
佐藤会長
そうですね。「取組の方向性」は、基本的にはワーク・ライフ・バランスの実現を阻害しているものを取り除くというのが取組の方向性なので、そういうふうに書かれているかどうかということですね。
高橋委員
そうです。
小室委員
私は、先ほどの永木さんの御意見が本当にそうだなと思いました。企業がもう少し危機感を持って取り組めるように国際的な数字を入れたらどうか。日本の今置かれている生産性の位置づけであるだとか、そういったところの客観的な数字を入れて、このワーク・ライフ・バランスということをやることによってこの危機的な状況から上がっていきましょうというようなところの目標を一緒にするような危機的な数字というのが国際的なものというところで必要かなというふうに思いました。
 それと、あとは後ろの取組のところに個人がどうしていったらいいかということを入れるということは、私、全体的に今回のこの中間報告についてはすごくいいと思っていて、構成もこのままで私はいいかなと思ったのですけれども、確かに個人ということが入っていた方がいいと思うのは、なぜかといいますと、確かにデータによって個人の希望する生活のようなワーク・ライフ・バランスがとれてないというデータは入っているのですけれども、実際希望しているにもかかわらず、本当に自分はワーク・ライフ・バランスをとりたいと希望していいのかどうかというところにまだ個人が疑問を持っていて、私たちがライフを重視するのは何かいけないことなのではないかという罪悪感をまだ個人は持っていると思うんですね。なので、個人のライフを重視することの罪悪感を払拭してあげるような、実はこれからは個人もライフを充実させるように工夫をしていかなくてはいけないんですよというような、個人の働き方の見直しも求められていますというようなことが入っていた方が、ライフを重視したいと答えながらもそこに疑問を持っている人にとって、生活を変えやすく、自分の努力で変えられる部分も実際にはあるので、そういったことを促しやすくなるということがあるのかなというふうに思いました。
佐藤会長
そうすると、14ページのところに、個人への、これは教育になっているのだけれども、個人の必要性の方は書かれているので、企業や社会だけでなくて、個人自身も変わらなくてはというのが、戦略3の14ページ以降にあるので、教育だけでなくて、その辺、見直してみます。
小室委員
いい仕事をするために、いかにライフというものが必要か。仕事の内容が付加価値をつけるような仕事の内容に変化してきているという、経済環境の変化だとか、そういったことが入って、むしろその必要性があるというようなことが入ってきた方がいいのかなと。
佐藤会長
15ページの自己啓発、この辺かもわかりませんね、下の方。
杉山委員
そうなると、かなり圧力がかかるというか、個人がライフを充実させて、そのために啓蒙啓発されて教育されるというのは、私のような怠け者は、ええっ?みたいな感じはしますので……
佐藤会長
私も14ページの教育、この言葉にはちょっと気にはなっています。
杉山委員
仕事をよくするために生活を充実させるというつもりはさらさらなくて、生活を充実させるための仕事ということかなと思うんですが。
佐藤会長
確かにそうしなければいけないというので、社会は教育するというのもちょっと気にはなるので、武石委員。
武石委員
今のでいうと、教育よりも、自分のキャリアを自分で考えるような支援ということではないでしょうか。教育と言ってしまうと、一定の方向性があってそっちにみんな行けと言っているような感じがするので、自分のキャリアを考えるということかなと思いました。
 定義のところで、「老若男女誰もが」というのがちょっと私はひっかかって、例えば、これだと赤ちゃんもお年寄りも全員入ってくるような気がして、そこまで言う必要あるかなという気がしています。「個人が」ぐらいでいいのではないでしょうか。
 ポイント1のところも、「全ての人のためのもの」と書いてあるんですけれども、「全ての人」とまで、そこまで言わずに、「男女共通のもの」とか、何かそのぐらいでいいのかなと。
 先ほどから出ている企業の取組というところで、私もこれを読んでいて、企業へのメッセージはいろいろ書いてあって、それはそれで必要だと思うのですが、「ワーク・ライフ・バランスに取り組み」という言葉が出てきて、「ワーク・ライフ・バランスの推進」というのが企業のところに出てくるのですけれども、それが一体何を意味するのかというのがよくわからないのではないかという気がしています。先ほど高橋先生もおっしゃっていたのですが、ワーク・ライフ・バランスと言ったときには、長時間労働の是正とか休暇がとりやすいという、働いている人みんなに共通する部分と、また、育児とか介護とか、そういうような特定の状況の中でバランスをよりとらざるを得ない人たちとか、また、再就職支援の問題もあるでしょう。高橋先生おっしゃったような正社員と非正社員の均衡の問題もあると思います。そういうものがいろいろ入って、私はそういうメニューの中から労使ができるもの、やってほしいものを選んでやっていくのが基本だと思うんです。けれども、このワーク・ライフ・バランスの推進とか取組と言われたとき、全部ひっくるめて、従業員の方に寄り添って企業はやらなければいけないと言われているような印象を受けるかなという気がしたんですね。ですからいろんなメニューがあって、その中からできることを順番に優先順位をつけながらやっていって、社会がワーク・ライフ・バランスに近づいていくと、そういうのを目指すという、少し段階的なイメージがないと、いきなりワーク・ライフ・バランスをと言われても一体どうしていいかわからないというのがこれを読んで一番感じたことなんです。
 それと時間の問題はたくさんとりあげているのですけれども、もう一つ、場所というか、転勤の問題とか、後ろの方に在宅勤務の話も出てくるのですが、そういうものもワーク・ライフ・バランスの要素だと思うので、企業がやるワーク・ライフ・バランスというのを少し類型化して、それでどこかに提示できるところからやればいいのかなというイメージがあります。
佐藤会長
位置は後ろに来るにして、10ページの1の、なぜ、企業・組織のマネジメント改革と突然出てきちゃうので、これがなぜ必要かということは少し説明した方がいいかもわかりませんね。その上で、その踏まえた後、11ページの方で、段階的な取組みたいなことを少し書くようなことをした方がいいかもわかりません。
紀陸委員
今の話は確かに重要だと思っていまして、私、実はさっきちょっと申し上げ損ねたのは、流れが悪いということもあるのですけれども、今の10ページの取組の方向性の1で、企業・組織のマネジメント改革とありますけれども、これは確かにワーク・ライフ・バランス云々と関係なく、一般的に企業・組織の改革の課題ですね。仮に10、11ページのこの論議はなくても、13ページの戦略2で「企業・組織のマネジメント改革を社会全体で後押しする」とありますね。ここに似たようなことがほぼ出てきている。
 だから、さっきの繰り返しですけれども、今のお話が重要だという意味は、ワーク・ライフ・バランスが何だというのは企業にとって受けとめ方がかなり違う、しかも人によっても違います。その場合にどういう選択肢を制度として会社の中に設けたらいいかというのが、まさに自律的な、あるいは柔軟な働き方を目指す労使の話し合いの中から出てくるはずなんですね。そこは企業に任せればいいわけであって、あまりああせいこうせいとかというのではなくて、そういう努力をどうやって外からサポートするか。これがこの戦略の1とか2というところにかかわってくる問題であると思っています。要するに企業の自主的取組の背中の後押しをする。あるいは中小企業で困ることがあったらサポートしますよというところを厚くしておけばいいので、一般的な経営改革の方向は、1、2、3ですなんて言わなくてもいいと思うんですね。
 ここでは、まさに会社に任せておいて、戦略1、2、3あたりでいいのではないか。言わなくても、かえってその方がスマートだという感じすらしますよね。
佐藤会長
まず12ページの2は前に持ってきて、1をどうするかなんですけれども、確かにマネジメントはほっぽってもやるという話でありますけれども、多分多様なメニューを提示しても、それで進まなかったというところに課題があるわけですね。つまりこれをやらないとワーク・ライフ・バランスは実は実現できないというメッセージを出さないと、その必要性を理解してもらえないという状況にあるのではないか。つまりいろんなメニューを出しても実際は使えないわけですよ。というのが現状ではないか。
紀陸委員
出すところまで至ってないのではないですか。さっきお話がありましたように、長時間労働が悪いのだから長時間労働をなくせば、我が社の生産性上がります、そんな単純な論議というのはないですね。長時間労働なくすというのはどういうことをやるのだとか、何のために、どこをどういうふうにやれば、という論議から始まりますよね。その中には当然ながら、ここの部分はいい、こっちの部分は悪いといういろんな選択肢が多様に出てくるわけですね。ただしそれをやっているのは、ごく一部の、それこそヒアリングを聞いているぐらいの企業さんで、それ以外のところは、まさにワーク・ライフ・バランス何?というところのレベルですよね。そういうところでは当たり前でしょうけれども、日本語でこれを言ったらどういう言葉だろうなんていうレベルの人の方が、8割、9割ではないでしょうか、本当にまじめな話で。
佐藤会長
それはそうです。
紀陸委員
だから、第1部のところの宣伝をきめ細かくやることが本当は大事なので、目標があって、すぐ対策が出てくるような単純な話ではなくて、その間にいろんな選択肢があると思うんです。その必要性は自分たちで考えてくれというのではないと定着しないし、効果的な対策は出てこないのだと思うんです。そういう意味で、根本の論議のところをきめ細かくやることの方が非常に意味がある。
 さっきの定義のところですけど、「自らが希望する」というのが結構出ているんですけれども、確かにそうなんでしょうけれども、自分の働き方、私生活の面でこういうふうに働きたいと。こういう生活したいから働き方の方もそれに合わせてということになりますね。そうすると、ワークとライフのどっちに重点があるのか、ライフの方が先で、ライフ・アンド・ワーク・バランスになるのかとか、結構そういう論議があるわけです。どっちに優先順位があるのという論議をするのか、あるいはどっちもそれぞれの価値を見つけてうまくバランスさせていくのかとか、結構それによって全然視点が違ってくるわけですね。だから、そこの辺の哲学的な論議は非常に重要だと思うんですよ。簡単に、初めのところのアメリカとかイギリスとかと書いてあるけれども、アメリカだって、イギリスだって、相当にいろんな論議しているんでしょう。外国語・カタカナ語を日本語に並べて導入しようとしたのはここ数年の話ではないですか。日本人の血肉になんか全然なってない言葉ですよ。血肉になってない言葉をああだこうだと頭の中でひっくり返して対策を論じるというのはそんなに急がなくていいのではないでしょうか。
大沢委員
いろんな御意見伺っていて、価値観の転換という共通項が出てきていて、パラダイムが大きくシフトしているということなんだなというふうに思うんです。パラダイムというのは、日本の今までの仕組みとか、私たちの考え方そのものもものづくり中心の社会で、長時間労働であったり、労働時間が長かったりすることによって一生懸命頑張って生産性が上がってきたという過程があって成功してきたわけですが、ただ、その延長戦上で行くとどうなるかというと、非常にストレスがかかってしまって、自殺者が出るとか、そういうことになってしまうと。結果として、ストレスが高まるので発想力がなくなっていいアイディアが出なくなるとか、そういったことは日本だけでなくて、アメリカとかイギリスでも実際にみんなが経験している中でワーク・ライフ・バランスというのはストレス・マネジメントなのだと。
 いろんな言い方があると思うんですけど、最近アメリカの企業の変化などの本を読んだりインタビューをしたりしたのですが、その過程で見たことは、例えば、社長自身が燃え尽きてしまって、それで自分がハッピーに感じられないので、自分自身の優先順位を見直してみて、自分の働き方を変えてみたというところから、自分の会社にそういったプログラムを導入してみたというような、流れがあって、でもそれは個人的な体験なんだけれども、背後には、1つはサービス経済化とか、グローバル化の中で非常に競争が厳しくなって、個人への負荷が高まってきた中で、それを個人がどうやってマネージしていくのかということのノウハウがまだないから、そこでそういった4つの社会貢献というような視点で物を考えれば、短期的なコスト削減とかというので考えるよりも、むしろ企業にとってうまくいくと。
 例えば個人にとっても、長期的に自分が維持可能なキャリア形成ができるようになるというようなことを体験して、90年代の初めぐらいからアメリカでそういう議論があって「成功とは何か」みたいなことについて考えてみると、長期、持続可能に経済が発展していく、自分の企業が発展していく道を探ったときに、短期の視点から長期の視点に変わっていって、個人の自立から相互に人々が依存する中で新しい発想を生み出していくという、個人の違いみたいなものをいかに理解しながら、そのダイナミズムをつくっていくのかというのが新しいパラダイムに変わってきたと。
 そんなことをここの報告書の中でくどくど言う必要はないと思うのですが、パラダイムシフトというのがあって、その中でサービス経済化とグローバル化、少子高齢化という人口構造の変化というもの。それは先進国にみんな共通した問題であることは触れた方がいいと思う。人々がバーン・アウトしてしまうとか、燃え尽きてしまっているというのは多分そういった価値観全体が社会の中での価値観と新しい時代との中でのギャップが非常に大きくなってきたということなのだと思うんですね。
 その中でワーク・ライフ・バランスというのは企業にとってはサバイバルの戦略にきっとなると思うし、個人にとってはストレス・マネジメントで幸せに生きるための方向になっていくし、それを陰でサポートする社会というのが必要になってきているということが時代背景にあるのだと思います。だから順番もそうなんですけれども、時代の変化というのは、3ページのところに書いていって、ワーク・ライフ・バランスが出てきた過程ですね。アメリカでもやっているじゃないか、イギリスでもやっているじゃないかみたいな感じなのですが、ここら辺をもう少し膨らませて、時代の背景があって、パラダイムシフトということが必要になった結果、各国でいろんな試みがされているわけで、アメリカの試みとイギリスの試みは違うし、デンマークとかオランダというのはまた違うわけですね。だから、そこで日本のワーク・ライフ・バランスなり、アプローチは何なのかというところは、この委員会なりいろんなところで出していけばいいわけで、基本的なところの合意をできれば、後はいろんな多様なものがあっていいのだと思います。そういう意味で、3ページのところとか、あるいは2ページの「はじめに」のところで、そこを膨らませていくことが非常に重要なのではないかという点が1つ。
 もう一つ、やはり「豊かさとは何か」といったときに、お金から多様性に変わってきた。多様性に変わってきたというのは、個人にとって何が豊かかということの定義が変わってきたことによって、だからみんなでワーク・ライフ・バランスを推進しましょうねというのではなくて、それぞれの多様な価値観を認める社会へというようなところが出てくれば、ここの一番最初のところにいろいろと書いてあるライフステージの多様性とか、そういうもので、企業にとってはそれを考えることが企業の成長につながるというところになると思うし、労使の交渉においても、賃金交渉ではなくて、働き方を交渉の1つのストラテジーとして考えることは有益という感じになってくるのかなというふうに思いましたということです。
牧野委員
私は企業が与える影響は非常に大きいと思っていまして、かつ企業は実はそんなに安穏としていられなくて、一番最初に出ている人材獲得競争というところがありまして、今、大沢先生おっしゃったように、優秀な人材というのは、我々が入社するころというのは福利厚生であったり、あるいは給料だってわからない、いろいろなところがあったのですけれども、今はそうではなくて、この会社は自分の個性が出せるのか、フレキシビリティーを持っているのか、柔軟性があるのかというところが非常に選ぶところで重要視されてきているというのは肌で感じているんですね。
 企業というのは、今、どうするか、来年どうするべきかというよりも、10年後に人材がどうなっているかということを考えたときに、もう既にそういうところでいろいろな会社が多様性を出してきたりとか、フレキシビリティーを出してきたところで既に競争が始まっていると思っているんですね。
 その中で、どういう優秀な人材を入ってもらうのかというところを意識する意味では非常に重要だというところで、企業はそんなに安穏としていられないし、企業に与えるこのワーク・ライフ・バランスの影響というのは非常に大きなものを持っていると思います。
 もう一つは、企業は働いている人たちが仕事中心に動いていることによって環境が変わらないというものがあると思うので、企業がワーク・ライフ・バランスというものを積極的に提案していかない限り、なかなかそれに属している人たちが変わることはできないと思うんですね。ですので、そういう面では、社会もそうですし、個人もそうなんですけれども、企業がどのように柔軟性を提供できるのか。ですから私は多様な人材が活きる社会というものは、その活動として柔軟性をどれだけ提供できて、それを個人がどう共感してもらえるのか、企業に。というところで出てくるような気がするんですね。そういう意味では、企業というのは非常に大きな影響を与えていると思います。
 やはり長時間労働も私もひっかかるところは、長時間労働はなくさなければいけないと思うんですけれども、せざるを得なくしている人たちはするべきだと思うんですけれども、したい人もやっぱりいると思うんですね。それは若い人たちが早く覚えたいというのもあるかもしれないし、そういう多様性もある意味で認める必要もあると思っていまして、私はこの数字を見てびっくりしたのは、図表6でしたか、20代の人の比率が実は30代、40代の次に3番目になっていて、我々は、20代の人が一番よく働いているのかなと思っていたので、これは意外な数字だったりとか、あと図表2とか3で私思ったんですけれども、「子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつ方がよい」と思っている人もかなり三十何%いるわけですよね。これは、もしかしたら、今までこういう選択肢しか我々は与えられなかっただけで、やめるか、続けるかという発想で、縮めて仕事を続けてもらえるかということの選択肢というのはまだまだ会社も提供できてないのかというところで、そういう自覚を個人個人が持つことによって、50%の時間だけ働いて、育児も仕事も続けてやめないということが重要なのかとかという選択肢も今後あってもいいのかなというのはこういうデータを見ていて思ったんですね。だからいろいろこれを見た限りでは、企業がやる責任、あるいは可能性というのはまだまだあるのかなというのは拝見していて思いました。
鹿嶋委員
これはまだ枠組みの議論しているわけ。
佐藤会長
いや、きょう1回目だから、少し全体の枠組みを議論して、それが終わったら、少し中にと思っています。全体のをまず伺ってから、あと、今度個別のところに移ります。
杉山委員
1点提案で、もう一点が事務局に質問なんですけれども、すごく具体的なのですが、多分ワーク・ライフ・バランスと言ったときのライフの部分の書き込みがワークに比べてちょっと薄いと私は思っていて、そこのあたりに関しては、個別にまた報告をしたらどうですかとか、特に少子化と一緒にしていたり、7ページなんか<少子化の深刻化、地域社会の希薄化>を並列では扱わないでほしいとか、何かそういうようなことがありますので、ちょっとそこの辺、地域をもう少し深く書いた方がいいのではないかということと、もう一点、ちょっと質問なのは、全ての人というワーク・ライフ・バランスが必要ですということはあるかと思うんですけれども、ちょっと読んでいて感じたのはターゲットを2つに分けていらっしゃるかなというのは、働き盛りの子育て家庭の部分のワーク・ライフ・バランスと、それからシニア世代のリタイアした人が地域に戻るみたいなこともちょっとイメージされていらっしゃるのかなとちょっと思ったものですから、もし、そういうことも視野に入れるのだったら書いた方がいいし、そのつもりでこの地域という部分を少し膨らませた方がいいのではないのかなと思いました。それはどうなんですか。
板東局長
今の2つだけかという話なんですけれども、先ほどからお話が出ております、例えば若い層、いろいろ勉強しながら能力アップしたいという人たちがいる。そういったような若い層の部分。それから、シニアの場合も地域とのかかわりというだけではなくて、少し長く働きたい、少しペースダウンしながら長く働きたいという方々もいらっしゃるという意味で、シニアの方々も仕事とのかかわりということでも問題があるのだろうと思います。大きなターゲットというのは必ずしも先ほどお話の点だけというふうには絞りきれないかと思います。
岡島委員
2つありまして、1つは、ワーク・ライフ・バランスの定義にもかかわることだと思うんですけれども、先ほどからワーク・ライフ・バランスといった場合、ワークですか、ライフですか、あるいはバランスですかというお話もあったのですが、その中のライフの部分というのをもう少し詰めた方がいいのではないかと思います。といいますのは、ライフの中でも特に個人と家庭という切り口にしたときに男女共同参画の議論はもっと出てくると思いますので、そこをもう少し詰めた方がいいのではないかなというのが1つ目です。
 それから、2つ目が、この全体の構成というか、企業の取り上げ方にかかわるところなんですけれども、ワーク・ライフ・バランスの問題は、本当にいろんな切り口でいろんな問題がありますが、会長がおっしゃったように、確かに企業における働き方の問題が大きいのだと思います。そういうことで、企業を中心に書くということについて、私も重要なのではないかと思うんですが、その切り口として、いろんな課題がある中で、世の中を変えていくに当たって企業は変わるということが大きいのだというふうに思います。週休2日制があっという間に導入されたのですが、それはやはり先進的な企業が導入をし、その企業の取組が中小企業にも広がり、それから、それ以外の分野にも広がったというのがあります。ある意味で戦略だと思うんですが、企業、特に大企業、先進的なところが取り組み、それがどんどん広がっていくことが社会全体を変えることになるのだというところをむしろ戦略として入れていただけたらありがたいなと思います。
植本委員
今、おっしゃっていただいたことの関連で、12ページのところに、「推進強化のための枠組みをつくる」というところですが、これはどういう推進体制を持っていくのかということや国や自治体の役割みたいなものも含めて、ここの部分は、今おっしゃった戦略的にどう展開をしていくのかということのものとして非常に重要だと思うんです。質問なんですが、ここのところに、「このため、経済財政諮問会議において提案された『ワーク・ライフ・バランス憲章』や『働き方の改革を推進する行動指針』を策定することも重要であるが、併せて、以下の」ということになっていて、このこととこことのかかわりというのですか、関連が「併せて」というふうに、12ページの戦略1の下から3行なんですけど、この意味合いが非常に理解しにくいんですね。
 ここの役割は何なのという、ワーク・ライフ・バランス憲章のところでは、例えば憲章などという形で、基本法的に定められるものがあるとするならば、そしたら、そこに書かれる定義ということと、ここで定義をするものとが区別されるのか、されないのか、関連性はどうなるのかというところが「併せて」という言葉があることによって全くわからなくなってしまっているのですけれども、逆に改めて様々なところで、少子化のところとかの分との関連は割とわかるのですけど、この部分のところを、根本的かかわりの部分を理解できるようにしていただけたらありがたい。
佐藤会長
特に何か意味があった、「併せて」という……。
板東局長
「併せて」という言葉自体には、実を申しますとあまり意味がないですね。
佐藤会長
この3行は落としちゃってもいいのではないか、最後に書いてあるので。
板東局長
ここは文章的にはわかりにくいということであれば直していただきたいと思いますが、1つは、ここの場ではあまり御議論はなかったんですけれども、経済財政諮問会議とか、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略会議とかで憲章、指針といったようなことを、つまり大きなこれからの取組み方や方向性、ガイドラインみたいなものをつくっていくというのが全体の取組のために資するのではないかとされています。その中身はこれから詰めていきましょうという話になって、その中身として、この専門調査会とかいろんな検討の成果も反映をさせていきましょうという方向性だと思います。そういった憲章、指針の提案がほかの会議でも出ていますので、そういったことについても有意義ではあるとし、それ以外にもいろんなことをさらに具体的に提言をしましょうということなので、確かに諸会議の関係づけみたいなものがまだあまり整理できていないというのもあろうかと思います。
杉山委員
逆にこちらが出して、それで参考にしてもらうというか、そういう感じになるのでしょうか。それとも同時並行で、ほぼ同時期に出る。
板東局長
実はいろんな会議の時期というのはまだ整理されてないかと思うんですけれども、「骨太の方針」が出るときに、細かい中身までは、例えば憲章とか指針の細かい中身は盛り込まれないだろうと思います。ただ、いろんな会議などで出されている成果というものを十分に活かして連携をしながら、そういった中身を今後つくっていきましょうという話になるのではないかと思います。
佐藤会長
ただ、今の趣旨であれば、まだ、私もそれぞれ多少かかわっているのですけれども、具体的な中身というのはまだ確定してないので、そういう意味では、17ページで書いてあるので、そこをもし必要ならちょっと書くので、中になくてもいいかもしれない。そうしないと、我々の位置づけというのはあいまいになる可能性があるので、最後のところに持っていくのでも、確かに最終的にそれぞれほかとの連携も必要になってくるのは事実ですが、ここは一応それとは自律的に書くという感じの方がいいかもしれないですね。
川島委員
全体に関して1つコメントがあるのですが、この委員会における具体的な問題意識はどこにあるのかということが、そこが玉虫色になっているというのがよろしくないというふうに感じます。企業における働き方というところにかなりのディスカッションが集中していて、そこに絞り込むのであれば、ある意味、絞り込んだ方がわかりやすくなるだろう。
 ワーク・ライフ・バランスということを本当の意味で考えていくのであれば、これは私個人の考えですけれども、「個」を尊重するとか、「企業の経済性」といったことはとても枝葉のことであって、要は子を産み育て社会を健全に維持するというシステムが今崩れつつある。それに対して我々が何ができるかというところが大前提にあるわけですから、そこで個を尊重しすぎたがためのゆがみ、経済性を尊重しすぎたがためのゆがみがあって、それに対して何かしようというのが一番の根っこにあるところだと感じています。
 そういう意味では、一番の根っこのところが何があって、かつ、この委員会ではその根っこに対する処方箋の中でも一体どの部分に対して審議を深めるのかということをきちんと頭のまくらのところで述べた上で、かつこの先の多くのディスカッションもそこをきちんと整合した上でないと、結局何でもかんでも包括しているというものに対して、何でもかんでも皆さん自分の思っていることを言っているだけではまとまらないというのは当たり前の話でして、私が一番最初に危惧したように、皆様方の意見聴取したのと全く関係なく、事務局の思ったとおりのこういう案が出てきて、その筋に沿ったディスカッションさせられているわけですから、そういう意味では、絞り込んだ上で、この委員会が何を得意の守備範囲にしているかというところをきちんと見きわめた上で、そこの議論を深めて、そこを分厚くして出すべきだろう。
 ただ、当然そうすると、全体から見ると、ゆがみがありますから、そんなことは我々はわかっているのだということは、きちんと「はじめに」のところで述べた上で、1つの方策として、ここについて議論を深めたんですというふうに表現するべきではないかというのが私の意見であります。
佐藤会長
全体の御意見を伺いましたので、たくさん重要な意見出していただいたわけですが、1つは、なぜワーク・ライフ・バランスかということで、それは大沢委員言われたように、社会の在り方を変えるというようなことが少しわかるような形でメッセージ出していけることを検討していただこうと思います。
 それと取組の方向性の方は、皆さん企業から始まるのはなぜということがあると思いますので、12ページの2の方を先に出して、その後で、私は川島委員言われていましたけど、企業のところは変わらなければだめだというメッセージだと思いますので、それを特出しして書く。ただ、紀陸委員言われるようにいろんな段階の企業があるのも事実です。ただ、できるところは先に進んでもらって、下の企業にも刺激出すということも大事ですので、そういう意味で先進的企業に進んでもらうというようなところ、それは全部がやれるのかと言われればそうじゃないと思いますけれども、やれるところはどんどん進んでもらうというふうにやることも非常に大事だと思いますので、ですから両方わかるような形で、段階的には取り組むにしても、進んだところはより進んでもらうというような感じで、そして、なぜそういうマネジメント改革が必要だということがわかるようなことを少し先に書いて、後ろに書くようなことを工夫していただいて、また議論していただければと思います。
 個別に今度細かいところも含めて、前半のまず「1」の、9ページまでのところで細かいところ。
鹿嶋委員
資料の方ですが、これはちょっと軽い感じがするんですよね。何で軽いのかなという理由の1つは、3ページのワーク・ライフ・バランスの、今まで議論してきたような定義が不十分なことと、その3つのポイントもいま一つなんですが、9ページに象徴されるように、要するに夢を描いているのは結構なのですが、これは最初のころの専門調査会で申し上げたように、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉はなくても、「仕事と生活の調和」というのはずっと言われてきたことであって、それがなかなか実現ができないという過程はあるので、そのあたりのことを多少書かないと、最初から夢を1章でぶち上げられても多少軽さがあるのではないか。
 最近、新聞がいろんな提言をかなり冷やかしているのは実はその軽さに原因がありまして、そのあたりの、なぜ困難かというふうなことも少しまぶしてワーク・ライフ・バランス社会のメリットを列挙していかないと、人間力が高まるとかいろんなことが書いてありますけれども、そうしないとやはり軽くなるのではないか。
 もう一つは、これは各論に入っていきますと、5ページですけれども、「女性は大きな家庭責任を担っており」というんですが、これは男女共同参画局が出すレポートにしては不見識な表現で、これは「家庭は本来、男女双方が担うべきであるが」というふうなことをきちんと書いて、「だが、現実は女性が大きな家庭責任を担っている」というようにしないと、これは読み方によっては、女性が大きな家庭責任を担っているというのだというふうに読まれますので、ここは直す。
 それから、6ページですけれども、そういう一方で、非常にドライな書き方も出ちゃっているんですね。過労死問題が入っていますよね、3のところですけれども、「疲労の蓄積や不慮の事故や疾病を招きかねず、本人はもちろん社会的にも大きな損失を生む」という言葉で片づけていることは、これは報告書としてはいかがなものかと。これは私がかつて新聞記者のとき過労死問題を随分取材したのですが、悲しみですよね、そういう問題があるとすれば。そういう言葉も少し入れてあげないと、読む方が何だということになってきます。
 次のページの7ページにもまた損失が出てくるのですが、損失はそのとおりなのですが、こういう問題と損失をストレートの言葉の羅列はすべきじゃないだろうということ。「人間力が劣化し」という言葉も随分出てきて、人間力が括弧ついたりなんかしていることもあるのですけれども、これは何なんですか、「人間力が劣化し」とか何かという意味は、いま一つよくわからない。もちろんわかるような気もするのですけれども、このあたりもきちんとしておく必要があるのかなという感じで読んでいましたね。
 大体そのぐらいですね。
佐藤会長
とりあえず「1」のところで、今、非常に大事な点なので、9ページにも、杉山委員の「人材」という言葉、確かに人材というと、職業能力だけなんです、見ていると。ちょっとその辺は気にはなるなという気も、さっきの「人間力」もそうなんだけど、その辺、人材というと、ちょっとどうか、多少それはどういう言葉にしたらいいかということはあるかもわからない。
北浦委員
ワーク・ライフ・バランスに関する3つのポイントで整理されているのは大変いいと思うんです。こういうふうに指摘いただくのは大変いいのではないか。その中ですべての人、言い方はともかく、あるのですが、地方の段階へ行きますと、まだワーク・ライフ・バランス=子育て支援というような、そういうような理解で通っちゃっているんですね。それは一番重要な問題であると思うんですけれども、ワーク・ライフ・コンフリクトとしては一番大きいのはそこにあるわけで、そこで解決しないといけないというのはよくわかるのですが、もっと広い範囲の問題があるということをここに書いていただくことが今回の私はこの会議の1つ大きな点だろうと思います。
 そのときに、先ほどのライフのイメージをどう描くかというのがあるのですが、私、ちょっと気になったのは、3ページのところで例示がいろいろ出ていますね。これを見ると、皆、生産的活動なんですよ、どっちかというと。これを見て息詰まりを感じるようであっいたら、ワーク・ライフ・バランスはなかなかできなくなっちゃう。これは大事なんですよ。非常にこのとおりで、だけど、これ自体が、先ほどの大沢先生の言うところのストレスを生むような要因が入り込んでいるやつなので、もっとこの後ろを見てみますと、非常に丁寧に書いてあって、ワーク・ライフ・コンフリクトをよく書いてあるんですね。個人とか社会とか、そこのところをなくしていくのだということがはっきり出てくれば私はいいのだと。
 その点で一番重要なのは、健康のところが大きい。健康づくり、休養というのが、一般の従業員のところで何をやりたいかというと、今の現状、やっぱり休養なんですね。それから、その次に出てくるのは趣味なんですよ。生産じゃないんですね。それは広い意味で言っているので、こういうものにかかわるのかもしれませんが、何となくそういったようにイメージを生産的活動的な、よくこういう例示使っちゃうので、私自身も使っちゃうので反省を込めて言っているのですが、こういうものを見たときに息詰まりを感ずるようであったらまず終わりで、これが1点。
 それから、もう一つは、そういう何か目標のところが見えてきませんと、タイムマネジメントというのは目標管理があるんですね。行き先のところで、時間をつくればいいのかというと、そうじゃなくて、何をしたいかというのが見えてきて、それでタイムマネジメントというのは成功するところがありますので、そういった意味からも重要であるということ。
 それから、さっきのコンフリクトという意味で言うと、個人と社会とか丁寧に書いてあるわけです。特に社会のところにおいては、先ほどのような人間関係の触れ合いのようなもの。地域社会、家族、そういったような触れ合いのようなものの希薄性というものが社会の閉塞感を生んでいくのだということの問題意識あると思うんですね。それは書かれているんですね。
 ところが企業のところになるとコンフリクトないんです。メリットなんです。必要性のところの叙述が。だから何となく企業に対しては押しつけているみたいにとられちゃうのだと思うんですね。企業だって、こういう点があったら困るでしょうというような書き方になっているとバランスがとれるのかなと、そんな感じいたします。これは叙述の上で、恐らくそういうふうに直されていくと思いますので、そんなことです。
佐藤会長
9ページまでのところでいかがでしょうか。
高橋委員
4ページの1の「仕事と家庭の両立が困難」というところがあるのですけれども、ワーク・ライフ・バランスのライフの方に、特に既婚者を想定したような書きぶりになっていて、未婚から結婚への進行という、ライフステージの変更というのが物すごい困難な時代なわけですね。ですから、そこを何とかうまく記述を入れてほしいということです。
佐藤会長
非常に大事な点です。
羽入委員
3ページの特にポイント3のところですけれども、「ワーク・ライフ・バランスは『仕事の充実』と『仕事以外の生活の充実』の好循環」という、こういうスタンスは、まず仕事をすることが前提で、仕事がメインになっています。ライフに重点置くのか、それともワークに重点を置くのかということがここにあらわれますので、この点は十分検討する必要があるのではないかと1つ思います。
 もう一つは、少子高齢化という言葉です。「少子高齢化」と言ったり、4ページはそうですが、6ページには「少子化、超高齢化、地域社会の希薄化が進展するなかで」というようなことが書いてありますけれども、少子化と高齢化は違うと思うのです。高齢者、あるいはシニアをどうとらえるかというようなことも非常に重要なことだと思います。それはさきほどのポイント3と関係していて、生産性を高める人、生産性のある人間がここのターゲットなのだといったスタンスに立つのか、それともそうでないのかというようなこともからんでいると思いますので、この2点は少し気になります。
勝間委員
言葉として出てないのですけれども、メインメッセージとして、今の動き方でサステイナブルではないということがあると思うのですけれど、それ自身がちょっと見えにくいかなと思ったんです。かなり個別論には細かく書いてあるので、それを大きなメッセージとしてどこかに入れていただきたい。
佐藤会長
今のままだと地域も企業ももたないよという話は、それはあった方がいいかもしれない。確かにワークといったとき、これが働いている人がメイン、そこを今回は主に取り上げたということなので、そこは、それだけでいいというふうに誤解を受けないような言葉を少し考えたいと思います。
 9ページまではいいですか。
 そしたら、10ページ以降、ちょっと駆け足ですが、きょう一応10ページ以降も少し細かい点伺えればと思いますので、10ページ以降、最後までで、もし記述なり、表現なり、もう少しここをわかりやすくということがあれば。先ほど14ページの「教育」という言葉は少し直してもらった方がいい、そういう意味ですね。
鹿嶋委員
つまらないことで、9ページに戻っちゃうんですが、「人々を生かして」と「人材が活きる」と、「生」と「活」と2つ使い分けていますけれども、この使い分けでいいのか、何かそのあたりも統一性が必要かどうか、今でなくて結構ですが。
羽入委員
13ページに大学ということがございますので、伺いたいのですけれども、学際的な研究の推進という場合に、今いろいろな議論があります、生きるとはどういうことかとか、国際競争力を高めというのはどういうことか、そういったトータルな研究を研究機関ではすべきだということを意図して書かれているのかどうかということが質問です。そうだとすると、ここの部分もっと強調していただくと、こういう意味での学際的研究というのが必要なのだということを主張してまいりますので、どういうスタンスでいらっしゃるのか伺いたいと思います。
佐藤会長
学際的という、海外の大学結構あるのですけど、そういう意味での学際的というのはまだないですね。ある面では、狭い意味でのワーク・ライフ・バランスの研究センターはいくつかあります。今言われたようなのはちょっとまだないと思います。
植本委員
16ページの一番下の(関連する法制度等の柔軟な見直し)というのが、戦略の後ろに出てくるのですけれども、むしろ、ここのところは、逆に戦略1の支援体制の強化のところで、それを裏打ちする法体系や整備というものがどういうものがあるのかというとか、具体的な政策がここからどう展開されていくのかというところが出てくると思うので、むしろ社会基盤づくり全体の最初のところに、そういう支援のための法整備のところをしっかりやるよというところがあると、全庁またがったところでの推進体制みたいなものもイメージしているのだということがわかるのではないかと思うのですけれども、ここでは、法制度の例として、次世代と育児介護休業法等というふうになっているのですけれども、これはそういう意味では、先ほどのこれを強調すれば、逆に子育てというか、育児等の両立ということが重点にしているな、これはというふうに思われてしまいがちなので、そこで労働関係の根本的な法制の問題があるのかないのかとか、その辺のところが、全体を見直していくべき4つの戦略をどう整備をしていくのかというところについては、かなり枠組みづくりと法制度について、それから、施策展開どうするのかみたいなものが基本のスタンスは見える形になっている必要があるので、これはトータル4つを共通をしてということで、最後に書くのか、基盤づくりの最初のところで書くのかというのはあるとは思うんですけど、最初のところで、基盤づくりというのはどういうものもやるのだということがはっきり逆にする方がいいのではないかと。
佐藤会長
法制度の機会について議論しているわけではないので、ただ、こういう取組をしたときに必要があればやらなければいけないだろうということで、子育てだけを挙げたわけではないので、そういう意味では括弧の中を落とすというのもあり得るかもわからないですけれども、必要があれば、そういうこともということですね。どこに書くか、少し考えさせていただきます。
杉山委員
9ページのところに……
佐藤会長
9ページ、戻る。
杉山委員
ごめんなさい、戻ってしまって。<子育てフレンドリーな社会>ということで、社会全体で見たときに子育てが「子どもの育成に多くの大人が」というのが書いてあるのですが、結局もともと根本にあった女性に負担が物すごくかかっている子育てということに関してどこにも目指していないというのは、ちょっと私としては納得ができないので、子育ての喜びであったりとか、父親の参画であったりということはどこかに入れていただきたいということと、それから飛んでしまって申し訳ないのですけれども、15ページから16ページのあたりで、例えば「多様な働き方」とか「女性の再チャレンジ」というようなこともあるのですが、そのときに気をつけたいのが、正規と非正規の雇用の格差みたいな部分というのは、前回のこちらの報告書のところにはしっかり書いてありますので、それは踏まえて、いい面ばかりというか、多様性ばかり言って、多様性と言いながらすごく格差が開いていましたということにならないように、ちょっとを気をつけたいなというところがあります。
 それとあと15ページのところの<地域の活動に関わるきっかけづくり支援>というところで、もう少しハードルを低くしていいのではないかと個人的には思って、例えばお父さんがおやじの会を保育園でつくるとか、何かそういうような、すごく個人的なところから、少しずつ地域に入っていくのだよというようなことを目指しているのか、いや、そうじゃなくてNPO活動にどんと入るんだよということなのか、ちょっとわかりませんが、急に地域とか言われても困る人多いのではないかと思うので、そこは少し具体的に書いてあげた方がいいのかというふうに思いました。
 以上です。
勝間委員
細かいことで、16ページ目の戦略4のイノベーションの部分なんですけれども、2段目の「e-ラーニング」になっているのですが、恐らく「ICT全体」とした方がよくて、e-ラーニングだとちょっと定義が狭すぎるかなと思います。e-ラーニングはあまり正直言って役に立たないというのが私たちの今のところ常識になってしまっているので、e-ラーニングというと、ちょっと反発がある可能性があるのでICTにしていただければと思います。
佐藤会長
ただ、ICTの方があまりポビュラーじゃないということかな。それはe-ラーニング等とやるか、情報技術を活用したということですね。
武石委員
どこに書くのか、もしかしたら9ページのあたりかもしれないのですけれども、つまりワーク・ライフ・バランスがバラ色の社会で、今、杉山さんもおっしゃった、いいことづくめみたいなんですけど、働く人にとっては、確かにいいことなんですけど、前にもちょっと言ったかもしれませんが、消費者という視点から見ると多少の不便が出てくる社会になると思うんですね。その不便が出てきたところを多分地域の力がカバーしたり、もう少し自助努力したりという部分がある。これを目指す社会に書くのか。これまでは、何でもお金で買って、すぐに便利なものが買えたわけですけれども、それは相手のハードワークの上に乗っかった便利さだったと思うんです。ワーク・ライフ・バランスということは、多少そこのトレード・オフがあって、自分でできることは自分でしなければならないという、自立した人たちが生きる社会がある。そこで地域のネットワークとか、それが必要だから、さらにまたそこの地域にかかわることが重要だという、何かそういうのがないと、ワーク・ライフ・バランス、働く人の場だけの議論ばかりでいいのかなというのが1つ感じたんですね。
 もう一つ、それと関連するのですが、12ページのところに(行政機関の率先垂範)というのがあって、これが、組織のマネジメント改革の中にあるのです。私は行政機関が、こういうことをやるという社会的な意義があると思います。、例えば霞が関が夜遅くまで仕事をしていると、私、民間のシンクタンクにいましたけれども、夜、遅く、この仕事をやってくれと言われると、民間企業の人たちは遅くやらなければいけなくて、行政機関がちゃんと定時で終わってくれれば、世の中がかなり変わっていくということがあると思うんです。
 そういう意味で、行政機関で働く人のワーク・ライフ・バランスというのもあるのですけど、行政機関がそういうことをやることによって、社会の仕組みが変わる可能性がある。、別なところにもう少し大きな話で書いてもらってもいいのですが、公務員のワーク・ライフ・バランスということに対して国民の厳しい批判も考えられる。公務員は楽だね、ということになることもあると思うんですが、実はそれによって社会が変わる可能性があるのだということを書いておくと、公務員がモデルになるというような気がしました。
佐藤会長
そこは結構難しいけれども。
植本委員
16ページの戦略4:時間・場所の制約を克服する、ここでテレワークとe-ラーニングしかないということ自体がちょっと違和感がありまして、時間・場所の制約、それは選択肢が狭まっていることをどう変えていくのかということを指しているとしたら、むしろ解決する課題のところ、表現がダブるのか、ここをどう書くのかというところがあるんですが、こっちの企業のマネジメントのところで書かれている時間管理のこととかが、むしろ、そういうものではないのかなと。まず、そういうのがあって、その中で、また場所の問題がありますよと。時間管理の問題があって、それから、もう一つは、場所の問題があるという、その両方がないと「時間・場所の制約の克服」というところは、どうしてこれだけしかないのとなってしまうのか。
 多分、先にマネジメントのところでたくさん書いてあるから、こっち側は落としたということであれば、先ほどのマネジメントのところの書き方なり、濃淡のつけ方の工夫というところも1つあったので、その辺との関連はあると思いますけど、時間・場所といった場合の時間のところは、8時間働いている人の時間管理のところの在り方というところの戦略的な整理があって、そして場所の問題とある方がわかりやすい。
北浦委員
テレワークのところで「場所・時間的制約を持つ者に」ということで、そういう人たちに対してのテレワークと、こういう感じになっているのですけれども、確かにこれは非常に重要で障害者の方とかあるわけですし、家庭の主婦の方も、これからはもう少し広げていくのであれば、これによって、逆にもっと多様な選択を持つようにする。何かその書きぶりをもう少し考えた方がいいのではないかと思います。
岡島委員
先ほど行政への配慮をという話ありましたけれども、同じようなことで、大企業は中小企業とか下請とか、あるいは派遣の方への配慮をというのも同じような中で入れていただければありがたいと思います。
 それから、もう一つ、ちょっと9ページに戻って恐縮なんですが、先ほどのバラ色のというのがありますが、例えば介護の圧力というのはどんどんかかってきますが、ワーク・ライフ・バランス推進と介護というのはどういうふうに考えていくのかなというのがちょっとわからなくて、それが恐らくワーク・ライフ・バランスの定義とか、あるいは全体のまとめ方のトーン、どこまでの広さでワーク・ライフ・バランスの議論をしていく、ここで提言としてまとめるのかというところにつながっていくと思うので、ちょっとその辺を教えていただければと思います。
佐藤会長
介護の必要性は高くなるみたいな話は少し頭の方にあったかと思うんですが……
岡島委員
あまりバラ色ではないですね。
佐藤会長
そうですね、そういう意味では。どうぞ、大沢委員。
大沢委員
16ページに(関連する法制度等の柔軟な見直し)とあって、これを見ると、こういった柔軟な働き方ができるように法制度を変えていこうというふうに読めるのですが、さっき言ったように、価値観を変えるということになると、例えば正社員とは何かというところがやっぱり重要になってきているので、正社員というのは会社の都合に合わせて働くものであるという、ここの定義を変えていくための関連法案というのをつくって、個人が主体に生きられる社会をつくるのだと、私自身としては、ここの専門調査会というのはそこに焦点を当てるべきで、あまり企業とか、そういう主眼を小さいところにしてしまうと、例えば正社員だけに影響が及ぼされるものに限られてしまう。今、本当に時代の転換点であるとすれば、日本の社会制度が個人の選択に制約を与えているというところのメッセージは、もう今出さなければだめだと思います。
 これから、非正規・正社員、結局、非正規が増えたことが少子化のさらなる低下をもたらしているわけだし、これの問題というのは、例えばどんなことが起きるかというのも韓国を見れば明らかなわけですね。1997年のIMFのクライシス以降の、本当に子どもが安心して育てられないという、そこを社会がつくっちゃっているというところもある。社会だけではないけれども、そこが出てないというのはおかしいというふうに思いました。
 以上です。
佐藤会長
働き方の見直しのときは、従来の正社員の働き方を変えるというもので、それもいろんな正社員の働き方が出てくることを目指すことだと思います。
 まだいろいろあるかと思いますけれども、大体1回目としてはよろしいですか。きょうは全体の構成、あと中についてのいろんな表現、貴重な御意見伺いましたので、それを踏まえて、また、中間報告(案)の新しいバージョンをつくっていただいて、次回もう一度議論していただくというふうにしたいと思います。
池永調査課長
先ほど9ページのところの、社会の姿、バラ色ということで、御批判が多かったのですけれども、ここは目指す社会の姿という部分はある程度示すとして、ここが、例えば分量的にバラ色過ぎるということなのでしょうか、あるいは、これはこれで、やはり今なぜこうなのかということをもっと前の方で書く必要があるということなのでしょうか。皆様がおっしゃったバラ色のところはどのように受けとめていけばいいのかと思ったのですが。
岡島委員
私もバラ色ということを言ったひとりですので、申し上げさせていただきます。私の言った趣旨は、ワーク・ライフ・バランスは、正社員と非正規労働の差が広がるとか、家庭の中で介護がよりやりやすくなるというような面もあり得ると思うんですね。そういうことも含めていろんな面があるので、あまり議論を幅を広げ過ぎるよりは、むしろ今の企業の働き方をどうするかというところに焦点を絞った方がいいのではないでしょうかと。いろんな議論が広がり過ぎるので、企業の働き方ということで報告書の案をまとめた方がいいのではないでしょうかということを実は申し上げたかったのです。
 ですから目指す姿というのはバラ色でいいと思うんですけれども、その裏として限定した方がいいのではないか。
鹿嶋委員
私も似たようなことを言ったのでしますけれども、これだけ列挙する必要はないのではないかと思う。もう少しポイントを絞って、目指すべき社会の姿を提示していった方がいいのだと思う。と同時に、こういう目指すべき社会の姿というのがなかなか実現が困難だというようなことも、一言でもいいから、こういう中に入っていれば、単なるアドバルーン打ち上げただけではないという印象が与えられると思うので、印象の問題だと思うんですよね。
佐藤会長
今のままだと社会が持続できないですね。そういう意味では、別の方向を目指さないといけないということで、だから、それは日本社会変えるという、どういう方向を目指すかで、あまり書かなくてもいいのかもしれない。それは相談して考えます。
 事務連絡あれば。
池永調査課長
ありがとうございました。また、随分日にちが近いのですけれども、次回5月16日(水曜日)ということで、会場は本日と同じく内閣府本府の3階の特別会議室です。きょうの御議論を事務局で整理しまして、また、中間報告(案)の取りまとめに向けてさらに御議論を深めていただきたいと思います。開催通知は改めて送付させていただきます。
植本委員
済みません、取りまとめというのは、16日に取りまとめるという意味でしょうか。それともそのところで出た意見を整理して、また、最終的に何かするということなんでしょうか。
池永調査課長
16日にある程度集約していただくのですけど、ただ、そこでもいろいろ御意見がありますので、できれば細部とか細かいところは会長にお任せいただくというか、ある程度の大どころとしては合意というようなことがしていただけるとありがたく存じます。
佐藤会長
16日に出たもので、もうそれで終わりという意味ではない。ですから、もちろんすごい大きな意見が出て、根本的に直さなければいけないということになれば、極端なこともう一回設定しなければいかんことになるかもわかりませんが、基本的にはもう一回開くことは予定してないという意味です。ただし、もちろん出たもので終わりという、100%完成のものが出ますという意味ではないです。ですから御意見があるものはその後、修正するということは考えています。
紀陸委員
早めにいただけるとありがたいですね。
佐藤会長
前の日の午後ぐらいが早い、ぎりぎりかもわかりませんけれども。
板東局長
また、16日に御議論いただきまして、修正したものを、また再度皆様にもお送りさせていただいて、またチェックしていただくということも併せて考えたいと思いますので。
佐藤会長
可能な範囲内で努力していただくということでお願いできればと。
小室委員
ホームページにこの委員会に関することが発表されたり更新される日にはURLとか、更新されましたという情報をいただけると大変うれしいかなと思います。結構問い合わせがいっぱいホームページに来まして、いつ、どこで発表されたんだろうと思って把握してなかったので。
池永調査課長
お手元に第4回の議事録の案がございますので、お忙しいところ申し訳ないのですけど、5月21日までに修正をいただけると大変ありがたく思います。ありがとうございました。
佐藤会長
いろいろ貴重な御意見いただいてどうもありがとうございました。また、次回よろしくお願いいたします。

以上