仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会(第1回)議事録

  • 日時: 平成19年3月5日(月) 10:00~12:00
  • 場所: 永田町合同庁舎第1共用会議室

(出席委員)

佐藤
会長
植本
委員
大沢
委員
岡島
委員
鹿嶋
委員
勝間
委員
上手
委員
川島
委員
北浦
委員
紀陸
委員
小室
委員
高橋
委員
武石
委員
永木
委員
羽入
委員
牧野
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 政務官あいさつ
  3. 委員紹介
  4. 運営規則について
  5. 本専門調査会の今後の検討事項及び進め方について
  6. 意見交換
  7. 閉会

(配布資料)

資料1
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会の設置について [PDF形式:110KB] 別ウインドウで開きます
資料2
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会委員名簿
資料3
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会運営規則(案)
資料3-1
男女共同参画社会基本法 [PDF形式:9KB] 別ウインドウで開きます
資料3-2
男女共同参画会議令 [PDF形式:8KB] 別ウインドウで開きます
資料4
少子化と男女共同参画に関する専門調査会における提言・調査報告 [PDF形式:15KB] 別ウインドウで開きます
資料4-1
少子化と男女共同参画に関する提言「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を可能とする働き方の見直し」 [PDF形式:96KB] 別ウインドウで開きます
資料4-2
「両立支援・仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)推進が企業等に与える影響に関する報告書」 [PDF形式:21KB] 別ウインドウで開きます
資料5
参考資料 [PDF形式:9KB] 別ウインドウで開きます
資料5-1
民間団体等の提言・報告 [PDF形式:24KB] 別ウインドウで開きます
資料5-2
ワーク・ライフ・バランスに関連する政府の主な計画・報告等 [PDF形式:39KB] 別ウインドウで開きます
資料5-3
諸外国の取組例 [PDF形式:73KB] 別ウインドウで開きます
資料5-4
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する参考統計デ-タ [PDF形式:111KB] 別ウインドウで開きます
資料6
当面の進め方とスケジュールについて(案) [PDF形式:25KB] 別ウインドウで開きます
岡島委員提出資料1
企業の働き方の見直し促進~「ワークライフバランス」の推進~ [PDF形式:17KB] 別ウインドウで開きます
岡島委員提出資料2
埼玉県子育て応援共同宣言 [PDF形式:12KB] 別ウインドウで開きます

(プレス入室)

板東局長
おはようございます。本日は大変お忙しいところ朝早くからお集まりいただきましてありがとうございます。また、委員の皆様には大変お忙しいところを委員をお引き受けいただきましてありがとうございます。
 本日、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会第1回目でございますので、最初に、谷本政務官の方からごあいさつを申し上げたいと存じます。
谷本政務官
皆さんおはようございます。内閣府大臣政務官を務めます谷本龍哉でございます。本日は第1回の調査会ということで、大変忙しい皆様方に委員をお引き受けいただきまして本当にありがとうございます。第1回目の調査会ということで一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
 本専門調査会は、男女がともに、人生の各段階で、自らの希望に沿って様々な活動に参加できる社会を目指すことを目的といたしまして、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進に関する調査検討を進めていただくという大変重要な専門調査会でございます。先般の2月14日に男女共同参画会議が開催されまして、その場で安倍総理よりワーク・ライフ・バランス、しっかりと推進してほしいという言葉をいただきました。ワーク・ライフ・バランスは、個人個人に人生の充実をもたらすだけではなくて、家庭の充実であったり、あるいは地域、組織・会社、こういったところの活力をしっかりと生み出していく、そういう大変重要な施策であって、これから我が国が最重要課題として追求していかなければならない問題であるというふうに考えております。
 本専門調査会において委員をお引き受けいただきましたそれぞれの専門家の皆さんに活発な御議論をしていただきまして、いい成果を出せるように頑張っていきたいと思います。そして同時に、私も微力ではありますが、尽力をしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。
 ありがとうございます。

(プレス退室)

板東局長
どうもありがとうございました。
 それでは、今回、初会合でもございますので、ここで委員の皆様の御紹介と事務局の紹介をさせていただきます。
 それでは、資料2をご覧いただきたいと思います。委員の名簿を掲げさせていただいておりますので、五十音順に従いまして御紹介させていただきたいと思いますので、恐縮でございますが、御紹介させていただきましたときにお立ちいただければと思っております。
 それでは植本眞砂子委員でございます。
 大沢真知子委員でございます。今、ちょっと席を外しておられます。出席されておりますけれども、後でお戻りになることになっております。
 岡島敦子委員でございます。
 鹿嶋敬委員でございます。
 勝間和代委員でございます。
 上手康弘委員でございます。
 川島隆太委員でございます。
 北浦正行委員でございます。
 紀陸孝委員でございます。
 小室淑恵委員でございます。
 佐藤博樹委員でございます。
 次に杉山千佳委員は、きょうはご欠席でございます。
 高橋重郷委員でございます。
 武石恵美子委員でございます。
 永木浩子委員でございます。
 羽入佐和子委員でございます。
 牧野光委員でございます。
 それでは、担当しております事務局、男女共同参画局の方のごあいさつをさせていただきたいと思います。
 私、局長をしております板東と申します。よろしくお願い申し上げます。
長谷川総務課長
総務課長をしております長谷川と申します。よろしくお願い申し上げます。
定塚推進課長
推進課長の定塚と申します。よろしくお願いいたします。
池永調査課長
調査課長の池永と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
矢島分析官
分析官の矢島と申します。よろしくお願いいたします。
板東局長
それでは、本調査会につきましては、会長は男女共同参画会議議長でございます内閣官房長官が指名をするということになっておりまして、佐藤先生にお務めいただくということで指名をされているところでございます。今後につきましては、佐藤先生の方に議事進行をよろしくお願い申し上げたいと思います。
佐藤会長
それでは御指名ですので、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会の会長を務めさせていただきます。皆さんの御協力を得て、この会の目的をきちんと遂行できればというふうに思います。
 それでは、お手元の議事次第に従いまして、本日の審議を進めさせていただきます。まず最初に、本専門調査会の設置の経緯について事務局から御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
板東局長
今、大沢先生来られましたので御紹介させていただきます。大沢真知子委員でございます。
長谷川総務課長
それでは事務局から、本専門調査会の設置の経緯につきまして御説明申し上げます。資料1をご覧をいただきたいと思います。
 これは2月14日の男女共同参画会議にお配りをした資料と同じでございますが、3枚目をまずご覧いただければと思います。専門調査会の改組のイメージ図というものがついてございます。男女共同参画会議の下に4つの専門調査会、これまでもあったわけでございますが、そのうちの右側の方に「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」といったものがございました。これは少子化と男女共同参画の関係などにつきまして国際比較をしたり、国内分析の報告をしたり、あるいはこのワーク・ライフ・バランスに関連しましても政策提言をしたりいたしてきたわけでございますけれども、設置に関する調査が昨年末で大体終わっておりまして、それに伴ってこれを廃止しまして発展的に改組をして、今回皆様にお集まりいただいております「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」を設置するということで参画会議において決定されたものでございます。
 1枚前に戻っていただきまして、横長の(参考1)と右上に書いてございます。「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する調査審議に当たっての考え方」という横の表があろうと思います。これについて簡単に触れさせていただきたいと思います。
 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」のとらえ方でございますが、私どもの方で整理させていただいたわけでございますけれども、男性も女性もともに、人生の各段階、もちろん子育て世代もございますけれども、例えば介護や能力開発等も含め、生涯を通じまして、仕事と家庭生活、地域生活、個人の自己啓発といったような非常に幅広い様々な活動につきまして、自らの希望に沿った形でバランスをとりながら展開できるような状態というふうに考えてはどうかということでございます。
 そこで矢印がついてございますが、それによってどういうふうになるかということでございます。左側の方が「ひとりひとりが、様々な希望を実現し、豊かさを実感」と書いてございますが、個人にとってはどうかということでございます。5つほど例示を挙げてございますが、例えば男性にとってみれば、家事・育児・介護、地域活動の希望を実現できる。あるいは女性につきましては、家庭生活と両立し、キャリア形成や再就職が可能といったようなことを書かせていただいております。
 右手の方に行きますと、企業、家庭、地域にとってどうかということでございますが、企業や組織にとりましては、例えば最近でもダイバーシティー・マネージメントといったようなことも言われておりますが、人材の多様性、意欲の向上といったようなことで活力に満ちたものになるのではないか。あるいは家庭生活、地域につきましても、そこに書いてございますようなことで充実、活性化していくのではないかということでございます。
 2番目としまして、「調査審議の在り方」と書いてございます。検討事項の例などございますが、ここにございますように、意識の問題がありましたり、働き方、あるいは様々な活動に関わる制度・慣行の問題があったり、職場の在り方・マネージメントの問題といったものもあろうかと思います。また、仕事と生活の調和を支える例えば保育や介護サービスといったような多様なサービスがあるのかということでございます。
 それから、「検討の視点」ということで、何を念頭に置いていくかということで例示を3つ挙げてございますが、さきに申しましたように、出産や子育て期の女性だけでなくて、男性も女性もすべての人の人生の各段階におけるワーク・ライフ・バランスについての検討ではないか。
 2つ目でございますが、企業における取組が中心となろうと思いますけれども、それだけでなく公務とか第一次産業、教育・研究部門等、非常に幅広い仕事の領域を視野に入れて検討したらどうか。
 あるいはこういうワーク・ライフ・バランスといったものを推進する主体としては、個人、企業、npo等々、行政も考えられますが、それぞれの主体が期待される役割について検討してはいかがでしょうかということで書いてございます。
 それでは、資料1の1ページに戻っていただきまして、目的というのが上の方にございます。ただいま申し上げましたように、この調査会の目的としては、男女がともに、人生の各段階におきまして、様々な活動を自らの希望に沿って展開できる社会の実現を目指してワーク・ライフ・バランスの推進に係る調査検討を行うということでございます。
 大きく2つほどございますけれども、1つ目が、ワーク・ライフ・バランスの意義や重要性、取組の大きな方向性等についての調査検討ということでございます。当面といいますか、まず先にこの関係につきましての調査審議をお進めいただきまして、夏頃までに取りまとめをお願いしたいということで考えております。後ほど大まかな進め方については、御相談させていただくことになります。
 それから、2つ目ですが、引き続きましてワーク・ライフ・バランスの推進に資するような統計データ、事例等について実証的な面も含めて分析をしていってはどうかということで2つ書かせていただいております。
 構成員はそこにご覧いただくような皆様方にお見えいただいてございます。参画会議の議員の先生が3名に加えまして、専門委員としましては学識経験者の方々、企業関係者、経済団体や大学、自治体等々様々な方にお見えいただいております。
 最後に参画会議の場で、参画会議の議員の先生から出た御意見を三つほど御紹介して御説明を終わりたいと思います。一つは、例えば環境isoのように、企業が社会や市場から評価されるような環境づくりが重要ではないかといった御意見、あるいはファミリーフレンドリー・ファンドやcsr調達と公契約での優遇など様々な取組が見られるわけですが、このように社会全体でワーク・ライフ・バランスに取り組む企業を育てていくと、そういうことが必要ではないか、といったような御意見がございました。
 それから、企業の取組としまして、労働時間の短縮と多様な働き方の提供が必要ですが、特に難しいのは労働時間の短縮であって、専門調査会におかれては、いかに競争力を落とさずに長時間労働を是正していけるかといったようなことについても検討してほしい、といったような御意見もございました。
 それから、現状認識ですが、長時間労働か不安定な非正規雇用かという労働の二極化が見られる。現状では年次有給休暇の取得も不十分な状況もあるということから、働き方の見直しが必要ではないか、といったような御意見がございましたので御紹介させていただきます。
 以上でございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。本調査会の設置の経緯と、その設置は男女共同参画会議で決定されたわけですけれども、そこの場でこの調査会でどういう目的で設置内容を検討するかということを御説明いただきました。会議で決定された目的の範囲を超えて議論するというのはなかなか難しいと思います。どこに重点を置くか、どういうふうに議論するかということについては後でまた議論する機会がありますので、そのときに皆さんの御意見を伺えればと思います。
 それでは審議に入りたいと思います。まず議事次第4の運営規則についてです。本専門調査会の運営規則につきましては、事務局の方で案を用意しているということですので、まず、それについて御説明をお願いいたします。
長谷川総務課長
それでは資料3に基づきまして、本専門調査会の運営規則についての案を御説明申し上げます。
 お手元のものをかいつまんで御説明いたしますが、第1条のところでございますが、この調査会の運営に関してはこの運営規則の規定によりますということが書いてございます。
 第2条でございますが、調査会は会長が招集する。
 第3条で、委員の欠席の関係でございます。この調査会では代理人を調査会に出席させるといったことはできないということを最初に書いてございます。
 第2項でございますが、調査会を欠席される委員の先生におかれては、会長を通じまして書面で意見を提出することができると書かせていただいております。
 第4条で議事でございます。調査会は会長が出席し、かつ、調査会委員の過半数が出席することが必要だということを書いてございます。
 第2項ですが、議事は出席した調査会委員の過半数で決し、可否同数の場合には、会長の決するところということで書かせていただいております。
 第3項でございますが、調査会の議題等によりまして、必要があると会長が認められるときは、調査会委員の過半数が出席しないといった場合でも調査会を開くことは可能だといったことを書かせていただいております。
 第5条の議事要旨でございます。会長は、調査会の終了後、速やかに、この調査会の議事要旨を作成して公表するということでございますが、議事要旨につきましては委員の先生の名前は記載しないもので要旨をつくらせていただきたいと思います。
 第6条でございますが、議事録につきましても作成して公表するわけですが、これは調査会に諮った上で、一定期間後に公表いたします。議事録につきましては、委員の先生の名前も記載をさせていただくことになります。
 第7条でございますが、会長代理の規定でございまして、あらかじめ会長の指名する委員が職務を代理するということでございます。
 第8条の雑則については、この規則に定めるもののほか、必要な事項につきましては会長が定めるというものでございます。
 以上でございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。専門調査会が改組されて新しくなったわけですが、1つ違うのは、第4条の3、テーマによっては過半数でない場合でも開く場合があり得るということです。あと議事録要旨は名前が入らない形ですけど、議事録は名前が入ったものが公開されるということです。これについて御質問ございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

佐藤会長
それでは、運営規則につきましては、事務局の原案どおり決定したいと思います。
 それでは、ただいま決定された運営規則の第7条において、会長は、会長代理を指名することになっております。そこで、会長代理につきましては、大沢委員を指名させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 政務官は公務のため、ここで退席されます。お忙しい中、貴重なお時間を割いていただきまして本当にありがとうごさいました。

(谷本政務官退室)

佐藤会長
それでは、続きまして議事次第の5、本題になりますけれども、「本専門調査会の今後の検討事項及び進め方について」です。これも事務局で資料を用意していただいていますので、これを説明していただいて、その後、先ほどのワーク・ライフ・バランスの考え方などを含めて意見交換できればと思います。よろしくお願いいたします。
池永調査課長
今後の検討事項とスケジュールに入る前にこれまでワーク・ライフ・バランスについて、少子化と男女共同参画に関する専門調査会で議論されてきたこと、民間団体や各府省における提言や報告、諸外国の取組例、参考統計データについてごく簡単に御紹介をしたいと思います。資料4-1をご覧ください。
 資料4-1は「少子化と男女共同参画に関する提案」となってございます。これは平成18年5月に、男女共同参画会議に対して少子化と男女共同参画に関する専門調査会から出された提案でございます。この提案の背景としては、女性の就業継続や再就業が困難な状況、雇用形態・就業形態別の労働時間や賃金収入における格差、すなわち子育て期の男性正規社員の長時間労働など。さらに3つ目の背景としては、子育て世代だけではなく、親の介護をする中高年層なども様々な理由から生活の時間を必要としているということがございます。
 施策の方向としては、生活の質を高めるため働き方の実現、ライフステージに即して働き方を選択できる環境の実現、正規社員の働き方の柔軟性確保と非正社員の処遇の改善等々そこに記載されているものが出されております。
 また、具体的施策としては、個人の意識啓発・能力開発にかかる施策、組織の雇用環境整備にかかる施策、関連する法・制度の整備にかかる施策等の3つの領域において、ここに記載されているような施策について示しております。
 資料4-2をご覧ください。
 少子化と男女共同参画に関する専門調査会では3つの報告書を取りまとめました。国際比較と国内分析におきましては、出生率と女性の就労の関係を調査いたしまして、子育てと女性の就労をめぐる社会環境の改善が、出産・子育てと就労の両立にプラスに働くこと、そして、特に働き方の見直しが大きな課題とされました。
 続きまして、3ページをご覧ください。
 この専門調査会では、さらに企業による両立支援策、ワーク・ライフ・バランス促進等が企業活動・職場に与える影響を調査しました。
 そこでは、中ほどの2つの四角にございますけれども、管理職対象に調査を行い両立支援制度の利用は、職場に「プラスの影響が大きい」こと、具体的には「仕事の進め方について見直すきっかけ」になったという結果が出ております。一方、職場のマネジメントが難しくなったとの意見もありました。
 右側の四角に「男女の働き方とワーク・ライフ・バランス」とございます。
 男女の意識調査をしたものですが、これは子育てにやさしく、女性登用に積極的な職場の場合、既婚・独身や男女を問わず仕事の満足や意欲によい影響を与える。また、自分の生活において、ワーク・ライフ・バランスが図られていると感じている人の方が既婚・独身や男女を問わず仕事への意欲が高いという結果が出ています。
 こういった調査から、ワーク・ライフ・バランスが職場にもメリットがあること。日頃からのマネジメントの仕組みが重要であるというまとめをしております。
 続きまして参考5-1をご覧いただきたいと思います。参考資料5ということで、クリップで止めております1枚外していただいて、資料5-1でございます。
 これは民間団体のワーク・ライフ・バランスに関する提言・報告をまとめております。ワーク・ライフ・バランスというテーマ、タイトルがついているわけではございませんけれども、そういったワーク・ライフ・バランスについて提案として入っているものということでまとめたものでございます。日本経団連を初め数々の団体でワーク・ライフ・バランスの推進の重要性を挙げております。
 続きまして資料5-2をご覧ください。こちらは最初にa3の1枚紙がついております。これは政府の中でワーク・ライフ・バランスに関連してどのような計画や報告が出ているかということをまとめたものでございます。
 「視点」というところで、男女共同参画、少子化対策、教育等々出ておりますけれども、こういった様々な視点から、また各府省において関連の取組が進められております。
 内容につきましては、その次のページから概要ということで御紹介しております。
 続きまして資料5-3をご覧ください。
 これは諸外国の取組例です。1ページ目に「アメリカ・イギリス・ドイツの取組」と書いてございます。アメリカでは、民間の自発的企業努力が中心である、イギリスでは官民挙げた「ワーク・ライフ・バランスキャンペーン」、ドイツでは「ファミリーフレンドリー」の考え方が主流となっているということでございます。
 1枚めくっていただきまして2ページ目に入りますと、これは1970年代以降の諸外国の両立支援策ということが出ております。
 続きまして3ページ目を見ていただきますと、その中でも先ほど官民挙げたワーク・ライフ・バランスキャンペーンということで進めましたイギリスについて紹介しております。3ページの四角の下の方に流れが出ておりますけれども、イギリスの取組で特徴的なのは、チャレンジ基金の創設を含むワーク・ライフ・バランス向上キャンペーンということと、柔軟な働き方への申請権を認めたフレキシブル・ワーキング法といったものが挙げられます。
 さらに続きまして資料5-4でございますけれども、これはワーク・ライフ・バランスに関する参考統計データです。時間の関係で1つ1つを御説明することができないのですが、目次をご覧ください。ここに掲げておりますデータは、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に対する希望と現実」ということで、これは希望と現実に大きなギャップがあるといったことでありますとか、働き方の現状ということで長時間労働や両立が難しい働き方というデータです。
 また、3に書いてあります「両立支援やワーク・ライフ・バランスの仕事への影響」というところは、先ほど少子化と男女共同参画の専門調査会の報告でお示ししましたような両立支援やワーク・ライフ・バランスの仕事への影響といったデータが出ております。
 また、お時間のあるときに見ていただければと思います。
 続きまして、今後の進め方と検討事項について、事務局でご用意させていただいた案についてお諮りしたいと思います。資料6をご覧いただけますでしょうか。当面の進め方ということで、6月頃までの大まかなスケジュールをお示ししております。
 今後、3回程度専門調査会を開催しまして、その間、毎回3~4名の委員、あるいは場合によっては外部の有識者から15~20分程度短くポイントを絞った形での発表をいただきまして、それを受けて御議論をいただければと存じます。
 ここで3つのテーマをお示ししております。この「検討テーマの候補」というところで3つ掲げてございますけれども、1つは企業・組織における取組でございまして、企業や大学関係の委員から。2つ目は、企業・組織の取組を支援する団体の活動とございます。これは団体関係の委員から。3つ目は、「個人にとってのワーク・ライフ・バランスの意義、ワーク・ライフ・バランスを支えるサービス等」とありますが、支援ビジネスやネットワークづくりを実践されている委員からのご発表をお願いできればと思っております。
 この3つのテーマというのは、1回の調査会につき1つのテーマということではなく、今後3回でカバーしていただきたいと思っております。皆様の御専門にかんがみまして一応のグルーピングをして、発表いただくに当たって、それぞれ焦点をあてていただきたいものでございますけれども、他のテーマに触れていただいたり、その後の議論では全テーマを視野に置いて議論いただいたり、比較的柔軟に進めていただければと思っております。また、すべての回に共通して、その都度その都度、国、地方公共団体、民間団体、社会全体などに求められることについての御意見をいただければと思います。
 3つのテーマについてより具体的なポイントは後ほど御説明します。
 このように、あと3回ほど御意見をいただいた後、御議論という形をとった後、5月中に議論を整理して、6月頃に中間的な取りまとめをお願いしたいと存じます。
 次のページを見ていただきますと、今申し上げた3つのテーマについて、より具体的なポイントを挙げております。このテーマ案1の「企業・組織における取組」でございますが、両立支援策制度など、ここに取組の例と掲げてございますけれども、この例にあるような取組について取組を始めた経緯や必要性、障害と克服策、人材育成やマネジメント面の工夫、コストと効果、成功のカギ、今後の課題、行政等に期待することなどを御検討いただければと思います。
 テーマ案の2の「企業・組織の取組を支援する団体の活動」と書いてあるところでございますけれども、これはワーク・ライフ・バランス推進に関する団体の活動状況とか、そういう活動を通じて様々な企業や組織の状況を見てこられたと思いますので、これまで把握された事例や課題であるとか、あと団体としての役割や今後の方向性、行政等に期待することなどを御検討いただければと思います。
 テーマ案3につきましては、「個人にとってのワーク・ライフ・バランスの意義」として、自己実現、家庭や地域における責任・役割、身心の健康保持等の視点といったことや、ワーク・ライフ・バランスといったときに、子育て・介護と仕事の両立というのはかなりよく言われているのですけれども、もっと広い、それ以外というか、もっと広い意義としてどのようなことが考えられるかといったようなことがございます。
 また、ワーク・ライフ・バランスを支えるサービスということなのですが、どのようなサービスが必要なのか、また地域社会の役割や行政等に期待することについても御検討いただければと思います。
 ご発表をお願いする委員、またそのタイミングについては現在調整させていただいておりますので、また、その際はよろしくお願いいたします。
 また、本日の御議論を踏まえまして、またご発表に当たっては事前に質問項目というか、クエスチョネアーをお送りしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 事務局からの御紹介は以上でございます。
佐藤会長
きょうは初会合ということですので、この調査会で当面何を検討課題にするのかということがある程度共有できるということと、もう一つ、それを踏まえてどういうスケジュールでやっていくのかということについて御意見伺えればと思います。
 それと専門調査会ではある範囲以内、時間も限られていますから、ワーク・ライフ・バランスについてある程度いくつかに焦点絞って議論していくことになると思いますけれども、もちろんきょうは最初ですので、もう少し広めにいろんな御意見も伺えればと思います。
 スケジュールは一番最後に検討することにしまして、この専門調査会で何を議論するのかということについて御意見を伺えればと思いますが、資料1をもう一度見ていただければと思います。資料1をあけていただいて(参考1)ですけれども、そこに「仕事と生活の調査(ワーク・ライフ・バランス)とは?」という説明がありますが、一番最初の資料1で開いて横のものですけれども、ワーク・ライフ・バランスという言葉、最近よく耳にするわけですけれども、やや通常使われているワーク・ライフ・バランスよりもここに書かれているのはかなり広いと思われる方多いかと思います。一般というか、割合最近使われていますのは、働いている人たちです。働いている人たちが、働いている労働生活とそれ以外の生活がコンフリクトを起こさないように、調和できるような仕組みをつくっていくことが大事であると。そういう形でワーク・ライフ・バランスを取り上げるわけですけれども、ここは別に働いている人だけではなくて、一般家庭にある方とか専業主婦ということも含めてそれぞれの各段階においてワーク・ライフ・バランスが実現できて、そのことによって一人ひとりが様々な希望を実践し豊かさを実感できる、そういうふうにとらえられています。
 ただ、審議事項の方を見ますと、働いているといいますか、それは企業だけではなくて、組織の中で働いている人にかなり焦点をあてて検討する形になっています。基本的には様々な働いてない人も含めてワーク・ライフ・バランスを検討するわけですけれども、当面8月ぐらいまでは、あるいはいろんなライフスタイルをとっている人、ワーク・ライフ・バランス考える一番今課題になっていますのは、例えば高齢期のワーク・ライフ・バランスも、働いているときに地域生活とのバランスをとれた仕事の仕方ができていると引退過程、地域への柔軟な移行ができたりということがありますし、例えば専業主婦も、夫・配偶者がどういう働き方をしているかということによって専業主婦の子育てのかかわり方も違ってくると思いますし、また働きたいと思っていても、なかなか夫の働き方に制約されて、例えばパートタイマーとか、あるいは働けないとか、そういうこともあると思いますので、まず、組織で働いている人たちのところのワーク・ライフ・バランスを考えることによって、そのことは配偶者なり、その人の高齢期とか、あるいは結婚してない若い人たちも含めてそういう人たちのワーク・ライフ・バランスを変えていく上で1つの突破口になるのではないかということでそこに焦点があてられているという御提案だと思います。
 そういうことを多少踏まえた上で、事務局の説明資料についてでも結構ですし、皆さんどんなワーク・ライフ・バランス、広義でいいと思いますけれども、ワーク・ライフ・バランスを考える上でどんなことが課題か、この専門調査会ではこういうことを検討したらいいのではないか、その辺広く御意見をまず伺えればと思います。
 それとお手元にこの資料があると思いますが、これは先ほど御紹介ありました改組される前の専門調査会の一番最後に出した報告書です。これから検討する内容のバックグラウンドになるものだと思いますので、また見ていただければと思います。それではどなたからでも、紀陸さん早めに出られるというふうに伺っていたので、もし。
紀陸委員
まだ大丈夫です。
佐藤会長
ではどなたからでも、事務局の説明で質問があれば、それから伺えればと思います。
川島委員
東北大の川島でございます。今回、資料6でテーマ案を3つ挙げられていますが、ある程度具体的なテーマについて書かれていますけれども、これらの項目はこれまでの、例えば会議等々でどこまで審議が進んでいて、何がどこからどこまでが新しいことなのか、要は既に審議されているところをトレースするだけのディスカッションをするのであればテーマ自体が非常に総花的ですから結局時間だけつぶして終わるという感覚を非常に強く持っておりますので、まず、ぜひ整理していただきたいのが、どこまでが既に審議されていて、ある程度見えているものであって、どこからがこの専門調査会できちんと新しい議論としてつくらなければいけないのかというところの要点整理をしていただきたい。もしかしたら、これは全部挙げてあるところがしなければいけないという新しいところなのかもしれないので、そこのところ、一体どういう感覚でこれを書かれたのかということをぜひ御質問したいと思います。
池永調査課長
委員の御指摘、誠にごもっともだと思います。こちらにつきましては、かなり過去から議論がなされておりますが、それにつきまして、ただ、議論されているから、それですべてワーク・ライフ・バランスについて、もうこれでいいのだということではなくて、そういう提案がなされている。でも現実として進んでいない、現実として進んでいないとすれば、現場でどういう問題があるのかというところがむしろ焦点なのかなと思います。今までどういった議論がというようなことはまた整理したいと思いますが、むしろ制度ということより、どういった現場レベルでの障害があるのかといったところにむしろ焦点があたるのではないかというふうに考えております。
川島委員
ということは、概念的なものをディスカッションして決めていくというよりは、どちらかというと、ある程度枠ができているところに対して、それが現実にフィットしているかどうかということを審議するのが、この専門委員会の役割だという理解でよろしいのでしょうか。
佐藤会長
この(参考1)の調査審議の在り方、検討事項の例というふうに挙げられております。今、委員が御指摘のように、例えばワーク・ライフ・バランスについて、なぜ育児休業制度が導入されても活用しにくいのかとか、ワーク・ライフ・バランスがとれている人、とれてない人で、例えば意欲とか、仕事継続しているけど、どう違うか、かなり研研究が進んでいるのは事実です。そういう点では専門調査会でかなり整理していますので、ただ、それを踏まえた上で何が課題かというと、ここに書いてありますように、1つは、制度はあるけれども、活用されてないというのが一番大きいわけですね。そうすると職場の在り方、マネジメントというのが挙がっているのは、仕事の仕方とか、時間の管理の仕方みたいなところを変えていくというのが1つ大きいところだと思うんです。それは余り研究が進んでいないし、そういうものが課題だとわかったらどう進めるかという枠組みについてはかなり議論していく必要があるだろうと思います。
 あともう一つ、議論されているのが、雇用セクターというか、民間、ここでは割合、パブリックセクターも含めて組織で働いている人という点ではかなり範囲は広いということです。ですから範囲を少し横に広げるということと、制度だけではなくて、様々な両立支援制度が活用できるような仕組みを企業の中でどうつくっていくのか。そのために働いている意識をどう変えていくのか。あと外側のサービス、自治体や民間のサービスどういうものが必要なのかというのを検討しようということで事務局の案ができているということです。もちろんこのとおりやらなければいけないということではありませんので。
川島委員
わかりました。
板東局長
今のお話のように、現実はいろんな制度が今ワーク・ライフ・バランスに関連して法制であったり、企業の中で取り組まれたりいろいろあるわけでございますが、今のお話のようになかなかそれが活用されてない面がある。これはどうしてなのかという問題が1つ。
 それから意識の問題ということでいきますと、先ほども参画会議の議員の意見ということで御紹介させていただきましたけれども、まだ、企業がパフォーマンスをしっかり上げながら、しかし従業員のワーク・ライフ・バランスという問題などに取り組んでいくというときに、企業をどういうふうにすればパフォーマンスが維持をできるか、もっと上げていけるかという問題と、むしろワーク・ライフ・バランスの推進を図っていくことによって、逆に中長期的に見たとき、総合的に見たときの企業のいろんなメリットが生じてくる。そのあたりの話については、正直申しましてまだまだ十分に分析をされててない部分というのがあるかと思います。先ほどの専門調査会の報告書にも、これは企業の方の意識調査などはされているのですけれども、ただ、コスト、メリットというのをどう具体的に分析をしていくかというところについては、まだまだ突っ込んだ分析は我が国でも十分ではないと思っておりますので、こういったいろんな観点から、それをどういうふうに検討していったらいいかということも御議論をいただければありがたいと思っています。
 いずれにしろ意識の問題はまだまだ社会全体としては十分ではないのではないか。 先ほども参画会議の議論のお話も出ていますけど、社会全体で、そういった頑張っている企業に対してメリットをもたらしたり、支援をしたりといったような仕組みのところはまだ不十分ではないか。このあたりの問題についても、改めて議論を深めていく必要があるのではないかと思っております。
紀陸委員
今、川島先生のおっしゃられたことと板東さんおっしゃられたことと重なるんですけれども、言葉ではワーク・ライフ・バランスとか、かなりはやっていますけれども、意味するところは相当に幅広です。光のあて方によって出てくる答えの方も違ってくるわけで、何の論議をここでするか。過去もやってきていますし、今でも別のところで検討しようとしているとか、かなりラップして論議が行われる可能性がありますので、本当に焦点をどこに絞るか決めないと、論議が広がっていく可能性が大いにあるのだと思うんですね。それだけにいろんな意味、内容を含んでいるということで難しさはわかりますけれども、それが1つと。
 あと、スケジュール感で、6月ですか、中間的な取りまとめというのと、いわゆる政府の方の施策実施の絡み、諮問会議ですとか、ああいうものとのつなぎというのはどういうふうにお考えなんですか。
板東局長
御承知のように、6月に諮問会議の方で骨太方針などの議論がかなり行われまとまってくるという段階でございますので、例えば少子化の方の会議もあるわけでござますけれども、いろいろなところが、これから予算などに盛り込んでいくべき事柄、これからの財政運営に盛り込んでいくべき事柄、重要な点については骨太方針などに向けてまとめをし、提言をしていくというのが政府のいろんな会議などの連携の形になってまいります。この中間的な取りまとめについても施策の中に重要な事柄として盛り込んでいくべき事柄があれば、先ほど申しました経済財政諮問会議で検討される骨太方針なども視野に置きながら、それとのリンクを図っていくということ、あるいはほかの会議などとの連携を図っていくということを併せて考えていかなければいけないというふうに思っております。
紀陸委員
そこのところは論議しながら考えるということなんですね。
板東局長
今、御指摘のように、ほかでもいろんな切り口は違いますけれども、検討されているものがございますので、そういうものとの、審議の仕方自体もいろんな棲み分けとか重複がないような形でやっていく、あるいは中身についての連携をとっていくという必要もあると思います。それから、先ほど申しましたように、そういったものをいろいろ集約した形で政府の骨太方針などに盛り込まれていくということはございますので、必要な事柄についておくれないような形で提言をそちらの方につないでいく必要があろうかと思います。
佐藤会長
少子化対策との絡みでワーク・ライフ・バランス議論されることが多いんですけれども、ここでは別に少子化対策、少子化を解消するためにワーク・ライフ・バランスを議論するということが主たる目的ではないと。もちろんワーク・ライフ・バランスが実現できる社会ができれば、少子化をもたらした要因の解消になることはもちろん間違いないと思いますけれども、それ自体が議論の主たる目的ではないというふうには考えています。
 ここでのワーク・ライフ・バランスかなり広いのですけれども、どこにターゲットを絞るかというと、やはり働いている人たちのワーク・ライフ・バランスに焦点を置いて議論しようと。働いている人たちのワーク・ライフ・バランスが実現できることによって社会全体のワーク・ライフ・バランスの改善にかなり貢献できるのではないか、そういう戦略の立て方で、特に働いている人たちに焦点絞れば、私が考えているワーク・ライフ・バランスというのは、働いている人たちが仕事に割ける時間が制約されてきている。私は「時間制約」と言っているんですけれども、仕事以外に一定の時間を割きたい、あるいは割けなければいけないという人たちが増えてきていると。ですからそういう時間制約を持った社員、企業からすれば、時間制約を持った社員をいかに意欲的に効率的に働いてもらうかというような働き方の仕組みをつくらないとこれからやっていけないと。
 働く人からすれば、そういう職場や企業になってくれないと、自分が希望する、仕事以外に割きたいという時間や、そういうのが確保できないと。そういう社会の中で、どういう職場づくりや企業経営をしているのか。そのためには企業も変わらなければいけない、実は働く人たちもそうなんですね。仕事に一定の時間しか割けないわけですから、それをいかに効率的に使うかということも働く人、一人ひとり考えなければいけないと思っていまして、そういう意味ではまさにマネジメント、企業や職場のマネジメントと同時に本人の時間マネジメントというのもすごく大事になるのかなというふうに私は思っています。
羽入委員
羽入と申します。今、川島先生のお話もありまして、佐藤先生のお話も伺っていて、ここで議論するべきことが何かということですけれども、1つ伺いたいのは、資料1の3ページ、(参考2)というところにこの調査会の位置づけがございますけれども、政府関係で様々な審議会や委員会がございますが、その中でワーク・ライフ・バランスというものを議論するところというのはほかにはあるのかないのか。ないとすれば、ここで恐らく、この調査会の中でもワーク・ライフ・バランスというものはどういうものかという定義をまずしなくてはいけないのかということを御質問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
佐藤会長
私が知っている限りだと割合近いテーマだと、今度の「子どもと家族を応援する日本重点戦略会議」、その中で働き方の見直しの分科会が1つあります。ですからテーマとしてワーク・ライフ・バランスと言っていませんが、働き方の見直しという点ではかなり近い。ただ、それは少子化、希望する人は結婚し、希望する人は希望するだけ子どもを持てるような、そういう社会をつくっていくという中で働き方を見直すという点で、広い意味では少子化にかかわる議論に限定されると思いますけれども、それが1つあります。
板東局長
今の資料の5-2のところで、特に今、この表の平成19年というところをご覧いただきますと、特に線で囲んであるところなどが、今、関係する問題について、全面的にということではございませんけれども、検討する中の一部分にそういった事柄が盛り込まれています。今、佐藤会長の方からお話がございましたように、「子どもと家族を応援する日本重点戦略会議」というのがスタートしておりまして、そこの働き方の改革分科会、これはワーク・ライフ・バランスの問題だけではなくて、例えば若年の労働者の雇用の問題、フリーター、ニートの問題などを含めていろんな議論がされているわけでございますけれども、そういったところでもワーク・ライフ・バランスの推進というのが少子化対策の観点から出てくるというふうに思っております。
 それから、経済財政諮問会議におきまして、一番下のところでございますけれども、労働市場改革という観点で、これは労働市場改革からのアプローチでございますが、その中の1つとして多様な働き方の問題というのが出てくるかと思います。
 それから、既に中間的な第1次まとめみたいなのが出ておりますけれども、教育再生会議でも、そこでワーク・ライフ・バランスなんかの推進というのも、教育にいろんな人たちが取り組んでいくと。父親が取り組むとか、そういったことから考えても重要であるという話がまとめの中にも頭を出していると。
 それから、今、イノベーションの戦略なんかにおきましても、イノベーションを生み出していくような環境、働き方といったような問題というのもそこで顔出しておりますし、むしろイノベーションがワーク・ライフ・バランスを支えていくような側面もあるのではないかというような御指摘があります。それぞれいろんなアプローチでワーク・ライフ・バランスの問題は頭を出しているというのが事実でございますけれども、真っ正面からこのワーク・ライフ・バランスの問題について検討しているのはこの専門調査会、専らと申しますか、それをやるのはこの専門調査会であろうかと思っております。
岡島委員
今、会長からは、働いている人のワーク・ライフ・バランスと、特に雇用分野におけるということだと思うんですけれども、そこに焦点を置くということでお伺いいたしました。
佐藤会長
当面ということです。
岡島委員
当面ですか、わかりました。働いている人のワーク・ライフ・バランスといいますと、企業の中で働く人ということで正規雇用的な方が中心になっていくのかなと思います。そうしますと、問題点もまさにおっしゃられたように、企業や職場のマネジメントの問題、競争力の問題ということが中心になるかと思うんですが、ここは男女共同参画審議会の下の専門調査会ということで、別に女性に限ってやる必要は全然ないと思いますけれども、労働分野での問題として焦点を置いて取り上げるのが本当にいいのかどうか。例えば働くといってもいろんな働き方があって、それこそパートタイム的な働き方もあれば、自分でやるという起業、グループでやるような働き方、ボランティアに非常に近いような働き方とかいろんな働き方がありますので、雇用労働の今いろんな問題がありますけれども、その分に焦点を絞る必要はなくて、もう少し幅広く、多様な働き方の中でのワーク・ライフ・バランスといったような切り口を少し入れた方がいいのではないかと思うんですけれども。
佐藤会長
それはおっしゃるとおりで、参考1の検討の視点の2行目見ていただきますと、企業を中心としながら、公務とか、npoなんかも含めて検討するというふうに、それは自営セクターとかということ。当然働くというとき、典型労働だけでなくて非典型も含めてというふうには考えています。まずは6月というのもありますので、そういう意味では働いてない人も含めてというふうには考えていますので、1つは働いているといってもいろんな働き方がありますから、企業だけでなくて、広い意味での組織の中での組織労働、民間セクター、パブリックセクター、自営、家族従業員というようなことも含めて考えていこうと思いますが、まずは当面その辺からヒアリングを進めようという趣旨です。
大沢委員
大沢です。私もワーク・ライフ・バランスについて非常に関心を持ってきました。ワーク・ライフ・バランスについても、講演に呼ばれて話したこともありますが、一番聞かれる点が、まずワーク・ライフ・バランスということがいい言葉かということなんですね。例えばワーク・ライフ・ブレンドとか、ワーク・ライフ・シナジーとか、ハーモニーとか、それぞれ皆さんイメージされるところが違う。その背後を探ってみますと、ワーク・ライフというのは、ワーク・ライフ・バランスをとることによって仕事の時間が削減されるから逆に仕事の生産性が減るということではなくて、むしろ両方を両立するような工夫をすることによってどっちもいい効果がある。つまり相乗効果があるという、そこがテレワークを導入された方のお話を伺っても、そこら辺が一番重要な点かなと思いますので、先ほども競争力をそがない形で導入するという、ワーク・ライフ・バランスというのはとかく競争力をそぐのではないかということを思われる方も多いかもしれない。そこの誤解をとくことが非常に重要かと思います。
 もう一つは、日本の労働生産性、日本の経済力は非常に強いというか高い、世界第2位の経済規模ですが、労働生産性はoecd30か国の中で19位ということで、製造業は4位だけれども、全体の労働生産性が低いということは北浦さんが十分検討されていることだと思うんですが、このワーク・ライフ・バランスの導入がそれを上げる起爆剤になるというふうにとらえられるのではないか。つまりイノベーションのところでeラーニングとeジャパン戦略との関連でうまくいけば生産性が上がる。これが日本が再生されるかぎだというふうにどこの委員会でも聞けますので、そういう観点から戦略的にこのワーク・ライフ・バランスをとらえていくと、皆さんが理解しやすいのではないかなと思います。
 以上です。
佐藤会長
先ほど、私、時間制約と言いましたけれども、企業からすると社員、それぞれ24時間、365日、社員は一人ひとり時間持っているんですけど、その中で使える時間が限定されるということは、企業が使える労働時間というのは有限な資源だということをももう一度考え直すということなんですね。ですから有限だから、逆に効率的に使うという発想になってくるので、そういうふうに考える1つのきっかけになるのかなというふうには考えています。
武石委員
今の大沢先生のシナジーというのは非常にそのとおりだと思います。バランスという言葉が与えるイメージなんですけど、てんびんがつり合ってバランスがとれているというイメージがあって、ワーク・ライフ・バランスというのは、時間制約のある社員が増えているわけなんですけど、一方で制約のない人もきっといて、要は企業からワーク・ライフ・バランスをとらえたときに、みんなが家庭重視になっちゃって困るということではなくて、いろんな人がいて、仕事をバリバリやりたい人もいるし、もっと生活を重視したい人もいるという多様性があるということがワーク・ライフ・バランスということから伝わればいいのですが、50対50のつり合っている状態のものがイメージされるとちょっと違う。多様性というものをすごく強調していくことが大事だと思います。
 もう一つ、ワーク・ライフ・バランスを働く側から考えると、時間が制約されて労働時間が短くなるという方向になるのですが、社会全体で考えたときにそういう社会というのは、消費者の視点から立つと、例えば百貨店で勤めている人のワーク・ライフ・バランスを考えると、百貨店が夜遅くまであいていないということも受け入れなくてはならないと思うんです。働く側の視点からというのはあるのですが、そのときに描く社会というもの、多少私はそういうことをがまんしながらワーク・ライフ・バランスは進めていかなければならないと思いますが、ワーク・ライフ・バランスというのは物すごいバラ色の社会が訪れるということではなくて、一方で制約が出てくるということも考えなくてはいけないかなというふうに思います。
 以上です。
佐藤会長
非常に大事な点だと思います。そこはライフステージというふうに書いてありますから、一人に焦点をあてると、極端なこと言うと、仕事にすごく集中する時期があってもいいし、あるいは子育てとか勉強とかという時間とらなければいけないときもあるし、企業からするといろんな人が出てくる。ですから仕事がメインの人もいれば、そうじゃない人、いろんなライフスタイルの人が意欲的に働けるような仕組み、生活できるような仕組みということだと思います。ただ、確かにそれはなかなか伝わりにくいので、それは考えていこうと思います。ほかにはいかがでしょうか。
勝間委員
済みません、質問なんですけれども、時間当たりの労働生産性の分析というのは今までどのぐらい進んでいるのでしょうか。1つのkpi(key performance indicator)としてのアウトプットとして、時間当たりの労働生産性がワーク・ライフ・バランスが整っている企業ほど高いといったような指標がないとなかなか議論が進まないと思っています。私もマッキンゼーのときに労働生産性随分分析をしまして、日本が明らかにおっしゃるとおり低かったんですね。大体4~7割ぐらいで、輸出競争力がある産業のみがほぼ他社と同じ100という形だったのですが、そのときも金額の計算をしたのですけど、時間の計算をしておりません。ですので、もし何かアウトプットとして出せるとすれば、ある程度のそういう指標となるべき数値の開発というのが1つあり得ると思っております。
 2つ目として標語ですね、先ほど皆さんがおっしゃっていた、ワーク・ライフ・バランスが多分標語として何となく美しくないので、ワーク・ライフ・バランスよりも、すごくそれをやると企業の人が得になるんだみたいなイメージがあるような標語みたいなものを出せればいいのかなと考えています。
 以上です。
佐藤会長
北浦委員、何か時間当たり生産性で何かあれば。
北浦委員
時間当たりの生産性というのは大変難しい問題でございまして、私どももいろんな研究やっておりますけど、その点が前々から不十分なところでございまして、それは課題であると思っておりますので、いいご示唆をいただきながらまた進めてまいりたいと思っています。
 私の方から、それ以外のことで、逃げているわけではありませんが、2点ほどちょっと申し上げさせていただきます。
 1点は、先ほど岡島委員からお話があった点だと思うんですが、別に男女共同参画会議の下にあるからというわけではありませんが、確かに働き方とのバランスを考えた場合に、正規の従業員の視点よりも、むしろ私は正規以外の従業員の方とのバランスの問題を考えた方が、この点は余り触れられてないような気がするんです。パートタイムにしても、実はそれ自体がワーク・ライフ・バランス的な働き方として求められている。でも、その方が本当にバランスがうまくいっているのかどうか。こういったところがどうも余り十分に検討されてないような気がしております。フルタイム型の働き方についてはいろいろ問題があると、御指摘のとおりだと思いますが、そこの点を含めて考える。
 ましてをや自営業のような、いわばフレキシビリティーのあるような働き方ですが、実はこういったような方々がフレキシビリティーがあるかというとなかなか難しい。そういった中において、例えばそういった方々が今度保育サービスを受ける場合に、在宅ワークの方なんかは典型でございますが、そういう方が保育サービスを受ける場合に優先順位がどうなのかとか、そんな議論なども含めて考えますと、そういうようないわゆるフルタイム型を働き方を前提にしたライフサービスの考え方というもの、そこのところの矛盾みたいなものがないのかどうか、これが1点ございます。
 それから、2点目はこの図式を見ていてちょっと気がついたのですが、生活の方、仕事以外の様々な分野に広げております。余り拡張するのはいかがかと思いますけれども、これを見てみますと、逆に仕事以外の生活同士のバランスというのも場合によってはあり得るのかなと。例えば介護負担というものは、これは個人の事情ではありますけれども、介護負担というものが非常に重い場合に、他のものがなかなか活動ができない。とすれば、これはある意味でのワーク・ライフ・バランスの私は1つの姿ではないか。それはシャドーワークというかどうかは別の問題としまして、そういったような面も含めて、私は仕事以外の広げられたことが非常に意義が高いと思っておりますが、そこ全体のバランスというようなことも少し視野に入れておくと、従来とは違った視点が出てくるのではないかと思います。
佐藤会長
前半の方で、ワーク・ライフ・バランスを議論すると、働いている人は長時間労働を短くしたいと思っている。それは確かに事実なんですけれども、雇用者全体見ると長くしたい人も結構いるんですね、短時間のところでは。ですからワーク・ライフ・バランス、もう少し働きたいという人も結構いたりして、ですからパートタイムなども働きたいけれども、例えば年金の問題とかいろんなことで制約があるとかということもありますので、そこも非常に大事な視点だと思います。
鹿嶋委員
ワーク・ライフ・バランスという言葉自体は使わなかったけれども、私の認識では過去にも生活と仕事の調和というのは大分あったわけですね。例えば1970年代前半に福祉大国構想というのは、これは田中内閣のときに出ますけれども、これは高度経済成長期終えんで様々な問題、矛盾が出てきていると、公害問題はじめ、そういう中で生活、福祉が大事だということなんですが、これはその後の石油ショックで飛んじゃうんですね。1990年代に入ってから生活大国構想というのが出ますけれども、これはその背景にあるのは今と似ていましていわゆる少子化問題があるわけですね。1989年の合計特殊出生率1.57。
 今度2000年に入ってからワーク・ライフ・バランスというものが出てくるのですが、この背景には文字どおり少子化という問題があると思うんですけれども、ずっとかけ声をかけつつ、かつ経済がある程度ピークまでいって、何か危機的状況が来ると必ず「生活」というのが出てくるんですね。それがなかなか実現しないという非常に悩ましいところがあるので、昨年、きょうは北浦委員も私と一緒に、いわゆるワーク・ライフ・バランスの推進会議というのを立ち上げて、今いろいろ議論もしているのですが、そこでの合意点は何かというと、要するに実効性あるものにしようと。もうスローガンはいいというふうなことで合意点はできているわけですね。
 となってくると、ワーク・ライフ・バランスのメニューを今から新たにどんどん盛り込むというのももちろん大事なんですけれども、一方で、なぜ仕事と私生活の両立、調和というのができにくいのかという、むしろ企業の立場に立っての分析といいますか、特に中小企業の場合なかなか難しさがあるわけですね。いくつかの会合で中小企業の経営者の皆さんに話を聞くんですけれども、それは大企業の問題だろうというふうなこともまだおっしゃっている。だとすれば、どうしたらいいのかという、過去にずっとやってきた仕事と生活のバランス、そういうワーク・ライフ・バランスという言葉こそ使わなかったものの、そこでなかなか実現できないものというのはずっと尾を引いて今にきているわけですが、なぜできないのかという分析も、こういう専門調査会の中である程度きちんとやって出していく必要があるのかなというふうな気がしています。
紀陸委員
私もお願いしたいと思っておりまして、我々もこの問題でいろんなヒアリングをしているんですけれども、先進事例が多いんですね。大企業さんは当然、そういう意味で多少目的がずれていても、広い意味でこの問題を会社の中の仕組みとして取り入れているんですね。資料6の2枚目にスケジュールがございますけれども、実際にこの中でヒアリングを受けられる企業さんとか組織は限られていますよね。今、鹿嶋先生言われたように、何で広がらないのか。しかもイメージしているのはみんなかなりばらばらなんですね。単純に、これは時短施策じゃないのという考え方とか、いや、もっうちょっと違うんだと、それがわからずにヒアリング受けている場合結構ありますので、そういう意味で論点絞ることすら難しいんですけれども、もう少しこの問題から一番遠いところあたりからヒアリングを受けることの方が本当はかえって大事なのかもしれませんという感じがしますね。
小室委員
ワーク・ライフバランスの小室です。私どもの会社の主な仕事として、企業のワーク・ライフ・バランスをとりたいというご要望に合わせてコンサルティングするという仕事をするのですが、その中で実際に取り組み始めてちゃん進めた企業と、取り組み始めているんだけど、ちっとも進まない企業というものの差で見てみると、中で管理職の方たちが、その意味がちゃんと理解できた企業とそうでない企業にかなり差があるなと。
 私どもに最近とても多いご依頼が、管理職意識改革セミナーをやってくださいというのが非常に発注が多いんですけれども、その中で主にお話するときに一番響くなというのが経営メリットの話ですね。この経営メリットが腑に落ちないと、これはぶっちゃけた話で、非常にアンケートに書かれることが多いのが、今までワーク・ライフ・バランスというのは人事部が国から言われてしようがなくてやっているので、自分のところで無視しておくのがいいのだと思っていたと。愛社精神としては自分が無視して育休をとらせないとか、残業をさせるとかというふうにしておいた方が会社としては経営メリットがあるのだというふうに思っていたので、愛社精神のあらわれとしてストップしていましたというところが、きょうは経営メリットの話が聞けたので、自分が逆にやらないと企業に背くことになっているのだということで考えをスイッチできましたというようなことをアンケートに書かれる管理職の方が大変多いので、私たち稚拙ながらいつも経営メリットのことを一番に掲げてセミナーをするのですが、ここがまだまだどうしてもデータが足りない点でして、特に残業がなぜいけないのかということをよく質問されることに対しての説明が非常に難しく思っています。
 現時点でどのように説明しているかといいますと、先ほど佐藤先生がおっしゃった時間制約を持った社員のお話なんですけれども、例えば今はたった1割か2割程度が時間制約を持っていると。その段階でほかの人たちが好きなような残業をしていると。この2割の方たちはどんなに能力が高くても時間勝負では勝てないので1番にはなれないので、育児なんで時間制約を持った瞬間に、もう私は1番になれないということでモチベーションダウンを非常にすると。これが優秀な人ほど1番になれないのに頑張ってもしようがないということで育児の方に目が向いていくことが多いと。これが今であれば、一部の育児をする女性社員の本当にちょっとだけということで切り捨てていけるのですが、これが15年、20年たてば介護世代というのが非常に増えてきて、男性の社員もほとんどが時間制約を持つようになってくると。
 そういった時代になると、それでも残されたほんの少しの時間制約のない社員が好きなように残業していると、ほとんどほかの社員はみんなモチベーションダウンする会社になるということで、一部の残業を許していると、実は時間制約を持った社員たちのやる気というのを失わせていくのだというところが、これはアンケートの中、意識調査ではかなり如実に出てきているんですけれども、これを数値化は難しいのかもしれないんですが、していけたらいいのかなと。今、残業ができる人たちがいたとしても、この人たちの時間をあえてさせないで、はい、スタート、はい、終わりの中でちゃんと仕事をしてくださいねというふうにして、必要な人材であればきちんと補充するということをすれば、何年たってもだれもモチベーションダウンしない組織でいられるというようなことが、現時点で考える組織上のメリットですよというふうに私ども説明するのですけれども、こういったことが何かきちんと数値とか、もしくは先進企業の事例とかであらわしていければいいのではないかなというところで、進んでいると言われている大企業も管理職のほとんどがまだワーク・ライフ・バランスを真に受けてないという、それはやるべきなのかどうかということには自分自身で勝手にやらない方がいいというような結論を出していることが非常に多いという現実を身にしていますので、その辺の方たちが会社のためにもいいんだということを本気で取り組めるきっかけになるようなデータというのがこの会でつくれればいいなというふうに思います。
佐藤会長
非常に大事な点だと思います。私は余りワーク・ライフ・バランスを実現できる企業、職場にしないとメリットがないんだ。そうすればメリットがあるというふうに言うのは余りいいのかなと思って、私はメリットというよりかはワーク・ライフ・バランスをとれるような職場づくり、企業経営をやらないと成り立たなくなると、職場や企業は。メリットどうこうの話ではないんだということがすごく大事ではないかと思っていて、ですから、これからの管理職からすれば、部下が介護で短時間勤務になったり、あるいは短時間もとれなければやめちゃうとか、あるいは育児休業断ったりとか、そういう社員が出てくるわけですよね。ですからメリットどうこうの話ではなくて、そういう社員が出てくるのは当たり前だという職場づくりやれないということは、逆に言えば、そういうリスクに対応できないマネジメントをやっているというのはどうなのかということなのかという気もしていまして、両方言っていく必要はあるかなと思っています。
小室委員
もう一点、済みません。非常に求められるのは、ダイバーシティー時代になったら、自分はどういうマネジメントをしたらいいのかというのを非常に悩んでおられて、人の能力を適切に図るということの不安、そんなことは習ってこなかったというところで、時間たくさんいる人を評価するということから、能力ではかる時代にとよく言われるけれども、具体的に自分はどうしたらいいのかというところを非常に悩んでいることが多くて、ダイバーシティー時代の評価方法、マネジメント方法というところも非常に必要なのかなと思っております。
勝間委員
質問させてください。日本の労働生産性が悪いのは労働市場の流動性の欠如だということがよく言われていますけれども、要は労働生産性が悪ければ、本当は人を雇い続けられないのに低賃金にして長時間労働としてもってしまうというところがあるようなんですが、あるいはそういう非常にワーク・ライフ・バランスが悪い職場があったらやめてしまってほかに移れればいいんだけど、それができないということがあると言われていますが、この辺に関する調査分析というのはあるのでしょうか。

(紀陸委員退室)

佐藤会長
ただ、実際上、若い方を見ると相当日本も離職率高いですよ。20代の転職率というのはアメリカと日本はそんなに変わらない。ただ、30代のところになると日本の方が低くなるということで、ですから、今20代のところでは相当移動している。それはワーク・ライフ・バランスだけが問題かどうか別として相当高いのは事実だと思います。ですから移動率が低いからだけではないという気がしますけれども。
勝間委員
1つ因子分解としてなぜワーク・ライフ・バランスが悪いのかというのをもう少し数値的なデータで見たいなと思ったんですね。そうしないとどこを解決していいのがよくわからないと、集中的に。
高橋委員
私も職業流動性の問題というのは結構大きいと思っているんですね。先ほど企業の視点ということから話が進みましたけれども、個人の側から見ても、例えば希望するライフコースというものを我々の意識調査でとっていますけれども、そういうのを見ても全部男女で違うし、年齢ステージでも大分違うということがあるので、そうした個人の側から、一体ライフステージに応じた働き方を選択しようとする場合、一体今の日本の現状というのはどうなっているのか、その視点ですね。それは一方で職業流動性が非常に小さい社会なので、ある年齢に達したときのライフコース選択が非常に難しくなっている可能性がありますから、そうした観点で少し検討できればと思います。
佐藤会長
ほかには、まだ時間ありますので、第1回ですからいろいろ御意見、どこまでやれるあれですけれども、どうぞ。
植本委員
先ほどのワーク・ライフ・バランスという言葉の問題も実は連合の中でも議論になりまして、今も「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)とは」というふうにいまだにワーク・ライフ・バランスが表に出てじゃなくて括弧書きのところに入っている資料などもあるわけですけど、「調和」という言葉と「バランス」という言葉の持っている先ほどおっしゃった内容の部分があって、調和を図るときに仕事と家庭と地域と、生活を仕事と家庭ということの2分割ではなくて、仕事と家庭と地域というこの3分割のところでどのような調和を図っていくのか。バランスという場合も3分割のところでのバランスだということがメッセージとして伝わるような裏づけが必要なのではないかというのが先ほどの議論をお聞きをしていての感想なんです。それとここの検討事項の例、(参考1)のところで調査審議の在り方として、検討事項の例として4点お示しをいただいておりまして、その中の「職場の在り方・マネジメント」のところでは、働く側から見れば、仕事の与えられ方といいますか、仕事配分において、どれぐらいそれぞれ働いている側の希望が生かされているか。そこがミスマッチを起こしていれば、当然生産性は下がるというところがあります。その辺をどういうふうにしていくのかということは、私たちの課題でもあるわけですが、これからの部分でいけば、そういう希望をかなえるということはどういうことなのかということも少し検討いただけたらと思っております。
 それと、ほかの省庁との絡みのところで、それぞれの研究会のところでありましたが、仕事と生活と地域の調和ということを考えた場合でも、働くという言葉の持っている意味なり、生活における意味ということ、これは教育の場なり、それは家庭、地域の存在がどういう子育てをしていくかということとかかわりますが、これは継続して行っていく。今、切り分けたその瞬間のところではなくて、ライフステージの最初の出発点から終末のところまでをどのようにしていくのかということのイメージを少し鮮明に出していく方がいいのではないかと思います。
佐藤会長
ワーク・ライフ・バランスのライフは家庭もあるし地域もあるし、個人の生活、自分の個人の生活と仕事ということもあるし、家族との関係、地域との関係というものを含めて考えるということにしたいと思います。確かに調和とバランスというのは結構難しいところですけれども、私は意外にワーク・ライフ・コンフリクトがない状態というんですけれども、仕事だけやっていてもその人がコンフリクトを感じなければ、その人はワーク・ライフ・バランスとれているというふうに思って、もちろん結婚していれば、夫婦のコンフリクトがないかどうかというのはもちろんありますけれども、24時間のバランスが48時間の時間があればもちろんありますので、その辺は皆さんからいろいろ定義、定義というか中身が何かということは少し中間報告出すときまでにまとまればいいかなと思っています。いかがでしょうか。
川島委員
実際全くの素人なので議論にもっと入っていきたいと思いまして、ぜひお聞きしたいのが、結局問題意識はどこにあるのかということの論点整理がされているかと。ワーク・ライフ・バランスがとれた生活、社会というものは一体何だという定義がなされていて、現実の社会はそれに対してどこがどうずれているかという論点整理がどの程度までされているのでしょうか。それがないと結局それぞれ各人が思っている理想の社会に向けてどうだこうだと言ってもまとまらないのは当たり前なので、共通の問題意識というのがどこまで絞り込まれていて、それをもとにしてこの委員会があるのだというところをちょっとお示しいただければと思うんですけれども。
佐藤会長
武石委員が言われたように、ワーク・ライフ・バランスがとれた社会全体どうかというのは多分ここで議論していかなければいけないことだろうと思います、まずは。それは整理されていて議論しろということではなくて、この専門調査会で議論していただければということで、先ほど私、ワーク・ライフ・コンフリクトと言いましたけど、ワーク・ライフ・コンフリクトがあるというようなことについてはいろいろ出てきている。それは個人にとってのいろんなストレスの問題とか、あるいは夫婦での、例えば女性のいろんな育児のストレスの問題とか、仕事の選択の問題とか、そういう問題はいろいろあって、ですからそれを解決するためにワーク・ライフ・バランスが必要だというある程度の整理はできているのではないかと思います。
川島委員
それらの問題がなぜ今重要なのかという論点整理がされているかというところがポイントだと思うんですが、ずっとコンフリクトは多分人間が社会をつくってからずってあったはずですから、なぜ、今あえてここでこうした議論が必要かというところの論点整理がされているかというところ。
佐藤会長
1つは、例えば子育てについて、男女共同参画会議ということでいえば、ある時期まで男性が働いて女性が家事や子育てをするという、それが働く人々も望ましいと思っているときにはコンフリクトが起きない状態であった時代だったと思うんですけれども、そうではなくて、女性も仕事を持ち、それで結婚し子どもを持っても仕事をやめないでと。男性も働いているけれども、子育てにかかわりたいという人が増えてくると、同じ状態であっても、コンフリクトを感じる人たちが増えてきたということは説明できるのではないかと思います。
川島委員
すると、今回の議論を通しての最終的な目標というのは、人々がストレスを感じなくなる方策ということですか。要はスタンダードが何かというところがわからないと、結局何を目指すかわからないですけど。
佐藤会長
一人ひとりが希望するライフスタイルが相当変わってきた。例えば、男性も子育てにかかわりたい、女性も子育てしながら働き続けたいと、そういうふうにライフスタイルが、例えば60年代、70年代と比較すれば今相当違うと。にもかかわらず、例えば企業の組織なり職場の在り方が、従来の60年代、70年代のライフスタイルの人ばっかりとして行われていると。そういう意味ではコンフリクトがある状態であると、これをなくすというのが1つ。これは私が考えていることですけれども。
板東局長
今、川島先生がおっしゃった、今、なぜワーク・ライフ・バランスなのかというのは非常に私は重要な御指摘だと思いまして、最終的にはそこのところをまさに肉づけをしなければいけないのだろうと思っております。男女共同参画からちょっと広がった話になってしまうかもしれませんが、今、佐藤会長言われたストレスの問題を言いますと、今、例えば働いている人の心身の健康の問題もいろんな形で出ておりますし、今、内閣府でも自殺対策などの関係をやっておりますけれども、そういったところでもこの問題が指摘されているということがごさいます。
 それから、当然のことなから少子化の問題という中で、ワーク・ライフ・バランスがとれてないというところの問題点というのが非常に指摘されておりますし、先ほどお話申し上げました例えば教育などの観点でも、地域や家庭の再生といいますか、力を高めていくということは、ワーク・ライフ・バランスの問題抜きには語れないと指摘されている。今社会や人間生活の在り方のいろんな側面から企業の生産性といった問題ももちろんでございますけれども、そういったいろんな側面から、今この問題が非常に指摘をされてきつつあるのではないか。
 それが先ほどちょっと御紹介しましたような、いろんなところが今検討を始めているというゆえんなのではないかと思いますけれども、それを総合的に取りまとめながら、今、なぜ、この問題に取り組んでいくことが必要なのかというところを、先ほど御指摘のエビデンスの部分なんかも含めましてちょっと大きく打ち出していくというのがこの専門調査会の1つの重要な役割なのではないかと思っております。
川島委員
そうお聞きしますと、例えばこの資料の5-2で、ほかで似たような、どんなことがディスカッションされているかというところが示されていますが、かなりほかの委員会というのは目標が絞られていて、そのワーク・ライフ・バランス、例えば教育という観点で考えるというのが、教育再生会議の方ですし、イノベーション25の方で、会社を通して社会とどうかかわるかというところがフォーカスになっているのですけれども、さらにそれらを総括するさらに上位の概念の話をここでするという出口の求め方なんですけれども。
板東局長
もちろんいろんな観点を見ていくというのもあるのですけれども、ほかのところで議論されているのは、どちらかといえば、手段としてワーク・ライフ・バランスの問題というのが浮かび上がってきているということであるかと思いますけれども、先ほどから個人にとってのワーク・ライフ・バランスといったような視点という御指摘がございますように、これは手段に限る問題ではなくアプローチをしていくことなども必要になってくるのではないか。そこの視点が少なくとも欠かせないのではないかと思っておりますけれども。゙
川島委員
ということは、具体的な手段だけではなくて、コンセプトにかかわるようなところまでここの会の中では話をしていくというとらえ方でよろしいわけですね。
板東局長
はい。
川島委員
わかりました。
佐藤会長
まずは男女共同参画会議の下での専門調査会だということはもちろん大事な点だと思いますけれども、その点で、今、なぜ、ワーク・ライフ・バランスなのかということはきちんと整理した方がいいと思います。
大沢委員
私の理解では、今までの日本の社会制度というのは、世帯主が働いて配偶者がいるという実態は違うんだけれども、そういう社会の仕組みができていたと思います。正社員の働き方というのは仕事優先の働き方なんですね。女性は家事や育児・介護をするということが想定されていたと。それで日本の場合、非常に早い発展を遂げて製造業で合理的なそういった男女分業の仕組みをつくってきたわけですけれども、今、経済の構造が大きく変わってサービス経済化、it化、経済の国際化、そして人口構造の変化という環境ががらっと変わったときにどうしなければいけないかということを内閣府の少子化などで検討してきた結果、男女共同参画のスタイルに社会制度や意識そのものを変えていかなければいけないというところに来ているんだと思うんですね。
 男女共同参画というのは、要するに仕事と生活の調和の資料5-4のところで見るとわかるのですが、6割の人は子育ても仕事も同時に重視しているという、この人たちが実現できない世の中にあるように私は思ったんですが、ここら辺、まだちょっと議論になると思います。ですから余り詳しく言いませんが、要するにそういう形で男性も女性も働き、無償労働も同時に担うような社会のモデルづくりをここで考えるというところがちょっと前提にあるのではないかと私は考えております。
佐藤会長
ほか、上手委員、何かいかがですか。せっかくですから。
上手委員
私どもの会社では、育児や介護と両立できるような施策をいろいろとやっているんですけれども、今、そういったものが従業員が求めているということを経営者の側は聞き取らなければいけないのではないかというような感じがいたしております。それと女性が、働きたくて働いているという御意見も先ほどありましたけれども、私ども秋田の方ですと、正直言って、働かないと食っていけないというところがありまして、男性の賃金が頭打ちになっている今、家族の中でも女性が働いて収入を持ってくるというのは非常に大事だと。そういう背景の中で、そういう人たちを私どもは従業員として抱えて経営をしていかなければいけないということを認識しなければいけない時代なのではないかと、そのように感じております。
佐藤会長
永木委員は。
永木委員
この調査会に参加させていただくに当たりまして、ねらいというか、何のためにというところを考えますと、これからも日本として、あるいは企業として活力ある国、活力ある会社にしていきたいというところのねらいでもってワーク・ライフ・バランスというのを考えていかなければならないのだろうなというふうに考えております。弊社でも「ワーク・ライフ・バランス」という言葉は使いますが、バランスをどこでとってもいいというわけではなくて、高水準でとらないといけない、ハイレベルなワーク・ライフ・バランスが必要であると言っております。バランスをとるという定義になってしまうと、ちょっと景気が悪くなると、それは後で考えましょうかという話になってしまう。どうしても景気の浮き沈みによって表に出たり、引っ込んだりというようなことになってしまいます。
 そうではなくて、ワーク・ライフ・バランス+パフォーマンスの向上というところが一体となっているということ。そのような高水準のワーク・ライフ・バランスを、弊社の場合では、「ワーク・ライフ・サイクル」と呼んでいます。ライフに費やしたエネルギーや時間は、そのうち、その人の個人が成長することによって仕事にも返ってくる。その仕事の充実がまた個人のプライベートの充実にもつながるというところで、サイクルという言葉を使うようにいたしております。
 ただ、会社全体、組織全体として現場すべてがそういったところの意識ができているとは決して言えませんので、ワーク・ライフ・バランスとパフォーマンスの向上は結びつくんだというところの確信を個人個人が持てるようになれば、取組として定着していくのかなと考えています。
佐藤会長
ワーク・ライフ・バランスの1つのイメージは仕事もほどほどという感じがあるのですが、実はそうではなくてメリハリついた働き方をすることだと思います。羽入委員いかがですか。
羽入委員
特に今申し上げることはございません。
牧野委員
我々の会社としましてよく考えていますのは、一人ひとりの人材というのはそれぞれユニークな力を持っていると考えています。では、その人たちの能力をどのように最大限に発揮してもらって、高い価値・効果を生み出すかというところの観点に立って組織運営をしていく必要があると思います。その上におきましては、時間の長さで評価をされてしまっていては、時間に制約がある人たちは評価されない。そういうときにどういう対応をするべきかというと、時間ではなく業務の成果でする必要があるかと思っています。そのためには、例えば80対20の法則とかあると思うんですけれども、例えば長い時間仕事をした人は、書面がきれいだとか、インターナルにパワーポイントがきれいなフォントでできているとか、そういうところでついつい評価したりするんですけれども、そうではなくて、コアなものは何なのかと。その人たちはどういう重要なことをやっているのか、あるいは1時間かけてできることを2時間かけてやってないのかとか、もし、その人が2時間あれば2つの仕事ができるのではないかというような観点で物事を見るということを管理者側が認識する必要があるのかなというふうに考えています。
 我々の業界はトイレタリー製品を扱っているのですが、どんどんお客さんが多様化していっているわけですね。その場合、我々自身かモノカルチャーではなくて、多様な人材がいることによっていろんな意見を発見できる、それを我々が認め合うことによっていろんな人のいろんな意見が新しいアイデアにつながるということがあります。例えば、サッカーが好きな人がいるとします。その人がサッカーのグラウンドにこういうコマーシャルをしたらどうだというような話をしたとしたときに、「何を言っているんだ、君は」と一蹴するような会議は行われるべきではなくて、そういう発想もあるなということをどんどん受け入れることによって、思っても見ないようなアイディアが出たり、思ってもみない商品が出たり、思ってもみないようなコマーシャルができたりとかということがあり得るのです。ここにおきましては、一人ひとりが時間にとらわれず活気を持って、そしてそういう環境をつくり出している会社に対して個人個人が共感を覚えることによって初めて組織というのは活性化するのではないかと思っています。
 そう言う意味では、多様な社員がプライベートでも、自分の興味を満たしたり、いろいろな経験をすることによって、仕事に活かすことができる。仕事で自分の力が発揮できて充実しているとプライベートもより楽しめるということで、我々はベターワーク、ベターライフと呼んでいます。そういう発想でいい仕事といい生活というのは切り離して考えられないものであって、両方が相乗効果を行うというような発想を会社側が持ち、それを個人個人が共感するということが重要なのかなと考えております。
佐藤会長
ベターワーク、ベターライフですか。
牧野委員
はい。
鹿嶋委員
何人かから似たような意見が出たのですけれども、岡島委員が一番最初に言ったと思うんですけど、このワーク・ライフ・バランスは男女共同参画という中でやるということが非常に大事なことだと思うんですね。政府もワーク・ライフ・バランス関連の、さっきの説明だといろいろあるわけですけれども、ここでのワーク・ライフ・バランスは男女共同参画社会の形成という視点が大事であって、例えばワーク・ライフ・バランスのとり方というのは、10人の女性の中で、第1子出産で7人がやめるというのも、あれも一種のワーク・ライフ・バランスであって、お父さんは働いてお母さんは子育てをするというのも、これは従来から行われているワーク・ライフ・バランスだと思うんですけれども、それをなかなか納得できないような女性が増えてくる中で、じゃあ、どうするかという基本的な問題がこの背景にあると思うんですね。
 その意味では、さっき上手委員がおっしゃったように、働かないと食えないんだという家庭が出てきていると。さらには北浦委員が言ったような正規と非正規のワーク・ライフ・バランスをどうするかといったような問題もつながってくると思うんですけれども、我々はこの男女共同参画局の中での仕事と家庭の両立、その視点だけは忘れてはいけないというふうに感じていますけれども。
佐藤会長
私もそう思っていまして、皆さんの御意見を伺って、まず、ここでなぜワーク・ライフ・バランスを議論するのか。そのときにやはり男女共同参画という中でワーク・ライフ・バランスを議論するということを少しきちんと整理できればということと、それともう一つは、併せてワーク・ライフ・バランスとは何かですね。これもいろいろ誤解があってはいけないですし、これもある程度我々で整理していくことがすごく大事かなと思います。その上で検討課題にありますように、もし御了解いただければ、働くというところでのワーク・ライフ・バランスに焦点を絞って、もちろん働くというのはもう少し雇用労働ではなくて広めにとりますけれども、一応6月という中間まとめもありますので、まずは働くというところでのワーク・ライフ・バランス、働いている人たちのところへ焦点絞って議論を始めるという形でよろしいでしょうか。
 ほかに御意見いかがですか。どうぞ。
武石委員
もうちょっとで出なければいけないんですけれども、先ほど流動性の話が出て、流動性とワーク・ライフ・バランスが両立してない部分があるのではないかというお話があったんですけど、今の必要性の中でもいろいろ御議論があったのですが、今まで一律的なマネジメントがされていて、それが嫌だったらやめる。そういうのは、でもやめられないので一律的なマネジメントでがまんせざるを得なかったところにワーク・ライフ・バランスが実現しなかったと思うんですけれども、私はワーク・ライフ・バランスは、働いている人がこう働きたいというリクエストができるような環境整備が大事だと思うんです。イギリスの資料が入っていますけれども、イギリスのフレキシブル・ワーキング法というのは、まさに子どもを持っている人が働き方をリクエストができる仕組みを法制化しているわけですが、働く人がやめないでもその会社の中で働き方をリクエストして、そこがうまく処遇とマッチングしていく仕組みをつくっていく必要があると思います。
 そこで私は重要なのは労働組合の役割とか、その辺も結構重要なのではないかと思っていまして、組合の方もいらっしゃいますけど、そういう労使の交渉条件とか、そこら辺をきちんと確保して、働く人が個人の条件を獲得していくと、そんなイメージ。流動性を高めなくてはいけないのではなくて、企業の中で多様な働き方をつくっていくというのは重要かなと思いました。
植本委員
ありがとうございました。まさに先ほど申し上げました働かされ方についての注文といいますか、要するにミスマッチのないような形でいけば、具体的に個人も会社もハッピーといいますか、生産性は当然上がるわけでありますので、そこのところ、先ほど少し遠慮がちに申し上げましたが、実は今、連合で集計中のアンケート調査では、例えば次世代育成支援の企業の雇用計画、それもしっかりと労働組合と議論をしたところはいい計画をつくれて、次の実行の段階に入っていけると。しかしながら労働組合との議論をしていない企業、組合の側もちゃんと要求をしていないと計画そのものがほとんど不十分なものやできていないところが多い。そういうデータが私どものアンケートのところでもはっきりと出てきていますので、経営側とどういうふうにすれば実効性が上がるのかということの議論をする仕組みなんかも私たち自身もしっかりと議論していきたい、そういう議論の過程のところで「ワーク・ライフ・バランス」という言葉自身も含めて議論したいと思っていますので、たくさんの御示唆をいただけたらありがたいと思います。
佐藤会長
少し今後の進め方、既に資料6で事務局の案としては、2回、4回は基本的には調査会の委員の方に御報告いただいて、話題を提供していただいてから議論しようということで案を出していただいていますけれども、何かこれについて御意見ありますか。もうちょっとこの辺に重点を置いたらとか、既にそういう話を伺っているところもありますけれども、いかがですか、資料6ですけれども。
勝間委員
済みません、1点だけお願いしたいことがあるんですけれども、話をきょうお伺いしていて、企業、正社員で、家族形態も比較的両親そろって子どもがいて、といったような形態をどうも主流に話されているようですが、例えば、私、シングルマザーでほぼソーホーなんですよ。そういうマイノリティー的な視点をどこかこの話題の中で入れていただいた方が議論が偏らないかなと思います。
佐藤会長
それを全然排除するわけではないので、当然そういうことも含めて議論したいと思います。

(武石委員退室)

池永調査課長
資料の中で、いわゆる企業・組織とか団体とか書いてございますけれども、勝間委員がおっしゃったような、それ以外の視点みたいなところは、例えば「個人にとっての」と言っておりますが、そこに御自由にそういった視点を入れていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
佐藤会長
ほかに今後の進め方について御意見あればと思いますが、いかがでしょうか。
大沢委員
すぐにというわけではないのですが、皆さん実際にどうしたらいいのだということが知りたいというリクエストも講演会などでいただきますので、ぜひ具体例というか、こういうふうにしたらうまく、特に育児休業など制度入れたときも、仕事のやり方を変えてうまくいったという、そこら辺の具体例、実際にこんなふうにしましたというようなことをもしヒアリングなどで伺えれば伺いたいなという個人的なリクエストです。
佐藤会長
一応事務局にお願いしているのは、ヒアリングするときに、うちはこういう制度を入れていますというだけではなくて、その制度が使えるようにするためにどういう仕事の仕方とか時間の使い方をどう変えたかとか、先ほどの管理職の意識改革をどうしたかとか、その辺の話を伺えればいいかなというふうなお願いをしています。ただ、お願いをすることですので、また、やってないと話もできませんので、一応こういうメニューがありますというだけではないて話はしたいなと。ほかにはいかがですか。大体よろしいですか。
 それではちょっと時間早いですけれども、議論どうもありがとうございました。
 それでは、会議終了後、本日12時半から、私の方から本専門調査会での議論について内閣記者会で説明するというふうにさせていただいていますのでよろしくお願いします。
 あと、事務局から連絡事項があればよろしくお願いします。
池永調査課長
本日はありがとうございました。議事要旨、議事録につきましては、御承認いただきました運営規則に基づいて公表させていただきます。議事要旨は事務局で案を作成し会長の了解をいただいて公表させていただきます。先ほども御説明のとおり、各委員のお名前は載せません。議事録は各委員に内容を確認いただいた上で公表します。これは第2回の調査会時に案を配布させていただければと思っておりますので、よろしくお願いします。基本的に配布資料も公表することを考えております。
 次回の専門調査会ですが、4月3日(火)13時から15時、会場は内閣府本府5階特別会議室の予定でございます。次回は企業・組織における取組ということで、上手委員、永木委員、牧野委員から御発表をいただいて皆様に意見交換をしていただければと思っております。また、開催通知につきましては改めて送付させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
佐藤会長
それでは、要旨は私の方で確認させていただいて公表します。議事録はまた見ていただくということがありますので、お忙しいかと思いますが、よろしくお願いいたします。
 それでは、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」の第1回会合をここで終わらせていただきます。本日はお忙しい中、御参加いただいてどうもありがとうございました。
 

以上