少子化と男女共同参画に関する専門調査会

  1. 日時 平成17年6月29日(水)10:00~11:00
  2. 場所 内閣府3階特別会議室
  3. 出席委員
    佐藤会長、阿部委員、大沢委員、奥山委員、杉山委員、武石委員、橘木委員、布山委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 調査報告について
  3. その他
  4. 閉会

(配布資料)

資料1
少子化と男女共同参画に関する社会環境国際指標(案)
資料2
少子化と男女共同参画に関する施策・制度分析(案)
資料3
子化と男女共同参画に関する社会環境指標調査報告書目次(案)
資料4
第5回少子化と男女共同参画に関する専門調査会議事録
(参考資料)
スウェーデン企業におけるワーク・ライフ・バランス調査(内閣府経済社会総合研究所)

(議事内容)

佐藤会長
ただいまから、少子化と男女共同参画に関する専門調査会の第7回会合を始めさせていただきます。お忙しい中、御参加いただいてどうもありがとうございます。
 本日はお手元の議事次第にありますように、調査結果についてが議題となっております。これまでの調査について精査した結果を御報告させていただき御議論いただくとともに、今後、本調査会にて取りまとめていることとして、報告書の構成等について御意見をいただきたいと思っております。
 まず、事務局から報告書の構成等について御説明をお願いいたしたいと思います。
矢島分析官
お手元の資料、資料番号3の報告書の目次(案)をご覧ください。
 まず、「はじめに」で指標分析の目的と枠組みを示しまして、最初の<1>は、「国際統計データでみる少子化と男女共同参画」ということで、こちらは今回統計指標に用いたデータを含め、これまでにも委員の先生から御意見をいただきまして、統計指標に用いていないデータも含めて、まず統計データを御紹介して、それから指標の話に入るということで、最初に様々なデータの御紹介をするというところでございます。
 <2>は、「少子化と男女共同参画に関する社会環境国際指標」ということで、これまで国際指標として御議論いただいておりました資料がこちらになります。まず1で、指標作成過程について御説明いたしまして、次のページをめくっていただきまして、2の中で社会環境国際指標、(1)指標項目一覧と各指標の傾向、(2)で分野別指標のレーダーチャートをお示しする。3で対象国の類型別社会環境指標の傾向をお示しするということでございます。
 次に<3>の「少子化と男女共同参画に関する施策・制度分析」については、これまで2回ほど見ていただきましたが、各国の施策・制度の内容について御紹介いたします。
 まず1.調査実施概要、2.各国の施策・制度の概要、3.各国の施策・制度の整理、4.主要施策・制度に関する各国の取組の特色ということでございます。
 <4>少子化と男女共同参画に関する社会環境国内指標ということで、都道府県データについてです。構成は国際指標と同じでございまして、まず、1.指標作成過程、2.社会環境国内指標、次のページ、3.都道府県の類型別社会環境指標の傾向をお示しいたします。
 最後のまとめとして、今のところ大きく3点に分けて整理させていただくことを考えております。1.出生率・女性労働力率と社会環境指標の関係、2.日本を含む超少子化国(タイプC2)の社会環境の特色、3.国際間と国内における少子化と男女共同参画をめぐる社会環境の違いでございます。
 参考として、1.指標項目の定義をお示しさせていただく予定でございます。
 以上が報告書の構成についてでございます。
佐藤会長
この専門調査会で最終的にまとめる報告の中間のものは、前半の方ということですけれども、構成について御説明いただきましたが、いかがでしょうか。実際はある程度原稿ができたところでブロックごとを入れかえることはあるかと思いますが、とりあえずこういう形でまとめ始めることについてよろしいか、まとめる段階でももう少し入れかえた方がいいということがあれば伺っておきたいと思います。ですから最後まで、これで確定でいくというわけではないと思います。
矢島分析官
また、後で資料を見ていただいてから、御意見いただいてもいいと思います。
佐藤会長
とりあえずこういう形でまとめ始めていただいて、また、ここでお諮りすると思いますので、ブロックごとに入れ替えて構成を変えるというのもあり得るという形で御了解いただければと思います。
 それでは、続きまして、これまでの調査結果を精査したものについて御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
矢島分析官
お手元の資料1をご覧ください。こちらは国際指標についての資料です。先ほどの報告書の構成でいきますと、<2>に当たるところでございます。国際指標については、これまで何度も御議論いただきましたので、今回、精査した部分、一部指標分野の構成等を見直したところについてのみ御報告させていただきます。
 まず、資料1の1ページ目をご覧いただきますと、1.指標作成過程として(1)調査目的。OECD諸国において女性の労働力率と合計特殊出生率双方に関係する社会環境を想定し、それらの社会環境を代表的に示す統計データを用いて指標化を試みるとお示ししてございます。
 次に、(2)分析対象国の設定として、OECD加盟国で分析の基本指標となる出生率と労働力率の基礎データが80年~2000年にかけて整備されていることを条件に以下の19カ国を対象としたとございます。
 (3)分析対象国の類型化ということで、類型化の考え方としては、合計特殊出生率、女性労働力率を用いて行う。類型方法は過去20年間の合計特殊出生率の変化率と2000年の合計特殊出生率、2000年の労働力率を用いた。
 この類型化方針により、次ページに示しております5類型が得られたわけですが、実際には合計特殊出生率の変化率と数字を用いた段階で5類型が得られており、さらに労働力率まで細分化するとグループに含まれる国の数が少なくなってしまうため、労働力率の水準は目安として示すにとどめております。
 なお、過去20年間の労働力率の変化率を用いることも検討しましたが、労働力率はすべての対象国で上昇しており、また、変化率はもともとの労働力率の水準に大きく影響されていると見られたことから、今回の分類には労働力率の変化率は用いていないことを示しております。
 次のページにまいりまして、5類型の国を示しております。
 下の参考としては、女性就業率でも同じように類型化を試みたが、あまり大きな差がなかったということで、基本的には労働力の方をベースに考えているということをお示ししてございます。
 次の3ページ目の図表2-1-2でこの類型化した国の一覧をお示ししてございます。これはこれまでお示ししていたものとほとんど変わっておりません。
 次の4ページには、1980年と2000年のデータによる各国のプロットを示してございます。
 さらに次の5ページ目では、こちらもこれまでにも見ていただいたことがあるかと思いますが、80年、90年、2000年の女性労働力率と合計特殊出生率、就業率と合計特殊出生率の関係をお示ししております。こちらは今回労働力率、就業率ともに15歳~64歳で精査したもの、65歳以上を切って15~64歳以上で精査したものでおつくりしております。
 それ以降については、それぞれの国において、80年~2000年で合計特殊出生率を女性労働力率がどのように推移しているかというグラフ。これも以前もお示ししましたけれども、以前お示ししたものは女性労働力率について精査しておりませんでしたので、今回は15~64歳で精査したデータでおつくりしております。
 それから、飛びまして13ページにまいります。13ページでは社会環境指標分野の設定ということで、社会動向についてブレーンストーミングをして、社会動向を特徴づけるキーワードを抽出して下記の10分野を設定したということをお示ししております。
 その10分野についてのキーワードを並べた図が14ページでございます。これは当初お示したものとほとんど同じですが、当初、社会の多様性に関連するところは流動性としてお示ししていたものが多様性に変わっていることが大きな変更でございます。
 次の15ページにまいりまして、最終的な分野設定ということで現在採用している分野についてお示ししております。前回からの変更点としては、10分野を設定していたわけですが、この10分野を大きく5分野に取りまとめし直しました。
 5分野のテーマとしては、まず1として、仕事の生活の両立可能性。この仕事と生活の両立可能性の下に労働時間と働き方の柔軟性を位置づけました。
 2.子育て支援の充実度。この下に地域での子育て支援、子育てコストの削減、家族による支援というものを位置づけました。
 次の16ページ、3.ライフスタイル選択の多様性ということで、この下に性別役割分担の解消と社会の多様性寛容度、雇用均等を位置づけました。
 4.が若年層の自立。
 5.社会の安定性でございます。
 この10分野を5分野に括り直すことについては、今回初めてお示しいたしますので、また後ほど御意見いただければと思います。
 16ページの下にまいりまして、こうした分野について、指標候補の設定・選択をするということでございまして、基本的な考え方は、ILOやOECD等の共通の基準で調査・収集され、国際比較できる形で整備されているデータを優先したということでございます。また、意識調査も盛り込んでいるということでございます。
 それから、基本的には社会環境の指標を示すということで、施策・制度の直接的な実施水準そのものを示すことを目的としたものではないということを示しております。保育などの分野は割合わかりにくいのですが、保育という社会的な子育て支援の利用がどの程度可能な社会であるのかといったことを示す指標として採用しております。
 具体的な関連制度や関連サービスの内容については、また別途、施策・制度分析において分析することとしています。
 2指標体系の検討経過ということで、次のページに、これまで候補として挙がってきた指標項目について一覧で載せております。こちらは先生方に最後にまた御確認をということで載せておりますが、報告書にこれを載せるかどうかということはまた検討したいと思っております。
 19ページでございます。(6)指標の点数化・チャート化でございます。こちらについては、これまで御紹介した方法のとおりです。
 2ページ飛ばしていただき、21ページに2.社会環境国際指標として主要項目と各指標の傾向を示しております。こちらは先ほどお示しした5分野、その中の小分野としての10分野ごとにどのような統計指標を用いているかということを説明した資料でございます。こちらは23ページまででございまして、25ページはそれぞれの項目についての合計特殊出生率、15~64歳の女性の労働力率、就業率との関係。25歳~39歳の子育て期と考えられる女性の労働力率、就業率との関係を一覧表で示させていただいております。
 26ページは細かくて恐縮ですが、主要環境国際指標データの一覧でございます。こちらの数字に関しては、今回細かい精査を行いましたけれども、基本的には前回お示ししたものと変わっておりません。ただ、括り方を先ほどお示ししたような5分野に括り直しているということでございます。
 また、一番右に参考として一人当たりのGDPと第三次産業就業者比率をお示ししております。
 また、この表の左を見ていただきますと、相関係数と書いてあるところで、合計特殊出生率、女性の労働力率15~64歳、就業率15~64歳等と書いてありますが、その一番下に参考として就業者に占める短時間勤務割合(女性)というデータと他の指標との相関もお示ししてございます。おわかりになりますでしょうか、表の左端を見ていただきますと、労働力率、就業率に加えて、女性の短時間勤務割合も他の指標との相関を見ています。日本の場合は子育て期の女性の労働力率がM字という形であらわれていると言われますが、国によっては、それがパート就労割合といった形の傾向がある場合もありますので、そういった意味で女性の短時間勤務割合もこちらにおいて他の指標との相関も一応参考までに見られるようにしてございます。
 次の27ページからは、これらの指標項目をもとに分野別指標のレーダーチャート図を示すということでございます。このレーダーチャートについては、先ほど見ていただいた一覧表で網かけがしてある国については、データが収集できなかったので、全体の平均値を入れているところが一部ございまして、そうした全体のデータ収集率を見たところ、データ収集率の高かった国々、特に10カ国を設定して、この10カ国についてレーダーチャートを書いております。
 こちらについては、これまでに見ていただいているものとほとんどかわりませんが、28ページからですが、参考までに各国と日本の数値、図が比較できるような形でお示ししてございます。こちらは31ページまでございまして、32ページには対象国の類型別社会環境指標の傾向というのをお示ししてございます。こちらはタイプAというのが合計特殊出生率、女性労働力率の動向としてどういうグループなのかということを説明した上で、レーダーチャートにおける特徴をお示ししたものでございます。
 最後に34ページからございますのは、指標項目の出典/定義の一覧でございます。こちらがかなりボリュームございますので、報告書の中で扱うとすれば、参考資料とさせていただきたいと考えております。
 以上、国際指標についての御報告でございました。
佐藤会長
どうもありがとうございました。これまでの作業の過程でいろいろ御意見いただいていましたので、それを踏まえてデータを少し精査していただいた。労働力率であれば、15~64歳に絞るとか、もう一つ、指標については少し大括りにしてそれぞれ位置づけがわかるようにしていただいたということで、そこについては、きょう初めてですので、特に御意見いただければと思います。
 21~23ページのところに詳しく書いてあると思いますけれども、大きく仕事と生活の両立可能性、子育て支援の充実度、ライフスタイル選択の多様性、若年層の自立(可能度のようなもの)、社会の安定性という大きな5つの領域を設定して、それぞれをまたいくつかの指標に分けて、それぞれを代表し得る具体的なデータをとるというふうになっています。例えば仕事と生活の両立可能性、これは労働時間の長短、働き方の柔軟性というものがあるのではないかと分けた上で、働き方の柔軟性については、そこにあるように、「短時間」と「失業した後に仕事が見つかる可能性」とこういうふうにとっております。
 それぞれの項目自体はこれまで御説明したものですが、このように括るということと、もう一つは、それぞれのブレークダウンしていった指標を代表する具体的なデータとして、もう一度これでいいかどうか。ほかにもう少し、例えば保育サービスの利用というものについては何か別のものがいいかどうか、そういうことがあれば伺うという形。よろしくお願いします。それ以外でももちろん構いません。
武石委員
先ほど言ったところと違うところなのですが、私、前回出てないのでもしかして議論あったかもしれないのですが、3ページのタイプを分けるときに、結局出生率だけでA、B、CとB1、B2と分かれて、労働力率はタイプ分類には考え方として今入っていないのですね。15ページの例えば仮説の整理の中で、仕事と生活を両立させれば、出生率、労働力率も高くなるのではないかというようなことが書いてあるのですけど、結局分類が出生率だけでしか分類してないので、労働力率をどういうふうにかませるかというところがもう少し工夫してやっていかないと整合性がとれないという印象を受けないかなというのが気になりました。
 分類はこれでもいいのかなという気がするのですけど、説明の中で労働力率も丁寧に一緒に説明していただくなら、タイプAは全部労働力率の高い国だと思うのですけれども、そういうことを一緒に説明していかないと、分類が、要は出生率だけで分類してしまっているというところとの整合性が気になります。
佐藤会長
指標は出生率と労働力率両方プラスになるようにとっているということだから、両方外の大きなところ、レーダーチャートの外に出てくるように両方とも高いふうになるのを想定しているとすると、分類もそういうふうになっていた方がいいということですね。出生率と労働力率両方高い国というのがいいだろうというような御提案ですね。少なくともAは両方高いわけですね。
矢島分析官
そうですね。Aは高くて、ですから今御提案ですと、BやCにおきましては、同じグループの中でも労働力の水準の高い国と低い国があるので、そこについて注意して傾向を見ることは必要ではないかと思います。
佐藤会長
御検討いただくように。ほかにはいかがでしょうか。
大沢委員
今の点に関連して、15ページで働き方の柔軟性でフレックスタイムや短時間労働などという指標がありますが、そういったものがあって、両立が可能だということなんですけれども、機会費用との関連でいくと、このために機会費用が下がって労働力率が上がるというようなところの説明をちょっと加えると、最初の、武石委員がおっしゃったように、女性の労働力率と合計特殊出生率のプラスの関係というところを今回の研究報告では強調しないまでも、ステートしていくのだと思うのですね。それが今までとは違って必ずしもマイナスの関係にはならないということが、こういった国際比較の中で言えるのではないかという1つのキーポイントとして働き方の柔軟性との整合性を少し報告書の中で出していくと、セールスポイントが1つできるのではないかと思いましたので、働き方の柔軟性で両立できるというだけではなくて、これが機会費用を下げて出生率を上げる1つのキーになっているのかどうかということですね。ちょっと報告書の中で御議論いただけたらいいのではないかと思いました。
 非常によくまとまっていて、わかりやすく、最初の段階から比べると、非常にわかりやすく、本当にいい指標になっていると思いました。
 もう一つ、ごめんなさい。学童保育のことですが、これは諸外国などでも少し議論になっているところで、日本では学童保育がまた手薄いとか、オランダでも学童保育が不安だというお母さんの声などを聞きましたので、もし数字があったらですが、含められてもいいのではないかと思いました。小学生の子どもが学校が終わった後、どういう形で、お父さんやお母さんが家に帰るまでケアされているのかというような制度ですかしら。
矢島専門官
未就学で0~2歳と3~5歳は検討したのですけど、たしか学童は検討してなかったと思います。
佐藤会長
国でデータがとれるかどうか。もしかしたら制度分析の方で、多分データ的にはそろわないのではないかという気もします。
大沢委員
わかりました。
橘木委員
今、これをずっと拝見していてすばらしい仕事をされていますということをまず称賛したいと思います。これだけの研究は我々一人ではできないのですばらしいと思いました。
 ざっと見まして、印象として、日本、韓国、スペイン、イタリア、ポルトガル、これと全く同じグループにいて、この5カ国が同じグループに属しているかというのが歴然としたというのが非常に印象的ですね。実は、2日前に私の京大で労働経済学のときに若者に少子化が進んでいて、男女役割意識を若者がどう考えているかというのをアンケートとったのですね。残念なことに、若者の間でも結構役割意識が強くて、男性は子育ては女に任せると言っているし、女性の方もそれを受け入れるような動きがあってちょっとがっかりしたのですけれども、きょうの報告書とはちょっと違うのですが、この統計を見ても日本が歴然として役割意識がほかのに比べて極端に低いという数字が出ていまして、この研究会はそういう政策を考える研究会でないかもしれませんけど、若者をどうやって教育するかというようなことなどはないでしょうか。ちょっと離れてすみません。
奥山委員
それは若者の御両親夫妻の関係というのが、サラリーマンと専業主婦という、自分の両親を見ているのが大きいのかなという気がしますよね。
橘木委員
だから大学生になったらもう遅いかもしれないと。小・中・高のときに何かやるというのはあり得るのですか。私はわからないのだけれども。
大沢委員
重要な一番のかぎだというふうに思います。もう大人になってからではなくて、子どものときから家で手伝うとか、もっとちゃんと役割分担の意識をなくしていくということが本当にかぎなのだと思いますが、どうしたらいいのか。
佐藤会長
男女共同参画局で行なっている意識調査だと分担意識は少しずつ落ちてきていますね。年齢別のものは私はあまり見てないのですが、若い層はあまり変わってないのかしら。
橘木委員
意外と若い層も何か。
佐藤会長
年齢別には見てないので、どうなのか。
定塚推進課長
私どもの世論調査では、さすがに若い方の意識としては役割分担意識が低いという結果にはなっています。ただ、比較的50代の方が、ぐっとそれ以上の世代に比べて意識が変わっているのに比べて、それより若い層の変化が緩やかなんですね。確かに若い方はその方で変わっているのですけれども、そんなに急激に若いからといってどんどん変わっているという状況ではない。
橘木委員
アンケートで答えることと実際に行動することの差が結構あると思うんですね。
佐藤会長
それはそうですね。
橘木委員
アンケートでは役割分担意識はありませんというけど、実行の段階になると違う行動をとるのが結構いますので。
大沢委員
毎日新聞社でも家族観とか子ども観の意識調査をしていまして、私もちょっと見ただけですが、かなり根強く残っているということは言えると思います。共働きとか世帯別に意識を見てみたのですが、子育てに関してはお母さんが子供を育てるという意識は非常に日本で強いですね。
橘木委員
こういうのを見ていると、それが一番の根っこにあるかなという印象をこれを拝見して思いました。
佐藤会長
世代別のそういう男女役割分担意識の変化みたいなものは別にまた分析する必要あるかもわかりませんね。
杉山委員
いろんな分野から切り込んでいただいていてすごくおもしろいなと思っているのですけれども、報告書をまとめるときに、もしできればというお願いなのですけれども、例えばこの指標だけ見ると、私などですと、どんな感じで子育てしているのか、どういう生き方をしているのかというのがあまりイメージできないので、例えばアメリカ人はこういうふうなことを利用しながらやっていますよと。だから具体的にいかなくていいのですが、この指標でいうとこんな感じみたいなのを少し作文していただけると報告書ではありがたいかなというイメージ図みたいなものを、例えばまとめたときに、一般の方がご覧になったときも、ああ、こういうことになるのだというのが伝わりやすいかなという気がするかなと。ご無理を言って申し訳ありません。
橘木委員
キーワードでその国の特徴をあらわすのをやってほしいというわけですか。
杉山委員
本当言うと、もう一歩進んで、全体像みたいな、例えばAさんとBさんが出会って、結婚しないでも、子どもを産むことに対しての違和感がないとか、そういうのを物語風に入れてみるとか、ちょっと難しいかなと思うんですけれども、正社員にならなくても働き方は簡単とか、ちょっと思いつきで言っているので、どこまでかわからないですが。
矢島分析官
アンケート調査とかで平均値からモデル像を描くとか、やりますよね。そういうイメージなんですよね。
杉山委員
そうですね。
矢島分析官
結構難しいかと。
佐藤会長
制度分析と併せて典型的な生活の仕方はあり得るかもわからないけれども、時間との関係で。
杉山委員
大胆ですね。
佐藤会長
ちょっと難しいかもしれません。
矢島分析官
ただ、おっしゃるような、今、レーダーチャートの特性を書いていますけれども、もう少し国ごとにまとまった感じで書くということはあるかもしれませんので、少し工夫してみたいと思います。
阿部委員
3つぐらい言うと思うのですが、1つ目と2つ目は同じです。橘木先生がおっしゃった役割分担意識、これを今若者はとおっしゃいましたけれども、それは別にいいと。それを覆すような何かがあれば、性別役割意識はあったとしても生活が一緒にできれば問題ないわけで、その1つは何かなというふうに考えていくと、実はこのグラフでもありますけど、80年代、90年代、2000年で労働力率と出生率の関係が逆転する。これも解きあかす種になるのではないか。それは何かなと今考えていたのですけれども、僕も自分で生活してよくわかるのは、家事の技術革新ではないかと思うんですね。きょうの朝も食洗器に突っ込んできたり、もうすぐ僕はお掃除ロボットを買おうかなというふうに思っているんですけれども、そういうのがあると、役割意識なんかないですよね。だって、スイッチ押せば終わりですから。
大沢委員
子育てはロボットでは難しい。
阿部委員
子育てだけでなくて、家事とか分担というのは少しそういうので軽減かなりしていると思うんですね。もし、それが労働力率と出生率の関係が逆転した1つの背景としてあるとか、そういうのを見せていくと、教育も確かに重要なのですけれども、一緒にやってみて、こういう技術があって、家事楽だよ、そういうふうにすると、例えば結婚も楽なんだよとか、子育てもそんなに大変じゃないんだよ。大変なんですけれども、そういう明るい未来を見せるというのもありなのではないかと思うんですよね。
 ただ、単に精神的にどうのこうのというよりも、いや、そうじゃなくて、家事なんて、そんな大したことないよとか、そういうのを見せていくのも、ちょっとここにはまだまだそういうところが盛り込まれてないので、どういうところでやるか。あるいはここでなくて別のところでやるかというのはあると思うのですが、あってもいいかなと思いました。それが1つ目と2つ目で何かよくわからなくなりましたけれども。
 最後、もう一つは21ページ目から始まる社会環境の国際指標のところの指標の考え方というところなのですが、気持ちはよくわかるのですが、よく考えるとクエスチョンマークが出るような文言もあるので、特に前段、例えば労働時間のところでいくと、「労働時間が短く、帰宅時間が早いほうが仕事と生活の両立が可能であり」、ここまではいいと思うんですが、その後、「出生率も高く、女性の労働力率も高い傾向にあるのではないか」、ここまで言われると、ちょっと余計なお世話というか、両立が可能だと、何で出生率が高くなるのか、かなり飛ぶんですよね。そこをどう書くかというのは、後も全部「出生率も高く、女性の労働力率も高い傾向にあるのではないか」、その文言がずっと出てくるのですけど、それを書かない方が僕はむしろいいのかなという気がするんですけど、ロジック飛び過ぎるような気がするんですね。
佐藤会長
つまり仕事と生活の両立可能性ということは、出生率や労働条件を高める必要条件だけど、十分かどうかわからないから。書き方はそうだ。他の条件が同じでも、こうであれば、高いのではないかという書き方では無理。
阿部委員
いや、そうではなくて、仕事と生活の両立が可能であるだろうで、それでいいのではないか。
佐藤会長
それが全部そろえばというふうな書き方ですね。ほかのところも、5分野全部そろうと、難しさが出てくる。それはちょっと検討していただきましょう。
奥山委員
今の意見に関連してなんですが、お掃除ロボットを置いたり、やっぱり女性の方で家事の負担、うちの食洗器もあるし、その部分は軽減されていると思うのですけれども、子どもと向き合う時間だとか、学校にPTAで行くだとか、保護者会があるだとか、いろんな地域での役割を担いながら子どもを育てていくというところで、昼も夜も全部一手に母親が引き受けるというのが非常に苦しいなということを感じていまして、ここの労働時間のところは、早く帰ってくることで、母親の方は帰ってくるだけでも、ちょっとわからないのですけれども、大分いろんなことを、子どものことや精神的な部分の分担を男性にもしてもらえることがあると思うので、ここの書き方は統計的に飛躍ということもあるかもしれないですけれども、実態としては、すごくここの部分は日本は本当に長時間労働ということなわけですから、何かうまく丁寧に書き加えていただければと思います。
布山委員
「指標の考え方」の書きぶりのところで、今のことと関連して、一方でそういう御意見もありつつ、両立が可能な方が「女性」の労働力率も高いとなると、そもそも両立をするのは女性だということを前提に置いているともとられなくもないので、実態ということでは大変よくわかるのですが、こう書いてしまうことで、これはやっぱり女性の話なのだと誤解されてしまうとまずいなという気はします。意識の面と実態の面を混在させて書いてしまうことによって、誤解を招くおそれがあるならば、もう少し書き方を考えた方がいいのかなと思います。
 私も阿部先生と同様に、出生率と労働力率のことをあえて書かなくても、それを前提にしているということが別のところで書かれてあればいいのかなという気がします。特に、分析が非常に精査されてきてわかりやすくなっているので、逆にそれで違うイメージにとられてしまうとまずいのではないかと思います。
佐藤会長
いくつか、これは意識的に男性のをとっているんですね。そこも、例えば短期時間勤務も男性ですし、あと下の方もいくつか意識的に男性の方をとっているということで、別に女性ということではなくて、男性も含めて働き方が変わるというのは意識しているつもりなので、そういう意味では落とした方がいいかもしれない。
武石委員
女性の労働力率というのは男女共同参画の指標なのだということをきちんと位置づければいいのだと思うんです。今までは男性というのは当たり前に働いて、そこに女性が入っていくということが男女共同参画の指標だということなのではないかと思うんです。
矢島分析官
そのあたり、個々の指標を説明する前にきちんと御説明して、それとせっかく大きく5分野を設定したので、その5分野と出生率、労働力率を大きくとらえているということを示した上で、各指標の説明に入るというようなことで整理させていただきたいと思います。
佐藤会長
その辺、もう少し。
杉山委員
今思ったんですけれども、性別役割分担のところで、専業主婦の割合が日本は多いことが出てきてないと思います。多分他国に比べて多いと思うのですけれども、専業主婦という人がいるということがこのデータの中から見えづらいかなという気がして、あと、どうしてそうなるかという理由もあるわけで、制度がそういうふうに働いている部分もあるというようなことが、他国と比べてある専業主婦に優遇するような制度が他国にあるのか、ないのかとか、そのあたりも少し、ここに入れないにしても、補足としてあってもいいのではないかという気がしたのですが。
矢島分析官
先ほどお示しした構成の中の頭の部分で、指標に使ってないようなデータもお示しするところがあるので、その中でもしそういった形で、専業主婦という形で出せるかどうかわからないのですけれども、配偶関係のある女性の就業率とか労働力率だと思うので、そういった形でお示しできないか、検討してみたいと思います。
佐藤会長
専業主婦かどうか、労働力率があると。労働力実態で示しているということでもあるわけですね。これが低ければ。税制等とは多少制度分析の方でやっていただけるとは思います。
 大きく5つの分野に括るということについてはよろしいですか。
 (「はい」と声あり)
佐藤会長
この方がわかりやすいかと思いますので。では、その方向で進めていただくということと、きょう出た御意見踏まえて、少しわかりやすさと誤解受けないような、なぜ、こういうことをやるのかということをもう少しわかるように配慮しながら書いていただくようにしていただければと思います。
矢島分析官
各指標についてなのですけど、先ほど言いましたように頭のところで、各分野ごとに様々なデータを御紹介することにしまして、その中から代表的な項目として、指標をとったということで、この指標のデータだけがすべてではないと。例えば保育サービスの利用割合も3歳児未満で取っていますけれども、こういったものについても、これに代表させていますけれども、これだけですべて評価しているわけではないということをきちんとわかるように説明していく必要もあるかと思いますので、そのあたりも気をつけたいと思っております。
佐藤会長
では、よろしくお願いします。それでは、この資料について、事務局から何か連絡事項があれば、よろしくお願いします。
矢島分析官
すみません、もう一つ。駆け足でしたいと思います。
 資料2についてです。こちらも施策・制度分析ということで、前回お示ししたものから御意見いただいた内容に沿って見直しました。見直した内容としては、各国の施策・制度についてさらに精査しましたとともに、お手元の資料2の50ページをお開きください。
 前回いただいた御意見で大きく3点ほど分析の視点を加えまして、1つが50ページにありますように、出生率変化の近辺における施策・制度の導入に関する整理ということでございます。各国の、例えば6ページのアメリカの図にありますように……。
佐藤会長
今、資料2です。
矢島分析官
すみません、資料2でございます。6ページのアメリカの図で見ていただきますように、出生率が上昇に転じたり、下げどまりが見られる時期をとらえまして、50ページでは、その近辺における施策・制度の導入に関する整理というのを行っております。こちらを子育て費用の軽減、就労者の家庭内育児の支援、保育、働き方の改善、その他に分けまして、どのような施策・制度が導入されているかということを見ております。
 こちらもこれがすべてかということになりますと、なかなか難しいものがありますが、把握できた内容の傾向を見ますと、施策・制度としては働き方の改善に関するものが多く、子育て費用の軽減と保育に関するものが多いというような傾向が見られるということでございます。
 また、次の53ページをお開きいただきまして、53ページから制度変化の推移という図がございますけれども、これが前回はタイプAならタイプAでまとめてお示ししておりましたが、今回は各国別にお示しするというようなことにしております。
 それと58ページをお開きいただきまして、58ページは各国のいくつかの分野についての代表的な施策を取り上げて整理してはどうかという御意見をいただきましたので、(1)では子育ての直接的コストと機会費用に関わる制度ということで、直接的な子育てコストの軽減としては、児童手当・教育費への補助ということで、どのような国の取組が特徴的であるかということを示しております。
 2で、機会費用の低下といたしましては、育児休業・保育・長時間労働の是正、柔軟な働き方の導入、こういったあたりで特徴のある取組をとらえております。
 61ページからは、この分析の背景になりました各国の主な制度等の比較一覧が載っております。
 63ページには、社会の多様性に関わる制度ということで、子育てコストの側面だけではなくて、多様な機会・選択が提供されることで、若者の就労選択や結婚選択のハードルを低くするというような意味において重要ではないかということで、別途、社会の多様性という視点から施策・制度を整理しております。こちらが65ページに各国の取組で特徴のあるものを整理してございます。
 すみません、大変駆け足ですが、前回の調査会以降、追加させていただきました内容は以上のとおりでございます。
佐藤会長
制度分析の方についても、各国分野ごとの制度の変遷、出生率の変化したところについては特にどういう背景があったのか。それぞれ子育て等に関わる施策を少し整理して特徴を出していただくということをやっていただいています。
橘木委員
これもまたすばらしい比較研究なのですけど、読む方は結構これ苦労ですよね。学者の論文であれば、これでいいかもしれないけど、役所からすると、わかりやすさというのも大事な点で、私の質問は、どの国が一番日本が学ぶべき政策をやっているかというのは出てきませんか、この中から。
矢島分析官
なかなか難しいです。
橘木委員
やっぱり政策を考えたときは、これはいろいろメニューを提供しても、あれもいい、これもいい、これも悪い、これも悪いで読み手がこれから一体何を参考にしてやるのかというのがドーンと出てきたら、これはものすごい日本へのインパクトもあると思うんですよね。それがつくられた方の意見を私はぜひともお聞きしたいのですけど。
矢島分析官
今回、考え方としては、先ほどつくりました社会環境指標がメインで、その前、一応背景として各国の施策・制度を確認するというような意味合いでございますので、こういった総花的な整理になってございます。特にいくつかの、例えば前々回に研究所の方から報告していただきましたけれども、特に出生率等の水準等が高いような国について取り上げて、制度の分析をするというようなアプローチもあると思うのですけれども、今回はそういう形でちょっと総花的になっているということで、おっしゃるようにわかりにくい側面あるかもしれないのですが、調査の設計としてはそういう考え方をしております。
杉山委員
カナダの子育て支援の研究会というのに参加して現地のお話などを聞いたのですけれども、そのときにそもそもカナダは少子化対策で子育て支援をやってこなかったという話があって、子どもの健全な育成のための家族支援という位置づけであったとか、子ども・子育て施策を最優先課題に置くという国と、州政府とかそちらの合意があって進められたというような、大きな背景があって、そこでこういう制度が落ちてきたというような話があったんですね。
 翻って日本を見ますと、仕事と家庭の両立、まず少子化対策から始まったというところもあって、仕事と家庭の両立を目指しているのか、女の人は仕事をやめて家にいて、ずっと子育てに専念すればよいと言っているのか、そこら辺もふらふらしているように見受けられるのですね。この国はこういう方針を打ち出して、だからこういう制度を並べたのだ、スウェーデンはこうしたのだというような、大きな方針が今ざっと読んだだけなのですけれども、少し見えなかったかなという気がしましたので、スウェーデンだったらこういうつもりでこれをしたみたいな、目指すべき道というか、そういう目的みたいなものが見えると読みやすくなるかなという気がいたしました。
矢島分析官
どういったところから持ってくるかというのが非常に難しいところがございまして、大きな日本の少子化社会対策大綱のような、何か1つ大きな方針を打ち出してやっている国もあるかもしれませんけど、そうでない国もあるので、いろいろな、例えばヒアリングや調査をしますと、そういう方針が結構聞けたりもしますけれども、各国について、それを的確に把握するのはなかなか難しいものがあるなと感じています。
杉山委員
迷っているというか、あれやってみてうまくいくかな、次、こっちやってみたみたいな感じはあるのでしょうか。
矢島分析官
各国ですか。
杉山委員
ええ。
矢島分析官
いちがいには。さっきおっしゃったような、少子化対策ではなくて、家族政策であるという言い方は欧州には共通した考え方だとは思いますけれども。
杉山委員
それも言ってほしいかなという気もしますけれども。
佐藤会長
OECDがここ4年ぐらい、各国のファミリー・フレンドリー施策のレビューをずっとやっていて、そういうものを見ると、多少それぞれの国がどういう考え方で取り組んでいるかというのがわかる。今、12カ国出ているんですけれども、ちょっとそれも見ると多少わかるかもしれない。時間との兼ね合いですけれども、その中に日本も入っているんですけれども、見ていただくといいかもしれないです。
 橘木委員、インプリケーションをまとめるかということもあると思いますので、もうちょっと進んだ段階で、また御相談させていただければと思います。
 それでは、事務的な連絡事項があれば、よろしくお願いします。
矢島分析官
ありがとうございます。では、資料の取扱いでございますが、本日の資料につきましては、委員限りとさせていただきます。本日、制度分析のところですとか、国際指標等についても、細かいところまでなかなかお時間の都合で御説明できませんでしたので、お持ち帰りいただきまして、また、御意見等ありましたらいただければありがたいと思います。
 それから、議事録ですけれども、お手元の方に、第6回の議事録案をお配りしておりますので、こちらは7月7日までに修正点ございましたら、事務局までお送りいただければと思います。第5回議事録につきましては、本日をもちまして公開とさせていただきます。
 次回、第8回調査会の日程ですが、大変申し訳ありませんが、こちらにつきましては、また追って事務局から御連絡させていただくということにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。次回は報告書(案)という形でお示しできればと思いますし、それまでに先生方に資料をお送りして御検討いただければと思っております。
佐藤会長
確認ですけど、資料は持って帰れるという意味ですか。
矢島分析官
はい。
佐藤会長
そうすると、指標のところと制度分析について、もしお時間あれば、コメントいただければありがたいと思います。あと議事録については見ていただいて、お戻しいただければと。
 それでは、これで少子化と男女共同参画に関する専門会の第7回会合を終わらせていただきます。

以上