第33回 苦情処理・監視専門調査会 議事要旨

(開催要領)

  • 日時:平成15年10月20日(月)16:00~18:00
  • 場所:内閣府 5階特別会議室

(出席者)

古橋
会長
伊藤
委員
鹿島
委員
神田
委員
桜井
委員
田中
委員
深尾
委員
山口
委員
横田
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 平成14年度監視「地球社会の「平等・開発・平和」への貢献」に掲げる施策について(上智大学教授 目黒依子氏)
  3. 平成14年度監視「地球社会の「平等・開発・平和」への貢献」に掲げる施策(国際規範・基準の国内への取り入れ・浸 透)の進め方について
  4. 女子差別撤廃条約(概要、対日審査及び勧告)等と国内の動きの概要について(内閣府からのヒアリング)
  5. 平成14年度監視「地球社会の「平等・開発・平和」への貢献」に掲げる施策(国際規範・基準の国内への取り入れ・浸 透)の関連施策の実施状況について
  6. 閉会

(概要)

平成14年度監視「地球社会の「平等・開発・平和」への貢献」に掲げる施策について目黒教授から説明があり、事務局から平成14年度監視「地球社会の「平等・開発・平和」への貢献」に掲げる施策(国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透)の進め方について説明した後、内閣府より女子差別撤廃条約(概要、対日審査及び勧告)等と国内の動きの概要について説明があり、意見交換を行った。さらに、事務局から平成14年度監視「地球社会の「平等・開発・平和」への貢献」に掲げる施策(国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透)の関連施策の実施状況について説明し、意見交換を行った。審議の概要は以下のとおり。

<1>目黒教授からの説明について

山口委員
代表が出席する場合、国連総会などでは政府代表というが、婦人の地位委員会などでは、日本代表という言い方をする。これは、立場に違いがあるのか。また、婦人の地位委員会は、どの省が所管しているのか。
目黒教授
身分上は、日本代表であっても日本政府の代表である。ただ、閣議決定していれば、政府代表と呼び、閣議決定していなければ日本代表と呼ぶという話を聞いている。
 国際会議においては、外務省及び代表部が中心になって全体を調整しているが、代表団に入っている方の地位によっては、調整が困難な場合もあり、担当の大使、公使に全面的にかかわってもらう場合もある。
横田委員
選択議定書の問題は、女子差別撤廃条約だけでなく、国際人権規約の選択議定書でも問題になっており、国全体の政策転換が求められている問題である。しかし、国内には、選択議定書を批准すれば、最高裁判所が判断を下した判決でも覆されるような拘束力があるという誤解が定着しており、選択議定書を批准することは、最高裁判所の上に第四の裁判所をつくることではないことを理解してもらう必要がある。
鹿嶋委員
CEDAW等の最終コメントを国内に反映していく方針として、国内法の独立性を考えるとどのように対処すべきなのか。
横田委員
最終コメント等は、無視はできないが拘束力はない。したがって、「誠実に考慮する」という表現が適切ではないかと思う。
目黒教授
国際的な合意文書でも、「遵守」は難しいので、「考慮」という表現に落ち着くことがよくある。
古橋会長
国際会議に出席する際に、なぜ各省事前打ち合わせを行って、ある程度考え方を決めて臨めないのか。
目黒教授
かつては、招集された省庁の担当官が、会議がどのように進んでいくかも知らないで臨むことすらあったため、最近は基本的事項について事前説明を行うようになり、改善された。しかし、合意文書等については、現地に行って、各国の立場を情報収集し、本国に伝えてから訓令を待っているため、事前に方針を決められるような状況ではない。

<2>内閣府からのヒアリング

横田委員
報告書に対する最終コメントで、スウェーデンの委員から、差別の定義を国内法に取り込んでいないという指摘があったようだが、スウェーデンは条約を批准しただけでは国内的に実施できず、国内法をつくる必要があるが、日本は、条約を批准すると自動的に国内法になるため、スウェーデンと日本では制度が全く違う。したがって、この指摘は完全な誤解であり、反論しておいた方がよい。
古橋会長
男女共同参画社会基本法をつくる際に、間接差別の定義を基本法に入れる要望があった。しかし、間接差別の範囲については議論があり、また、間接差別を明確にすると、それを禁止する法律をつくる必要があるが、スケジュール上不可能なので入れなかった。報告書の審査の際にはどのような議論だったのか。
内閣府
スウェーデンの委員からは、差別の定義について憲法第14条は不十分であるという指摘であった。
古橋会長
このような指摘について、横田委員のおっしゃった解釈でよいのか、それとも、具体的な措置をとるべきと専門調査会で提言するのか議論のあるところだと思う。
横田委員
日本では、条約の批准と同時に国内法として実施されているので、新たな定義の国内法は必要ないと考えるが、現実の差別をなくすための法制は場合によっては必要だと思う。
伊藤委員
前回の報告書の審査における主要関心事及び勧告と今回との違いはあるのか。
内閣府
一般的な変化であるが、10年前の審査では、勧告が1パラや2パラで終わっている。今回のように10以上も出てくるのは初めてである。ただし、これは、日本だけでなくすべての国において同様の変化があるといえる。
古橋会長
CEDAWの最終コメントについて、専門調査会ではプライオリティを決めて、優先的に早く実施するべき施策を提言すればよいのではないかと思う。今後、そのプライオリティについて議論していきたい。まずは、最終コメントに対する各省の具体的な考え方をこの調査会で報告してほしい。
内閣府
今後、1年程度かけてフォローアップしていきたい。
古橋会長
各省にどういう方向で実施するのか、最終結論でなくてもよいので意見を11月あるいは12月までに出してほしいと思う。
鹿嶋委員
CEDAWの23人のメンバーは、本当に専門家といえるのか。
内閣府
バックグラウンドが非常に様々であり、役所の出身者、NGO出身者、学者など多様である。それぞれのバックグラウンドについては、専門的な知見をもつと考えられるが、国全体の男女共同参画を全員がバランスよくみることが可能かどうかについては、必ずしもそうではないと認識している。

<3>平成14年度監視「地球社会の「平等・開発・平和」への貢献」に掲げる施策(国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透)の関連施策の実施状況について

古橋会長
未締約の条約について、「検討する」とあるが、どういう方向で検討するのか。特に、今まで母性保護条約について議論してきたが、なぜもっと前向きに検討できないのか。また、パートタイム労働に関する条約も、比較対象がないというのなら、短時間労働の正規職員をつくって比較対象をつくればよい。もし、政府としてできないのであれば、その理由について意見をもらいたいと思う。
鹿嶋委員
パートタイム労働に関する条約は、批准できる要件は整ってきたと考えている。改正パート指針が適用になって、比較可能なパートも一部いるようだ。また、パート労働市場は、外部市場だから、比較が容易であり、批准上の問題点はクリアできると思う。改正パート指針が適用された以上は、批准に向けて具体的に動きだすべきと専門調査会で提言すべきではないか。
古橋会長
国際組織犯罪の人身取引に関する議定書は、かなり前向きに検討しているのではないか。
事務局
別途、女性に対する暴力に対する専門調査会で議論されており、その議論の結果を御報告したいと考えている。

(以上)