第31回 苦情処理・監視専門調査会 議事要旨

(開催要領)

  • 日時:平成15年7月14日(月)16:30~18:30
  • 場所:内閣府3階特別会議室

(出席者)

古橋
会長
伊藤(る)
委員
岡谷
委員
鹿島
委員
神田
委員
田中
委員
深尾
委員
山口
委員
横田
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 平成14年度監視「地球社会の「平等・開発・平和」への貢献」に掲げる施策実施機関のジェンダー・WID推進体制について
    • (関係機関からのヒアリング)
      • 弓削昭子氏 (国連開発計画東京事務所駐日代表)
    • (UNDPのジェンダーに関する取り組みおよびUNDP日本・WID基金について)
      • 田和美代子氏(国際協力事業団企画・評価部 環境・女性課課長代理)
    • (国際協力事業団のジェンダー/WIDの取組について)
      • 吉田和浩氏(国際協力銀行 開発セクター部 社会開発班 課長)
    • (国際協力銀行におけるジェンダー配慮の現状について)
  3. その他
  4. 閉会

(概要)

平成14年度監視「地球社会の『平等・開発・平和』への貢献」に掲げる施策の実施機関のジェンダー・WID推進体制に ついて、UNDPのジェンダーに関する取り組みおよびUNDP日本・WID基金について弓削氏、国際協力事業団のジェン ダー/WIDの取組について田和氏、国際協力銀行におけるジェンダー配慮の現状について吉田氏より説明があり、これら について意見交換が行われた。審議の概要は以下のとおり。

<1>弓削氏からのヒアリング

古橋会長
UNDPは、援助国の援助のありかたや、援助に対する客観的な評価の指数について、どのように考えているのか。また、 援助国に対して、どの程度の影響力を持っているのか。
弓削代表
国連が、ミレニアム開発目標を採択した際に、途上国だけでなく、援助国の責任も大きいと言っている。援助国自身が、貧 困削減に関する貢献を分析する必要があることが最近は提言されている。UNDPの影響力という点においては、UNDPの 考えと近い国であれば、互いに賛同しあえるため、影響力はあるが、UNDPの考えに賛成していない国であれば、こちらの 提言には必ずしも同意しないので、影響力は限られる。したがって、国によって違う。
古橋会長
日本のODAは、世界全体ではどの程度の地位にあるのか。また、どのような点を改善するべきと考えているか。
弓削代表
世界での地位は、金額でいえばNo.2であるが、GNPとの比率でいえば、非常に低い。したがって、どのような指標を使うか によって地位は高くなったり低くなったりする。今後改善すべき点としては、まず、日本の特徴を最大限に生かした戦略性 の高いODAにすべきであると思う。また、途上国での関係者との協議を重視・強化するODA行政の現地事務所への権限 委譲を推進する必要がある。それから、ジェンダーについての配慮ももっと必要と考えている。
古橋会長
援助の決定過程における透明性の国際比較などはあるのか。アカウンタビリティーについても、各国比較はあるか。
弓削代表
決定過程の透明性については、尺度の基準が難しいため、国際比較は難しいが、日本の援助はわかりにくいという話はよ く聞く。アカウンタビリティーについては、かなり改善されてきたと思うが、欧米に比べれば、まだまだ積極的に国民へ説明 しなければならないと感じている。
田中委員
日本のWID基金が、他の基金と統廃合されているが、その結果どうなるのか。減額され、イヤマークされる気配がないよう だが、その経過はどうだったのか。
弓削代表
統合されたパートナーシップ・ファンドの内訳はまだ決まっていない。今年度の額が減ってしまったのは大変残念であ る。UNDPにおいて、セマティック(テーマ別の)・トラスト・ファンドという基金がいくつか設けられており、特にジェンダー・セ マティック・トラスト・ファンドという基金が、ジェンダー平等のために設置されているので、こちらのファンドにも予算が拠出 できるよう皆様のご支援をいただきたいと思っている。
伊藤る委員
減額されて、どのくらいの額になったのか。ゼロということなのか。
弓削代表
パートナーシップ・ファンドは全体で約300万ドルである。
山口委員
WID基金について、これまで効果があったと考えられるか。また、UNDPでは、女性に対しての支援は、例えば全体の2割 とか目標はあるのか。
弓削代表
WID基金が支援している各プロジェクトの金額を見ると少額であるが、効果は大変高いと感じている。国際社会に対して も、少額だが、こんなにインパクトのあるプロジェクトができると言うことができた。また、UNDPでは、ジェンダープロジェク トという位置づけは行っていない。全てのプロジェクトで女性の平等とエンパワーメントを推進していくという位置づけにして いるため、全体の何割というような目標はない。
古橋会長
基金のプロジェクト選定や承認は、UNDP単独で行うことができるのか
弓削代表
UNDPと日本政府で合意する必要がある。

<2>田和氏からのヒアリング

横田委員
JICAにおいても、WID/ジェンダーに対する取組に抵抗感を感じる人がおり、上層部からのコミットメントを得にくい状況が あるようだが、このような問題点に関して、どのように対応していくのか。
田和課長代理
職員に対しては、ジェンダーについての勉強会を引き続き行い、ジェンダーの視点を取り入れることでどういった効果をあ げることができるかを説明していきたいと考えている。上層部に対しては、折に触れ、現状を説明し働きかけていくことが必 要と考えている。
伊藤る委員
OECD/DACのピュアレビューで、ジェンダー平等に関して取組が弱いということが指摘されていたが、JICAとしては、これ を使って組織内部の意識を高める材料に使うことは考えているのか。
田和課長代理
まだ具体的には考えていないが、有益な提案だと思う。
山口委員
独立行政法人になることに備え、ジェンダー主流化の目標や評価システムは検討しているのか。
田和課長代理
現在、第二次分野別ジェンダー・WID研究会を開催しており、そこで検討中である。

<3>吉田氏からのヒアリング

古橋会長
WIDの担当職員は、現在何人くらいでヘッドは誰なのか。
吉田課長
開発セクター部、社会開発班に担当官がおり、最高責任者は開発セクター部長である。
山口委員
説明にあったグラミン銀行の融資事業で、融資先は女性でも男性が資金運用している点については、開発銀行としては、 指導は行わないのか。
吉田課長
受益者が想定している利益を得るために必要な配慮として、審査事項に含めるべきと考えるが、具体的なモニターを行う のは非常に難しい。借入申請書に、使い道を詳細に書いてもらうしかないのではないか。
鹿嶋委員
JICAやUNDPでは、ジェンダーのメインストリーム化が推進されているが、国際協力銀行では、ジェンダーは、まだ社会配 慮のワンパーツでしかない印象である。行内ではジェンダーについての議論はないのか。
吉田課長
海外経済協力業務の実施方針の中で、貧困削減や人材育成などの個別重点分野では女性を明記していくことにしてい る。実施方針の中で、女性をサブテーマの一つとして設けるまでにはまだ至っていない。
田中委員
円借款の場合、相手国のガバナンスとかオーナーシップの問題で、どこまで踏み込めるかという問題はあると思うが、世 銀でも「男女平等と経済発展」というレポートを作っている。JBICができないことはないと思う。

(以上)