第26回 苦情処理・監視専門調査会 議事要旨

(開催要領)

  • 日時:平成15年2月27日(木)10:00~12:00
  • 場所:内閣府3階特別会議室

(出席者)

古橋
会長
庄司
委員
伊藤(陽)
委員
鹿嶋
委員
佐藤
委員
広岡
委員
深尾
委員
松下
委員
山口
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 平成14年度監視「情報の収集・整備・提供」について
    • (関係府省からのヒアリング)
      • <1>内閣府(男女共同参画関係調査、世論調査)
      • <2>農林水産省(農林業漁業関係統計の調査方法等)
      • <3>厚生労働省(統計部門の組織、企業の雇用管理制度の適用状況等に関する性別データ等)
    • (専門委員からのヒアリング)
      • 伊藤陽一委員(ジェンダー統計の整備等について)
  3. 審議
  4. 閉会

(概要)

「情報の収集・整備・提供」に関して、内閣府、農林水産省、厚生労働省から説明を受け、審議をおこなった。続いて、伊藤陽一委員からジェンダー統計の整備に関する説明を受 けた(これに関する審議は、次回の調査会で行うこととなった)。審議の概要は以下のとおり。

(1)内閣府(男女共同参画関係調査、世論調査)

伊藤(陽)委員
内閣府の調査は、統計関連法の枠外の調査か。予算は弾力的か。また、世論調査については、その都度階層別抽出で設計しているのか。回収率に関してはどうか。
内閣府
本日説明した男女共同参画局の調査物は統計法の枠外であり、設計に当たって統計審議会の審査を経なければいけないといった制約はない。予算の制約という意味では、いず れも共通する問題である。
内閣府
政府広報室の世論調査は、昭和27年の統計報告調整官会議の申し合わせにより、統計法、報告調整法の規定を受けずに調査をフレキシブルにできる。予算については、昨年 度30%減額となった。今後どういったように運用していくか課題である。
マイクロデータの取扱いについては、昭和63年に決定した規定により、要望省庁に関して要請があれば、特別集計という形で受けている。
標本設計については、層化二段抽出のランダムサンプリングを基本としている。回収率については、目標回収率は7割であるが、目標達成は難しくなっている。
佐藤委員
世論調査の資料を見ると、職場での男女平等意識はほとんど変わっていない。これはなぜなのか調査会で議論しないといけないが、こういう分析をするには個票が必要である。
統計法でカバーされていないにもかかわらず、目的外申請の手続もない。基準を少し緩めてもいいのではないか。
内閣府
政府広報室の世論調査は統計法の規定を受けていないがゆえに、調査実施者のモラル等、強い管理を行わないと実施できないと考えている。最低でも統計法の規定を守らなけ ればいけないと思っている。そういった観点で厳しい規制をひいている。
佐藤委員
個票データについては、海外のように個人が特定できない形で提供できるはずである。
内閣府
統計法がかかっていないので、それぞれの行政文書をどう管理していくかという各部局の判断によっている。提供することを前提にどういった形の情報にすべきかルールをつくっ ていくことを考えている部局もあり、実例を見ながら、どういう形で対応できるか勉強していきたい。
古橋会長
一般的な役割分担意識と職場における役割分担意識というものとの乖離の原因を究明できるようなアグリゲートした個票を要求することはいいのではないか。
古橋会長
男女共同参画局内における重点施策のうち、どういう施策を実施していくかというものの優先順位を決めることについて議論をしているか。
内閣府
人的資源が限られているので、どのテーマに人をあてていくかという議論は常にやっている。

(2)農林水産省(農林業漁業関係統計の調査方法等)

伊藤(陽)委員
農業経営体について、経営主という捉え方では、いろんな慣習その他から女性が隠れてしまうのではないか。
農林水産省
日本の農業の相当程度を女性が担っており、労働力といった面ではきちんと統計的に把握できていた。ただ、誰がマネジメントしているかということになると、従来のセンサスでは 不明確で、2005センサスでは女性の経営主をきちんととらえられるような仕組みにしていきたいという趣旨である。
古橋会長
経営主がわかるということは非常に進歩だと思う。女性の意思決定の参画については、意見を言ってお互いに議論しているか、実情がわかるようにできないか。
農林水産省
形式的決定と実質的決定など二重構造がまだ残っていると思う。それをどうやって把握するかということになるが、今回のセンサスでは、1つの解決方策として、経営とは、重要決 定と日々のマネジメントとの両方があり、日々のマネジメントをきちんと意思決定していれば、重要決定を行わなくとも経営主とみなすこととした。これは検討中なので決定ではない が、そういう方向でやっていきたいと思っている。
山口委員
政策効果というのをある程度特定して聞くことができるのかどうか。家族経営協定を導入した成功例や失敗例など、個別的な政策評価はこういう調査でできるか。
農林水産省
毎年の協定が幾つ存在しているかはフォローしている。政策効果はそういう面で図れる。
庄司委員
農業集落調査と林業地域調査を統合するとあるが、どういうねらいを持っているのか。
農林水産省
従来は、農業集落調査の場合は、全国で13万集落の1つ1つに対して1つの集落カードをつくり、そこに世帯調査の結果を盛り込むなどおこなっていた。一方、林業地域調査につ いてはきめ細かなことをやっていなかったため、今回のセンサスでは、一元的な地域を分割した単位を設定し、そこにこの個別の事業体の調査結果を埋め込んでいくとか、あるい は国勢調査のデータなども取り込めるように、地域的なデータベースをつくっていくという狙いである。また、地域的なデータベースは、地図情報としても活用できる方向にしたい。
庄司委員
農業集落調査をさらにジェンダーの視点からインテンシブにやっていくと、日本の農業における女性の位置などもわかってくるような、入口になる調査ではないかと思う。
農林水産省
農業集落という地域区分を使うかどうかは別にして、同じような趣旨で属地的な調査は行うし、もっと使い勝手のいいものにしたいと考えている。

(3)厚生労働省(統計部門の組織、企業の雇用管理制度の適用状況等に関する性別データ等)

佐藤委員
男女別のデータの把握については、企業に聞いても答えにくいものがあるとすると、労働者個人に聞くのがひとつの方法ではないか。制度調査は30人以上規模の調査であるが、 特に女性の場合、パートが多く、29人以下で雇用されている者が多いので、制度調査で把握できない層の労働者をとらえることがこれから大事になるのではないか。
女性雇用管理調査については、均等の調査をするときに両立の質問がなく、両立の調査をするときに均等の質問がないが、実際は両立と均等の関係がすごく大事だと思う。両立 の調査のときに、均等の質問を入れるというような工夫をぜひやっていただきたい。
鹿嶋委員
関連して、特に厚生労働省の労働関係の調査はパートと正規雇用の分類が大事であるが、例えば賃金格差を見るにしても、パート、正規雇用が一緒になっているのもあれば、 なっていないのもある。統一性というか、あるいは別々に表示するなどできないか。
女性雇用管理基本調査で言えば、今は事業所調査になっているが前は企業調査である。どういういきさつで、事業所調査になったのか。
厚生労働省
男女雇用機会均等に関しては基本的には企業調査で追いかけていこうと考えている。雇用管理の方針は、事業所一つ一つというより、本社の意向が大きいという考えからであ る。
均等関係の調査と、育児・介護休業関係の調査を一緒に調査することなどについては、今後検討してまいりたい事項だと考えている。
確かに事業所は規模が小さいところは落ちており、また、昔から正社員を中心にとらえてきたので、そういったことがあるのは事実である。明確な役割分担ではないが、例えば、就 調や労調など世帯調査は総務省で実施しており、事業所ベースはどちらかというと旧労働省でやっていたので、私どもが世帯で調べたいとしたときにその辺の調整が問題になる。 しかし、サービス経済化が進み、パートが増加しているので、何かしら検討していきたいと思っている。パートと一般がまざっているという御指摘については、例えば賃金構造基本統 計などでは分けて表象するなど必要なものは当然分けるような形でやっている。
佐藤委員
サンプルは多くなくてよい。旧厚生省は個人調査が多い。一緒になったので旧労働省の方も地域サンプル個人調査をやれるのではないか。
鹿嶋委員
平成13年度の女性雇用管理基本調査は、説明だと機会均等の調査であるので企業調査というが事業所になっている。この調査で管理職の比率が変わっており、なぜこれだけ 事業所になっているのか伺いたい。
厚生労働省
企業調査では、係長相当職、課長相当職、部長相当職は何人か、そのうち女性は何人かなど聞いているが、何歳くらいで女性は昇進しているのかなどより細かく知りたかったと いうこともあり、今回のみ事業所調査にしたが、記入者負担が大きいので今後はなかなか難しいと思っている。
坂東局長
均等待遇に関して拘束性の有無ということが話題になっているが、例えば、転勤の有無など拘束性の要素については、どの調査でカバーされているか。
厚生労働省
そういった観点の調査は、特に男女ともにとられていないと思う。雇用動向調査などでは異動としてとらえているが、それとほかの条件を組み合わせてというのは明確なデータは ないと思う。
佐藤委員
女性雇用管理基本調査で、男女それぞれについて事業所間異動があるかどうか聞いている。大企業のホワイトカラーの場合は勤務地限定して採用しているわけではないので、 勤務先の事業所が特定されていない場合が多い。そういう意味で転勤は前提にしているということを言っている。判例でもそういう理解だと思う。人事権は企業側にある。