第12回 苦情処理・監視専門調査会 議事要旨

(開催要領)

  • 日時:平成14年2月26日(火)9:55~12:15
  • 場所:内閣府3階特別会議室

(出席者)

古橋
会長
庄司
委員
鹿嶋
委員
神田
委員
桜井
委員
佐藤
委員
深尾
委員
山口
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 監視関係
    • 平成13年度監視ヒアリング「国の審議会等委員への女性の参画の促進」
  3. 苦情処理関係「論点整理に向けた検討」
  4. その他
  5. 閉会

(配布資料)

資料1
国の審議会等における女性委員の参画状況調べ
資料2
審議会等別委員の一覧 [PDF形式:15KB] 別ウインドウで開きます
資料3
法律に基づいて配置されている女性の委員、相談員の数 [PDF形式:5KB] 別ウインドウで開きます
資料4
国が委託する各種モニターについて [PDF形式:14KB] 別ウインドウで開きます
資料5
日本学術会議会員の男女別構成数 [PDF形式:5KB] 別ウインドウで開きます
資料6
諸外国のオンブズマン制度 [PDF形式:14KB] 別ウインドウで開きます
資料7
諸外国の国内人権機構 [PDF形式:15KB] 別ウインドウで開きます
資料8
第10回苦情処理・監視専門調査会議事録

(概要)

(1) 事務局から平成13年度重点監視施策の「国の審議会等委員への女性の参画の 促進」について、資料1~5により説明が行われた。これに対する質疑応答は以下の とおりである。

(2) 次に、事務局から男女共同参画に関する苦情の処理等に関する論点整理につい て、説明が行われた。これに対する質疑応答は以下のとおりである。

(1)「国の審議会等委員への女性の参画の促進」に関する主な議論

(佐藤委員)
今まで女性比率の低かった審議会で比率を上げた所についてはどういう工夫をした か、そのノウハウを集めてみたらどうか。
また、昨年の省庁再編で審議会も再編され、部会や分科会となった所もあるが、これ らの時系列比較はできないか。
(村上課長)
審議会の定義は国家行政組織法で対応をしている所としている。審議会の再編の あった審議会と分科会の対応状況について同一性をどう見るのか難しい。
(古橋会長)
審議会の女性比率は今後4年間で30%にしなければならないが、このままでは難 しい。法律あるいは政令で書いている任命基準などをもう少し分析して、当調査会とし てもこれに対する戦略論を持つ必要がある。専門的技術を持つ女性を見出すことや、 女性の受益者や消費者という立場から任命することなども考える必要がある。
また、女性人材データベースの話があったが、これに掲載する基準はなにか、具体的 な項目はどうなっているのかなど資料が欲しい。
(佐藤委員)
女性に関する人材データは、日頃から独自に各担当で情報を集めておくのが普通の やり方だと思うので、こちらで整備するのは難しいと思う。
(古橋会長)
それでは、いつまでも適任の女性委員がいないと言われるので、内閣としても整備 していると言う姿勢を示す必要がある。
(庄司委員)
資料4の「各種モニター」の中で、女性比率が80%から100%というのがあるが、こ れは性別分業の最たるものではないか。
(古橋会長)
定年後にボランティアを希望する男性は沢山いる。地域社会への貢献と言うことも考 えると、男性がもっと入っていくべきだ。
(事務局)
これは男性を排除している訳ではなく、たまたま結果としてなっている場合もある。
(山口委員)
団体推薦の場合など、会長職・副会長職などに女性がいる所が少なく登用し難いこ とがある。女性が進出していない分野をどうして行くか考えることが重要である。
人材データベースの問題だが、問題は大学などで何を専攻するかである。最近は法 律・経済・政治分野或いは理工系にも女性が進出している。学校教育・進学など進路 指導という観点から文部科学省に聴いて見る必要がある。当調査会としても女性が出 やすい所などを発掘してそこへ提言してもいいのではないか。
(坂東局長)
女性の人材の層を厚くして行くことは、長期的に非常に大事な課題だと思う。基本問 題調査会の「チャレンジ支援」はまさにその点にある。

(2)「論点整理に向けた検討」の主な議論

(古橋会長)
調査会の苦情処理に関する「論点整理」は、例えば、前向きな事を先に書くなど、現 状を変えて行くのだと言う調査会としての意識をもっと出した方が良いのではないか。
また、論点整理では、周知徹底の具体的方法はどうするのか、各省庁の苦情処理の 何処に問題があるから直せとするのか、国と地方とで連絡協議会を作るとした場合 に、何処が主体的になって作るのかなど、具体的に書く必要がある。
(深尾委員)
苦情処理と言う言葉の意味がイメージしにくいという問題がある。各県で苦情処理機 関などを立ち上げた所の経験や、どういう問題に遭遇しているのかなどを参考にする 方が良いと思う。
(桜井委員)
既存制度の活用を前提としているのはいかがなものか。例えば、行政相談委員や人 権擁護委員へ男女共同参画に係る苦情処理に関する研修を行う場合、何処が主催す ることになるのか。連携を強化するとしても、それは何処が主体となるのか。これらの 主催者が男女共同参画の視点でやるところが行わないと絵に描いた餅になる。
(古橋会長)
関係機関の連携強化については、どこがやるかは地域の実情に応じてということで はないか。また、苦情処理について、行政相談制度や地方公共団体から男女共同参 画局に情報が集まってきて、そこで、具体的問題はやらないが、制度的問題が出てき たときは参画会議を通してやろうということが考えられる。
(坂東局長)
積極的関与という言葉の問題である。どこが前面に立ってイニシアチブをとってくれる のか、国民にとってはイメージがわかないのだろう。
(桜井委員)
適当に関わるのではなく、もっと何処がやるのかをはっきりさせた方が良いと思う。
(神田委員)
この論点整理では、全体の印象としては現状維持的といった印象は否めない。例え ば女性センターの職員を行政相談委員制度の専門委員へ委嘱するというのはどうか。
(古橋会長)
論点整理では、男女共同参画会議に情報が入り、そこで施策を検討すると言ったこ とや、行政相談委員制度の男女共同参画に関する専門委員の考え方などが入っており、新しいことだと思うが、プレゼンテーションに工夫の余地がある。
(鹿嶋委員)
国の男女共同参画行政に対する苦情となるとどういう視点で苦情を言うのか、国民 には分からない。そこで、入口部分を国、地方でミックスしたようなシステムができない のかどうか。例えば、人権擁護委員、行政相談の専門委員と市町村と一緒にローテー ションで組むとか、市町村の窓口で受付をやるといったシステムは出来ないか。国の 行政相談の専門委員をつくることは大賛成だ。
また、国への苦情はこういうものがある、或いはこういう視点があるなど、国民教育も 必要だ。
(深尾委員)
鳥取県の苦情処理委員と意見交換をすることになっているが、このような県・市町村 などの情報交換と何でも間口を広くして受け付けるといったような事を論点整理に書き 加えたらどうか。
(山口委員)
男女共同参画社会の形成を阻害するものとはどういったことか、出来るだけ事例をあ げ、苦情の対象になるものは何かを分かり易く書く必要がある。
また、行政相談委員や人権擁護委員に対応しにくい苦情など、振り分けが難しい苦情 について判断ができるシステムが必要である。参画会議に総合的な判断が出来る機 関が必要ではないか。
人材登用の所で「苦情処理に関わった・・・」とあるが、苦情処理に関わる人は少な いので、明言しない方が良い。要するに男女共同参画に関して、ちゃんとした知識と認 識を持っている人であればよい。
(鹿嶋委員)
人権擁護法が今国会を通れば、人権擁護委員の位置づけは大きく変わっていく。行 政相談委員についても魅力的なシステムにしていかなければならない。
(古橋会長)
行政相談委員の中に女性センターの人達を委嘱するといったことは、大変な発想の 転換なのではないか。
(鹿嶋委員)
それでも苦情相談は少ないのではないか。
(古橋会長)
苦情がないから苦情処理機関を作っても仕様がないと言う議論は逆である。男女共 同参画の啓発活動をやるとともに、これに基づいて苦情処理をしていく、これらが相 まって男女共同参画の推進が図られる。
(桜井委員)
この論点整理の中では「問題の発掘」と言う言葉が何度もでてくるが、入口の所が 大変重要になってくる。男女共同参画を推進していくときの苦情処理には、これは相 談してよいのだろうかというケースが多く、一緒に問題を発掘していく作業ができるとこ ろでないと困る。そのためには、女性センターなど、これまで女性問題に関する相談を 問題の発掘を視野に入れて実施してきたところを中心に出すということが必要だと思 う。
(古橋会長)
女性センターは女性のエンパワーメントとしての活動の拠点である。現在は地方行 政だけであるが、そこで国の行政についても法律に基づかない協力ベースでやってい ただく必要があるのではないか。また、行政相談制度についても、ある程度改革して そこに上がってくると言った事で、発想は極めて改革的だと思うのだが。
(庄司委員)
人権擁護委員は人数が多く組織体制も進んでいる。特に子どもの問題については専 門委員制度を作ったところが非常に効果を上げている。それに比べて、まだ行政相談 委員は手がついていなかった分野といえる。人数的にも少ないという気がする。
(古橋会長)
行政相談委員の中の専門委員数は全国350ブロックに1人といったイメージだと聞 いている。ただ、女性センターの職員は職務専念義務があり、行政相談委員を兼ねる ことができるのかどうかという問題がある。
(桜井委員)
女性センターの相談員というのは、これは不幸なことでもあるのだが、嘱託・非常勤 が多いので、問題はないと思う。
(佐藤委員)
人材育成について、男女共同参画についての見識や理解があり、専門分野(苦情処 理)の知識があり、他機関との連携のノウハウのある人が必要。人が育つような雇用 や処遇の仕組みがないと、いくら教育しても、仕組みがあっても人がいないということを 危惧する。
(古橋会長)
女性センターについては、相談員が男女共同参画を理解している人かどうか予算が どの程度確保されているのか。勤務している職員が2年毎で変わってしまうのかどう か、専門職種がいるのか、研修は常になされているのかなどの問題がある。
(佐藤委員)
専門的な人材が育つような雇用や処遇のシステムを考えるとすべきである。
(古橋会長)
地方自治の問題なので、地方公共団体に期待するということになる。
(桜井委員)
研修というのは、ロールプレーも必要だし、実態を知るためにシェルターに関しての知 識も必要だ。総務省のプログラムに沿ったコマ部分の講義では不十分だと思う。
(古橋会長)
行政相談委員に対する研修プログラムを作って、総務省に出したらどうか。
(桜井委員)
行政相談委員の中の専門委員350人程度という数は研修ということではかなり多 い。こうした人数に対して女性問題・ジェンダーの視点を持たせていくのは大変だと思 う。それよりこうした問題について一定の知識、経験のある女性たちを活用した方が社 会全体としては、人的資源の有効活用となる。
(古橋会長)
一度に350人は出来ないと思う。徐々に専門委員をつくっていくのだと思う。
(鹿嶋委員)
行政相談委員は専門性よりも男女共同参画に関する連絡係になると思われる。むし ろ、人権擁護委員はジェンダー精神がないといけないので、これに対しては、教育を しっかりやる必要がある。
(山口委員)
苦情処理問題の中に「不服」ということは入るのか。
(事務局)
行政処分に対する不服については行政不服審査制度がある。一方、苦情処理は非 常に幅が広く事実行為も含めて不服・不満などが相当する。
(庄司委員)
施策に対する苦情は、全て都道府県レベルから上がってくるのか。参画会議に直接 上がってくると言う議論はないのか。
(事務局)
参画会議が直接苦情の処理をするということになると、法律上制約がある。
(古橋会長)
監視をする前提として苦情が上がってきて、それを見てやりましょうと言う事だから、 苦情処理というのは当然監視の中に入っていると解釈できないか。
(事務局)
苦情の情報を活用して、参画会議がその事務を行うというのは可能だが、直接請求 的な苦情処理をするというのは、参画会議の機能には入っていない。
(佐藤委員)
個別事例を直接処理するという仕組みにはなってない。
(古橋会長)
苦情の内容が、直接上がってくるシステムを作っておくことは問題がないのではない か。
(事務局)
そういう情報を集めて、男女共同参画に何が必要かを判断し、参画会議が所掌事務 を実行していくのは良いと思う。
(古橋会長)
庄司委員の質問は、行政処分などの直接請求的なものか。
(庄司委員)
東京都の女性財団のように財源を理由とした事について、国の男女共同参画基本 法に反する施策ではないかといった疑問や苦情については、何処に持っていけば良い のかと言った疑問である。
(古橋会長)
国の予算措置を差し止めさせるといった事を直接持ってこられても権限はない。それ は被害を被っている方々が直接裁判所へ行かない限りだめだ。
(山口委員)
男女共同参画局で自治体や行政相談委員・人権擁護委員でやり切れないものを受 け止める事ができれば。そうした問題は必ずあると思う。
また、国連女性差別撤廃委員会のように、国内でやってくれないと持っていくという例 もある。
(神田委員)
男女共同参画会議の関わり方など、まだ議論が詰まっていないのではないか。
(古橋会長)
総務省では大臣決定による法律等の専門家による行政苦情救済推進会議がある。 男女共同参画会議においても、苦情が上がってきたときに、その直接的同業者として ではないが、それを判断するシステムを作るべきではないかと言う事を書くことは決し て悪くはない。
当調査会としては、苦情処理関係は苦情処理の手続きの検討ということで政府から受 けているので報告をまとめれば終わりになるかもしれないが、具体的に苦情があがっ てきたときは、それを支援するということを書くことは可能であろう。
(山口委員)
仕事と子育ての両立支援についての監視については、当調査会に委ねられたわけ で、そうであれば、苦情処理を扱う機関をこの専門調査会に置いても良いのではない か。
(桜井委員)
提出したメモに「出口について」を書いたが、このイメージとしては、個々の苦情につ いて何とかするのではなくて、苦情の処理状況について1年間まとめて検討したり、そ れを、各省の施策に反映させるために機能するような小委員会である。
(古橋会長)
論点整理の中で、男女共同参画局が1年間のものをまとめて、これを参画会議にか けるとあるので、専門調査会としては下部機構としてこれを受けて検討するということ を具体的に書けると思う。
また、苦情処理の啓発ということで、苦情処理をするときの観点について、国か地方公 共団体において作成することを提案すべきではないか。
(鹿嶋委員)
そういうサンプルがないと、何をどこにどう物申していいかというのがわからない。
(坂東局長)
苦情処理ガイドブックというものか。
(桜井委員)
どういうものが苦情処理のストライクゾーンに入るのかわからない。先日、「配偶者暴 力防止法」の施行に伴う相談者実務研修を行ったが、そのセミナーでは苦情処理が一 般的に女性センターが受ける相談とどう違うのか、人権擁護・行政施策の相談とどう 違うのかを具体的事例を引いて話をしたが、これは難しい。守秘義務もありオブラート をかけてやっていると言う状況である。埼玉県・鳥取県・横浜市などで苦情処理も始ま り、事例も出てくるので、こうしたものを集めて、苦情処理のストライクゾーンに入るの はこういう相談であるということが必要か。
(古橋会長)
ガイドブックには、苦情内容・処理方法・何処へ行ったらよいかなどを含めるのだろ う。
(鹿嶋委員)
埼玉県のケースでは、男女混同名簿で終わっている。男女共同参画について、何が あって、こういう視点があるということを、やさしく解説してあげないと分からない。
(山口委員)
差別は理解できるが、男女共同参画の意味が分からない。何が男女共同参画の苦 情処理の対象になるのか、事例を挙げなければ分からないと思う。

(以上)