第11回 苦情処理・監視専門調査会 議事要旨

(開催要領)

  • 日時:平成14年1月30日(水)16:00~18:00
  • 場所:内閣府3階特別会議室

(出席者)

古橋
会長
岡谷
委員
鹿嶋
委員
神田
委員
桜井
委員
佐藤
委員
野中
委員
広岡
委員
深尾
委員
松下
委員
山口
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 苦情処理関係
    • 「論点整理に向けた検討」
  3. その他
  4. 閉会

(配布資料)

資料1
男女共同参画関連の施策に対する苦情の処理に係る制度等について [PDF形式:26KB] 別ウインドウで開きます
資料2
男女共同参画関連の主な人権侵害類型と被害者の救済にかかわる制度等について [PDF形式:26KB] 別ウインドウで開きます
資料3
都道府県・政令指定都市における男女共同参画条例・苦情処理等の取組及び取組予定の状況 [PDF形式:178KB] 別ウインドウで開きます
資料4
苦情処理・監視専門調査会地方ヒアリングの結果について [PDF形式:38KB] 別ウインドウで開きます
資料5
男女共同参画社会の形成に係る苦情処理等モニタリング事業の実施状況について(中間報告) [PDF形式:126KB] 別ウインドウで開きます

(概要)

○事務局から男女共同参画に係る苦情処理等について、配布資料に基づき説明をおこなった。これを基に苦情処理等システムに対する論点整理に向けた自由討議が行われた。概要は以下のとおり。なお、次回調査会において、引続き論点整理に向 けた討議を行うこととなった。

(鹿嶋委員)
行政相談員についてはジェンダーセンシティブではない面があるので、これを補うため、男女共同参画に関し、専門委員的な 制度を設けて苦情に当たるといったシステムが良いのではないか。
(古橋会長)
それについては運用の問題なのか制度として作るのかが問題である。そこで、地方公共団体の女性センター等で国の施策 関係についても受けてもらうといった別のルートとしての対応が考えられる。
 また、行政相談委員は大きい市などでは2人くらい置けるので、このうちの1人を専門委員的なものに出来るかどうかである。 ただし、その場合、専門委員としては、男女共同参画だけの苦情処理だけでなく、国全体についての苦情を受けられることも必 要である。
(鹿嶋委員)
単に苦情を受け付けるだけでなく、苦情を発掘する、あるいは教育するといった機能も非常に大事である。こうした事を行政相談委員に頼れるのか。
(古橋会長)
行政相談委員は苦情があった時に、管区行政相談事務所あるいは国の行政機関等に通知するというのが業務である。という ことで、男女共同参画に対する意識を少し持ってもらえれば対応できるのではないか。
(鹿嶋委員)
女性センターにおいても相談員の機能はまだ未知数である。これからDVの対応に追われて、こちらの教育は間に合わない のではないか。
(桜井委員)
私達の事例でいえば、10カ月で306件の相談があったが、このうち申立てまでいったのが5件である。残りの相談は従来の 女性センターが担っている相談として処理された。
 行政相談委員が担うべきものは国の施策についてどうかということであろう。そうであれば、男女共同参画関連の苦情への対 応について、行政相談委員ではミスマッチだと思うが。
(鹿嶋委員)
相談内容が人権擁護の問題なのか行政への苦情の相談なのか相談者には分からない。単に行政相談委員が、こうした相 談を割振ることだけでいいのかなと思う。
(桜井委員)
苦情を発掘していくという機能があるのだとすれば、両方の相談がきても大丈夫ですというインテイクの機能がすごく重要だと 思う。
(岡谷委員)
アクセスするところは1つで、そこである程度処理可能という仕組みにしないといけないのではないか。
(古橋会長)
相談窓口のネットワーク化による連携と、被害者のサポート体制についてはどう考えるか。
(岡谷委員)
その連携システムの責任体制をどう作り上げていくのかということが必要ではないか。
(古橋会長)
例えば、人権擁護委員の場合など、システムの運用がどうなっていくのかを見ていく必要がある。当調査会としてはこうした 事に留意して、参画会議への報告に際して注意事項として上げておくということで良いのではないか。
(鹿嶋委員)
行政相談委員は国の行政と地方の区分けができるが、人権擁護委員の位置付けというのは難しい。苦情処理の機能を持っ ているところは人権擁護委員に相談するようなこともやはり受付ている。そうすると、どの辺で差別化していくのか。セクハラから DVからいろいろな人権侵害がある。国の方も人権擁護委員がいるので、その間の役割分担をどういうふうにするか。
(古橋会長)
連携強化ということの具体的な内容を地域ごとにつくってもらう。例えば、開業医の場合だと、同じ医療圏であの人はどの専 門でどの能力だと知っている。だから、最近は開業医も自分で手に負えないものは専門家にすぐ連絡し、そこへ患者を送るとい うシステムになってきた。
(桜井委員)
無償である人権擁護委員や行政相談委員にどこまで期待できるのか。
(古橋会長)
今後、各機関でどういう能力があるか、お互いに開示して、機関の間で連携をとっていくということが必要だと思う。
(岡谷委員)
病院と診療所も連携はそれほどうまくいっていない。医療情報というのもあまり公開はされていない。
(古橋会長)
最近は病院が地域の開業医を集めて広報活動をやっている。このように各相談機関も能力がどの程度あるかという事を開示 していく必要がある。その中でどれを選ぶかという事をやっていくという事ではないか。
(佐藤委員)
基本的には、男女共同参画という考え方の下に苦情処理について、既存の制度との調整をどうしていくかである。具体的にど ういう問題があるのか、現状はどうなっているのか、連携がうまくいっているのかいないのかといった事をもう少し詰めた上で提 言に盛ったらいいと思う。
(古橋会長)
地方公共団体の女性センターの人を行政相談委員に任命するといったことも考えられる。
(野中委員)
今後、独立性のつよい人権委員会が出来るが、いくらか違ったことになるのか。
(事務局)
委員会の事務局の地方組織はどういう単位になるのか、まだ決まっていない。また、人権擁護委員は従来並みの業務が基 本になるが、昨年12月の答申では委員の中で適性のある者については調停や仲裁といった特別救済手続を担う者もあるとの ことである。
(野中委員)
特別にそれを担うものは、既存の人権擁護委員ではなく、弁護士会あるいは司法書士会といったところからでるという話は聞 いている。
(事務局)
具体的に制度と運用の話があり、制度は法律により現在調整中である。運用についてはその後の話ということになる。
(古橋会長)
男女共同参画への意識について、世代間でこうした差があるという事を統計的に出して、年齢について十分考慮すべきであ るということをいえば、市町村長が推薦する時に考慮するようになると思う。
(広岡委員)
総合相談窓口というのが一番良い。窓口でまず受け止めて、仕分けるスキルとか相談に乗るスキルとか、どういう仕組みがあ るということを伝えていくなど総合的にやる。その上に立った連携でないと意味がない。
(古橋会長)
直接、行政評価事務局へ行くという方法もある。
(広岡委員)
ジェンダーの視点について、ノウハウが蓄積されているのは地方自治体であるから、例えば女性センターで相談に乗っている 者が行政相談委員とか人権擁護委員に任命されることは重要だと思う。
(古橋会長)
人権擁護委員は運用の問題で出来ると思う。女性センターは地方の町村部では職員がいないのでルートを作っておかないと 出来ない。要は、苦情処理は資質の問題である。これをどうやって上げていくかが大切である。
(深尾委員)
埼玉県の相談事例の中で、最初は人権差別やセクハラの問題と思って調査を重ねていくうちに、実は私人間の人権侵害問 題だけでなく、市あるいは県の施策の問題ということがあったので、最初から分けられないという実感がある。
(古橋会長)
「地域における取組等を踏まえた諸課題についての施策改善に反映」というところで、具体的にそういうことがセクハラの問題 や教育の問題になってくれば処理センターなり人権関係の方から、県なりあるいは男女共同参画会議の方なり、そういうところ へやはり行ってもらうということになっていく。それが一つの苦情処理であり、人権の問題が苦情処理の方へ移行していくという ことで処理できると思う。
(深尾委員)
人権委員会がジェンダーセンシティブであるかどうかでかなり違ってくる。
(古橋会長)
今後はこうした問題提起は、男女共同参画会議にも入ってくるし、県の施策にも入ってくる。そうした中で、例えば、セクハラに ついての教育がどうなっているのかなど参画会議で文部科学省に聞くといったことになる。こうしたシステムで解決出来るという 気がする。
(広岡委員)
理想的には、人権擁護と行政相談を一緒にした女性総合相談についての国の窓口が全国的に出来るのが良い。ただ、実体 としては女性センターも各地に出来ていて、屋上屋になるが、本来ならば女性総合相談の国の窓口が全都道府県にあるという のが理想的だと思う。
(古橋会長)
国の機関ということであれば、管区行政評価局と行政評価事務所がある。労働問題は労働基準監督署が扱うので、労働問 題以外のものについてはそこが受付ている。
(鹿嶋委員)
セクハラ問題は労働局長が受付ることになったが、ジェンダーセンシティブでない場合、解決にならないという批判もあるの で、国が全部受ければいいというものではないのではないか。
(広岡委員)
窓口で相談を受ける者がジェンダーの視点で対応出来るかどうかが問題である。
(古橋会長)
行政評価事務所などへも周知徹底をして、直ぐに対応出来るシステムを作っていくということが必要である。
(松下委員)
これからは、ボランタリーな活動も重要になって行くと思う。こうした活動の中に、男女共同参画に関するセンスを磨くプログラ ムやカウンセリング的なことなどを研修に組み込んでいく必要がある。そして、こうしたなかで、やがては総合的な活動ができる 立場がとれるようになるようなシステムを作ってみたら相談員の意欲が湧いてくるのではないか。
(山口委員)
苦情や救済に対して素早く対応が出来、また実効性を確保しなければ、外からの評価が得られない。ジェンダーについては 随分知識が普及し、広がっているが活かされていない。ボランティアもそれを活かしたいという気持ちがあり、行政相談委員や 人権擁護委員などと一緒になってやっていけるシステム作りが大事だ。
 また、男女共同参画会議に関し、本調査会で、ある事柄に対する判断が出来るような権能を持っていく必要があると思う。例 えば、この問題は苦情処理か救済か或いは性差別なのかといったことに対して判断が下せるような権能を持っていく必要があ ると思う。また、男女共同参画社会基本法の27条の話があったが、同条において各府県に対して参画会議は物を言うことがで きるのかどうか。
 国の各役所には苦情処理を受ける所はあるか。
 もう少し性差別というものの位置付けを強調し、何処へ相談するのか考える必要がある。
(古橋会長)
各省の施策への苦情処理は、参画会議による総合調整が可能である。
 地方公共団体については、地方の自治事務と国の関係から、指導ということはできないので、情報提供や技術的助言という ような事になる。
(事務局)
行政相談制度は苦情を受けてこれをあっせんするという事である。各省は自ら苦情を受けつけ、処理をするという機能を持って いる。また、地方との関係は地方分権の推進の関係から、関与の仕方としては技術的な助言という事になるのではないか。
(山口委員)
とにかく各地でやる気のある女性の活力を登用していく必要がある。
(古橋会長)
それは、行政相談委員の中に公募制を入れるかどうかと言う問題でもある。
(神田委員)
実際に有効に機能するかどうかであり、機能しない場合、では何処に何を加えたら良いのかと言うことである。例えば、管区 行政評価事務所があり、ここで吸い上げれば良いと言って済むようには思えない。
(古橋会長)
苦情処理のこれからの主流は女性センターと参画会議の新しく作るパイプで、これをいかに活用するかであろう。他のルート は上手くいかなければ行政効率の観点から淘汰されていくことになる。ただ、このときに、参画会議における事務局が本当に能 力があるかどうかが問題である。
(鹿嶋委員)
現在、苦情処理の相談がないということは確かだ。ただそれは敷居が高すぎる事も問題である。行政相談委員の敷居をどう するか、どういうレベルでやれば出来るのかを検討しなければならない。今ないからという事でどうも切り捨てられないと思う。
(古橋会長)
行政相談委員は一番身近なものであり、この能力をどうするかと言う事である。
(桜井委員)
最初の窓口を苦情処理機関と位置付けて、女性センターが担う方が現実的である。行政相談委員に研修をしていくより行政 効率としても良いのではないか。
(古橋会長)
女性センターがカバーできる所は良いが、農村部などはどうするのか。そういう地域には行政相談委員で対応していかなけれ ばならない。
(桜井委員)
いわゆる女性センターと言われるのが全国220ヶ所くらいある。こうした所では研修はかなり積んでいる。行政相談委員や人 権擁護委員に研修をしていくよりは対応が早い。それに女性達のニーズとしても、この仕組み、目的に沿ったものができるので はないか。
(古橋会長)
苦情処理について女性センターと男女共同参画会議の事務局との連携をこのルートをどうやって広くするか考えていく必要が ある。
(桜井委員)
窓口を一本化し、苦情処理機関として一つにする。そこから人権擁護委員や行政相談委員に繋ぐというルートを確保する。こう したルートの中で研修をして、苦情処理機関の相談員にする。
(古橋会長)
窓口を一本化するという事について、基本法27条の2項では言えるかどうか。お互いの協力関係だけで、それを根拠にして そこまでやれるかどうか。
(広岡委員)
実質的に総合的に受けるものは必要であろうが、窓口は必ずしも一本化する必要はない。むしろ幾つもないといけない。要は 研修などによりスキルを深めていく必要がある。
(山口委員)
結局、現在のところ女性相談センターでは、暴力・離婚・心の相談などが多い。そこで、女性アドバイザーなどの活用を図り性 差別専門を扱うやり方もあると思う。
(神田委員)
前提としては人権擁護委員や行政相談委員が研修を受けて、ジェンダーセンシティブになってもらわないと困る。その上で、 女性センターと参画会議のルートを太くしていく方向だと思う。
(鹿嶋委員)
敷居の高さと言うのは千差万別だが、受付のシステムとして、電話とかメールによる相談も考えた方が良い。
(野中委員)
各市町村の隅々までいるのは人権擁護委員である。今後選任の仕方としては熱心な人を選任していくようであり、良くなって いくと思っている。

(以上)