第8回 苦情処理・監視専門調査会 議事要旨

(開催要領)

  • 日時:平成13年11月9日(金)10:00~12:10
  • 場所:内閣府3階特別会議室

(出席者)

会長
古橋 源六郎 (財)ソルト・サイエンス研究財団理事長
会長代理
庄司 洋子 立教大学教授
委員
岡谷 恵子 (社)日本看護協会専務理事
鹿嶋 敬 日本経済新聞社編集委員兼論説委員
桜井 陽子 (財)横浜市女性協会事業ディレクター
野中 邦子 弁護士
深尾 凱子 埼玉短期大学教授
山口 みつ子 (財)市川房枝記念会常務理事

(議事次第)

  1. 開会
  2. 平成13年度監視関係ヒアリング(仕事と子育ての両立支援)
    • (1)関係施策の実施状況について厚生労働省からのヒアリング(子育て関係)
    • (2)関係施策の実施状況について国土交通省からのヒアリング(職住近接のまちづくり関係)
  3. その他
  4. 閉会

(配布資料)

資料1
厚生労働省説明資料 [PDF形式:1160KB] 別ウインドウで開きます
資料2
国土交通省説明資料 [PDF形式:337KB] 別ウインドウで開きます
資料3
第6回苦情処理・監視専門調査会議事録

(概要)

○仕事と子育ての両立支援に関して、厚生労働省から「子育て」に関して説明がおこなわれ、これに対する質疑応答が行われ た。

○仕事と子育ての両立支援に関して、国土交通省から「職住近接のまちづくり」に関して説明がおこなわれ、これに対する質疑 応答が行われた。

(1)厚生労働省説明に対する質疑応答

(鹿嶋委員)
今回の児童福祉法改正のポイントは無認可保育施設の監督強化ということか。無認可保育施設が果たしてきた役割につい て、今後どう考えるか。また、株式会社が保育所設置・運営に乗り出すに当たっての問題点はなにか。待機児童問題は本当に 解消すると考えてよいのか。
(厚生労働省)
今回の児童福祉法改正のポイントは、認可外保育施設に対する監督強化、効率的な保育サービスの提供の促進、保育士の 名称独占化、児童委員活動の活性化の4つである。監督強化により認可外を排除するのではなく、これだけはというぎりぎりの 規制を行うもの。認可保育所については、その設置要件について、質を落とさずに弾力化を進めてきている。地域の実情によ り、いろいろな保育施設が考えられるが、認可外保育施設が認可保育所に移行する経費も計上しており、極力、認可保育所に 移行してもらいたい。
仕事と子育ての専門調査会の議論では、株式会社による推進と公立公営推進の両論があった。株式会社の場合は、憲法89 条(公金その他の公の財産の支出・利用)との関係で、株式会社の財産形成に資するような施設整備の補助金を公的に出せる のかがネックになっている。今回はPFI方式により、同条の制約下でも株式会社が参入しやすくしている。
待機児童の解消は政策の目標であり、実現可能な手段により道筋をつけている。
(庄司委員)
待機児童問題は、地域、年齢で異なるが、保育所の認可要件緩和により、どの程度の効果が上がっているか。また第三者 評価システムと無認可保育施設との関係はどうなるのか。
(厚生労働省)
待機児童の多くいるところは約300市町村であり、都市問題である。規制緩和により0歳・1歳・2歳児の対応がかなり行わ れ、政策的にここにシフトしてきている。
国の政策論として、ダブルスタンダードで補助金を出すことは採り得ず、できるだけ認可保育所に移行してもらうという方向で あるが、地方公共団体が独自の基準を設け評価をしたものも含め、保育需要に対応していくといった体制を国全体としてはとっ ていくのが適切であると考える。
第三者評価は基本的に認可保育所を対象としているが、認可外保育施設でも評価を受けたいと言えば評価を受けることが出 来る。
(岡谷委員)
評価によっては認可保育所もマル適にならないこともある。また、評価により無認可保育施設がマル適になった場合、ユー ザーはこれをどう判断したら良いのか。医療機能評価などでは何年も指摘されても改善されないところもある。強制力がないと ただ評価するだけでは改善や質の向上に結びつかないのではないか。
(厚生労働省)
認可基準については、それに満たない場合には改善命令などの強制力がある。評価は、ユーザーの選択に資するため、事 業者の前向きな改善努力を促すものである。
(桜井委員)
待機児童をなくすためにさまざまな社会資源を生かす施策がとられている。こうした中で幼保一元化についてどう考えるか。ま た、雇用創出といった視点からも考えられているか。
(厚生労働省)
雇用創出は、待機児童ゼロ作戦により従来の新エンゼルプランと合わせて1万人分の雇用増効果がある。NPOの認可保育 所でも負担金が交付されるので、常勤としての雇用創出である。幼保一元化については、様々な意見があり、幼保一元化とは 何か明確にすることが議論の前提である。
(山口委員)
保育士は足りているのか。また、年々増えていくのか。建築士のように1級、2級といった資格にするような議論はあるか。
(厚生労働省)
有資格者は百数十万人だが、実際働いているのは約25万人である。毎年3万人強が新たに有資格者となるが、実際に働く 者は1万5,000人位なので若干供給過剰となっている。1級、2級の資格については議論があり、今回の法律改正の施行状況 をみる必要がある。
(古橋会長)
以下の問題点を指摘した。
  • 今回説明のあった施策について、政策評価の対象としたものがあるか。あるとすればどのような基準で評価されているか。
  • 「保育に欠ける」という要件の考え方、地域における適用はどうなっているか。
  • 専業主婦が保育所へ行ったときに、保育に欠けるという要件に合致しないということで拒否されているのかどうか、専業主婦 の保育所の利用についてはどうなっているのか。
  • 保育所と親との契約による保育所利用についての考え方について、どう考えるか。
  • 待機児童の統計のとり方はどうなっているか。
(厚生労働省)
「保育に欠ける」という要件は政令で定められている。待機児童の統計のとり方についても自治体に文章で示している。後日 回答する。

(2)国土交通省説明に対する質疑応答

(鹿嶋委員)
公的住宅の建替時の居住者の合意はスムーズにいっているのか。公営住宅などは居住者の老齢化が進んでいる。こうした ところに保育所を設けるということは、居住者以外の利用者が増えるわけで、居住者との合意は出来るのか。
また、建替後の賃貸料などはどうしても高くならざるを得ないが、問題はないか。
(国土交通省)
公営住宅の建替えは法律に規定があるが、強制権を持って行うものと、任意にやっていくものとの2つがある。公営住宅は大 分古いので、居住環境の改善要望は強い。また、建替後の家賃がどうなるかは、平成8年の法改正により、応能応益家賃(そ の人の所得に応じて支払う基本的な額を定め、利便性が高いところにあるのかないのか、新しいのか古いのかということで、そ の額に係数を掛ける)を導入したので、建替時の合意形成の上では改善されたのではないか。なお、ストック有効活用のため、 立替ではなく、家賃上昇が少ない住宅の全面改修方式も導入している。
(山口委員)
モデルケースとして公共賃貸住宅の中に保育所や図書館、老人ホームなどが入った建物ができているのか。
(国土交通省)
公営住宅については、これからは原則化したいと考えている。これまでに作った事例として、全体の数としては、保育所を設 置した公共賃貸住宅の保育所の設置数は181カ所である。現在、都心の例では世田谷区の芦花公園に公団団地があるが、そ の建替えに当たり保育所を設置することになっている。
(野中委員)
独身女性が公団住宅に入ろうとしてもなかなか入れないと聞いている。配偶者が亡くなって1人になった人や老齢者について は入居が困難となっていると聞いているが、そういうことに対する配慮はあるか。
(国土交通省)
住宅政策では、これまでファミリーを中心に展開してきており、公団においてもそこをターゲットにしている。配偶者を亡くされた 単身の方や高齢者については、高齢者居住法を本年制定した。これは高齢者の単身あるいは夫婦のみの方々を中心に対象と する民間の賃貸住宅について認定して、補助を行うものである。また、お年寄りが民間住宅に入れないという問題に対しては、 拒絶をしないという住宅を登録してもらっている。この登録住宅について家賃の支払いに不安があるようであれば、不払い家賃 に関して家賃債務保証制度を創設し、これに国の基金を一部入れて、保証するといった制度を作っている。
(桜井委員)
公共賃貸住宅の建替えに際し保育所等の併設を原則化するといっているが、この「等」は何が含まれるのか。
(国土交通省)
原則化するものとしては高齢者福祉施設などで、具体的にはデイサービスセンター、特別養護老人ホームなどをさしている。
(古橋会長)
ニュータウン構想では、職住近接、自然との調和、若い人が老後も過ごし、地域に対するロイヤリティーが高まるよう工夫すべ きである。都心における賃貸住宅の改築が行われるときに、保育施設なども入れていくことはいいことだと思う。また、子どもが 1人から2人、3人になっても賃貸住宅の中である程度移っていけるような循環システムのある賃貸住宅をつくって欲しいと思 う。
また、住宅政策において、何戸作ったというより、何m2のものを作ったかというような公表、PRの仕方を検討してほしい。
(国土交通省)
所得階層あるいは年齢階層も含めて多様な方々がコミュニティの中で住めるものをつくっていこうという形にしている。ソーシャ ルミックスや借り上げ方式の導入、民間活力の導入などを進めることにより、多様性を持ったコミュニティをつくり得るような住宅 地形成を進めてきている。

(以上)

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