第4回 苦情処理・監視専門調査会 議事要旨

(開催要領)

  • 日時:平成13年6月28日(木)9:00~11:30
  • 場所:内閣府第3特別会議室

(出席者)

会長
古橋 源六郎 (財)ソルト・サイエンス研究財団理事長
会長代理
庄司 洋子 立教大学教授
委員
岡谷 恵子 (社)日本看護協会専務理事
鹿嶋  敬 日本経済新聞論説委員
神田 道子 東洋大学長
桜井 陽子 (財)横浜市女性協会事業ディレクター
佐藤 博樹 東京大学社会科学研究所教授
野中 邦子 弁護士
広岡 守穂 中央大学教授
深尾 凱子 埼玉短期大学教授
八木 宏典 東京大学教授
山口 みつ子 (財)市川房枝記念会常務理事

(議事次第)

  1. 男女共同参画会議について
  2. 男女共同参画関連施策の概況(関係府省ヒアリング)について
    • 厚生労働省
    • 文部科学省
  3. 今後の人権擁護施策の方向について
    • 法務省
  4. 今後のスケジュールについて

(配布資料)

資料1
仕事と子育ての両立支援策について(平成13年6月19日男女共同参画会議)
資料2
苦情処理・監視専門調査会における今後の進め方について [PDF形式:34KB] 別ウインドウで開きます
資料3
厚生労働省説明資料 [PDF形式:28KB] 別ウインドウで開きます
資料4
文部科学省説明資料 [PDF形式:159KB] 別ウインドウで開きます
資料5
法務省説明資料 [PDF形式:182KB] 別ウインドウで開きます
資料6
地方ヒアリングの開催について [PDF形式:31KB] 別ウインドウで開きます
資料7
苦情処理・監視専門調査会(第2回)議事録

(概要)

○古橋会長より、第3回男女共同参画会議へ本調査会の状況説明を行った旨の報告があった。また、坂東局長より同会議で決定された「仕事と子育ての両立支援策について」の説明があった。

○男女共同参画関連施策の概況についてのヒアリング  厚生労働省、並びに文部科学省から男女共同参画関連施策の概況説明が行われ、これに対する質疑応答が行われた。

○今後の人権擁護施策の方向についてのヒアリング
法務省から人権擁護推進審議会からの答申「人権救済制度の在り方について」の説明が行われ、これに対する質疑応答が行われた。

(1)厚生労働省説明部分に関する質疑応答

(山口委員)
機会均等調停委員会の申請件数が3件というのは何故か。
(厚生労働省)
調停に持ち込まれる前に解決をしている部分もかなりある。
(岡谷委員)
法律的に男性は助産婦の資格が取れないが、産婦人科医は男性でも可能である。これについてはどう考えているか。
(厚生労働省)
この問題に直接答えるべき立場にないが、原則的な考え方としては、できるだけ男女にオープンにその人の能力や意欲によって職業選択ができるようにしてもらいたい。ただ、仕事の特質によってどうしてもその例外を設けざるを得ないところが出てくる。
(鹿嶋委員)
女子学生の採用差別企業について、今後、企業名の公表はあるのか。
(厚生労働省)
企業名公表については、改正均等法の中に規定されたので、重大、悪質な事案は公表をしていきたい。ただ、個別具体的な情報がなかなか把握しにくいというのが女子学生問題についての一つのネックになっている。

(2)文部科学省説明部分に関する質疑応答

(深尾委員)
男女別学高校制度に対して何か考えがあるか。
(文部科学省)
地域の実情や歴史的な経緯がある。基本的には地域住民の意見や地域の実情を踏まえて設置者が決めることと考えている。
(広岡委員)
子育てサポーターについて、お母さんの子育て支援の視点が薄いと聞く。保育関係のカリキュラムでは、この問題に対する科目はないのか。
また、男性の意識改革は妊娠中のカップルをターゲットにした方が効果的ではないか。
エンパワーメントの事業について、次のステップのフォロー調査をやっているか。
(文部科学省)
保育関係のカリキュラムについては承知していないが、子育てサポーターについては、親の相談への関わり方や注意事項等を講習をした上で、お願いしている。
妊娠中のカップルを対象としたものとして、「明日の親のための学級」等をやっている。
エンパワーメントについては、11年度からモデル事業を実施している。本事業は2回実施したが、その後の推移についても今後、委員会で検討していきたい。
(桜井委員)
子育て支援ネットワーク事業はどのような仕組みか。
(文部科学省)
サポーターの配置や交流事業の実施主体は市町村である。国はこれに対する補助をする。
(鹿嶋委員)
預かり保育については、教育施設としての幼稚園が、地域の実態や保護者の要請により行なうわけであるが、全体の幼稚園のどのぐらいが実施し、何人くらいまで預かってくれるのか。また、趣旨を先生方がきちんと理解しているのか。どういう理論でやるのか。
男女平等教育の実施は国語とか、もう少し範囲が広がって実施される可能性があるのか。
(文部科学省)
預かり保育については、地域のニーズに合わせて実施している。男女平等教育は学校教育全体を通じて留意していくことだと考える。
(神田委員)
父親の子育てへの参加、或いは分業化の学習の場として、病院の活用はどうか。
(文部科学省)
病院での両親学級や妊産婦学級の機会を活用して、家庭教育についても是非考えていただきたいと思う。妊娠中の方とそのパートナー向けの教材、ビデオの作成を検討したいと考えている。
(神田委員)
看護教育の中に入れていく必要がある。
(岡谷委員)
看護教育の中にはかなりそれは入っている。最近は父親だけを集めたり、両親学級など父親の参加を重視した指導をやっている。出産後も相当長くフォローしていく教育活動について看護教育の中ではカリキュラムでかなりの部分が押さえられている。
(野中委員)
平成14年度から完全学校週5日制が実施になるが、全国子供プランというのは緊急3か年戦略として、どういうことを主に考えているのか。
(文部科学省)
14年度の完全学校週5日制の実施前の、11、12、13年度で緊急にやろうという意味の3か年であるが、具体的には土日に親子がいろいろな活動ができるように地域ごとにそういう活動の場の情報提供をする子供センターの整備を全国1,000を目標に進めている。また、農林水産省などと協力をしたり国立公園でパークレンジャーというようなことを子供が体験するとか、博物館で体験的活動をするとか、いろいろなプログラムを各省庁との連携で行なっている。

(3)法務省説明部分に関する質疑応答

(桜井委員)
新しい救済制度において、申出できる人の国籍は問わないのか。
(法務省)
国籍は問わない。
(桜井委員)
日本に在留許可があったりなかったりはどうか。
(法務省)
国籍や在留許可は問わないことになると思う。
(古橋会長)
人権擁護委員制度については、いつごろ結論が出るのか。それは法律改正事項にはならないのか。また、適正な人を選ぶということの検討項目はどういうものが考えられているのか。
人権委員会は行政の苦情処理を受け付けるということになっているが、人権に関係する行政についての苦情処理、オンブズパーソン的な性格を持つというふうに考えていいか。
(法務省)
人権擁護委員制度の検討項目については、審議会でどういったことについて検討を進めていくのか、現時点で必ずしもかちっとしたものはない。法改正については、人権委員会(仮称)というようなものをつくるとすれば、当然人権擁護委員の方に対する現在法務大臣が行っている指揮監督、そういった面で当然指揮監督権者は変わってくるというようなこともあり、人権擁護委員法の何らかの改正は避けられないと思っている。
苦情処理の関係では、男女共同参画社会基本法17条で苦情処理と被害者の救済という前段と後段があるが、法務省の人権擁護機関は、現在は後段の方の性差別によって人権侵害が生じた場合の被害者の救済を担当している。新しい人権委員会が前段の苦情処理的なものにどの程度関わっていくか。その辺のところはまだ必ずしも明確に整理をしていないところである。
(山口委員)
人権擁護委員というのは、男女差別の問題は弱い。法務省が人権の立場でもっと男女平等や男女共同参画ということを人権擁護週間をつかって活用すべきである。また、人権委員会の制度に関して、現在の人権擁護委員は男性、女性比率はどうなっているか。
(法務省)
女性の人権問題を特に大事な問題と考えて、ここ数年、力を入れてきている。
人権擁護委員に対して、女性の人権問題、男女の共同参画について、より中身の濃い研修が必要であることから新たな研修を設け実施している。
男女比については、現在女性の人権擁護委員は約32%である。今後とも女性委員の登用に努めたい。
(広岡委員)
一部の女性センターなどで相談事業という形でかなりシステマティックにノウハウが蓄積されているが、人権擁護委員の方々にそういったノウハウかあるか。
(法務省)
専門分野に造詣の深い委員もいるが少ない。個々の委員すべてに専門のノウハウを身につけてもらうのは期待できない。都道府県の人権擁護委員の連合会あるいは協議会単位で男女の問題について専門の部会を設けて検討している。男女の問題について専門的な対応が必要な相談がくれば、そういうところにつなげていくのが現実的ではないかと思っている。

(以上)