- 日時: 平成19年11月29日(木) 17:00~19:00
- 場所: 永田町合同庁舎第1会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
- 会長代理
- 鹿嶋 敬 実践女子大学教授
- 委員
- 伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
- 同
- 帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
- 同
- 加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会統括本部長
- 同
- 住田 裕子 弁護士
- 同
- 辻村みよ子 東北大学大学院教授
- 同
- 平野 治生 財団法人日本広報センター理事長
- 同
- 室伏きみ子 お茶の水女子大学教授
- 同
- 渡辺 幸子 多摩市長
- 説明者
- 藤村 幸子 はちのへ女性まちづくり塾生の会代表
- 同
- 菅原由美子 菅原由美子観光計画研究所主宰
(議事次第)
- 運営規則の一部改正について
- 男女共同参画の今後の地域レベルの推進方策について(男女共同参画と地域おこし・まちづくり)
- (1)関係団体及び有識者からのヒアリング
はちのへ女性まちづくり塾生の会代表
菅原由美子 - (2)意見交換
- (1)関係団体及び有識者からのヒアリング
(配布資料)
- 資料1
-
基本問題専門調査会運営規則の一部改正について(案) [PDF形式12KB]
- 資料2
-
地域おこし・まちづくりに関する施策・事業例 [PDF形式15KB]
- 資料3
-
はちのへ女性まちづくり塾生の会資料 [PDF形式98KB]
- 資料4
-
菅原由美子資料 [PDF形式13KB]
- 資料5
-
基本問題専門調査会 委員ヒアリング記録(案) [PDF形式81KB]
○運営規則の一部改正について
会長は議題等により必要があると認めるときは調査会委員の過半数が出席しない場合でも調査会を開ける旨の運営規則の一部改正について説明がなされ(資料1)、委員会が成立しない場合には議事録を書面で委員に諮ることについて検討することとなった。
○男女共同参画の今後の地域レベルの推進方策について(男女共同参画と地域おこし・まちづくり)
男女共同参画と地域おこし・まちづくりについて、はちのへ女性まちづくり塾生の会代表 藤村幸子氏及び観光・地域プランナーの菅原由美子氏からヒアリングを行い(資料3、4)、意見交換が行われた。
○意見交換の概要
【女性による地域活動の開始】
- 女性が地域活動に目覚める最大のきっかけは危機感。命に関わるような問題には積極的に関わるケースが多い。
- いろいろな形で視点を周りに向けることは重要。その面で外からの視点は重要。よそから移ってきた人が感じる疑問や、よそへ研修に行って自らの地域を見直すことが地域活動のきっかけになる。
- 地域活動を始めるには仲間づくりが必要だが、地域の中で仲間を見つけにくいことが課題。行政が様々な人と交流できる機会をつくるとよい。
【活動の継続、参加者の拡大及び連携】
- 活動が形になった段階で、多くの人に認めてもらえる檜舞台をつくると、次のステップに繋がる。
- 成功した女性への妬みによる足の引っ張り合いの打破が必要。特に、地域が狭くなるほど大きな問題となる。
- 団体の構成員は世代別に固まりがちで、後継者が出にくい。若い世代が入りにくかったり、世代間でやり方が合わないため若い世代が辞めてしまうのが実情。
- 異なる成り立ちの団体が無理に一緒に活動したり、統合したりせず、各団体が本来の形で活動して可能な範囲で連携するのが、連携を長続きさせるポイント。
- まちづくりの様々な活動に参加するのが、いつも同じメンバーであることが問題。託児を取り入れることで子育て中の母親が参加するようになった。
- ビジネスで成功し、社会構造でジェンダーバイアスがあることは関係がないと考えているような若い世代への、男女共同参画の必要性の伝え方を考える必要がある。
- まちづくりの活動は、人間関係が希薄な都市部の方が難しいのではないか。
- まちづくりの活動を成功させることに、都市部でも地方でもあまり関係はないと感じている。
- イベントで男女共同参画関連の講師を呼ぶと人が集まらず、芸能人を呼んで男女共同参画の話もしてもらうと人が集まるというように、「男女共同参画」を掲げてまちづくりをやろうとすると、人が集まらないのが実状。
【女性がまちづくりに関わるメリット】
- まちづくりでプラスに働く女性の利点は、失敗を恐れないフットワークのよさ。女性がアクセル役、男性がブレーキ役で成功している例は多い。
- 生活者として、市民として、女性の価値観や能力をまちづくりに活かすために、観光客をターゲットにするよりも自分たちが楽しめるまちづくりをすることも重要。
- 子や孫が関わると女性の力が発揮される。子どもと一緒に地域の未来を考えるイベントなどは、母親の視点があってこそ実施できる。
- 女性が活躍する可能性を秘めた分野は、とりあえずは家事・育児・介護など経験のある分野や、食品産業など女性が関わりやすい分野になるのはやむを得ない。若い世代は、新しい視点でアイデアや商品を開発してもらいたい。
- 日本の都市は女性化している。求められているのは、女性の得意分野の「安らぎ」「和み」。低迷していた京都の観光を再生させたのは50代の女性をターゲットにした町家再生店舗。まちづくりに女性をどう参加させるかではなく、女性中心でなければまちづくりはできないのではないか。
- 男女共同参画の視点で活動するとしても、女性であることを特権にしてまちづくりをしてもよいのではないか。女性の視点をもっとアピールして活動してもよいのではないかと考えている。
- キャリア志向でもなく良妻賢母にもなりたくない女性たちに対して、フリーターにせず、創造性や個性を活かして導く教育をつくり直すことが必要。
【男性との関わり】
- 女性が活動に参加し活動を継続していくためには、男性の理解と支援が不可欠。男性に対する感謝を表現するような関係は大切。
- 現在活動している女性団体は、処世術として男性を立ててうまくやってきた。若い世代がそれについていけないのなら、別の団体を立ち上げてもよい。
- 男性が都心に働きに行く地域では、女性がまちづくりを担ってきた。女性が育んできた地域の力を男性にも広げることが課題。
- 女性がまちづくりの担い手として活躍するのは重要だが、女性だけはなく、男女が一緒に活動できないか。
- 男女共に参加できる集まりは、女性は家を出にくいため参加するのは男性ばかりになる。女性限定にしなければ女性が参加しにくいのが実状。
- 女性は男性の前では意見を言いにくい土壌がまだあり、女性だけで自由に意見を出せる場をつくる意味は大きい。地域の「おかみさん会」は、女子高・女子大と同様に存在意義がある。
- 男女別に集まり、同性間で経験を共有し合ったうえで男女一緒に活動するというように、意識的にジェンダーの視点を取り入れる必要がある。
【女性の地域社会への参画】
- はちのへ女性まちづくり塾生の会では、構成員の多くが公募枠で地方自治体の審議会等に参加し、提言を行っている。まちづくりとは、いろいろなことができ、いろいろなことを提言できる人を育てること。
- 女性が生活に根ざした問題から地方行政に参画するのはよいことである。反対運動ではなく建設的な方向に力を向ける方が、女性が本当の力を発揮できる。
- 地方自治体の審議会等の女性比率は上昇しているが、あて職の多い審議会等では女性比率を上げるのは困難。
- 農協や商工業組合等に残っている男性の既得権が弊害になる。経営者だけでなく従業員を入れてでも女性比率を高めるべき。それによって女性が楽しみながらまちづくりができ、ひいては国づくりができる。
- 観光を女性の視点で進めているところは成功しており、観光について女性のパワーの問題を結びつけて議論することが重要。問題は商工会議所や観光協会に、女性が入ることに抵抗があること。
- 各世代にはそれぞれの立場で意見があり、審議会等では年齢別の代表制も検討してよい。実績のある女性の代わりに、あえて若い世代の女性を審議会等に入れることも必要。
- 政府間の経済連携協定は日本全国の暮らしの現場に影響する。生活を脅かすものに対して、女性がエンパワーしながら政策提言をするところに、女性が地域づくりに参画しなければならないポイントがある。
【行政の施策について】
- 政府はいまだに重厚長大な部分に焦点を当てた行財政計画を立てている。女性が中心になっていないところは成功していないことを理解し、考え方を変える必要がある。
- 経済活動をする若い女性が出てこない。競争社会・組織社会・縦社会の中で女性を育てられるのか疑問。産業に女性を合わせるのではなく、女性を中心としたサービス業に力を入れることが必要。
- 地方自治体は、補助金等で活動団体を甘えさせないこと。補助金等がなくなると活動が終わってしまうケースが多い。地方自治体は黒衣に徹するべき。
- 特に観光部門で、専門職への女性の登用が少ない。異動サイクルが2、3年では地域の観光的な魅力は把握できない。
(以上)